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2018/12/26 21:36
地球の上空に存在する 「未知の物理法則」 重力に逆らう力によりサハラ砂漠の塵が世界中に拡散しており、これが気候変動の原因かもしれないと科学者たちは述べる
科学メディア PHYS.ORG の記事より
昨日(12月23日)、インドネシアで「火山の海底噴火による津波」という現象が起きました。
そういう現象が存在するとは聞いたことがあったとしても、実際に報道で見聞するのは、おそらく初めてのことが起きました。
この津波では 200名以上の方が亡くなっていますが、その津波の原因となったクラカタウ火山の噴火の様相もまた壮絶なことになっています。下はドローンで撮影された海底噴火の様子です。
2018年12月23日 インドネシア・クラカタウ火山
そうしましたら、今日は、鹿児島の桜島が結構な噴火を起こしていました。
2018年12月24日 桜島
クリスマスに向けてアジアの地質活動がとても活発です。
そういえば、22万人という途方もない数の方々が死亡した 2004年のインドネシアのスマトラ沖大地震(M9.1)が発生したのは、クリスマス後の 12月26日でした。
インドネシアは今年は本当に自然災害に見舞われ続けた年でしたが、クラカタウ火山の現在の噴火などを見ていますと、これでもまだ活溌化している途中なのかもしれないなとも思います。
クラカタウ火山のこの2日のことに関しては以下の記事で取りあげています。
インドネシアで「地震と関係ない巨大津波」が発生し、時間の経過と共に犠牲者の数は拡大。原因はクラカタウ火山の活動か
インドネシアの「地震が原因ではない津波」を伝える12月23日の報道より
200名以上が犠牲となった津波を発生させたインドネシア・クラカタウ火山の壮絶な海底噴火の様子
2018年12月23日 無人機で撮影されたクラカタウ火山の噴火の様子
さて、今回はちょっと気になったアメリカの科学記事をご紹介させていただこうと思います。
地球の上空の物理的法則を支配している「何か」
冒頭の記事をご紹介させていただこうと思うのですけれど、どんな記事かといいますと、「大気中の塵の粒子が地球の気候変動に関与している可能性」についての研究発表なのですけれど、この研究で「奇妙なこと」が見出されているのです。
それは、「サハラ砂漠から運ばれた塵の粒が 3500キロメートルも離れたカリブ海で採取された」というものなのです。
このことの何が奇妙かといいますと、カリブ海で採取された「粒子の大きさ」なんです。
粒子が風に乗って遠方まで粒子が飛ばされるには、その粒子が「極めて微小」であることが必要です。たとえば、粉のような粒子なら、確かに地球の偏西風なりジェット気流なりに乗れば、遠くまで運ばれことはあると思います。
ところが、カリブ海で収集されたサハラ砂漠の塵には、
「0.45 ミリメートル」
というようなものが含まれていたのです。
0.45ミリメートルというと小さなものと感じられるかもしれないですが、おおざっぱに「 1ミリの半分」と考えますと、肉眼で見えますし、指でそのサイズを作ることができるほどには大きいものといえます。
そういう「小さな石」を、上から落とすと、どうなるか。
……まあ、どうなるかも何も、それは下に落ちます。
それが「重力」というものです。
上から落ちたものは、どんな小さなものでも、いつかは下に落ちますけれど、0.45ミリメートル程度の大きさがあれば、弱い風程度なら、わりとまっすぐに下に落ちるはずです。
ところが、そのようなサハラ砂漠の粒子……もう砂といってもいい大きさかもしれませんが、それが大西洋のいたるところで収集されている。
この意味は、
このような大きな粒子が数千キロなどの距離を、「空中で《下に落ちずに》移動している」
ということなんです。
これは、「普通の物理的な法則では説明できない」ということになるわけです。
それと共に、これは今回ご紹介する記事ではふれられていないですが、「サハラ砂漠からカリブ海」という「方向」にも興味を持ちました。
サハラ砂漠とカリブ海の位置関係は以下のようになります。
地図でいえば、「塵は、右から左に移動した」と理解できますよね。
ここもいろいろと「奇妙」なのです。
しかし、その奇妙性は後でふれさせていだたくとして、まずは、その記事をご紹介したいと思います。科学記事ですので、ちょっとわかりにくい部分があるのですが、いろいろと捕捉的なことも含めて、記事の後で書かせていただきます。
Mysterious giant dust particles found at gravity-defying distances
phys.org 2018/12/18
重力の法則に反する場所で見つかる不思議な巨大ダスト粒子
未知の力が巨大なダスト(塵)粒子を世界中に広げていくという動きを可能にしており、これが地球温暖化の一因となっている可能性があることを科学者たちが発見した。
サハラ砂漠からやって来るこれらの大きなダスト粒子は、サハラ砂漠から最大 3500 キロメートル離れたカリブ海でも見つかっている。この 3500キロメートルという距離は、地球規模の風の流れの中でこのような大きな粒子が移動することが可能であると科学者たちが考える距離より 50倍近く大きい。
大気中の塵は、地表に入る太陽の日光と地球から放出される熱などに影響を与え、さらに、熱帯低気圧の発達や、または雲の形成との間の微妙なバランスにも影響を与えている。
科学者たちは、大気中での大きな粒子の役割は、これらの粒子が予想外の長距離を移動しているという影響とともに、将来的には、気候の予想モデルに含まれるべきであると述べる。
英レディング大学の大気物理学教授でこの研究の共著者であるガイレス・ハリソン(Giles Harrison)教授は、次のように述べている。
「これらのダスト粒子はサハラ砂漠から巻き上げられ、地球の風により大陸の間を移動します。それは、以前あったように、ヨーロッパの空をオレンジ色に変えたこともありました」
「ところが、現存する科学に基づく考えでは、これらのような巨大な粒子が、そのような長距離にわたり大気中を移動するということは考えられないのです」
「このことが意味するところは、巨大な粒子の長距離の移動を可能にする科学的に知られていない大気の流れのプロセスが存在しているということです。あるいは、大きな粒子を大気中に保持するプロセスの仕組みが存在することを示唆します」
「これらのような大きな粒子は、地球の周囲の放射線伝達と海洋の炭素循環に影響を与えているということから、サハラ砂漠の塵が非常に遠方で発見されているというこの証拠は(地球の気象変動に対して)非常に重要です」
「過小評価」されている大きなダスト粒子の役割
オランダ王立海洋研究所(NIOZ)により率いられたこの研究では、研究者たちは、 2013年から 2016年の間に、大西洋の 5か所に浮遊ブイと水中の堆積物収集装置を設営し、大西洋上に運ばれるサハラ砂漠の塵を集めた。
サハラ砂漠から運ばれるプルームの中の塵の粒子のサイズは、以前は、直径 0.01〜0.02 ミリメートルの範囲の大きさの粒子であると考えられていたが、今回の調査でカリブ海で収集されたサンプルでは 0.45 ミリメートルという大きな粒子が測定されている。
このようなサイズの粒子が、地球の風の循環でサハラ砂漠からカリブ海のような長距離を飛来することは現状の見識では考えられない。
科学者たちは、このような大きな粒子の、雲の形成と海洋の炭素循環の両方の影響における役割について過小評価されてきたと考えている。
これまでの気象のコンピュータモデルは、大気中の粒子の雲や海に対しての影響を考慮していないが、この粒子が気象に対して及ぼす影響は大きい。
また、この研究では、大気中から除去される粒子の量は、重力によって除去されるよりも雨によって除去されるほうが多いことがわかった。それは以前に仮定された量よりも大きかった。
塵の粒子によって形成された液滴は非常に酸性であり、また、大きな粒子はより速く海底に沈み、つまり海のより深い部分に栄養素を運ぶ。このため、海洋にとって、このような大きな粒子が運ばれることには意味がある。
塵の粒子は、酸性であるということと海底に栄養素を運ぶという両方の影響により藻類の成長に影響を与え、したがって食物連鎖と海洋の炭素循環に影響を与える。
研究の主執筆者であるオランダ王立海洋研究所のミシェレ・ヴァン・デル・ダウズ(Michele van der Does)博士は以下のように述べる。
「事実として言えることは、大きなダスト粒子が長時間、大気中に浮遊し続けるということは、重力の物理法則と矛盾すると考えられます」
「しかし実際に私たちは、大気中の力と運動の組み合わせを通して、大きなダスト粒子が確かに長時間、大気中にとどまっていることを見出しました。そして、それは気候に大きな影響を与える可能性を示唆しているのです」
ここまでです。
先ほど、サハラ砂漠とカリブ海の位置関係の地図を載せました。
地図では、サハラ砂漠からカリブ海への移動は「右に行く」ということになっていますが、
地球にはそういう大きな大気の流れは基本的にない。
のです。
下は、地球のジェット気流の例ですが、偏西風というようなものも含めて、基本的に、地球の規則正しい大きな大気の流れは「左から右に行く」のです(東とか西の表現ではなく、右左にさせていただいています)。
地球のジェット気流の流れ
ですので、もし、サハラ砂漠の粒子が大西洋を越えてカリブ海まで行くとなると、
「粒子たちは、ジェット気流や偏西風に《逆らって》進んでいっている」
というような混沌とした話にもなりかねないのです。
つまり、この話は、以下のような基本的な物理の法則に2つ反しているわけです。
・下に落ちない
・風に逆らって進む
大西洋で発生する熱帯低気圧やハリケーンは、右から左に進むことが多いですが、ハリケーンは、サハラ砂漠などの場所と関係することはありません。
サハラ砂漠の砂嵐がヨーロッパなどに達し、その空をオレンジ色に変えることはありますが、サハラ砂漠とヨーロッパなら話はまだわかります。
今年の 3月には、サハラ砂漠からの砂嵐で、中東、ヨーロッパからロシアまでもが「真っ赤に染まった」ことを以下の記事でご紹介したこともあります。
シリア、イラク、アルジェリア、そして欧州とロシアにも…。前例のない規模で広がるサハラ砂漠の強大な砂嵐がもたらす「赤やオレンジの光景」
2018年3月24日 シリアの非営利組織エナブ・バラディットの報道より
ちなみに、こういうことも理解できるとはいえ、滅多にないことであり、長くこのような記事を書いていますけれど、ロシアにまでもサハラ砂漠の砂が飛来したということを聞いたのは、今年のこの現象が初めてでした。
これを知った時には、
「またも大気の流れの状態が変化しているのかな」
というようには思っていましたが、サハラ砂漠 → カリブ海という塵の運ばれ様を知りまして、いよいよ地球の大気の流れは普通ではなくなっていると感じます。
最初に「地球の気流の崩壊」を記事にしたのは、2016年の以下のものでした。
《特報》地球の気流が壊れた ジェット気流が赤道を通過して北極から南極に進むという異常すぎる事態。このことにより、この先の気象と気温はこれまでに考えていた以上のカオスとなる可能性が極めて濃厚に
2016年6月30日気象の専門家たちは「私たちは地球規模の気候緊急事態を宣言しなければならない」と語り、騒然が広がる
カナダ・オタワ大学の気象学の専門家ポール・ベックウィズ教授による事態の解説
ベックウィズ教授の動画解説欄の翻訳
北半球のジェット気流が赤道を越えて進行し、そして、南半球のジェット気流と合流するという事態が起きています。
これは今までになかった新しいジェット気流の動きだと思われ、そして、このことは、気候システムの騒乱が進行中であることを示しています。
現在の私たちの気候システムの振る舞いは、私たちが予想していなかった状況、あるいは予想はしていても、過去に経験したことのない新しい、あるいは恐ろしい方法で私たちを驚かせ続けています。
混乱した気候の世界へようこそ。
私たちは今、地球規模の気候緊急事態を宣言しなければなりません。
その後、さまざまな気流の崩壊に関する報道を見るようになり、そのたびにご紹介してもいました。以下のような記事がそれに該当します。
気流の崩壊は続く 規則正しく続いてきた成層圏の気流のサイクル「準2年周期振動」の規則性が2015年に崩壊したことがアメリカ地球物理学連合の研究で明らかに
2016年9月4日
進行しては躊躇したり、反転したりスピードアップしたりと、何かこう、台風が「意志」を持っているかのような動きにさえ見えます。
いずれにしても、過去にこのような動きを見せた台風はなかったわけですが、それだけに、被害の質も場所も過去とは違ったものとなったのかもしれません。
では、「今まではなかった」このような異常な動きですが、「今後」はどうなのでしょう。
今回の台風はあくまでイレギュラーなもので、今後はこういうことは起こりえないのか。
それとも、「今の地球は、何か根本的に大気の状態が過去とは違っている」ために、再び起きる可能性があるのか?
まあ、この答えとしては、
1. もう起きない
2. また起きるかもしれない
の2つしかないのですが、今回と同じようなことが起きるとか起きないということではなく、
「過去に見られたことのない大気の状態が今後も発生する可能性がある」
という意味では、「2」なのだと思います。
それが、冒頭でご紹介しました記事の内容とも関係のあることで、地球上で観測し続けられている「気流の変化のサイクル」のうちのひとつが「壊れた」可能性が出てきているのです。
今回は、地球物理学分野の世界最大の学会であるアメリカ地球物理学連合(AGU)が下のように発表した「地球の大気の異常」についてご紹介します。
アメリカ地球物理学連合「ジオフィジカル・リサーチ・レター」より
もはや、地球の大気の状態は、少なくとも過去数十年とは完全に違ったものとなってきている可能性が高いのです。
ジェット気流が赤道を通過して北極から南極に進むという異常すぎる事態
これは、本来なら地球の北半球を東西方向に向けて流れ続けているジェット気流が「南北方向に流れている」という衝撃的な報告を取り上げたものでした。
これに関しては、その後もいろいろな議論があり、このジェット気流の流れの異変そのものについて疑う意見などもあり、今でもどうもわからないままですが、このジェット気流の異常の際には、何人かの専門家や気候学者がそのように主張していたものの、公的な確認はついに「ない」ままでした。
しかし、今回は、アメリカ地球物理学連合という地球物理分野で最大の権威による発表であるということもあり、「異常が実際に起きている」ことについては疑う余地がないのです。
仮にですが、仮に、先ほどふれました「ジェット気流の異変」が(たまたまであっても)本当に起きていたということがあるのなら、私たちは、
・ジェット気流
・成層圏準2年周期振動
という2つの地球大気の循環サイクルの変化というのか「崩壊」というのか、そういうことに直面しているかもしれないのです。
そして、大事なことは、地球の現象のすべては「ひとつに収束する」というように考えられることです。
これは、たとえば、海にはいろいろな海流があって、名前のついたそれぞれの海流が存在しているように見えても、それらは結局、海水の大循環の中に組み込まれていくものですので、海流は最終的にはひとつであり、そして、おそらくは、海流は「小さな異変が、大きな異変へと結びついていく」ものだと私は考えています。
そして、大気の循環も、ある程度同じようなことが言えるのかもしれないと思っています。
その理由としては、「どうしてこれらの大気の大きなサイクルが存在するか」ということは科学的にはわかっていないわけですが、普通に考えれば、これほど大きな物理的な動きをコントロールする力となりますと、宇宙からの何らかの力か、あるいは地球内部からの何らかの力が関係していることは間違いないわけで(おそらくは宇宙)、ということは、
「宇宙からの何らかの力が変化したいるのなら、すべての変化につながる」
と考えても、それほど矛盾しない気がするからです。
とはいえ、これに関しては、そのメカニズムを推測しても仕方ないことではあります。
しかし、現実として In Deep を書きはじめてからのこの数年間は、気流の変化に起因すると思われる異常な気象や異常な大気の流れが少しずつ顕著になり続けていて、そして今では、その変化が実際に体感できる上に確認(異常気象や自然災害の増減の数値など)できる状況となってきています。
やはり変化しているのだと思います。それも、わりと急激に。
もし、大気の大きな循環のサイクルが崩壊してきているのだとすれば、今のような夏の台風シーズンだけなどではなく、秋も冬も、そして春も、私たちは何か今まで経験したことのないような気候の状態に直面する時が多くなるのかもしれません。
地球の気流の崩壊がまたしても ヨーロッパ上空のジェット気流の速度がカテゴリー5のハリケーン以上の時速300キロにまで加速していたことが判明
2017年10月15日のヨーロッパ上空のジェット気流の速度
本格的に地球の上層大気が「壊れて」きている
地球の天候状況が、「何だかおかしい」というところから「もはや完全におかしい」と自覚できるほどになったのが今年を含めたこの2〜3年くらいの間でしょうか。
大西洋の「観測史上最も東」で誕生したハリケーンが、通常のコースとは真逆にも見えるコースをとり、英国のほうに進んでいることなどを取りあげたものでした。
今日のイギリスやアイルランドの報道でも、このハリケーンの奇妙さについて報じているものが多く見られました。
10月16日のアイルランドの報道より
上のアイリッシュタイムズの記事の中で、「なぜオフィーリアはそのような場所で生まれ、このようなコースをとっているのか」ということに対しての質問に答えていたアイルランドの気象学者デイルド・ロウ(Deirdre Lowe)さんは以下のように述べています。
「なぜこんなに東部で発生し、このようなコースなのかということについては、おそらくはジェット気流などの大気の流れとの関係なのではないかとは思いますが、今のところはその理由は私たち気象学者にも特定できません」
ここで「ジェット気流」という言葉が出てきました。
そして、昨日 10月15日にヨーロッパ上空で記録された「ジェット気流の速度」が冒頭のものなのです。
冒頭の図を、大ざっぱですが、ヨーロッパの地図と並べてみますと下のようになります。
2017年10月15日のジェット気流の速度
これを見ますと、10月15日に、
「時速 300キロメートル以上の強烈な速さのジェット気流がヨーロッパ上空を駆けぬけていた」
ことがわかるのです。時速 300キロメートルは、秒速では 80メートルくらいになりますので、「 1秒で 80メートル移動する速さ」ということで、そのすごさがおわかりかと思います。
なお、この速度は、ハリケーンの定義の「カテゴリー5」を上回るすさまじいものでもあります。カテゴリーの区分は風速が基準です。
ハリケーンの強さと風速(秒速)
・カテゴリー5 秒速 70メートル以上
・カテゴリー4 秒速 59 - 69メートル
・カテゴリー3 秒速 50 - 58メートル
・カテゴリー2 秒速 43 - 49メートル
・カテゴリー1 秒速 33 - 42 メートル
このようになっていまして、今回のジェット気流の速度である「秒速 80メートル以上」というのは、カテゴリー5の中でも特に強大な「スーパー・ハリケーンに匹敵するようなものといえそうです。
ちなみに、ジェット気流の「通常の速度」とはどのくらいかというと、ジェット気流 - Wikipedia に以下の数値があります。
・寒帯ジェット気流 → 夏で秒速 20m から 30m、冬で 50m
・亜熱帯ジェット気流 → 夏で秒速 20m から 40m、冬で 40m から 50m
ということですので、おおむね秒速 20メートルから 50メートルの間くらいに収まるものということのようですが、10月15日のヨーロッパのジェット気流は、
・最も速度の「遅い」部分で秒速 40メートルほど
・最も速度の「速い」ところでは秒速 80メートル以上
と、「常識的ではない」速度になっていたことがわかります。
ちなみに、ヨーロッパ上空を通るのは、寒帯ジェット気流のほうです。
地球の気流がさらに崩壊中 北極上空の大気「極渦」が真っ二つに分断して北半球上空を進行中という異常事態が発生。
2018年2月18日
ジェット気流の崩壊(2016年)、準2年周期振動の崩壊(2015年)に続き、地球を寒冷化に導いている極渦もカオスの仲間入り
2018年2月15日の米国ウェザーチャンネルより
近年になって突然のごとく北半球各地に強烈な寒波をもたらしている極渦が「壊れ始めた」
今シーズンを含めて、この2、3年間ほどの間、地球の北半球に「異常な寒波」をもたらしている原因のひとつに「極渦」というものがあります。読み方は「きょくうず」でも「きょくか」でもいいようです。
これは本来は、「北極上空の大規模な冷たい気流の渦」のことで、そのまま北極の上空をまわっている場合には何の問題もないのですが、ジェット気流などの影響でこれが北極以外の地域に影響を及ぼすことがあります。というか、ここ2、3年、それが非常によく起きています。
下はイギリス気象局による説明の中から抜粋したものですが、本来相当高い高層の上空を回っている極渦に、それよりずっと低い場所を回っているジェット気流が干渉することで起きるもののようです。
この現象が、最近では、世界各地の異常な気温とも関係するようになっています。
そして本来ならこういう「極渦が他の地域に影響することがたびたび起きる」というのはおかしなことなのですが、今では「普通」となっています。たった2年か3年でスタンダードな現象となってきたのです。
それが冒頭に示しましたように、アメリカの気象報道各社が報じています「極渦がふたつに分裂して動き始めた」ことなのです。
冒頭のウェザーニュースの図に説明を入れますと、下のようになります。
これからの動きはよくわからないとはいえ、ここから言えると思えることは「極渦の影響での強烈な寒波を受ける地域が東西に広がる」ということではないかと思います。
冒頭の米国ウェザーニュースの記事をご紹介しておきたいと思いますが、現時点では、先の影響はまだはっきりとはしていないです。
また、記事の後に、過去にご紹介した、
・地球のジェット気流が崩壊したかもしれないこと
・準2年周期振動という成層圏の気流の崩壊
の記事などもリンクしておきます。
詳細な部分はわからないことが多いとはいえ、「かつて存在した気象パターンの中で《崩壊したもの》がいくつか存在する」ことは事実です。この極渦の分裂というようなことも、そういうことの中に含まれるのかもしれません。
なお、日本への影響はわかりません。もう少し経って、アメリカの気象予想が明確になり始めた場合には、日本の気象や気温の状態もわかってくるかもしれません。
ここから記事です。
The Polar Vortex Has Split: Here's What That Means For You
weather.com 2018/02/15
北極の「極渦」が分割した:これは何を意味するかのか
今週、成層圏の温暖化のために極渦が分裂した。これは、ヨーロッパにおいて寒波につながる可能性がある。極渦の混乱はアメリカ東部の寒波と関連することがあるが、今後の予測は現在はできない状況だ。
北極上空の大気の流れの渦である極渦が今週「分裂」したことが、気象学者たちの間で話題となっている。
ふつうは1つの極渦が分裂し、つまり「1つであるべきものが2つある」ということになるのだ。
現在、カナダ西部とヨーロッパ上空にそれぞれ別の極渦がある。北極の上空には通常のように極渦があるのだが、その上空の成層圏の気温が高くなっている。
この成層圏の大気温の上昇が、現在起きているような極渦の乱れを作り出していると思われる。
成層圏は、私たちの暮らしている地上を含めての大気層である対流圏と呼ばれる上層大気の上部にある。
そして今、極渦の大部分はこの対流圏にあるのだ(※ 地上の気温に影響を与えやすい低い位置にまで来て入れるということ)。
この冬を含めたこの数年、アメリカ東部が厳しい寒波に見舞われることがしばしばあるが、この寒波も極渦と関係したものだ。
その極渦が「分裂した」という事実はやや不気味に響くかもしれない。というのも、現在、北極の寒さがアメリカに向かっているからだ。
これだけを見ていると、またアメリカ東部に寒波が訪れそうにも思えるが、しかし、ことはそれほど単純ではないのだ。実際この2月後半の(アメリカでの)気温予測は、東部地域の平均気温は通年よりも高いと予想されている。
極渦の分裂が寒波による混乱をアメリカにもたらすとは思われるが、それはアメリカ東部からということではなさそうだ。
また、民間の気象予測社 IBM ビジネスの担当者は、2月の終わりから3月の初めにヨーロッパが非常な寒波に覆われると予測している。この時期に、ヨーロッパ旅行を計画しているならば、これは少し悪い知らせだ。
2月下旬から3月初めにかけての長期的な気象の見通しのもう一つの要因は、北大西洋振動(NAO)の逆相(負の指数)の出現だ。この北大西洋振動の逆相は、グリーンランド・ブロック(Greenland block / グリーンランドの地形によって気流がブロックされ減速すること)の形をとっていることを示している。 成層圏の温暖化と極渦の分裂は、このタイプの高気圧システムに影響を与えるだろう。
これまで述べたような状況では一般的には、ヨーロッパとアメリカ東部が寒冷な気候に覆われやすいが、北大西洋振動の逆相のすべてがそうなるというものでもない。しかし、それでも、この「極渦の分裂」と「北大西洋振動の逆相」は、3月初めのヨーロッパに寒波をもたらす可能性かかなり強いと思われる。
アメリカでどうなるかは不透明だ。
グリーンランド・ブロックが現在より西に移動した場合は、3月のアメリカを通るジェット気流のパターンに影響を与え、アメリカに低い気温がもたらされる可能性があるが、アメリカの気象パターンに影響を与える要素は数多くあり、現時点では、この極渦の分裂に関しての影響はわからない。
もう少し時間が経てば、3月までにどのような気温となっていくかが明らかになってくるはずだ。
私個人は、「ジェット気流の異変」が今後さらに激しくなった時に、気候はもっと異様なことになっていくのではないかと思っています。
これまで経験したことのないような・・・まあ、それが寒波なのか奇妙な悪天候なのか、そのあたりはわからないですが、まさに「黙示録的な地球」というものが現実にさらに顕著になってくる要因に、気流の崩壊というものが関係していると考えます。
それがどんなものなのかについては、特に予測をしなくとも、もうすでに異変は十分に経験したり見たりし続けている上に、さらなる気象の異変も、数年後、あるいは、場合によっては数か月後以内には経験することになりそうです。
今回ご紹介したことについては、気流の流れという以上に、
「なぜ、これらの塵は下に落ちないのか?」
という大きな不可解があるわけで、いろいろな考え方はあるだろうにしても、物理の法則に「基本的に反している」わけですから、なかなか説明は難しいものとなるかもしれません。
まあ、何かこう「未知の力」に上空が支配されているというような感じもあるのかもしれません。
なお、今回の記事でもうひとつ気になったのは以下の部分で、このサハラ砂漠からの粒子が「海洋の食物連鎖に影響を与えている」という部分でした。
塵の粒子は、酸性であるということと海底に栄養素を運ぶという両方の影響により藻類の成長に影響を与え、したがって食物連鎖と海洋の炭素循環に影響を与える。
今年 7月の以下の記事では、
「地球の気象が海の微生物たちに支配されている可能性」
について発表した米フロリダ州立大学のニュースリリースをご紹介しました。
米フロリダ州立大学の研究者たちの最新の研究によれば、海洋の中深層(深海の光のあまり届かない 100mから 1000mの間の深さの領域)の深い海域で、単細胞生物の群れが地球の炭素循環を大きく変化させているかもしれないという、それまで科学者たちが予想だにしていなかった可能性が見出された。
「地球の炭素循環」とありますが、この地球の炭素の変動が地球の気温を変動させているとする考え方が今の科学界では主流ですが(人為的な地球温暖化説というのもそういうもののひとつです)、それが「海の微生物たちによってもコントロールされている」という可能性が示されたのです。
サハラ砂漠の粒子が大西洋の生物環境に影響を与えていることが今回の記事に示されていますが、私たちの地球の上空に存在する「何らかの力」が気象を含めたさまざまな分野において地球の環境に影響を与えている可能性を感じます。
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2018/12/26 20:42
クリスマスイヴにイタリアのエトナ火山が大噴火。山腹崩壊の可能性も
2018年12月24日 山腹から激しい噴火を起こすエトナ火山
12月22日にインドネシアのクラカタウ火山が大噴火を起こし、その影響と見られる津波で大きな被害が出たばかりですが、12月24日、イタリアではエトナ火山が大噴火を起こしました。
イタリア・エトナ火山の場所
エトナ火山そのものは、頻繁に噴火を起こす火山であり、21世紀に入ってから 5回噴火を起こしていますが、今回の噴火は「側噴火」とか「山腹噴火」と呼ばれる、火山の山腹から発生する噴火です。
このエトナ火山で側噴火が起きたの数十年ぶりとのことで、フォーブスの記事によれば、このような側噴火で懸念されるのは「噴火による山腹崩壊」だそうです。仮にそのようなことが起きた場合、エトナ山は海に面していますので、状況によっては崩壊した山腹が海に崩落して「津波が発生する」可能性があります。
やや状況は違うとはいえ、インドネシアのクラカタウ火山で発生した「火山の噴火による津波」が、このイタリアでも起きる可能性はゼロではないようなのです。
海から見るエトナ火山
そのようなこともあり、今後の噴火や火山の変化の状況によっては警報などが発令される可能性もあります。
この噴火により、エトナ火山に近いカターニア空港は現在閉鎖されています。また、飛行に関しての上空の状況は「コードレッド」と示されており、最高ランクの警報が発せられています。
どうもこう、年末が近づき、世界中の火山活動が唐突に活溌化してきた感じです。