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2020/10/30 23:07

自由を履き違えた「魔術的思考」が世界中に拡大する中、対立と憎悪と暴力の時代は今始まったばかり

2020年10月28日
とてつもない暴力の時代の中で

最近、20年も 30年も前に読んだ本の一節などがふと頭をよぎることがあります。

今に始まったことではないとしても、21世紀もまた、とてつもない暴力の時代で、そして、「合理的な理由のない暴力」がとても多くなっています。

そのことについて、最近、30年近く前に読んだコリン・ウィルソンの『現代殺人百科』 (1983年)という書籍の前書きを思い出します。

「殺人の時代」と題された前書きは以下のように始まります。

こういう具体例がどうだということではなく、「それ以前にはなかった、動機も判然としない訳のわからない犯罪」というのは、ずっとあったものではなく、

「 1970年頃に生まれた」

ということで、その前書きをまずご紹介します。

コリン・ウィルソン『現代殺人百科』 前書き「殺人の時代」より

1960年に本書の前版『殺人百科』が出て以来、文明世界の暴力のパターンには目立った変化が見られる。動機のない凶暴性を特徴とする犯罪がますます増加の傾向にある。理解を越えた、背筋の寒くなるような変化である。

1982年2月10日、一人の人物がシカゴの薬局に入ってきて、タイレノールという鎮痛剤のビンに青酸カリが入ったカプセルを混入し、どこかに消えた。

最初の犠牲者は 12歳の女の子だった。数日のうちに死者は 7人になった。

それから一週間後、中年の男がコロラド州グランド・ジャンクションで目薬を買った。その一滴を目に落として、彼は苦悶にのたうちまわった。だれかが塩酸と中味をすりかえたのだ。最初の事件から数週間後以内に、これをまねした事件が全米で百件以上も起きた。

全米各地の治安保健当局者は、ハロウィーンで「お菓子をくれなければいたずらするぞ」の遊び (Trick or Treat と言いながら近隣の家を回ること)をする子供たちに、例年よりは声を大にして警告を与えた。

これまでの十年間にも心のおかしな人がいて、お菓子に毒を混ぜたり、りんごの中に針やカミソリの刃を差し込んだりして、事件が起きている。なので、気をつけるようにと警告を出したのだ。

痛ましいことに、この警告はまさに的中した。危険な細工がほどこされたお菓子を口にして病院にかつぎこまれる子供は記録的な数にのぼった。


ここまでです。

そして、コリン・ウィルソンは、この著作を書いていた 1980年代頃からの犯罪の特徴として、

「動機と犯罪の内容にまったく関係性がない」

という事例があまりにも増えたことを長く説明します。

しかし、今となれば、これは現在の私たちは、もう毎日のように見る事件のタイプでもあります。

つまり、

「家で夫婦喧嘩して、むしゃくしゃしていたので、道で知らない人を殴った」

とか、

「会社をクビになったから、ホームから知らない人を落とそうとした」

とか、

「親に怒られたから、街で知らない人に危害を加えた」


などの報道は、もういくらでもあるような社会になっているため、私たちは、こういうタイプの犯罪を「当たり前のこと」として受け止めやすくなっていますが、「以前は、ほぼなかった」のです。

「家で夫婦喧嘩した」なら、妻なり夫なりが相手に対して何か危害等を与えるというのなら、その是非はともかく、道理としては真っ当であり、しかし、その人の夫婦喧嘩と「道で殴られた知らない人」の間には何の関係もありません。

まして、「道でを歩いていた知らない人」に危害を加えたからといって、夫婦の間の関係が修復されるわけでもありません。

他の例もすべて同じです。

ホームから知らない人を落とそうとしても、その人がクビにされた会社に戻れるわけではないし、「それをやったところで、自分への具体的な良い見返りは何もないことが確定しているような犯罪」が、この数十年でとても増えたのです。

合理的に考えれば、そんなことをしても仕方ない。

この「〇〇だから△△をした」という動機の〇〇と、結果の△△の間にまったく関係性のない犯罪を起こす思想をコリン・ウィルソンは、

「魔術的思考」

と呼んでいます。

コリン・ウィルソンは、その源泉として、1762年にルソーが出版した『社会契約論』の中にある以下の文章に「すべての責任がある」という論旨になっています。

「人間は自由な人間として生まれている。」

私は何十年かぶりにこの言葉を思い出しました。

コリン・ウィルソンのこの『現代殺人百科』の前書きは、ものすごく長いもので、前書きだけで一冊の書籍として完成するほどの長さがありますので、内容をうまく説明はできないのですが、彼は前書きを以下のように締めくくります。

コリン・ウィルソン『現代殺人百科』前書き「殺人の時代」より

自由は責任と規律がなくても存在できるという思想を広めたのはルソーだが、この問題の責任の大半はこのルソーにある。

1951年、アルベール・カミュは著作『反抗的人間』で、サドからカール・マルクスやレーニンにいたるすべての反抗の哲学は、圧政と自由の破壊を招いたと強力な宣言を時代に投げつけた。

これは、左翼に怒りの渦を巻き起こした。

カミュの死後、彼の正しさは現実に証明されるところとなった。自由の哲学は国際的テロリズムの正当化の根拠となった。

イタリアのテロリストは大学の教室に押し入って、教授の脚を銃で撃ち、この教授は基本的に非道徳的な社会に適合することを学生に吹聴した罪があるとうそぶいた。チャールズ・マンソンは、自分の追随者は「兄弟愛」から殺人をおかしたと法廷で広言した。

これが自由の哲学の帰結である。自由の哲学が狂気に走った例である。

満ちてくる潮のように暴力が社会にのさばる。

常に自由を云々してその正当化を求める。

この種の風潮を見るとき、間違っていたのはルソーで、正しいのはカミュだということを、われわれは考えずにはいられない。

ルソーの時代には変革を求める強い必然性があり、したがってルソーの思想を認めるべきだとするなら、同じ根拠で今はカミュを認めなければならない。

現代の教育制度に「倫理的責任」を教える権力があるかどうかは分からない。しかし、社会の底辺にのさばっているこの頑迷な自由の哲学を否定する能力はあるはずだ。この態度に変革を迫ることが、われわれの社会の変革の鍵である。


ここまでです。

このルソーやカミュのことについてはともかく、今、アメリカでもヨーロッパなどでも起きているさまざまな暴力の根源には、ここでコリン・ウィルソンが言っていることが内在しているということが、今の世の中で生きている中ではじめてわかります。

この「自由」という言葉は、ちょっと日本語では大仰で、これに対して何か述べる才覚は私にはないですが、ただ特に 21世紀くらいになってから、日本を含めて、どこの国でも言われるようになったのが、

「格差」

「平等」


という言葉などで、最近のアメリカの多くの暴力などにも、こういう概念が根底にあると思いますが、どうも、この概念は「利用されている」ように感じるのです。

人類文明が登場して以来、「すべての人が平等で、すべての人に格差がない」ときなど一度もありませんでした。

それが、今になって、やたらと喧伝されるようになった。

ルソーの言う「人間は自由な人間として生まれている」のフレーズには、若い時からとても違和感を感じていました。

そして「自分は自由な人間としては生まれていない」から、いろいろと希求する。

「自由の本質とは何か」を考える。

ずっと考えてはいたけれど、全然勉強をしない人生でしたので、そのあたりがよくわからない。

そうして、最近、ブログで書くようなこと、つまりシュタイナーの言う未来の人間とか、イエス・キリストの話とか、量子力学とかを少しずつ知る中で、

「自由の本質」

というものが何となく、ほんの少しだとしてもわかってきたような気がしないでもないです。

その観点から言えば、今の人間の状態では、「人間は絶対に自由にはなれない」と断言することができます。

こんなことを書いているのも、ルドルフ・シュタイナーが、「人間は精神的世界に進まなければ、道を失う」と述べていたこととも関係があるのかもしれません。

講演でシュタイナーは以下のように述べていました。

1912年1月1日のルドルフ・シュタイナーの講演より

将来的には、人々は、いわば、右と左の 2つの道に立つでしょう。

一つの道は感覚的世界だけが真実であるという人々であり、もう一つの道には、精神的世界(霊的世界)が真実であるという人々がいます。

私たちが精神的世界に進むならば、私たちは地球の進化の未来において、ますます人間に近づくことをいとわない何かの方向に自分自身を成長させます。


2021年へ向かう中で平行する「2つの概念」

今の世の中ではコリン・ウィルソンのいう「魔術的思考」が万遍なく広がりやすくなっています。

その中で、かつてなかったほど、「本来的に無意味な暴力」、「本来的に無意味な犯罪」が今後ますます増えていくと思われます。

世界のさまざまな場所で、いろいろと「対立」「憎悪」「暴力」が繰り広げられていまして、中には、新型コロナウイルスに対する封鎖などと関係するものもありますし、アメリカでは大統領選挙が近いため、その後の暴力の爆発にも警戒が高まっているようです。

マタイによる福音書 第24章

24:6また、戦争と戦争のうわさとを聞くであろう。注意していなさい、あわててはいけない。それは起らねばならないが、まだ終りではない。
24:7民は民に、国は国に敵対して立ち上がるであろう。またあちこちに、ききんが起り、また地震があるであろう。
24:8しかし、すべてこれらは産みの苦しみの初めである。


アメリカの報道によれば、「銃がかつてないペースで売れている」のだそう。

男性だけではなく、多くの女性が「はじめての銃の購入」に走っているとのことで、その売れ方といったら、カリフォルニア州のガンショップのオーナーが FOX テレビに以下のように述べていました。

「 20丁の銃を出すと、3時間で売れるのです。これまでの四半期分にあたる売上が 2週間で出せています」

「入ってくる多くの人たちが初めての銃の購入者です。ほとんどが女性です」 (Fox News 2020/10/20)


これまで銃など買ったことのないような女性たちまでガンショップに殺到しているようなんですね。

さきほどの「履き違えた自由の観念による魔術的思考」と共に、今は、欧米の多くの人たちが、長く続く制限やロックダウンで疲弊していて、メンタル的な崩壊の問題に達している人たちもかなりいると思われます。

そんなことからも、これから起こる混乱は、通常の混乱よりも混沌とした状態が発生しやすい状況となっているのかもしれません。

ヨーロッパにしても、フランスでは 10月29日から「全土のロックダウン」を再度おこなう可能性が高いとロイターは伝えています。フランスに関しては、他にもいろいろとありますが、それはまた別の機会に書かせていただこうと思います。

ロシアで「偽キリスト」がガチ逮捕される
2020.10.26

■ロシア当局がイエス・キリストを名乗るカルト指導者を逮捕

 先月、4機のヘリコプターや数十台のバンを伴った重武装の軍隊が、シベリアのカルト・コミューンを急襲した。カルトで「キリスト」を自称する長い白髪とあごひげを生やしたヴィッサリオンは、覆面をした軍人に連行され、ヘリコプターに乗せられた。ヴィッサリオンの右腕として知られている、元ロックミュージシャンのヴァディム・レッドキンも、もう一人の側近ウラジミール・ヴェデルニコフとともに逮捕された。

この作戦には、ロシア連邦保安庁のエージェント、警察、その他複数の機関も関与したという。

ロシアの捜査委員会は、カルトが信者から金を強要し、彼らに精神的虐待をしたと主張。またヴィッサリオンは違法な宗教団体を組織したとし、彼を起訴すると述べた。ロシア当局が特殊作戦を行うほどの人物、ヴィッサリオンとはいったい何者なのだろうか?

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この男は過去30年間、自分はイエスの生まれ変わりであると主張し、シベリアの奥地に拠点を置き、カルトを運営してきた。ヴィッサリオンことトロップは、1989年に交通警官の職を失い、ソビエト政権が崩壊し始めた時期に「目覚め」を経験したと信者に語っている。そして1991年、「最後の遺言教会(the Church of the Last Testament)」という名のカルトを設立した。

「最後の遺言教会」の数千人の信者が住むコミューンは、シベリア中部のクラスノヤルスク地方の人里離れた集落にある。このカルトに加わった人々の中には、ロシア全土から集まった高い教育を受けた者や、海外から巡礼してきた人々も含まれているという。

■1万人の信者はどうなるのか

 2002年、ヴィッサリオンは英紙「ガーディアン」のインタビューで、「私は神ではありません。しかし、私は父なる神の生きた言葉です。私を通じて、神は語るのです」と述べている。しかし後に、ヴィッサリオンは自分自身をイエスであると宣言した。

 ロシアのメディアは、このカルトの思想は、イエスは地球の周りをめぐる軌道から人々を見守っていて、そして「聖母マリアがロシアを動かしている」と報じている。またこのカルトは、キリスト正教の儀式の幾つかを抜き出して用い、さまざまな環境哲学、その他の宗教的概念を混ぜ合わせ、それを信義と呼んでいるという。

このカルトではクリスマスは廃止され、1月14日のヴィッサリオンの誕生日の祝祭日に置き換えられた。また最大の祝日は、1991年にヴィッサリオンが行った最初の説教日である記念日の8月18日だという。またコミューン内では金銭交換が禁止されており、信者は菜食主義に従い、簡素な服を着用しなければならない。

 彼らの指導者が逮捕された今、弟子たちに何が起こるのか、また当局が今、ヴィッサリオンの逮捕を決めた理由も明らかではない。ロシア正教会は長い間、このカルトグループを非難してきたが、当局が信者を長年放置していた事実もある。一部のロシアのメディアは、このコミュニティが地元の事業利益との争いに巻き込まれたと報じている。

 報道によると「最後の遺言教会」の信者は、以前は4000人と言われていたが、新型コロナウイルスによるパンデミックが始まってから一気に3倍に増え、1万人を優に超えたと言われている。ロシア政府は、ヴィッサリオンの率いる小さなカルトグループがインターネットによってロシアの知識人や外国人を魅了し、力を持ち始めたことを懸念したのだと思われる。

マタイによる福音書 第24章

24:4そこでイエスは答えて言われた、「人に惑わされないように気をつけなさい。
24:5多くの者がわたしの名を名のって現れ、自分がキリストだと言って、多くの人を惑わすであろう。
24:23そのとき、だれかがあなたがたに『見よ、ここにキリストがいる』、また、『あそこにいる』と言っても、それを信じるな。
24:24にせキリストたちや、にせ預言者たちが起って、大いなるしるしと奇跡とを行い、できれば、選民をも惑わそうとするであろう。
24:25見よ、あなたがたに前もって言っておく。
24:26だから、人々が『見よ、彼は荒野にいる』と言っても、出て行くな。また『見よ、へやの中にいる』と言っても、信じるな。
24:27ちょうど、いなずまが東から西にひらめき渡るように、人の子も現れるであろう。
24:28死体のあるところには、はげたかが集まるものである。

最終更新:2020/11/02 13:30

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