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2019/11/04 16:25
トリニダード・トバコの空に出現した珍しい紫色の彩雲
2019年11月2日にYouTubeに投稿された動画より
これまで観測されたことのない色彩の雲が
カリブ海にあるトリニダード・トバゴで、「上空に紫色の雲が出現した」と話題になっています。
画像は、動画からスクリーンショットを撮ったものですが、ちょっとわかりにくいかとも思いますので、その動画を載せておきます。
https:●//youtu.be/SB3GyXLO4QI
彩雲的な現象なのだとは思いますが、このような色の雲は見たことがないです。
トリニダード・トバゴの位置は以下のようになります。
トリニダード・トバゴの場所
このような紫色の雲は、これまで見たことはないとはいえ、この数年、「普通ではないような雲」が観察されるのは、南米が多いのですよね。過去には以下のような雲をご紹介したことがありますが、すべて南米で撮影されたものでした。
過去数年で南米において撮影された稀少な彩雲
2018年1月 ペルーのラマスにて
2017年6月 グアテマラのホコタンにて
2017年6月 アルゼンチンのサルタにて
2016年7月 チリのサンティアゴにて
2018年1月 ブラジルのリオデジャネイロにて
他の地域では、ここまで鮮やかだったり通常ではない色彩の彩雲というのは、ほとんど見られないですので、気象的な特性があるのか、あるいは、何か他の意味もあるのかと考えますが、それぞれが不思議といえば不思議な現象ではあります。
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2019/11/04 15:14
ミニ氷河期の渦中のアメリカ 観測史上最低の気温が次々と更新され、各地で100年来の早い降雪に。その影響で全米各地で農作物の収穫が完全に停止
アメリカの異常な寒波を報じる2019年10月30日のUSA トゥディ
アメリカ建国以来見られたことのないような寒波と早い降雪が襲来中
今に始まったことではないですけれど、もう世界の気温の状況がグチャグチャなのです。平年より気温の高い場所もあれば、低い場所もあり、全体の傾向というものはわかりにくいのですが、ところが、10月の終わり頃になって、「寒さ」が台頭してきています。
それも、中途半端なものではなく、アメリカ、ヨーロッパ、ロシアなどで、軒並み 10月としての観測史上最低の気温を記録したり、歴史上で最も早い雪が降ったりしているんですね。
そして、この「アメリカの気温の状況」というものが、比較的、「今の北半球の気温の状況」というものを現しているかなあ、と思いまして、この数日のアメリカの状況をご紹介させていただこうと思います。
例えば、以下は、10月30日のアメリカ本土全体の最低気温です。
西半分は、集中的に氷点下となっていることがおわかりかと思いますが、これは、本来の 10月の気温とはあまりにもかけ離れたものです。
2019年10月30日のアメリカ各地の最低気温
しかし、実は、「翌日からさらに気温は下がっていった」のです。
今回ご紹介する記事にも出てきますが、ユタ州で -43℃とか、モンタナ州で -25℃だとか、ものすごい気温となっています。上の気温分布を見る限り、今のアメリカで、通常より暖かいのは、フロリダ州だけといっていいと思います。
そして、アメリカでは雪の状況も 10月では考えられないようなもので、以下のようになっています。
11月2日のアメリカの積雪の状況
数字の単位は「インチ」で、1インチが大体 2.5cmほどですので、「 6 」と書かれてある地域は、15cmくらい雪が積もっているということだと思われます。
シカゴでは、早い初雪の記録が 96年ぶりに塗り替えされたことが報じられていますが、そのような地域が各地にあるようです。
ヨーロッパもなかなかすごくて、以下は 10月29日の北欧の気温分布ですが、-27℃などという数字が見えます。
10月29日の北欧の気温分布
しかし、アメリカは、このような気温よりもさらに低い。しかも 10月に、というあたりで、その異様性がおわかりかと思います。
アメリカの各報道をまとめて紹介していたメディア記事をご紹介します。
なお、オリジナルの記事では、気温の表記が、アメリカで使われる華氏表記となっていますが、ここでは、わかりいいように、すべて日本と同じ摂氏であらわしています。
Record Low Temps Up To 50 Degrees Below Normal Threaten To Absolutely Wreck The Rest Of The Harvest Season
End Of The American Dream 2019/10/31
平年より最大で華氏50度も低い米国の記録的な低温の中で、収穫前の農作物が完全に破壊される可能性がある
10月に、アメリカがこのような寒さに見舞われることは想定されていなかった。
アメリカの大部分の地域では、正式な冬の始まりまで、まだ 2か月近くあるが、西側の半分の大部分での天候は、今のところ、平年での 1月中旬に予測されるような気温や気象と似ている。
この極寒大気は、週末(11月2日)までに、アメリカ中西部にまで押し寄せ、予測では、ハートランドの気温は通常よりも最大 50度(華氏)低くなるが、この土地では残念ながら、まだトウモロコシの約半分が収穫されていない。
今年の初めは、前例のない降雨と極端な洪水により、多くのアメリカの農作家が、作物の植え付けの並外れた遅れに直面した。農家は、収穫シーズンの終わりに良い天候が続いて、作物が完全に成熟して収穫される時間が提供されることを望んでいたが、残念なことに、この季節に悪夢のシナリオが実現してしまった。
中西部では、すでにいくつかの地域で、モンスター的な暴風雪に襲われており、それに伴う記録的な降雪と低温が収穫期の残りの作物を完全に破壊する懸念が出てきている。
トウモロコシの場合、気温が数時間以上にわたって氷点下を大幅に下回ると、作物は完全に枯れるとされている。
そして今、その危機に直面している。なぜなら、全米のトウモロコシで、すでに収穫されているのは、全体の半分以下に過ぎないのだ。いまだに、半数以上のトウモロコシが収穫されていない。
実際、最新のアメリカ農務省(USDA)の作物進捗報告書には以下のように記されており、アメリカの全トウモロコシの 40%ほどしか収穫されていないことが示されている。
10月28日のアメリカ農務省の作物進捗状況の報告書より
アメリカ農務省は、10月28日の週次作物進捗報告書で、アメリカのトウモロコシの 41%の収穫が完了したことを報告した。これは、貿易の予測である 48%を下回っている。また、過去 5年間の平均 は61%であり、大きく下回っている。
トウモロコシの収穫に関して最も遅れているのは、ミネソタ州で、10月28日の時点で、22%しか収穫されていない。ミネソタ州の同時期の過去 5年間の平均進捗率は 56%だ。
この数字から「悪夢のシナリオ」という言葉が誇張でないことがおわかりかと思われる。
今週(10月最終週)のアメリカの気温は信じがたいものだった。
USA トゥディは、ユタ州では、氷点下 43℃に達した郡があったことを以下のように伝えている。
10月30日のUSA トゥディの報道より
氷点下の寒さに見舞われている地域が広がっており、10月30日には、ワイオミング州ビッグパイニーで、日の出前に -31℃まで気温が急落した。
ユタ州ピーターシンクスでは、30日の早い時間に、信じられないことに -43℃まで気温が下がった。ユタ州の気象学者ティモシー・ライト氏によると、これは、アメリカ本土 48州すべてにおいて、10月として観測史上最も低い気温だと思われると話した。
アメリカは各地が非常に寒い。特に、国の西半分のすべての場所が寒冷化しており、多くの都市で 10月としては史上最低の気温を記録した。
その例として、ウェザーチャンネルには以下のような記録が示されている。
アメリカの10月としての最低気温を更新した場所の一例 (摂氏)
・モンタナ州ボーズマン:-25℃(10月29-30日)
・ワイオミング州キャスパー:-22℃(10月29-30日)
・コロラド州グランドジャンクション:-11℃(10月30日)
・モンタナ州リビングストン:-24℃(10月29日)
・ワイオミング州ローリンズ:-28℃(10月30日)
・ワイオミング州ロックスプリングス:-21℃(10月30日)
・ソルトレイクシティ:-10℃(10月30日)
これまで、アメリカで 10月中にこのような気温が広範囲に出現したことはない。
コロラド州デンバーでは、3日間連続で、記録的な低温だったことを CBS が以下のように報じている。
10月30日のCBSニュースの報道より
デンバーの気温は、10月30日の早朝に -16℃ まで下がった。これは、10月30日にデンバーで記録された過去最低気温より 15℃も低い気温だ。10月30日には、さらに気温が低下すると見られている。
現在、アメリカでは、カリフォルニアで恐ろしい山火事が続いている。そのような中、アメリカの多くが経験したことのない寒さに震えている。今年のアメリカはずっと、このような奇妙で極端な気象に覆われている。
そして、今のアメリカの気候や気温を見る限り、この冬も極端な気候になると考えざるを得ない。
この寒さは、アメリカの「いつも暖かい都市」にも影響を与えている。たとえば、10月31日の朝、ニューメキシコ州のアルバカーキの最低気温は、 -7℃という記録的な最低気温となる予測が報じられた。
アメリカ国立気象局によると、ニューメキシコ州東部中央および南東部を含むアルバカーキ南部のある場所では、2月以外では、このような気温が観測されたことはないという。
しかし、この異常に冷たい空気がアメリカ西部に移動すると、実際の被害が発生する。USA トゥディによると、中央平野部に流れ込む上空の大気は「通常より 30〜 50度(華氏)低い」ことがわかっているという。
そのため、11月6日までの最高気温は、コロラド州、テキサス州および中央平原で平年より極端に低くなることが予測されている。
現在、アメリカ中西部の大部分は雪で覆われている。これにより、多くの農家が、作物を収穫することができなくなっており、そこに今度は壊滅的な寒気が流入してくる。
11月2日のアメリカの積雪の状況
多くの地域で作物の損失が深刻になる可能性がある。そして、現在世界の他の場所でも起きている気象の問題を考えると、そろそろ余裕がない時期が近づいているのではないだろうか。
農業は現在、高度な技術を用いているが、それにもかかわらず、農業は結局、天候に大きく依存する。これは、「私たちの食糧を作り出すのは天候」だという言い方でもいいのかもしれない。
これまでの段階で、今年はアメリカの農業に最悪の年となりつつあったが、記録的な寒波と異常に早い降雪は、アメリカの多くの農家にとって、致命的となる可能性がある。
ここまでです。
もともと、今年のアメリカは、春の早い段階から、特に中部が異様な降雨と洪水に見舞われ続けていまして、そのために農業的な危機が訪れるのではないかということは、たとえば以下のような記事など、いくつかの記事で取りあげました。
The World’s Greatest Agricultural Disaster
Cold Climate Change 2019/03/27
世界最大の農業災害
この航空写真は、2019年3月19日に、アイオワ州のミズーリ川に沿って発生している洪水が示されている。アメリカ陸軍の工兵隊は、ネブラスカ州、アイオワ州、ミズーリ州で、少なくとも 12個以上の河川の堤防が決壊したと述べていいる。
激しい気候変動の中、今、アメリカで信じられない洪水が発生している。このような壊滅的な洪水を私たちは見たことがない。
アイオワ州、ネブラスカ州、サウスダコタ州および他のいくつかの州では、広範囲で農地を広く帯状に破壊している。
特に、ネブラスカ州では、この歴史的な災害の範囲は州のあらゆる範囲に及んでおり、ネブラスカ州は現在、混乱の中にある。
この洪水により失われた農作物と酪農動物の被害額は、現在の初期段階の見積もりで、すでに 30億ドル(3300億円)に近づいている。
しかし、洪水はこれで終わるわけではないのだ。
アメリカの気象機関は、この洪水が 5月まで断続的に続くと警告しており、洪水の被害がさらに増加すると予測されている。
これ以上の洪水は、これらの州の農地をすべて使用することができなくなる状態にまで追い込む可能性がある。
豆やトウモロコシ、穀物の栽培に通常使用されている畑の多くが現在、大量の雪、あるいは数メートルの水の下にある。水没している畑では、今年の作物生産は事実上難しいだろう。
アメリカ海洋大気庁(NOAA)は、全米の 25の州で 2億人以上の人々が危険にさらされていると警告した。NOAA の予測では、この春は、過去最高の降水量が予測されており、アメリカの大部分の地域では、5月まで「前例のない洪水の季節」になると考えられる。
今後も多くの地域で、農作物や農作地が一掃される可能性があるだろう。
当局は、雪解け水の増加、そして河川の堤防が現在の洪水により水への防御が弱まっているため、今後数週間でさらに大きな洪水が引き起こされるだろうと述べている。
壊滅的な洪水の原因は、気候の激しい変化に起因することは確かだが、降水量の劇的な増加に関しては、天体物理学にも注目したほうがいいかもしれない。宇宙放射線(宇宙線)の増加は、地球の雲の増加を引き起こし、降水量の増加と関係する。
現在、私たちは、太陽活動の極小期の中にいるが、太陽活動極小期の特徴のひとつが、より多くの雨雲と降水量の増加を生み出す宇宙線の増加にある。
私たち(アメリカ人)はアメリカの洪水だけに注目しているが、実際には、現在、世界中で激しい洪水が数多く発生し続けている。
これはどういうことかというと、「世界中の農作物と農作地が荒廃していく可能性がある」ということでもある。
現在のアメリカ中西部がそうであるように、世界のいくつかの国や地域でも、洪水のために、多大な農業損失が発生しているだけではなく、今年の農作が不可能となっているところも出ている。
あるいは、アメリカ中西部の洪水が春の後半にまで続いた場合、農村部の道路や橋、あるいは鉄道等のインフラへの被害も出始める。
これらのインフラはアメリカにとっては非常に重要なものだ。農場から加工工場や出荷拠点に作物を移動するためのものであり、これらが洪水により一掃された場合、農作物を市場に出すことができなくなるのだ。
また、道路が損傷することから、植栽シーズンのためにトラックが農家に種子を届けることがさらに困難になることもあるだろう。
私たちが今見ている光景は、間違いなくアメリカの歴史の中で史上最悪の、私たちが見たことのない農業災害なのだ。
広大な農地が水没しており、しかも今後数カ月はそのままだ。
膨大な食糧備蓄も失われた
この洪水では、農家の人々が貯蔵していた小麦、トウモロコシ、大豆の大量備蓄が失われたこともわかっている。
アメリカ農務省によると、サウスダコタ州、ネブラスカ州、カンザス州、ミネソタ州、アイオワ州、ミズーリ州、ウィスコンシン州、イリノイ州の各農場には、67億5000万ブッシェル(約 1億8000万トン)のトウモロコシ、大豆、小麦が貯蔵されていた。
これだけの驚異的な量の食糧備蓄が洪水で失われたことは驚きだが、なぜ、このように大量な備蓄をしていたかというと、米中の貿易戦争のために、農家は以前よりも多くの小麦、トウモロコシ、大豆を貯蔵していたのだ。
そのような中、洪水は貯蔵されていた食糧の多くを破壊した。
つまり、洪水は、農作地の作物を一掃しただけではなく、倉庫に備蓄されていた食糧、つまり過去の生産物も一掃した。そして、農地を使用不可にしたことで、未来の生産物も消し去ろうとしている。
経済への波及
洪水以外も含めて頻繁になっている他の農業災害を前に、次のことに注意することが重要だ。それは、インフラの損傷、農業損失、および干ばつ、洪水、ハリケーンによる商品価格の急上昇によって引き起こされるマクロ経済的なショックについてだ。
サンフランシスコ連銀上級執行役のグレン・ルデブッシュ(Glenn Rudebusch)氏は、「気候変動は金融危機を引き起こす可能性がある」と述べている。
巨大なインフラの被害、莫大な農業損失、食料品の急激な価格上昇の脅威、そして多くのアメリカの州間での経済活動の急激な低下が金融市場の混乱を引き起こす可能性を示唆している。
オリーブオイルのカタストロフ
CNNの報告によると、ここ数カ月の間に悪天候と霜により、世界のオリーブオイル生産とその業界が問題を起こしており、57%の損失が発生しているという。
2018年までに生産量が減少し、同部門に約10億ユーロ(11.33億ドル / 1200億円)の損失が出た。
特に状況がひどいのがイタリアで、生産量の劇的な減少を防ぐために、イタリアはオリーブオイルの輸入を余儀なくされる可能性がある。
極端な気象現象がオリーブの収穫を激減させ、イタリアの最も重要な料理の材料のひとつであるオリーブオイルの不足という懸念が現実化しようとしている。
イタリアの大部分のオリーブオイルを生産している南部地域は、最も気候の影響を受けており、「 2500万本のオリーブの木が消失した」という。
気候変動とジャガイモの黙示録
ジャガイモの生産も世界的に壊滅的となっている。カナダでは、5億ポンド(2.4億キロ)のジャガイモが駄目になった。
これは、春の終わりに 3週間に渡ってカナダを襲った悪天候によるものだ。
昨年のカナダはあまりにも暑い夏、そしてあまりにも寒い秋の中で、推定で 6000ヘクタールのジャガイモ畑で収穫することができなかった。関係者たちは、「このようなことは、過去 25年間で一度も見たことがない」と話している。状況が好転する兆しもない。
メキシコ
メキシコでは、この冬の異例ともいえる寒波と大雪により、多くの農作地が破壊された。ソノラ州では、霜と雪で大量の作物が収穫できない状態となった。
ソノラ州だけでも、推定で 1万2000ヘクタールの農作物が被害を受けたと考えられている。
他にも、カボチャ、チリビーンズ、ジャガイモなどが何千ヘクタールにわたり、霜の被害を受けている。
劇的な気候変動は世界全体で起きている
オーストラリアは、昨年までの 7年間、史上最悪の干ばつを経験していた。ところが、一転して、オーストラリア・クイーンズランド州は、壊滅的な洪水に襲われ、飼育されていた牛たちが一掃される光景と対峙しなければならなかった。
オーストラリア最大の牛の企業は、「極度の損失」について警告しており、オーストラリア北東部では、この洪水により 30万頭以上の牛が溺死あるいは流失したと見られる。
現在までに、オーストラリアの洪水での牛の死亡数は 50万頭に上っている。
アメリカでも、真冬のアイダホ州とワシントン州で、大雪、強風、極寒が複数の酪農地域を襲い、約 2000頭の乳牛が死亡した。
ワシントン州の酪農家たちによると、自分たちの人生でこのようなことを経験したのは、これが初めてだと述べている。
そして、現在のアメリカ中西部の洪水では、どれほどの数の牛が死亡しているかまだわからないとはいえ、天文学的な数字になることは確実だろう。
洪水の初期段階で、溺死あるいは流失した仔牛は数百万頭にのぼるとされている。
結論
気候学者のジュディス・カレー(Judith Curry)氏は、最新の論文の中で、現在の海面上昇は異常ではないことを説明し、そして過去 150年間、海洋は「ゆっくりとした変化」を続けてきたと主張しながら、1950年以降の二酸化炭素排出量の増加から、気候変動が人為的な理由だけでは説明できないことを発見した。
NASA の研究によると、グリーンランド最大の氷河であるヤコブスハブン氷河は、2016年から急速に拡大を始めた。これは科学誌ネイチャー・ジオサイエンスに発表された。
北半球最大の氷河が成長に転じた中で、温暖化の傾向を考えるのは難しい。
しかし、地球が温暖化に向かおうが寒冷化に向かおうが、とにかく気候は変化している。
より寒くなり、あるいは、より暑くなり、より多くの雪、より多くの雨、より多くの洪水、より多くの干ばつ、より大きな嵐が地球の各地で猛威を奮う。
劇的な気候変動の中にある現在は、火山の噴火も地震も増えている。これは過去の気候変動の時期のデータと太陽活動極小期の関連でも予測できることだ。
気候変動に関しては、人それぞれの信念や確信があるだろうが、その信念はともかくとして、現在の激しい気候変動の結果として現れているこれらの事象は無視できない事実だ。
太陽活動は減少し、太陽の日射も少なくなっている。そして、その原因はCO2とは関係ないことを私たちは知り始めている。
さらには、夏前には、このような異常気象による農作物への影響が「世界中」に広がっていることが、次第に明らかになったことを以下の記事で取りあげています。
世界的な食糧危機がやってくる フランス、アメリカ、オーストラリアなど農業輸出大国で記録にないような甚大な被害が進行していることが明らかに
2019年5月23日
凍結して収穫不能となったフランスのトウモロコシ
記録にない地球規模の農作物被害
今回はそこで取り上げられていた「世界各地の農業被害」についてご紹介させていただこうと思います。
最初に書いておきますと、その破壊の規模は「すさまじい」ものです。
取り上げられていた国は、
・フランス
・オーストラリア
・イタリア
・メキシコ
・北朝鮮
・アメリカ
・アルゼンチン
です。北朝鮮は別として、他の国はどの国も「果実を含む農作物を大規模に輸出している農業大国」となるわけで、それらの国で、このようにいっせいに大規模な農業被害が発生するというのは、記録にもないのではないでしょうか。
穀物の大輸出国であるオーストラリアなどは、今年は、「穀物を輸入する」事態となったほどです。
長くなるかもしれないですので、始めたいと思います。
フランス 記録的な寒波で農作物に甚大な影響
まず、フランスの状況からです。
フランスという国は、トウモロコシの輸入で世界第3位であることを始め、ブドウ生産などを含めた農業大国ですが、そのフランスで、トウモロコシとブドウ畑が、異常といっていい寒波の中で甚大な影響を受けています。
以下が報道です。
フランスで寒波が続く中、種まきがさらに遅れる
electroverse.net 2019/05/17
フランスでのトウモロコシの種まきは今週(5月第3週)も再び停滞している。
中央ヨーロッパ諸国は、気温が低い状態が続いているために、多くの国や地域で農作物の種まきが遅れている。
フランスでは通常、4月下旬から 5月上旬は、植栽と種まきが始まる重要な時期だが、今年は残酷なほどの寒波がとどまり、多くの地域で農作業が始められていない。
フランスは世界第 3位のトウモロコシ輸出国であるため、この収穫の遅れや、おそらくは収穫量も大幅に減少するであろうことは、フランス国内の問題に止まらず、世界市場に大きな影響を与えることになるだろう。
フランスでは、ここ 4週間ほどの間、広い範囲で深刻な霜が広がっており、農家は霜の被害を受けやすい作物を保護するために、定期的に畑や果樹園で大規模な焚き火をおこなっている。
5月6日には、フランスで 1979年以来最も寒い 5月の朝となり、気温は平均 2.5℃だった。
この中央ヨーロッパの低い気温は、今週やや落ち着くが、来週(5月の第4週)には、冷たい大気が中央ヨーロッパに降りてくると予想されており、この異様に低い気温は、5月いっぱい続くと見られている。
ここまでです。
ここにあります、
>定期的に畑や果樹園で大規模な焚き火をおこなっている。
という「焚き火」は、フランスのぶどう園などで、寒波の際に行われることがあり、最近では、 2017年におこなわれていたはずですが、「焚き火」というのんびりとした響きとは違い、大変な大規模なものです。
作物を霜の被害から守るためのフランスでの大規模な焚き火
このように農地全体で火が焚かれ、そして、火が焚かれるのは、気温が下がる夜間であるために、フランスの農業地帯では「大地が燃え上がる」ような状態が続いています。
オーストラリア 穀物の一大輸出国が輸入に転じる
オーストラリアが十数年ぶりに海外から穀物を輸入する事態に
ABC News 2019/05/15
オーストラリアの農業省は、カナダからの小麦の輸入許可を承認した。これによって、2007年以来の外国産の穀物の輸入に踏み切ることになる。
オーストラリアの卸売り業者マニドラ・グループは、加工品にカナダの小麦粉を使用すると発表した。同社によると、オーストラリアでの 116年ぶりの最悪の干ばつにより、オーストラリア産の高タンパクの小麦が不足しており、小麦製品の加工を続けるには、カナダ産の小麦を使用するしかないという。
オーストラリアの農業大臣は、「小麦の輸入はこれが初めてではなく、以前にも干ばつで穀物を輸入したことがある」と説明するが、小麦輸入に反対の立場を取る人たちからは以下のような発言がある。
「オーストラリアのような巨大な農業国が穀物を輸入するという事実をすべてのオーストラリア人は懸念すべきだ」
極端な干ばつがオーストラリアの東海岸の収穫を荒廃させ、穀物の国内価格を押し上げたために、輸入についての憶測は、この数カ月間繰り返されていた。当局のスポークスマンによれば、オーストラリアでは、1994 - 95年、2002 - 03年、および2006 - 07年にも、数カ国からの穀物の輸入を承認したことがあるのだという。
今回の輸入の許可は、キャノーラ、小麦、トウモロコシに適用される。
イタリア ほぼ全土的に雹と洪水で農業は壊滅的な状態
次はイタリアの話ですが、昨年以来、地中海の周囲の国では非常に気象が荒い状態が繰り返して起きていまして、今の季節の段階で、このような雹や洪水の影響を受けているということは、気象が本格的に荒れるシーズンとなるこれからは、さらに同じような事態が発生していく可能性は高いと思われます。
それは、トルコやギリシャなどを含めて、地中海周辺の農業国すべてに当てはまることのようにも考えます。
イタリア:洪水、雹、そして悪天候が果樹園や農作物に影響を与えている
freshplaza.com 2019/05/14
5月12日にイタリアのバジリカータ州とプーリア州で激しい雹嵐が記録され、その後、雹と雨とが混ざった「水爆弾」が、同じ地域に影響を与えた。この悪天候による果樹園の果物や、スイカ、ブドウなどの被害の拡大が懸念されている。
翌日には、エミリア・ロマーニャ州のいくつかの地域が、非常に激しい雨に見舞われ、河川の氾濫により洪水が発生し、桃、アプリコット、ネクタリンを含む果物が浸水により腐敗し、出荷できる状態ではなくなった。
これらの雹や洪水などにより地域の果物の 70%以上が失われたと考えられる。この地域の経済の礎石が農業であることを考えると、驚くべき被害といえる。
さらには、イタリアのプーリア州も大雨により、サクランボなどで最大で 50%の収穫が失われ、チェゼーナ州でも洪水で農作物の多くが失われた。
ラヴェンナ県も大雨により河川の氾濫が発生し、農作地が被害を受け、また、桃の木が長く水没してしていて、桃の木が枯死する地域が出る可能性があるという。
メキシコ 干ばつでユカタン半島のほぼすべての作物が消失
続いて、メキシコです。
これまでは、寒波や洪水による被害でしたが、メキシコでは、記録的な干ばつが進行しています。
メキシコのユカタン州における壊滅的な干ばつ。雨不足のために収穫の大部分が失われた
freshplaza.com 2019/05/17
ユカタン州での干ばつが厳しさを増している。同州には灌漑インフラがないために、3,000人以上の農業生産者たちが作物の収穫をすることができなくなった。
この干ばつに対して、メキシコ農地開発省から公的な支援がなかったために、状況はさらに悪化している。
これまでのところ、当局は、農業生産者たちに経済的補助や肥料、種子、電気資源などの重要な手段を提供していない。
生産者の代表は、当局による公的支援の欠如がユカタン州での生産者たちの破滅を引き起こしていると述べ、この壊滅的な干ばつに対して、農地開発省に対して、作物と果物の被害に対しての公的な支援を要求すると述べた。
ユカタン州農業連盟の代表は、現在の干ばつが長引いた場合、ユカタン州の収穫のほとんどが失われてしまい、農業州であるユカタン州が、他の地域から食糧を輸入しなければならないことになるだろうと述べている。
北朝鮮 1000万人以上が食糧不足に
北朝鮮の農業の状態と日本の食糧事情が関連するわけではないですが、これをご紹介する意味は、今の北朝鮮は、海外からの食糧支援を受けないと立ち行かない状態なのに対して、今回取り上げていますような「世界の農業大国の極端な農作の不振」が拡大しますと、
「食糧支援どころではない」
ということになる可能性が高まるように思うのです。
現在の北朝鮮では、1000万人の人たちが「即刻の食糧支援を必要としている」と国連は述べていますが、今年の収穫期などに、世界は、この 1000万人分というような食糧支援が出来る状態にあるのかどうかということですね。
その状況次第では、北朝鮮の国内状況がとても厳しいことになったり、あるいは政治的な混乱が発生する可能性もあるかもしれません。
そうなりますと、食糧という範疇の問題を超えて、政治的な意味での日本への影響が出てくる可能性があるかもしれないということが問題となりそうです。
北朝鮮 「過去37年間で最悪の干ばつ」 食糧不足が深刻化
BBC 2019/05/16
北朝鮮が干ばつに見舞われ、食糧不足が深刻化している。国営メディアは 1982年以降最悪の干ばつだとし、国民に農作物の不作と闘うよう呼びかけている。
北朝鮮の食糧事情については、最大 1000万人が「緊急の食糧支援を必要としている」と国連が指摘している。今年に入ってからは、同国民は1日300グラムの食べ物で暮らしていると報告している。
国営朝鮮中央通信によると、北朝鮮の今年 1~ 5月の降水量は計 54.4ミリメートルで、過去 37年間で最も少ない。
国連の世界食糧計画(WFP)と食糧農業機関(FAO)が先月公表した共同報告書では、北朝鮮の昨年の農作物の生産量は 2008年以降で最低レベルだったとされる。
また、全人口の 40%に当たる 1000万人が食糧不足に直面していると記した上で、「 5~ 9月の収穫が少ない時期に状況は悪化する恐れがある」と警告している。
アメリカ 寒波と洪水で農作開始の目処が立たず
現在のアメリカは、
「記録に残る中で、このように春の農作業の開始が遅れた年はない」
という状態となっているようです。
寒波と洪水によるものですが、特に、トウモロコシと大豆が甚大な影響を受けていまして、このふたつは、農業分野でも非常に重要なものですので、先行きが懸念されます……というか、春の作付けができないままシーズンに入りましたので、好転する可能性はないと思われます。
アメリカの食糧危機 : アメリカの一部地域で春の記録的な遅れの到来が食品業界に壊滅的な影響を与えている
strangesounds.org 2019/05/17
アメリカの気象当局のデータによると、カンザス州とオクラホマ州の一部では、春の到来が 38年ぶりに遅い中での記録的な寒さが続いている。
また、サウスダコタ州、ネブラスカ州、さらにはオクラホマ州でも春の到来が遅れており、それらの州で、今年のように春が訪れないのは 10年に 1度もない。そのために、多くの農業分野が停滞しており、種まき等も壊滅的に遅れている。
1981年までさかのぼることのできるデータを使用すると、カンザス州とオクラホマ州の一部、そしてワシントン州とオレゴン州の一部、さらには、サウスダコタ州、ネブラスカ州、さらにはオクラホマ州などで記録的に春の到来が遅くなっている。
これは、3月と 4月の大半にわたって、アメリカ北西部、平野部、中西部の一部でジェット気流が南向きに落ち込んだためで、そのため、これらの地域に異常ともいえる寒波が停滞し続けた。
平野部と中西部の気温の低い地域では、同時に非常に降水量が多かった。この寒さと大雨の組合せが、農業に深刻な影響を与えている。
また、融雪と豪雨は 3月にアメリカ平野部と中西部の一部に重大な洪水をもたらし、これにより、同地域で多くの農業分野が壊滅的な被害を受け、今年は種まきや植樹ができなくなっている。
特に同地域のトウモロコシ被害は甚大で、5月12日までに、アメリカでのトウモロコシ栽培は、作付面積の 30%しか植えられておらず、5年平均より 36ポイント遅れている。イリノイ州でのトウモロコシの植栽は、記録が残る中で、最も遅いものとなっている。
大豆の作付けも予定より遅れており、5月12日の時点で、アメリカ農務省(USDA)は、アメリカの大豆作付面積はわずか 9%しか進んでいなと発表した。これは 5年平均と比較すると、20ポイント遅れている。
このアメリカの農作の不振の影響は、世界的なものとして強く出てきそうですね。
アルゼンチン 洪水で広大な農地が放棄される
最後は、アルゼンチンですが、アルゼンチンも農業大国であり、ここでも、トウモロコシや大豆が大きな被害を受けています。
アルゼンチンで洪水の影響で60万ヘクタールの農場が被害を受けている
Telam 2019/05/13
サンティアゴの南東地域が洪水に見舞われ、農作地が大きな被害を受けた。
この洪水で、現地の農業従事者 700人が避難し、農地は洪水で水に覆われた。アルゼンチンの農業技術研究所は、推定として 600,000ヘクタールの土地のトウモロコシやアルファルファの栽培が不可能になったと報告した。
洪水は、いくつかの地域で、水深 40cm に達しているが、農作の被害の他、畜産関係の牛や家禽類が、いまだに洪水の地域に閉じ込められたままとなっている。
ここまでです。
これらの記事にも書きましたけれど、「今年だけの話なら問題はない」のだと思うのです。けれど、今年のようにな深刻な農業被害が、
「毎年のようにやってきたら」
それはもう、農家の経済的な負担の部分も含めて、農業というビジネスモデルそのものが疲弊していくことは避けられないと思うのです。
それは、日本にしても同じではないでしょうか。
今年のような台風や豪雨に見舞われた年を「特殊な年だった」と見ることもできるでしょうけれど、しかし、
「では、来年からは農業に望ましい天候が世界中に訪れるのか」
ということに関しては、そのようなことの実現は、むしろ難しいのではないかと思わざるを得ない部分があります。
ということに関しては、そのようなことの実現は、むしろ難しいのではないかと思わざるを得ない部分があります。
上空の大気の流れにしても、海水温度にしても、天候と気温に影響する大きな用件が以前とはあまりにも大きく変わりすぎています。今のアメリカの信じがたい寒波も北極からの大気(極渦)によるものですが、これがこんなに頻繁に見られるようになったのは、ここ 2、3年のことです。
それに加えて、太陽活動が極小期を迎えていることで、過去と照らし合わせれば、気温の低下が現実化してくる可能性があります。
そういう状況の中で、理想的な気候や気温というものが、この世に出現し続けるというのは、かなり難しいことになるのではないかと。
今回は、ミニ氷河期的といえる現在のアメリカの状況をご紹介させていただきましたが、今後、このような状況が北半球全体に出現しても不思議ではないのかもしれないのです。