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2020/06/01 22:54

アメリカの中小企業の半数が「永久に会社を閉める」と回答する中に見える、農林中金など日本の金融機関が過大に投資している金融商品「CLO」が危機に至る可能性。その影響はリーマンショックの十数倍以上か

2020年5月30日
アメリカの中小企業の崩壊が日本の金融機関を破壊する構図

パンデミックのロックダウンの影響について、中小企業の経営者からの回答をまとめたアメリカの金融サービス会社の調査で「調査対象の中小企業のうち、47%が会社の永久的な閉鎖を予測している」という衝撃的な結果が導かれたことが、米ニューズウィークにより報じられていました。この中小企業とは店舗などを含む多くの小規模企業ですが、公式のデータによれば、これらの中小企業は「アメリカの企業の 99.9%を占めている」のだそうです。中小企業の労働人口は 5890万人です。

この「アメリカの中小企業の半数が消える」ということを聞いたときに、ふと最近の日本のニュースを思い出しました。

日本最大の機関投資機関として知られる農林中央金庫が、このパンデミックの中で、「4000億円の評価損を出した」という以下の報道でした。

農林中金:CLO評価損は4000億円超、新規投資は引き続き抑制へ

農林中央金庫は27日、2020年3月期のローン担保証券(CLO)の評価損が4000億円超に上ったことを明らかにした。新型コロナウイルス感染拡大による世界的な金融市場の混乱が影響した。

27日に開示した資料によると、格付けの低い企業への融資を束ねて証券化したCLOの保有残高は、19年12月末の8兆円から3000億円減少し、7兆7000億円だった。CLO残高は市場運用資産全体の12%を占め、すべて満期保有目的の「AAA」格だった。
(2020/5/07 Bloomberg)


ここに、「CLO」

という聞き慣れない言葉がありますが、これは、この報道にもありますように、「信用力の低い米国企業向けの貸出債権を束ねた金融商品」であり、簡単にいいますと、「あまり質の高い貸し出し債権ではない」といえ、このような金融商品が何と似ているかといいますと、2019年11月の以下の東京新聞の記事の冒頭がわかりやすいかと思います。

「リーマン」類似、投資急増 農林中金など3社 CLO、計12兆円
大手金融機関が、信用力の低い米国企業向けの貸出債権を束ねた金融商品「ローン担保証券」(CLO)への投資を急増させている。CLOの仕組みは、二〇〇八年にリーマン・ショックを引き起こしたサブプライム住宅ローンの関連商品と類似する。米国の景気次第で価格が大きく下がる懸念もあり、日銀はリスクに留意するよう促す報告書をまとめた。 (2019/11/27 東京新聞)


この東京新聞の報道は、新型コロナウイルスが中国で発生したと伝えられるより前の時期のものですが、ここに、

> 米国の景気次第で価格が大きく下がる懸念もあり

とありますが、まさに今「それが起きている」のです。しかも、どんな想像も上回る規模で起きているのです。

今起きていることは、リーマン・ショックどころの騒ぎではなく、先ほどのように、「アメリカの中小企業の半数が消える」というような大災害となってきている状況が明らかになってきています。

この 2019年当時、日銀のリポートは、

リーマン・ショック級の経済危機が起きると、アメリカ企業の破綻などでCLOの価格は2~3割程度、下落する可能性があると分析。

としていましたが、今回のカタストロフは、リーマン・ショックの数倍あるいは十数倍になるかもしれず、そして、現在のアメリカで最も影響を受けているのが、金融商品「 CLO 」と関係するかもしれないような「信用力の低い米国企業」であり、場合によっては、日本の多くの金融機関が投資しているこれらの金融商品の「存在自体が、危機的な状態になる」可能性さえ出てきています。

まずは、冒頭で書きました「アメリカの中小企業の半数が、このまま会社を永久に閉鎖する」とした調査を報じた米ニューズウィークの記事をご紹介します。

調査では、アメリカの中小企業の経営者のほぼ半数が永久に会社や店舗を閉鎖しなければならなくなったと回答している
Even With Loans, Survey Shows Almost Half of Small Business Owners Say They'll Have to Shut Down For Good
newsweek.com 2020/20/05

新型コロナウイルスのパンデミックの中で、全米の中小企業がビジネスを再開させることに苦労しており、新たな調査によると、中小企業のオーナーの半数近くが最終的には企業を完全に閉鎖せざるを得なくなると考えていることがわかった。

ウイルスの蔓延を抑制する手段としてアメリカで行われた強制ロックダウンと社会的距離の命令の結果として、中小企業は、すでにその多くが会社や店舗を閉鎖しているという報告がある。

米金融サービス会社 Azlo が実施した調査は、パンデミックの経済的影響に関する中小企業の経営者からの回答をまとめたものだ。

調査対象者の経営者のうち 47%は、永久的な店舗や会社の閉鎖を予測していると答え、41%の経営者が他の場所でフルタイムの仕事を探していると答えている。

回答者たちはまた、パンデミック発生時にアメリカの中小企業への財政負担を軽減することを目的としたアメリカ連邦融資イニシアチブである「ペイチェック保護プログラム(PPP)」についての経験を共有していた。

3月末に可決された「コロナウイルス援助、救援、経済安全保障法(CARES)」に基づいて設立されたこのプログラムは、実施後 2週間も経たないうちに、政府資金が不足したため、申し込みの受け付けを停止した。

4月27日、トランプ大統領が 2回目のコロナウイルス救済パッケージを承認した直後から、再び申請を受け入れ始めている。

アメリカ中小企業庁のガイドラインによると、500人未満の従業員を抱える企業や非営利組織は、個人事業主、独立請負業者、自営業者と同様に、PPP を通じてローンを申請する資格がある。

調査の回答者の半数未満(38%)が、PPP ローンに関与していた。申し込みをした人のうち、37%はプログラムの資金配分が遅いと述べ、20%はこのプロセスは「痛みを伴う」と説明した、と Azlo 社は報告している。

米 CNBC が全米 2,200の中小企業経営者を調査し 5月4日に発表した別の調査によると、アメリカ全体の中小企業の多くは融資プログラムを通じて救済を受けていなかった。

CNBC の調査では、回答者のうち 45%が 救済資金を申請したと答えたが、申請した人のうちで承認されたのは 13%だけだったと述べている。

ここまでです。

日本もかもしれないですが、アメリカにおいても、中小企業の救済プログラムはあまり機能していないようで、その中で、「ほぼ半数の中小企業が消滅する可能性がある」という事態に直面しています。

そのような中で、日本の金融機関のいくつかは、アメリカの信用の低い企業の債権から構成された金融商品「ローン担保証券」(CLO)に巨額の投資をおこなっています。先ほどの東京新聞の報道によれば、2019年9月末の時点で、日本の金融機関の CLO への投資額は以下のようになっています。

2019年9月の時点のCLOの保有額
・農林中央金庫 7兆9000億円
・三菱UFJフィナンシャル・グループ 2兆4733億円
・ゆうちょ銀行 1兆5241億円
(東京新聞)


最大の保有額を誇る農林中央金庫(農林中金)というのは、農業協同組合などの系統中央機関の役割を持ち、運用の仕組は Wikipedia によれば、以下のようになっています。

約3,200人の職員で、JAバンクから上がってくる約80兆円の貯金を各県の信用農業協同組合連合会を通して運用する。

農林中金は、2008年のリーマンショックの際にも大きな評価損を出していますが、しかし、それは以下のような額でした。

2008年3月期の最終利益は過去最高を達成したものの、日本の株価の値下がりの影響による870億円余りの損失と合わせて2743億円の損失も計上することとなった。

このように、リーマン・ショックの際の損失は「 2743億円」ということになっていたのですが、今回は、「パンデミックの影響がまだ本格的に出ていない時期だけで 4000億円の評価損」となっているわけで、そして、アメリカの企業への影響も、あるいは日本の企業への影響も本格化するのはこれからであり、先ほどの3つの金融機関も含めて、おそらくは、他の国の金融機関も、この CLO という不安定な金融商品を大量に持っていると思われますので、この金融商品の破綻による「本格的な金融不安」がやってくる可能性が高まっています。

ちなみに、2019年10月の NHK の「金融危機の引き金に? 膨張する「CLO」のリスク」という記事によりますと、日本の金融機関が持つCLOの全保有額は「 12兆 7000億円」だそうですが、このような巨大な額でも、「世界で発行されたCLOの15%に相当する規模」なのだそう。

つまり、大ざっぱな計算としても、100を15で割れば 6.66…ですので(こんなところにも 666 )、世界には、80兆円以上のこの不安定な金融商品が保有されていることになり、これが破裂すれば、世界的な金融不安につながる可能性もありそうです。

今回の経済危機は、リーマン・ショックとは逆となりそうで、リーマン・ショックは「大手金融機関の破綻から一般の企業や生活に影響が広がった」のですけれど、今の危機は、「中小企業や一般の店舗から危機が始まり、危機が大手金融機関に波及していく」ということになっていきそうです。

リーマン・ショックの時は、金融機関の救済という方法で、少しずつ抜け出すことができのですけれど、今回のような順番では、つまり、「すでに中小企業と一般の人々に多大な救済資金を使っているので、大手金融機関の救済にまで回らない」という国もあるかもしれません。日本がそうなのかどうかは私にはわかりません。

なお、日本の金融機関のCLOへの投資について、米ゼロヘッジは、常軌を逸した金融商品の数々に投資する日本の農林中金は米国のCLOで4000億円を失ったというタイトルの記事を掲載していましたが、その記事に、農林中金は、CLOへの投資を「 2017年からの 2年間で、ほぼ 2倍」にしたことが記されています。

そして、投資を倍増させた時に新型コロナウイルスのパンデミックが発生したのでした。

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農林中金という組織については、日本のウェブサイトの説明は、どれもわかりにくいのですが、むしろこのアメリカのゼロヘッジの以下の説明がわかりやすいように思います。

農林中金は日本の何百万人もの農家の人たち、漁師の人たち、そして、その退職者たちに代わって投資する組織だが、今回、CLO投資で、37億ドル(4000億円)という同組織としては記録的な損失を被った。 (zerohedge.com)

そして、農林中金の「 4000億円の損失の発表」を知る限り、世界中の多くの金融機関や保険会社などが CLO により何らかの影響をすでに受けているはずで、そして、先ほど書きましたように、アメリカの中小企業の多くが再生もできないようなダメージを受けている中、そのような企業の債権を数多く扱っているかもしれない CLO の今後は非常に厳しいと思われます。

何しろ、米連邦準備銀行のひとつであるアトランタ連邦準備制度は、5月28日に、アメリカの第2四半期の実質 GDP 成長の最新のモデル予測を発表しましたが、それは以下のようなものなのです。

2020-us-gdp2q.jpg

なんと、GDP が 51.2%減少すると予測したのです。

もちろん、このような数値は 100年前の恐慌時にもなかったものです。

そして、これが単に「アメリカの話」だとはもはや言えないことは、たとえば、農林中金の巨大な損失が、農家や漁師の方々を含めた多くの日本の人々にどのように影響していくかを想像してみても何となくわかるのではないかと思います。

ゼパニヤ書
1:2主は言われる、
「わたしは地のおもてからすべてのものを一掃する」。

1:3主は言われる、
「わたしは人も獣も一掃し、空の鳥、海の魚をも一掃する。
わたしは悪人を倒す。
わたしは地のおもてから人を絶ち滅ぼす」。

1:4「わたしはユダとエルサレムのすべての住民との上に手を伸べる。
わたしはこの所からバアルの残党と、偶像の祭司の名とを断つ。

1:5また屋上で天の万象を拝む者、主に誓いを立てて拝みながら、またミルコムをさして誓う者、

1:6主にそむいて従わない者、主を求めず、主を尋ねない者を断つ」。

1:7主なる神の前に沈黙せよ。
主の日は近づき、主はすでに犠牲を備え、その招いた者を聖別されたからである。

ヨハネの黙示録 第6章
6:3小羊が第二の封印を解いた時、第二の生き物が「きたれ」と言うのを、わたしは聞いた。

6:4すると今度は、赤い馬が出てきた。そして、それに乗っている者は、人々が互に殺し合うようになるために、地上から平和を奪い取ることを許され、また、大きなつるぎを与えられた。

6:5また、第三の封印を解いた時、第三の生き物が「きたれ」と言うのを、わたしは聞いた。そこで見ていると、見よ、黒い馬が出てきた。そして、それに乗っている者は、はかりを手に持っていた。

6:6すると、わたしは四つの生き物の間から出て来ると思われる声が、こう言うのを聞いた、「小麦一ますは一デナリ。大麦三ますも一デナリ。オリブ油とぶどう酒とを、そこなうな」。

6:7小羊が第四の封印を解いた時、第四の生き物が「きたれ」と言う声を、わたしは聞いた。

6:8そこで見ていると、見よ、青白い馬が出てきた。そして、それに乗っている者の名は「死」と言い、それに黄泉が従っていた。彼らには、地の四分の一を支配する権威、および、つるぎと、ききんと、死と、地の獣らとによって人を殺す権威とが、与えられた。

最終更新:2020/06/01 22:54

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2020/06/01 22:04

インドの歴史上最悪のイナゴ襲来のカタストロフに見る世界的な食糧危機、化学物質にまみれる大地。そしてその基本的な原因は異常気象と異常気温だということ

2020年5月28日
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イナゴ襲来の第二波は想像を上回る規模に成長中

アフリカから中東、そしてパキスタンなどが「過去最悪級のイナゴ(サバクトビバッタ)の被害」に見舞われていることを最初に取り上げたのは、2月22日の以下の記事だったと思います。

聖書のような厄災を与えているイナゴは、アフリカにおいて現在の500倍にまで増加する可能性があると専門家は警告する
Biblical plague of LOCUSTS to bulge to 500 times their size in Africa, warns expert
Express 2020/02/14

聖書にあるようなアフリカでのイナゴの大群は、現在すでに大規模になっているが、専門家たちは今後、現在の 400倍から 500倍に達する驚異的な規模になる可能性があると警告している。

国連は、イナゴの被害について、ケニアでは過去 70年間で見た中で最も深刻だと警告する声明を発表した。現在、ひとつの都市ほどの面積のあるイナゴの群れがケニア、エチオピア、ソマリアなどの東アフリカを席巻している。

カリフォルニア大学リバーサイド昆虫研究所のダグ・ヤネガ博士は、「イナゴによる農業被害の影響は、経済的問題を超えて、人道的な危機に直結する可能性があります。作物の全滅による飢餓が懸念されるのです」と述べる。

このイナゴはサバクトビバッタと呼ばれ、農業に対して最も破壊的な害虫の 1つであり、被害地域の作物に大損害を与える危険性がある。

国連は今回のイナゴの大発生について、「前例のない」「壊滅的な」と表現しており、世界の数十カ国が警戒態勢にある。

国連食糧農業機関(FAO)は、驚くべきことに、このイナゴの大群が 6月までに 500倍に成長する可能性があると報告している。


この 2月の終わり頃は、中国において急速に新型コロナウイルス感染例が拡大した頃で、少しずつ騒然とした雰囲気が世界中に広がっていった頃でもありましたが、それでも、この頃はまだアメリカやヨーロッパでは、感染事例がほとんど出ていない頃で「新型コロナウイルスはアジアの問題」とされていた時でした。

しかし、今現在、主要な舞台は欧米に変わっています。

以下は、先ほどの記事を書きました 2月22日の新型コロナウイルス感染確認の上位 5カ国と、本日 5月28日の比較です。

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世界全体の感染確認数と死亡者数も以下のように変化しました。
● 2月22日 世界の感染確認数   7万7767人 / 死亡者数 2360人
● 5月25日 世界の感染確認数 569万1741人 / 死亡者数 35万5653人
たった3ヶ月で、ずいぶんと世の中は変わってしまいました。

この3ヶ月ほどの間に、世界各地の多くの国や地域でロックダウンなどの政策がとられていく中で、むしろ指数関数的に感染者は増えていきました。

今回、イナゴの歴史的な襲来に見舞われていることについてご紹介するインドも、新型コロナウイルス対策として「2ヶ月の厳格なロックダウン」をおこなっていました。

そして、インドでも、他のロックダウンをおこなっていた国と同じく、「ロックダウンが長引けば長引くほど感染者と死者が増加」していきました。

なお、皮肉な話ですが、インド政府は「 5月31日でロックダウンを解除する」と発表していますが、

「ロックダウンの最後の週となった今週、過去最大の感染者の増加が記録された」

という事態に見舞われています。

以下は、5月28日の報道からです。

インドで新型コロナウイルス症例の急増を記録

インドの新型コロナウイルスの感染拡大が悪化している。インド全土で行われたいロックダウンの期間は2ヶ月に及ぶが、政府は 5月31日にロックダウンを終了すると発表した。

ところが、そのような中で、5月28日には 24時間で感染確認事例が 6500件を超えて、1日での増加としては過去最大の急増となった。

インド保健省は 5月28日に合計 15万8333件の症例を報告し、この 24時間で 6566件の感染者の急増が記録されたと述べた。総死者数は 4531人で、この 24時間では、やはり 194人と死者も急増した。

感染拡大のほとんどは、マハラシュトラ州、グジャラート州、タミルナードゥ州、デリー、マディヤプラデーシュ州、ラジャスタン州に集中している。

インド政府は、今週末に、経済活動を促進するための一連の新しいガイドラインを準備しているが、感染拡大が最悪の地域ではロックダウンを延長する可能性があるという。 (Canberra Times)


このような2ヶ月間のロックダウンの中で、農業などにもかなりの影響が出ていると見られる中で、今度は、「インドで史上最悪級のイナゴの襲来」が発生したことがここ数日伝えられています。

先ほどのインドでの新型コロナウイルスの感染事例が多い地域として、いくつかの州が挙げられていますが、非情なことに、「イナゴの被害の大きな地域もその州と重なる」のです。

5月27日までの時点で、イナゴによる最も大きな被害を受けているのは、ラジャスタン州という北部の州で、他に、マディヤプラデーシュ州、マハラシュトラ州などがイナゴの被害を受けていますが、その光景は、以下の写真のように「現実ではないような」雰囲気があるほどのものです。(虫が嫌いな方にはごめんなさい)

この数日のラジャスタン州の様子
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現時点での報道では、過去 30年で最悪というような表現が使われていますが、イナゴの大群はいまだに成長し続けていますので、インドの歴史で最も激しいものとなる可能性もあります。

そうなる理由も示すことができます。

まず、以下は、現状についてのドイツ DW の報道からです。

インドは過去30年で最悪のイナゴの大群と直面している
India faces its worst locust swarm in nearly 30 years
DW 2020/05/27

インド政府が新型コロナウイルスを封じ込めるための戦いを行う中、膨大な害虫が、インドの 50,000ヘクタール以上の耕作地を破壊しており、インドの食糧供給にさらに負担をかけている。

5月26日、インド政府は無人機とトラクターで、サバクトビバッタの大群を追跡し、殺虫剤を散布した。

これはインドが過去 30年近くのあいだに経験した最悪のイナゴの大群の 1つだ。このイナゴたちによって約 50,000ヘクタールの耕作地が破壊され、インドは 1993年以来の最悪の食糧不足の危機に直面している。

インドのイナゴ警告機関によると、ラジャスタン州とマディヤプラデーシュ州では、地域により 1平方キロメートルあたり 8〜 10個の大群が活動しており、マハラシュトラ州やウッタルプラデーシュ州などにも拡大している。

今後、風速と風向によっては、イナゴがインドの首都デリーに向かって移動する可能性があると警告している。

国連食糧農業機関(FAO)によると、サバクトビバッタは通常、6月から 11月にかけて、インド西部とグジャラート州などの一部で発生する。ところが、インド農業省によれば、今年 4月にイナゴの群れが発見されている。

FAO の推定によると、4000万匹のイナゴの群れは 35,000人分もの食糧を食べるという。すでに、インドのイナゴは、ラジャスタン州とマディヤプラデーシュ州の農作物を破壊している。これにより、通常よりも生産量が低下しており、食料品の価格の上昇が発生している。

農業危機とそれに続く食糧インフレは、新型コロナウイルスのパンデミックに対するインド政府の対応を著しく妨げている。

インド政府が新型コロナウイルスの拡散を阻止するために突然、全国的なロックダウンを強要した後、インドの多くの労働者たちが経済的に困難に陥り、何千人もの移民労働者が飢餓で亡くなった。イナゴの群れによる農業危機は、政府の救援活動をさらに妨げている。

ここまでです。

記事に、> 何千人もの移民労働者が飢餓で亡くなった。とありますので、すでにインドでは「ロックダウン中に、飢餓による死が発生していた」ということのようです。

なお、なぜインドで今年、このような「通常はないようなイナゴの大量の出現」が起きてしまったのかというと、基本的には、「異常気象」によるものなんです。

たとえば、今現在、インドは「信じられないほど暑い」です。

なんと、まだ 5月だというのに、たとえば、新型コロナウイルスとイナゴの被害に同時に見舞われている北部のラジャスタン州などは、「気温が 50℃に達している」ようなのです。

5月27日の報道より
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この熱波の直接的な原因は、サイクロンによるものでした。

先週、インドは「アンファン (Amphan)」というサイクロンに見舞われたのですが、そのサイクロンの反時計回りの大気の流れの循環が「インドの風の方向を変えてしまった」のです。

ちなみに、このサイクロンの被害そのものも大きく、インドで 100人以上が亡くなった他、農業にも甚大な被害を与えています。被害を受けた人の数は、450万人に上るとインド政府は述べています。

それ以前も、今年のインドは「とにかく雨が多い」のです。

以下は、5月25日のインドの報道からの抜粋翻訳です。

インド気象庁のデータによると、ラジャスタン州では 3月1日から 5月25日までに 25の地域で、平年の 60%以上の大量の雨量が記録された。さらにマディヤプラデーシュ州では 39の地域で平年をはるかに上回る大量の降雨が記録された。
ウッタルプラデーシュ州とハリヤーナ州でも多くの地域が平年より多い雨に見舞われている。(downtoearth.org)


このような中で何が起きたのかというと、インド研究評議会の専門家が以下のように述べたことが伝えられています。

「サバクトビバッタは、古く乾燥した葉や植物よりも、新しくて柔らかい葉を好むのです。それらのほうが容易に消化されるタンパク質や炭水化物を含んでいるからです。イナゴは、どこに移動しても、そのような若い葉を探すのです」(downtoearth.org.in)

つまり、「雨が多かった中で、イナゴの好きな軟らかい葉のある植物のある面積が格段に増えた」ということになり、それに加えて、異様な気温の上昇もむしろイナゴには好都合で、サバクトビバッタは、砂漠の極限の暑さと乾燥の中でさえ生き残ることができる昆虫ですので、「暑い上に湿気が高く、エサとなる軟らかい植物が多い」という

「イナゴにとってのパラダイス」が作り上げられてしまったようなのです。

南アジアは化学薬品の大地と化す

必然的にそうなるでしょうけれど、さまざまな報道を読んでいますと、「イナゴへの対策は、基本的に大量の殺虫剤散布」なのですね。

基本的には、インドのイナゴ対策の殺虫剤散布は、

・空中からの広範囲への殺虫剤散布
・農場単位での無人機による殺虫剤散布
・トラクターなどによる陸地からの殺虫剤散布

というように、陸空共に徹底的に化学物質が散布されているようです。

インドの報道より、農地に殺虫剤を散布する無人機
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最近は、地球単位で「消毒の時代」となっていまして、以下の記事のように、それについての懸念を書かせていただくこともありますけれど、もはや止めようがないほどの進行ぶりとなってもいます。

消毒剤とは「毒」だという認識が必要となっている

2020年4月19日
新型コロナウイルスの消毒剤に何が使われているのかは、国によって違うのでしょうけれど、一般的な物質の特性としては、「第4級アンモニウム塩」というような物質と類似したような性質のものが使われる場合も多いと思われます。

たとえば、これらの第4級アンモニウム塩的な物質は、それが新型コロナウイルスを死滅させるかどうかという以前に、
「これらは、激しく人間の常在菌と、身体機能そのものに悪影響を及ぼすもの」であるのです。

なお、アメリカ環境保護庁 (EPA)が 3月に発表した「新型コロナウイルスに対して有効な消毒剤」は以下のようになっていました。

EPAが新型コロナウイルスに有効だとした薬剤の一部
・過酸化水素
・フェノール
・第四級アンモニウム塩
・亜塩素酸ナトリウム [最近の報道だと、効果はない]
・次亜塩素酸ナトリウム [多分これも効果はなし]
・二酸化塩素
・塩化ナトリウム


これらはですね。ウイルスを「殺す」のにも有効なのかもしれないですが、「常在菌も殺す」し、「生体機能も殺し」ます。
たとえば、上にある「フェノール」は、Wikipedia には以下のようにあります。

[フェノール] 毒性および腐食性があり、皮膚に触れると薬傷をひきおこす。

まあ、どれもそうですよ。

[過酸化水素] 強い腐食性を持ち、高濃度のものが皮膚に付着すると痛みをともなう白斑が生じる。重量%で6%を超える濃度の水溶液などの製剤は毒物及び劇物取締法により劇物に指定されている。

[第四級アンモニウム] 第四級アンモニウム化合物は健康にさまざまな影響を与える。例を挙げていくと、軽度の皮膚や呼吸器の炎症から皮膚の焼灼性熱傷、胃腸炎、吐き気、嘔吐、昏睡、痙攣、低血圧、死などがある。

上の第4級アンモニウムの「さまざまな影響」には、

> 死などがある。

などがあり、「死などがある」じゃないだろ、と言いたくなりますが、現在、スーパーや公共施設などの入口に置かれてある消毒剤の中には、こういう薬剤が添加されているものがたくさんあるのです。「死などもある」というような作用を持つかもしれないものが。

多くの人々は、それを「毎日、手になすりつけて」いる。

これらの薬剤の最も適切な表現は「毒」です。

ちなみに最近、以下のような報道も見ましたので、今後は、「生活毒の王者」ともいえる「第4級アンモニウム塩」を含んだ消毒剤はさらに増えていくように思います。

台所洗剤でコロナ消毒可能

経済産業省は、台所・住宅用洗剤の材料である「界面活性剤」など3品目について、文献調査の結果、新型コロナウイルスに対する消毒効果があることが分かったと発表した。

消毒効果が分かったのは界面活性剤のほか、塩酸や食塩水を専用機器で電気分解して作る「次亜塩素酸水」とウエットティッシュに含まれる「第4級アンモニウム塩」。いずれもドアノブなど物品の消毒に有効で、第4級アンモニウム塩は手指にも使える。 (時事通信 2020/04/15)


しかし、私のような素人がこういうようなことを書いても、人に伝えられるというものでもないわけですが、実は最近とても参考になる論文をご紹介いただきまして、記事の後半でご紹介させていただきたいと思っています。

いずれにしましても、第4級アンモニウム塩をはじめとする消毒成分というのは、基本的に「人体に対して悪い作用のほうがはるかに高い」ものです(少なくとも、人体に対して良い作用はひとつもないと思われます)。

スペインの数値が語る「消毒の現実」

そもそも、スペインでは、これ以前に、「軍事緊急ユニット(UME)」の名の下に、「軍によるスペイン全土消毒作戦」が展開されていました。

以下はそれを報じた 3月23日の記事のスペインの報道の概要です。

スペイン軍事緊急ユニットがスペイン国土の隅々まで消毒する

軍事緊急ユニット(UME)の兵士たちは、スペインのさまざまな都市に展開し、コロナウイルスの蔓延を阻止しようとしている。彼らは 3月15日に消毒活動を開始して以来、空港や駅、あるいは行政施設や養護施設まで、あらゆる種類のスペースを消毒するという使命を遂行している。

軍は、この「消毒戦争」のために消毒用の大砲まで開発し、「町全体」を消毒することさえ可能にした。軍は主に 0.5%の次亜塩素酸塩を含む消毒剤を消毒に使用しており、消毒する領域全体に均一に噴霧させている。

特に、ベンチ、手すり、建物への通路、待ち合わせ場所、人ごみなど、接触が増える可能性のある領域に重点を置いている。適切と思われる場合には、0.45% の次亜塩素酸塩溶液で満たされたポンプを使用し、病院の駐車場などの広いエリアに使用している。 (La Razon)


これまでもこのようなことをしていたのですが、これからは「空中からの散布も始める」というのです。

なお、注目していただきたいのは、スペインでは「 3月15日」から、このスペイン全土の徹底消毒作戦をおこなっているということです。つまり、この 1ヵ月ずっと行っている。

それを知りまして、私は、

「ああ、スペインで、感染拡大が止まらないのは、このせいだ」

と直感しました。

現実の今の社会では、そのバクテリアをただ殺している。常在菌まで殺している。

常在菌に関しては、「全身の常在菌がウイルスから私たちを守っている」ことは医学的にも真実であり、これについては後でふれようと思います。過剰な手の殺菌などは、ウイルスや病原体バクテリアに感染する危険を増加させるのです。

そもそも、スペインで行われているような屋外での殺菌作業が、「実際に屋外のウイルスを殺すのかどうか」は、実は科学の世界ではよくわかっていないのです。

以下は、3月12日の科学誌サイエンスからの抜粋です。

上海、光州、韓国などの都市で、屋外の消毒で最も一般的に使用されているのは、希釈した次亜塩素酸ナトリウムの溶液、または家庭用漂白剤だ。
しかし、これらの漂白剤が屋外でコロナウイルスを破壊するかどうかは不明であり、それが物の表面でウイルスを殺すかどうか、あるいは、それが空中のウイルスを殺すかどうかは不明だ。 (Science)


科学的に有効性がわかっていないことを、なぜか大規模に行う。

ただし、これらの消毒剤は、ウイルスに有効かどうかわからなくても、「バクテリアは確実に殺す」はずです。

ということは、スペインの完全な消毒活動は 1ヶ月以上続いているわけで、現在、「スペインの自然環境体系と、スペイン人の健康は、信じられないほど毀損している」と考えられます。

スペインのあらゆる場所で、消毒剤が大気中に漂っている状態であり、それは肺から直接、血液に入る(経口した毒は肝臓などで解毒されても、肺から入ると解毒されません)ことになります。

環境に関しては、微生物が消えることで、それに依存している小さな生物たちが生きることができない。その小さな生物に依存している大きな生物も生きられなくなってくる。

生態系の根本的な崩壊。

たとえば、ミツバチは「花の蜜を食べているのではなく、微生物を食べて生きていた」ことがわかったことを以下の記事で取りあげたことがあります。そして、ミツバチを殺しているもののひとつが「殺菌剤」である可能性が浮上しているのです。

Surprise: Bees Need Meat
Scientific American 2019/08/23
驚きの発見 : ミツバチが生きるためには肉が必要だった

花に棲息している微生物は、ミツバチの餌として不可欠であり、微生物叢の変化は、ミツバチを飢えさせる可能性がある

ミツバチとスズメバチの違いを尋ねると、多くの昆虫学者たちは、「スズメバチは肉食で、ミツバチは草食」と答えるだろう。しかし、新しい研究での発見は、それは真実ではないことを示している。

ミツバチは実は雑食動物であり、肉を食べることがわかったのだ。

肉というのは、花の中の微生物のことだ。

現在、世界中でミツバチに関しての大量死やコロニーの崩壊の問題が大きくなっているが、今回の発見は、ミツバチがこのような問題を抱えている理由について新しい洞察を開く可能性がある。

このミツバチがエサとしている微生物の群の状態を混乱させるようなものは、それはミツバチの餓死に結びつく可能性があるということだ。現在のところ、微生物群の状態を混乱させるものとして可能性のあるものとして、殺菌剤や、高い気温などによる微生物の状態の変化が考えられている。

ミツバチは、その幼虫にとって、花粉の媒介者として最高の存在だ。

花にやって来て、蜜を食べる昆虫や他の生物は多くおり、それらは、花から花に移動する際に花粉も移動させることができる。

しかし、ミツバチは、花粉と蜜を故意に一緒に集め、それを巣の幼虫のもとに運ぶのだ。

微生物が花粉に存在すること自体は、何十年もの間、科学者たちに知られていたことだ。

しかし、それらの微生物がミツバチにとって重要な食物であるかどうかということを考える科学者はこれまでいなかった。

花粉の微生物は、花粉の一部を分解する役割を持っており、言うなれば、「外部にある消化のための胃」のような存在だ。

ミツバチが、花粉中のこれらの微生物を摂取する可能性があることは理にはかなっているが、しかし、これまでそれを調べた科学者はいなかった。

今回、 2人の科学者が、ミツバチが雑食であるといえるほどの量の微生物を食べているのかどうかを調査することにした。

米ウィスコンシン大学マディソン校のプラターナ・ダランパル(Prarthana Dharampal)教授と、アメリカ農務省農業研究局(ARS)のショーン・ステファン (Shawn Steffan)博士の 2人は、それに関しての、6つのコロニーの 14種類のミツバチに関して評価をおこなった。

その調査の中で、研究者たちは、ミツバチは肉食であるという評価を与えるのに十分な量の微生物を食べていることを発見したのだ。

微生物を肉と見なすという考えは過激に思えるかもしれないが、過去 4年間、ダランパル氏とステファン氏を含む研究チームは、微生物がミツバチを含む、さまざまな食物網の中の重要な部分であるという証拠を示す一連の論文を発表している。

彼らの発見は、真菌やバクテリア、またはその他の微生物たちが、食物網のどこにでも収まり、捕食者と獲物の関係に新しい洞察を与え、そして「ミツバチは草食」という概念を逆転させた。

ステファン氏と彼の同僚たちはまた、ミツバチの幼虫の成長の状態を調べる中で、微生物の肉は、ミツバチの食事として必要なものであることを示した。

調査では、ミツバチの幼虫に与えるエサの花粉を除菌し、それを少しずつエサに配合した。

その調査の中で、滅菌されているエサ(微生物がいない花粉)の割合が増加するにつれて、ミツバチの幼虫の死亡率が増加していった。また、幼虫の体重も軽くなり、成虫になるのに時間がかかった。このことから、花粉の微生物は、ミツバチの幼虫にとって重要な栄養だと考えられる。

ダランパル氏はこのように言う。

「微生物が、ミツバチにとって非常に重要な栄養源であることがわかったのです。彼らミツバチの食事から、微生物という、この重要な部分が奪われると、彼らはひどく苦しむのです」

ミツバチが菜食であるという考えは昆虫学に完全に根付いており、ステファン氏が最初、ミツバチは肉食でもあることに関しての論文を掲載しようとした時には、かなりの逆風にさらされたという。

最終的には、これらの論文は、科学誌アメリカン・ナチュラリスト (American Naturalist)と、英国王立協会の議事録に掲載された。

このミツバチの研究の結果は、特定の微生物がミツバチの食事から消えると、ミツバチは苦しんだり、あるいは飢える可能性があることを示唆している。

現在、世界中で発生しているミツバチの減少について、現在の科学者たちは、生息地の減少や、疾患や病害虫、そして農薬、気候変動などがさまざまに複合的に絡んだことが原因だと考えており、これまでは、このような「ミツバチに直接的に影響を与える原因」から、ミツバチの減少の理由を研究するのが基本的な方法だった。

しかし、今回の研究結果から、このような直接的な要因以外に、「花粉の微生物に与えられている環境ストレス」が要因となっている可能性も考慮するべきことになってきたと考えられる。

つまり、ミツバチそのものがダメージを受けなくとも、花の中の微生物が減少すれば、結果的に、ミツバチは飢えて、あるいは成長することができなくなる。

ステファン氏は次のように言う

「花粉の微生物がいなくなることは、間接的にミツバチを殺すことになっている可能性があるかもしれません」

そのような要因の 1つは、気候変動による気温の上昇だ。

ステファン氏はこう言う。

「気温の上昇あるいは高温は、ミツバチそのものへの影響としては致命的ではないでしょう。しかし高温は、花粉の中の微生物の共生状態を崩壊させる可能性があります。それによって、微生物が減少し、ミツバチたちが苦しむということは、非常にあり得ると考えられます」

ふたりの研究者は、現在このようなことが起きる可能性も調査している。

また、「殺菌剤」も、間接的にミツバチを殺しているかもしれないという。これについては、「さらなる研究が必要ですが」と前置きし、ステファン氏は次のように述べた。

「現時点で、殺菌剤が花粉の微生物群の共生状態を劇的に変化させているという十分な証拠があります。殺菌剤の農業での利用は、花の中の微生物に対して、大きなストレス要因となっている可能性が非常に高いです。そして、微生物が衰退していくと、それは結局、ミツバチたちの衰退につながります」

ミツバチの個体数が減少していくと、受粉に役立つ作物や野生植物を損なう可能性がある。地球の顕花植物および農作物の約 4分の 3 は、生物による受粉に依存している。数としては、世界で 115種類ある主要な食用作物のうち、87種類が、受粉動物によって成り立っているのだ。

受粉はミツバチだけによっておこなわれるわけではないが、しかし、ミツバチは、大部分の主要な作物の最も重要な受粉者であることは事実だ。

花粉の中の微生物の役割を知ることは、例えばミツバチの生息地の回復のために、花の選択を指示することにより、最終的にミツバチの保全の課題を解決することに役立つ可能性がある。

カナダ・ヨーク大学の科学者サンドラ・レーハン (Sandra Rehan)教授は、野生のミツバチに関連する微生物の生態を研究しており、以前の論文では、「花、環境、そして微生物を関連づければ、長期的なミツバチの保全に応用できるだろう」と述べている。

2017年の研究で、レーハン教授と研究チームは次のように書いている。

「主要な花粉媒介生物(※ミツバチのこと)の生息地の回復の取り組みは、花、成虫、ラクトバチルスやサッカリバクテリアなどの花粉の供給に見られるバクテリアの存在を増やす花の植えつけを考慮する必要があるかもしれない。 どのような花とバクテリアの組み合わせが、健康なミツバチのコミュニティの回復に必要なのか、そして、最も重要な細菌の役割はどのようなものなのか。それらを決定するために、今後さらなる調査が必要だ」

花粉の微生物に関する、これらの新しい洞察は、生命のあらゆる領域において微生物叢がいかに重要であるかを示す最新の例にすぎない。

私たちは、脊椎動物や哺乳類などを中心とした食物網を見る傾向があるが、微生物は、脊椎動物や哺乳類よりずっと長くこの地球に存在していた。

ステファン氏やダランパル氏は、「地球上の生命をどのように見るべきか」という根本的な事柄に対しての修正を求めている。
今回の論文の最後に、彼らは次のように記した。

「微生物を中心とした観点から、ハチと微生物の共生を考えると、微生物こそ熱心な養蜂家と見なすことができる。微生物が、毎年のハチによる花粉の収穫における動物相の共生を促進および支援しているのだ」

ミツバチの大量死も拡大してしまうのでしょうね。

ちなみに、この「全土の消毒作戦」を遂行中のスペインですが、4月19日現在、新型コロナウイルスの感染者数は 19万4000人あまりで、死者数は 2万人以上です。

そして、「スペインで消毒作戦が始まってからの推移」を見ると、消毒作戦の効果がよくわかります。以下は、スペインの新型コロナウイルス感染確認者数の推移です。

spanish-infections-0415.jpg

基本的に、消毒剤も殺虫剤も共に「人間の健康にとても悪い」という事実があります。最近では以下の記事などに記させていただいています。

世界の出来1453 過剰な消毒と殺菌が「人間の肺を破壊するメカニズム」

インドでは現在、殺虫剤散布が広範囲で行われていますが、インドより早くイナゴの被害に遭っていたパキスタンでも大規模な殺虫剤噴霧が続いていまして、つい最近は、「パキスタン政府は、中国政府から大量の化学物質の提供を受けた」ことが報じられていて、さらに激しくなっていくようです。

イナゴと戦うためにパキスタンは中国政府から37万5000リットルの化学物質の提供を受けた

パキスタン国家食糧安全保障調査大臣は 5月27日、中国政府からイナゴと戦うために 37万5000リットルの化学物質を提供を受けたと述べた。

パキスタンは現在、新型コロナウイルスの拡大に直面しており、そしてイナゴの大群もパキスタンの農業の存続に関して深刻な挑戦になっていると大臣は述べた。 (thenews.com.pk)


中国政府としては、自国にイナゴが入ることだけは避けたいと考えていて、隣国パキスタンでイナゴの進行が止まってほしいと考えているでしょうから、今後もいくらでもイナゴ駆除に薬品の提供などの協力を続けるはずです。

それにしても……パキスタンは、今年 2月の時点から殺虫剤散布を続けているのですが、「その時よりさらにイナゴは増えている」という……。

いずれにしましても、これはもう止まらないと思われます。

このように、インドとパキスタンという南アジアを代表する国が、イナゴ駆除のために全国的に「化学物質の大散布」を行っています。

そして、先ほどのドイツの報道にありましたように、「インドでは、イナゴの繁殖は 11月まで続く」のです。

そのあいだ、数カ月間、化学物質の散布が南アジアの全域で展開され、そして都市部では、新型コロナウイルス対策での街頭と人々への消毒が続くというなかなか壮絶な展開となっています。

これからどうなっちゃうんでしょうね。

ちなみに、10年前のことですが、オーストラリアでイナゴが大量に発生した際に、「イナゴ駆除のために大量散布された殺虫剤フィプロニルでミツバチが大量死した」という報道があったことも思い出しました。

イナゴは昆虫ですから、「ひとつの種の昆虫を殺そうとすれば、他の昆虫も死ぬ」のはある程度は当然のことで、昆虫の絶滅もさらに進みそうです。

以下は参考記事です。

Mass insect extinction within a century threatens 'catastrophic' collapse of nature’s ecosystems, scientists warn
Independent 2019/02/12
100年以内に「昆虫の絶滅」が発生する恐れがあり、それは自然の生態系システムの「壊滅的」な崩壊の危機と直結すると科学者たちが警告した

地球規模の科学的検証によると、農薬、汚染、気候変動により「驚くほどの」割合で昆虫種が一掃されていることが判明した
農薬の使用が、世界中の昆虫の「驚くべき」減少を引き起こしており、これは自然の生態系に「壊滅的」な影響を与える可能性があると研究者たちは警告している。

科学誌「バイオロジカル・コンサーベイション(Biological Conservation / 生物学的保全)」に掲載された科学レビューによると、昆虫種の 40パーセント以上が、この数十年で絶滅の危機に瀕している。その原因には、気候変動や汚染も含まれている。

昆虫の生体数の急落率があまりにも激しいために、ほぼすべての昆虫が 1世紀以内に消滅する可能性があると、この研究は明らかにした。

論文で研究者たちは、「急減している昆虫の個体群の回復を可能にし、それらが提供する重要な生態系の役割を保護するために、農業業界の見直しが緊急に必要だ」と述べている。

研究は、オーストラリアのシドニー大学とクイーンズランド大学の研究者たちによっておこなわれた。

この研究では、生物学者たちが、世界中の 73例の歴史的な昆虫の減少の報告について系統的レビューをおこなった。

その中で研究者たちは、既知の昆虫種の 10パーセントがすでに絶滅していることを見出した。比較すると、脊椎動物では、絶滅は 1%だった。

そして、絶滅せずに残っている昆虫のうちの 41%が減少していた。

過去 30年間で、全昆虫の総質量は年間平均 2.5パーセント減少していた。

シドニー大学生命環境科学部のフランシスコ・サンチェス-バイヨ(Francisco Sanchez-Bayo)博士は、以下のように警告する。

「あまりにも劇的なこの減少は、今後 100年のうちに昆虫が地球からいなくなってしまうことを示しています」

もっとも大きな減少率だったのが蝶(チョウ)と蛾(ガ)類で、ミツバチやフンコロガシも最悪レベルの減少率だった。

また、研究者たちは、かなりの割合の水生ハエ種もすでに消えていると述べた。

このレビューでは、絶滅の主な 4つの要因が強調されている。

農業、都市化、森林伐採による生息地の喪失、汚染。そして、侵入種や病気などの生物学的要因と気候変動。

調査された研究の 40パーセントで「農業が主な原因」であり、研究者たちは特に脅威として「農薬の使用方法」を強調している。

サンチェス-バイヨ博士はこのように述べる。

「私たち人類は、何千年も農業を続けてきましたが、その何千年の間に、このような昆虫の減少が起きたことはありませんでした。浸透殺虫剤の登場は、農業の方法に大きな変化をもたらしました」

そして、博士は以下のように言った。

「農業での食物の生産方法を変えなければ、あと数十年で、昆虫全体が絶滅の危機に瀕する可能性があります」

「これが地球の生態系に与える影響は、控えめに言っても壊滅的です」

研究者たちは、減少しつつある昆虫個体群は、世界の動植物種において「地球での6回目の大量絶滅」が進行している証拠であると付け加えた。

いずれにしても、インドでは、地域により、異様な高温、異様な大雨、歴史的な暴風雨などで、すでに農作は壊滅的なダメージを受けています。

本来ならこれからのシーズンが本格的な農作の開始となるのですが、一体どうなっていくのかわからない状況となっています。

何より、南アジアは人口の影響が大きい。人口の多いパキスタン(2億1000万人)とインド(13億5000万人)で深刻な食糧問題の発生が近い、あるいはすでに起きているということから、この影響は時間と共に世界的なものに拡大していく可能性もありそうです。

そして、仮にイナゴの大群が中国に侵入するようなことがあった場合、それは非常にカタストロフな状態となっていくと思われます。

最終更新:2020/06/01 22:08

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