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2019/08/26 22:48

地球上の植物は今、これまでの地球の歴史的標準より「350倍速く」絶滅し続けていることが大規模な国際研究の中で判明

2019年8月25日のロシアの英字報道より
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地球の植物が消える時代へと

前回、以下の記事で、地球の生物種が急速な勢いで消滅していっていることを書かせていただきました。

地球の生物が何もかも消滅し続けている: 淡水の大型魚類が40年間で「90%」という絶滅レベルでの減少を起こしていることが国際的な調査により判明

2019年8月12日の米国の報道より
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そうしましたら、今日(8月25日)に、ロシアのメディアで冒頭の、

「地球の植物が、これまでの 350倍の速度で絶滅していっている」

という記事を見かけたのでした。

少し調べてみましたら、生物学や分子生物学などの科学論文が掲載される学術誌「カレントバイオロジー」に、8月23日に発表された論文を紹介している記事でした。

このことは、今日昨日のアメリカのメディアなどで、わりと詳しく報じられていますので、その中から、カンバセーションというメディアの記事をご紹介したいと思います。

この記事には、論文の内容と共に、「植物の絶滅の決定と、将来推測は非常に難しい」ということにもふれられていまして、それだけに、この 350倍という数値は正確なものでは決してないのですけれど、いずれにしましても、過去と比較して、とんでもない速度で、植物が絶滅していっていることは事実です。

今後 80年間の植物の絶滅は、過去の数千倍になるだろうということも科学者たちは述べていました。

以前、以下の記事で、「かつての大量絶滅では、まず植物が絶滅して、それから他の生物が絶滅していった」ということが、米ネブラスカ大学の研究でわかったことをご紹介しました。

[衝撃] 2億5000万年前の地球史上最大の大量絶滅では「まず植物が先に絶滅」し、それから他のすべての絶滅が始まったことが判明。そこから思う「今まさに進行している地球の6度目の大量絶滅事象」

2019年2月1日の米ネブラスカ大学のニュースリリースより
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Nickel and died: Earth’s largest extinction likely took plants first
unl.edu 2019/02/01

ニッケルと植物の死 : 地球の歴史上最大の大量絶滅は、まず植物から起きたと見られる

大絶滅として知られる地球の歴史上最大の大量絶滅では、当時の地球上にいたほとんどの生命が生き残ることができなかった。しかし、ネブラスカ大学リンカーン校が率いる新しい研究は、多くの動物たちが絶滅するよりずっと以前に、まず植物から絶滅が始まったという強い可能性が見出された。

約 2億2500万年前、地球では、パンゲアと呼ばれる超大陸が激しく大地の分裂を起こしていた。地球内部からはスーパープルームが上昇し、世界各地の火山活動が活発となり、現代のシベリアにある火山群が次々と噴火し始めていた。

その中で、多くの火山の噴火は、約 200万年間ものあいだ、地球上の大気に炭素とメタンを吹き込み、これらの噴火により、海洋生物の約 96パーセントが絶滅し、陸上の脊椎動物の 70パーセントが姿を消した。これは地球の歴史上で最大の大量絶滅だった。

しかし、新しい研究によれば、噴火の副産物である「ニッケル」が、およそ 40万年前にオーストラリアの植物を絶滅させたかもしれないことを示唆している。

ネブラスカ大学リンカーン校の地球大気科学部の教授で、論文の執筆者であるクリストファー・フィールディング(Christopher Fielding)氏は以下のように述べる。

「これは大きなニュースです。これまでも、そのことについての示唆はあったのですが、そのことが具体的に突き止められたことはなかったのです。今回の研究で、地球の歴史がまたひとつ明らかになろうとしています」

研究者たちは、化石化した花粉、岩石の化学的組成と年代、そしてオーストラリア南東部の崖の底から採取した堆積物の層を研究することによって、今回の結論に達した。

研究者たちは、オーストラリアのシドニー盆地の泥岩の中で、驚くほど高濃度のニッケルを発見した。

地球大気科学部の教授のトレイシー・フランク(Tracy Frank)氏は、この調査結果はシベリアのニッケル鉱床を通じた溶岩の噴火を示していると述べる。

その火山活動がニッケルをエアロゾルに変え、そこから、地球上の植物の生命の大部分がニッケルに毒されるほど南に何千マイルも大気中を流れた可能性がある。ニッケルの同様の急増は、世界の他の地域でも記録されたとフランク教授は言う。

フィールディング教授は以下のように言う。

「それは状況の組み合わせでした。そして、それは地球の歴史における5回の主要な大量絶滅のすべてを通じて繰り返しされています」

もし、そうなのだとすれば、確かに、その後の大量絶滅でも、植物の絶滅が先駆けた後に、他の大半の動物たちが絶滅する引き金となったかもしれない。

植物の不足で死ぬ草食動物、そして草食動物の不足で死ぬ肉食動物、そして、毒性の物質が川から海に流れ、結果として二酸化炭素が上昇し、酸性化と気温の上昇が進む。

研究チームはまた、別の驚きの証拠を見出した。これまでは赤道近くの場所で行われることが多かった、この地球上最大の絶滅に関する以前の研究の多くでは、その間に堆積した堆積物の急激な着色の変化を明らかにしていた。

灰色から赤色の堆積物への変化は一般的に、火山活動による灰と温室効果ガスの放出が世界の気候を大きく変えたことを示していると研究者たちは述べていた。

それでも、その灰色 - 赤色のグラデーションは、シドニー盆地でにおいては、はるかに緩やかなものであり、噴火からの距離は当初、他の場所で見られる激しい気温上昇と乾燥からそれを緩衝するのに役立ったことを示唆した。

この 2億2500万年前の大量絶滅の時間的進行とその規模は、地球の現在の生態学的危機を超えたものではあるが、しかし、 2億2500万年前の大量絶滅と現在には類似性がある。

研究者たちは、特に温室効果ガスの急増と種の絶え間ない絶滅の連続が似ているとして、これらは研究の価値があるものになるだろうと述べている。

そして以下のように述べた。

「地球の歴史の中でこれらの大量絶滅事象を振り返ることは、私たちに何ができるかということを知ることができるという意味において意味があります」

「地球の状況は過去にどのように混乱したのか? いったいどんなことがあったのか? そして、その変化はどのくらいのスピードで進んだのか。そのようなことを研究することは、私たちが、『今の地球で何が起きているのか』を知り、研究することの基礎になるのです」

この研究は、アメリカ国立科学財団とスウェーデン研究評議会よって資金が供給され、論文は、科学誌ネイチャー・コミュニケーションズに発表された。

ここまでです。

これは簡単にいいますと、当時の大規模な火山活動によって、地球のあらゆる場所において噴火の副産物である「ニッケル」が広がり、それによって植物が消えてしまったという事象が他の生物種の大絶滅に先駆けて起きていたということが、ほぼ確実になったということのようです。

このこと自体も「植物と生命体系の関係」ということについて大きな示唆を与えてくれる重要な研究でもありますが、これは、単に過去の研究ではなく、実際には、「現在の地球と照らし合わせて考えることができること」であることにも気づきます。

記事の中に、以下のような下りがあることがおわかりでしょうか。

しかし、 2億2500万年前の大量絶滅と現在には類似性がある。

という部分です。

そして、この数年に書いた記事のいくつかを思い出しますと、

「今もまた、植物が絶滅し続けている時代」

だということが言えるのです。

以下のような記事は、そのタイトルからも、内容がご想像できると思われます。

現在は「まず海の植物が消えている」ということになっています。

そして、地上のほうですけれど、地上の植物の 80パーセントほどは、「昆虫による受粉によって生きている」のですね。

その昆虫が「壮絶な勢いで消滅していっている」ことを以下の記事でご紹介したことがありました。

More than 75 percent decrease in total flying insect biomass over 27 years
phys.org 2017/10/18

過去27年間で「羽を持つすべての昆虫類」の生息量の75%以上が減少していたことが判明

2017年10月18日に発表された研究論文によれば、すべての羽のある昆虫のバイオマス(ある空間内に存在する生物の量)は、自然保護区域において、過去 27年間で 75パーセント以上減少していたことがわかった。オープンアクセス・ジャーナル「 PLOS ONE 」に研究論文が掲載された。

昆虫は、野生の植物の 80パーセントの受粉を担っており、鳥類の 60パーセントに食物源を提供するなど、自然界の生態系機能に重要な役割を果たしている。

昆虫の多様性と生息量が全体として低下していることはわかっていたが、これまでの研究では、昆虫のバイオマスを長期間にわたって監視するのではなく、単一種かそのグループに対しての調査のみだった。

研究をおこなったのはオランダ・ラドバウド大学のキャスパー・ホールマン(Caspar Hallmann)博士で、ホールマン博士らの研究チームは、昆虫の減少の程度と根本的な原因をより深く理解するために、ドイツにある 63の自然保護区域に 27年以上かけて配備されたマレーズトラップを用いて、昆虫の総バイオマスを測定した。

そして研究チームは、これらの地域で、羽を持つ昆虫のバイオマスがわずか 27年間で 76パーセント(夏期は 82パーセント)にまで減少したことを発見したのだ。

彼らの結果は、それまで報告されていた、蝶や野生のミツバチ、蛾などの種の最近報告された自然界での減少と一致している。しかし、この調査では、特定の種類だけではなく、羽を持つ昆虫の全体的なバイオマスが大きな減少を起こしていることがわかり、事態の深刻さを示している。

研究者たちは、この劇的な減少は、生息地に関係なく明らかであるとしており、天候や、土地の利用状況、および生息地の特性の変化などの要因では、全体的な減少を説明することはできないことも判明した。

この減少は、大規模な要因が関与しなければ説明がつかないことを研究者たちは示唆しており、今後の研究では、昆虫のバイオマスに潜在的に影響を与える可能性のある全範囲をさらに調査すべきだとしている。

論文の著者たちは、この減少の原因とその地理的範囲、およびその潜在的影響が生態系にどのように影響するかについて、さらに調査するように促している。

この

> 昆虫類の生息量が過去27年間で75パーセント以上減っている

というのは、ちょっとした「大量絶滅レベル」なのですが、仮にこのようなペースで地球の昆虫が減少していった場合、それに続いて、同じようなペースで、かなりの種類の植物が消えていくということになると思われます。

上の記事から抜粋しますと、昆虫は以下のように激しく減少しています。

このように、現在の昆虫の減少は、

大規模な要因が関与しなければ説明がつかない

というように、個別の要因とは関係なく、あるいは昆虫の種類とも関係なく、とめどなく拡大していています。

これらの一連の流れを見ますと、どうしても、

「今の地球では6度目の大量絶滅事象が急ピッチで進行している」

と言わざるを得ないと思われます。

それは、何万年で進行するとか、そういう穏やかなペースのものではなく、「非常に急ピッチ」で進んでいることは、昆虫が「 27年間で 75パーセント減少した」ということからもおわかりかと思います。

おそらくは数十年単位の中で「あっという間に進行する大量絶滅事象」というものが起きていても不思議ではないと思われます。というよりすでに、起きていると言えそうです。

前回の記事の最後のほうでも書きましたけれど、

「今後の数十年が人類の最期の時代になる可能性がかなり高くなった」

ということが、さらに確信できる感じでもあります。

この予測は、多少の年代の前後はあっても、おそらく外れないと思います。

といいますのも、昆虫種の絶滅が著しい中、昆虫種が 100年以内におおかた消滅する可能性があるという主張があり(過去記事)、そして、今回の論文を読む限り、植物種も 100年以内に激しく減少すると考えられまして、鳥類や魚類、哺乳類もそれに準じていくだろうということからの予測ですので、大体そのようなものだと思います。

年代に誤差はあっても「数千年」とか「数万年」という数になることはないということになりそうです。

絶滅の兆しが出始めてから、実際に生物種の絶滅に至るまでは意外と早いのかもしれません。

では、ここから記事です。

Plants are going extinct up to 350 times faster than the historical norm
The Conversation 2019/08/23

地球の植物が、歴史的基準よりも最大350倍も速く絶滅している

地球は、現在、前例のない種の絶滅を目の当たりにしており、一部の生態学者たちは、これを 6回目の大量絶滅と呼んでいる。 今年 5月、国連の報告書は、100万種が絶滅の危機にあると警告した。最近では、571種の植物種が絶滅したと宣言されている。

しかし、生命が存在している限り、生命種の絶滅そのものは常に地球上で発生していることであり、それが問題なのではない。重要な問題はその絶滅の「率」が変化しているかどうかだ。

8月23日に、学術誌「カレントバイオロジー(Current Biology)」に発表された研究では、一部の植物種が、これまでの地球の全歴史の平均よりも 350倍速く絶滅し始めていることを示した。

絶滅率の測定

「どれほどの種が絶滅しているのか」という答えは簡単ではない。まず、世界のほとんどの地域からの現代の絶滅に関する正確なデータが不足している。

また、植物種は世界に均等に分布しているわけではない。たとえば、マダガスカルには約 12,000種の植物が生息しており、そのうち 80%がマダガスカルでしか見ることができない固有種だ。一方、イングランドには 1,859の植物種しか生息しておらず、そのうち固有種は 75種(わずか 4%)だけだ。

マダガスカルのような、人間文明による破壊の深刻なリスクのある生物多様性と独自性を持つ地域を「ホットスポット」と呼ぶ。純粋に数値に基づくと、生物多様性のホットスポットは、イングランドなどの植物の多様性の少ない地域(コールドスポット)よりも多くの種が絶滅していることが予想される。

もちろん、多様性の少ない地域にも、重要な意味はあり、そこにも、完全に独自の固有種も見られる。

その上で科学者たちは、生物多様性のホットスポットとコールドスポットの両方で、291種の近代での植物の絶滅を調査した。絶滅の根底にある原因は何なのか、それらがいつ起こったのか、また、その種がどれほど独自性のある種なのかを調査した。

当然のことながら、ホットスポットでは、コールドスポットよりも多くの種をより速く失っていることがわかった。

農業と地域の都市化は、ホットスポットとコールドスポットの両方で植物の絶滅の主要な要因であり、生息地の破壊がほとんどの絶滅の主な原因であるという一般的な考えを裏付けている。

全体として、草などの草本多年生植物は、絶滅に対して特に脆弱だった。

ただし、コールドスポットは、ホットスポットよりも総合的に種を失う傾向があることがわかった。たとえば、7つのコールドスポットでの植物絶滅は、7つの属が消失し、1つの例では植物の目全体の消失につながっていた。

また、最近の地球での絶滅率は、ピーク時で、過去の地球の歴史での絶滅率よりも 350倍高いことを示した。

この絶滅の率から考えて、科学者たちは、今後 80年間で、植物の絶滅は、過去の地球の歴史を数千倍上回ると推測する。

しかし、植物の絶滅の推定値については、包括的なデータが不足しているため、現代の絶滅に関する推論は制限されており、正確な推論はできない。

また、「植物の絶滅」を明確に宣言することは困難だ。つまり、植物を見つけるのが非常に難しいためであり、また、「これがこの植物の最後の生きた個体である」かどうかはわからないからだ。

実際、最近の報告では、以前は絶滅したと考えられていた 431種の植物が再発見されたことが判明している。したがって、実際の植物の絶滅率と将来の絶滅は、高い低いどちらにしても、現在の推定値を大きく超える可能性がある。

しかし、生物多様性の損失は、気候変動とともに、人類が直面している最大の課題の一部であることは間違いない。

人間主導の生息地の破壊に加えて、気候変動の影響は植物の生物多様性に特に深刻であると予想される。植物の絶滅の現在の推定値は、おそらく、間違いなく過小評価されていると考えられる。

今後の植物の絶滅率が、科学者たちが推測しているような、数百倍、数千倍というようなことになっていった場合、私たちの地球と私たち人類は、極めて大きな打撃を受けることになる。

最終更新:2019/08/26 22:48

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2019/08/26 22:26

地球の生物が何もかも消滅し続けている: 淡水の大型魚類が40年間で「90%」という絶滅レベルでの減少を起こしていることが国際的な調査により判明

2019年8月12日の米国の報道より
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あらゆる生物種が減少しているなかで

最近は、この地球のいろいろな生き物たちが消滅していることが明らかになりつつあります。

昆虫の減少が終末的なレベルに達していることを、以下の記事などを含めて、何度か取り上げさせていただいたことがあります。

Mass insect extinction within a century threatens 'catastrophic' collapse of nature’s ecosystems, scientists warn
Independent 2019/02/12

100年以内に「昆虫の絶滅」が発生する恐れがあり、それは自然の生態系システムの「壊滅的」な崩壊の危機と直結すると科学者たちが警告した

地球規模の科学的検証によると、農薬、汚染、気候変動により「驚くほどの」割合で昆虫種が一掃されていることが判明した

農薬の使用が、世界中の昆虫の「驚くべき」減少を引き起こしており、これは自然の生態系に「壊滅的」な影響を与える可能性があると研究者たちは警告している。

科学誌「バイオロジカル・コンサーベイション(Biological Conservation / 生物学的保全)」に掲載された科学レビューによると、昆虫種の 40パーセント以上が、この数十年で絶滅の危機に瀕している。その原因には、気候変動や汚染も含まれている。

昆虫の生体数の急落率があまりにも激しいために、ほぼすべての昆虫が 1世紀以内に消滅する可能性があると、この研究は明らかにした。

論文で研究者たちは、「急減している昆虫の個体群の回復を可能にし、それらが提供する重要な生態系の役割を保護するために、農業業界の見直しが緊急に必要だ」と述べている。

研究は、オーストラリアのシドニー大学とクイーンズランド大学の研究者たちによっておこなわれた。

この研究では、生物学者たちが、世界中の 73例の歴史的な昆虫の減少の報告について系統的レビューをおこなった。

その中で研究者たちは、既知の昆虫種の 10パーセントがすでに絶滅していることを見出した。比較すると、脊椎動物では、絶滅は 1%だった。

そして、絶滅せずに残っている昆虫のうちの 41%が減少していた。

過去 30年間で、全昆虫の総質量は年間平均 2.5パーセント減少していた。

シドニー大学生命環境科学部のフランシスコ・サンチェス-バイヨ(Francisco Sanchez-Bayo)博士は、以下のように警告する。

「あまりにも劇的なこの減少は、今後 100年のうちに昆虫が地球からいなくなってしまうことを示しています」

もっとも大きな減少率だったのが蝶(チョウ)と蛾(ガ)類で、ミツバチやフンコロガシも最悪レベルの減少率だった。

また、研究者たちは、かなりの割合の水生ハエ種もすでに消えていると述べた。

このレビューでは、絶滅の主な 4つの要因が強調されている。

農業、都市化、森林伐採による生息地の喪失、汚染。そして、侵入種や病気などの生物学的要因と気候変動。

調査された研究の 40パーセントで「農業が主な原因」であり、研究者たちは特に脅威として「農薬の使用方法」を強調している。

サンチェス-バイヨ博士はこのように述べる。

「私たち人類は、何千年も農業を続けてきましたが、その何千年の間に、このような昆虫の減少が起きたことはありませんでした。浸透殺虫剤の登場は、農業の方法に大きな変化をもたらしました」

そして、博士は以下のように言った。

「農業での食物の生産方法を変えなければ、あと数十年で、昆虫全体が絶滅の危機に瀕する可能性があります」

「これが地球の生態系に与える影響は、控えめに言っても壊滅的です」

そして、特に最近は、生物たちの中でも「人間の食糧生産」と最も関係の深い生物であるといえる「ミツバチ」が劇的な減少を見せています。

これに関しては、個別の事象や全体的な状況を含めて、最近の以下のような記事で取りあげています。

French honey at risk as dying bees put industry in danger
france24 2019/06/27

ミツバチの大量死が続く中、フランスの養蜂産業そのものが危機に直面している
フランスの養蜂家たちは、ミツバチのコロニーの崩壊によって、今年のフランスのハチミツの収穫は完全な不作となる恐れがあると述べた。フランス各地の養蜂家たちが全国各地で同じ警鐘を鳴らし続けている。

フランス農業組合 MODEF の会長は、取材に対して以下のように述べた。

「ハチミツはいっさい収穫できていません。このシーズンの始まりは、過去にないほど壊滅的なものでした」

このようなフランスのハチミツの収穫の不作は新しいことではない。 2017年には、フランスのハチミツ収穫量としては過去最低の不作を記録した。その前年の 2016年にも、通常は 20,000トンほど収穫できるハチミツが、9,000トンしか収穫できなかった。

フランスは欧州連合(EU)で 5番目に大きなハチミツの生産国だが、他のハチミツの大生産国であるスペイン、ルーマニア、ポーランド、ハンガリー、ギリシャ、そしてイタリアのような国々でも、ハチミツの生産量の大幅な減少を経験している。

気候変動が原因なのか

フランスのミツバチの大量失踪は、1990年代には、年間平均でミツバチのコロニーの 5%ほどで起きていた。ところが今では毎年、コロニーの 30%ほどで大量死が起きる。

フランス養蜂家連合(SNA)の会長は、以下のように言う。

「私たちは、気候変動の影響について懸念しています。養蜂家にとって最大の関心事でもあります。今年の初めは、北半球では霜や悪天候により、植物が枯れたり、花が乾かなくなってしまっていました。これでは蜜は収穫できません」

「花や蜜がなければ、ミツバチは生きられず、コロニーは急速に崩壊します」

今年、フランスでは、5月になっても寒波が続き、霜が下り続けたことで、多くの植物が枯れたり、花が咲かなかった。

ミツバチの個体数が減少するもう 1つの主な原因は、農薬の普及だと言われる。

ネオニコチノイド、またはその化学組成がニコチンの構造を模倣している農薬は、ミツバチの中枢神経系を直接攻撃するため、特に危険なものだ。

EUは、ミツバチを標的とする農薬の使用を徐々に制限してきており、昨年フランスは主要 5種すべてのネオニコチノイドを禁止する最初のヨーロッパの国となった。

しかし、状況は改善していない。

養蜂家連合の会長は、ネオニコチノイド以外のあらゆる農薬や殺虫剤もミツバチに脅威をもたらしている可能性が高いと述べる。養蜂家連合は、伝統的な農業方法など、持続可能な方法を模索していかなければならないと考えている。

フランス養蜂家連合会長は以下のように言う。

「ミツバチは約 8000万年前に地球に現れたことを覚えておく必要があります。 300万年前には最初の人類が登場しました。そして、 8万年前から 1万年前くらいの間に、すでに農業は存在していました。現在の集中農業が始まったのは、ほんの 70年前なのです。わずか70年で、私たちは環境と生態系を大きく変えてしまいました」

「ミツバチを失うと、私たちの食糧である果物、野菜、さらには穀物さえも失うのです。それらがなければ、鳥や哺乳類なども地上から消えていくのです。ミツバチは、生物の多様性の基盤を作っている存在なのです」

最近では、ブラジルでも壊滅的なミツバチの大量死が起きたことを、

More than half a billion bees dropped dead in Brazil within 3 months
CBS News 2019/08/19

ブラジルでは過去3ヵ月間で5億匹のミツバチが死んだ

米ブルームバーグによれば、ブラジルで、この夏のたったの 3か月間で、5億匹以上のミツバチが死亡した。研究者たちによると、このミツバチの大量死の主な原因は農薬であると考えられるという。

ミツバチは、この自然界で最も重要な花粉の媒介者の一部として、さまざまな植物の繁殖に貢献している。国連食糧農業機関(FAO)の報告によると、世界の作物の約 75%がミツバチによる受粉に依存している。

そのため、FAOは、ミツバチを保護することにより、食料の安全を確保することの重要性について警告している。しかし、ブラジルでは、この3ヵ月で 5億匹のミツバチが死亡し、食糧の未来への持続性に懸念が生じ始めている。

ブラジルでのミツバチの大量死は、4つの州の養蜂家によって報告された。

最も被害が大きかったのは、リオグランデ・ド・スル州で、同州だけで 4億匹以上の死んだミツバチが見つかった。
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リオグランデ・ド・スル州の養蜂協会の副会長であるアルド・マチャド氏は、ミツバチの一部が最初に疾病の兆候を示してから 48時間以内にコロニーが崩壊したとブルームバーグに語っている。

「健康なミツバチが、死んだミツバチをコロニーから片付け始めた後、すぐに、健康なミツバチたちも汚染され死んでいきました。そして、彼らは一斉に死に始めたのです」とマチャド氏は言った。

研究室での研究では、ブラジルのほとんどのミツバチの主な死因として、ネオニコチノイドとフィプロニルを含む農薬が挙げられている。これらの農薬はヨーロッパでは禁止されている。

環境保護団体によれば、ブラジルでのこれらの農薬の使用は、元ミシェル・テマー大統領と現大統領のジェイル・ボルソナロ氏の政権下で急増している。

わずか 3年で、欧州連合で禁止されている化学物質を含む 193の除草剤と殺虫剤がブラジルで認可・登録されたと環境保護団体は述べる。現在、ブラジルは世界の農薬の最大の買い手になっている。

ブラジルでは、ミツバチの大量死が今年になって発生したが、農薬とミツバチの個体数の減少との関係は長い間研究されてきた。米ハーバード大学で調査が行われた 2014年には、農薬が米国のミツバチの個体数を減少させるのに重要な役割を果たしていることがわかった。

蜂群崩壊症候群(CCD)は、2006年からアメリカの蜂の個体数に影響を与え続けている。CCDでは、ミツバチは巣箱から消失する。CCD の根本的な原因はいまだにわかっていないが、多くの専門家たちは、農薬、特にネオニコチノイド系農薬の要因の組み合わせが主な要因となっていると考えている。

という記事でご紹介しました。

それ以外でも、昨年あたりからは、世界の野生動物が 40年間で 60パーセント減少していたことが判明したと報じられたり(CNN)、世界中の両生類で、減少と絶滅が起きていることがわかったり(ナショナルジオグラフィック)、とにかく、ありとあらゆる地球の生物が減っていることが報告され続けています。

そんな中で、先日、ドイツのベルリンにある淡水生物専門の研究所が、全世界の淡水に生息する生物のうち、「大型の淡水動物」の生息数の推移を調査したところ、何と、

「過去 40年で 9割減少していた」

ことがわかったのでした。

この研究では、体重 30キロ以上の淡水生物について調査され、その対象は、淡水のイルカや、ビーバーやワニ、大型の淡水カメ、チョウザメなどですが、こういうものたちが、90パーセント近く「消滅」していたのでした。

以下のグラフは、ネイチャーに掲載されていた、この調査での淡水の大型生物種の数の推移です。

1970-2012年の大型淡水動物の数の推移
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どちらも、ものすごい減少ぶりですが、特に、南アジア、東南アジア、中国南部の生物区の領域では、99パーセント減少していた地域があったこともわかったようで、99パーセントの減少レベルですと、「ほぼ絶滅した」と言える数値といえそうです。

上の動物のうちのいくつかは、皮や卵(キャビア)などのために捕獲されますが、もはや「繁殖が追いついていない」ようです。

どんな生物相でも、これだけ短期間に 90パーセントなどの個体数が減ったということは、淡水の大型生物たちは、基本的には、絶滅に向かっているように見えます。

現在、昆虫も、あるいは場合によっては、ミツバチも絶滅に向かっている段階にある可能性がありまして、そして、その減少のペースがものすごく早いのですね。冗談ではなく、今後の数年とか 10年とかで、大部分のそれらの生物種が地上から消えてしまうのではないかというような気も最近はします。

この研究を取り上げていた報道をご紹介します。

Study reveals 88-percent decline in freshwater megafauna populations
New Atlas 2019/08/12

調査により、大型淡水動物の個体数が88%減少したことが明らかに

最近の国際的な研究で、「大型の淡水動物の個体数が大幅に減少している」ことが確認された。

ドイツのベルリンにある「ライプニッツ淡水生態学・内水漁業研究所(IGB)」の科学者たちが率いたこの研究では、1970年から 2012年の間に、世界中で収集された 30キロ以上の重さがあるメガファナ、あるいはメガフィッシュと呼ばれる淡水大型動物の生息数に関する調査をおこなった。

これらには、淡水のイルカ、ビーバー、ワニ、巨大なカメ、チョウザメなどが含まれる。

そして、全体として、淡水大型動物相の個体数が、42年間で 88パーセント減少していたという衝撃的な結果が示された。これは、同時期の陸上と海での脊椎動物の個体数の減少率の 2倍となる。

地域的には、南アジアと東南アジア、中国南部が含まれるインドマラヤ生物地理区では、淡水大型動物相の個体数は 99パーセント減少していた。

ヨーロッパ、北アフリカ、そしてアジアのほとんどが含まれる旧北区生物地理区と呼ばれる領域でも 97パーセントの減少を示し、このふたつの生物地理区での減少が最も高かった。

減少している淡水大型動物の中で最悪の率を示した種は、チョウザメ、サケ科の魚(サケ、マス、イワナなど)や巨大なナマズなどの大型魚で、これらは 94%減少していた。また、水生の爬虫類は 72%減少した。

淡水大型動物の劇的な減少の最大の要因は、過剰な捕獲だと考えられる。これらの大型の淡水動物は、肉や皮革、毛皮、あるいは卵の収穫のために捕獲されるが、捕獲のペースが、繁殖のペースを上回っている。

さらに、減少の原因として、世界中で増えている河川のせき止めが大きく関係している。河川のせき止めが、淡水大型動物種が産卵場へと赴くことや、えさ場へ到達することの障壁となっている。

しかし、中には、近年の保全努力により、増加がもたらされた種もあり、13種の淡水大型動物は増加していた。この中には、アメリカのチョウザメとビーバー、およびアジアのメコン川流域のイラワジ川のイルカが含まれている。

研究は、科学誌グローバル・チェンジ・バイオロジー(Global Change Biology)に掲載された。論文は、淡水大型動物に対する、さらなる保護努力が非常に必要であることを示している。

ここまでです。

最近起きている「生物相の危機」といえば、異常な数と規模で発生し続けている世界中の森林火災による生物相の消失があるかもしれません。

先月、シベリアの森林火災としては過去最悪の火災が起きていたことは以下の記事などで取りあげていました。

ロシア・シベリアの山火事が壊滅的な状況に。山林の火災面積は東京ドーム150万個以上に相当する400万ヘクタールに達し、制御不能の状態に

2019年7月30日のロシアの報道より
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この山林火災が、さらに激しくなっていまして、鎮火に向かうどころか、「制御不能」と報じられる状態にまでなっていることが伝えられています。

7月30日の時点で、ロシア国内で山林火災が報告されている範囲は以下のようになります。

7月30日の時点で森林火災が報告されている範囲
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そして、上の範囲での火災の発生状況は以下のようになっていまして、壊滅的といえます。

人口衛星から確認されている火災の発生状況
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火災の面積は、すでに消失した面積を合わせると、報道により数値は違いますが、350万ヘクタールから 400万ヘクタールと報じられています。これは、大ざっぱですが、東京ドーム 100万から 150万個分の面積に相当する面積です。

消失したシベリアの森林
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このシベリアの火災は、現在はある程度収まってきているのですけれど、今度は、南米のブラジルやペルーなどを中心として広がるアマゾンの熱帯雨林で、過去最大の山火事が続いています。

以下は、8月24日の報道からの抜粋です。

「アマゾン火災」がここまでひどくなった理由
東洋経済オンライン 2019/08/24

このままでは熱帯雨林の一部が草原化も?

世界から注目が集まっているブラジルのアマゾンで多発している火災によって、これまでにない規模の熱帯雨林が焼失している。今年に入ってからだけでも8月20日までに7万4155件の火災が発生し、その数は前年同期比で83%も増加。

しかも、人工衛星が確認したところ、8月15日からわずか1週間で、9507カ所で火災が発生しているというのだ。

これに対して、フランスのエマニュエル・マクロン大統領は22日、「われわれの家が燃えている。文字どおり。地球上の酸素の2割を生み出す『肺』、アマゾンが燃えている。これは国際的危機だ」とツイッターで警告。


さらには、現在、アフリカ大陸のアンゴラからコンゴ民主共和国にまたがる広い範囲で、大規模の山火事が発生していることが、人工衛星で確認されています。

以下は NASA の 8月24日時点の森林火災マップです。赤い「ドット」ひとつひとつが森林火災の発生場所を示しています。

2019年8月24日の世界の森林火災の状況
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南米とアフリカを拡大しますと、そのすごさがわかります。

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火災の面積が、もう日本の面積の何倍というような比較ができないほどに拡大していまして、もはや人の手で消火できるようなものではなさそうですが、ここまで規模が大きいと、自然鎮火がいつになるのかもよくわからない面があります。

シベリアの山火事を含めまして、アマゾンとアフリカのこの巨大森林火災は、各地域の生物相を壊滅的に変化させるか、あるいは「生物相が消滅する」と思われます。

こういうこともあり、この 2019年という年は、地球の生物相が急速に消滅していくことが「目に見えてわかる年」となっているような気がします。

また、今回の本題は、淡水の生物種の減少についてでしたが、この「水」システムについては、以下の記事などをはじめとして、「いかに地球の淡水系が、私たちの日常の薬で汚染されているか」ということについて、ふれることがあります。

地球の水は人間の薬により、もはや死につつある。そして、この大洪水の時代に次は大地が浸食され、完全絶滅への道程はさらに進行するはずで

2019年5月1日のアメリカの報道より
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イギリスの川のヨコエビからコカインが検出されて衝撃を与えている
Newsweek 2019/05/09
英国において、田園地帯の河川流域に生息する水生生物から違法薬物のコカインやケタミンなどの化学物質が初めて検出され、英国内外に少なからず衝撃を与えている。

淡水ヨコエビから、コカインやケタミンなどが検出

英キングス・カレッジ・ロンドンとサフォーク大学の研究チームは、2019年5月1日、学術雑誌「エンバイロメント・インターナショナル」で「イングランド南東部サフォークの河川で採集した淡水ヨコエビから、コカインやケタミン、農薬、薬剤などが検出された」との研究論文を発表した。

研究チームは、2018年7月、ウィブニー川やギッピング川など、サフォークを流れる5河川の15カ所で、欧州の淡水に多く生息する淡水ヨコエビをサンプル採集し、これらを分析したところ、107種類の化学成分が検出された。

なかでも、コカインはすべてのサンプルから検出され、コカインの代用として使われているリドカインもこれに次いで多く見つかった。このほか、ケタミンや医薬品のアルプラゾラム、ジアゼパム、英国で使用が禁止されている農薬のフェヌノンなども検出されている。

研究論文の筆頭著者であるキングス・カレッジ・ロンドンのトーマス・ミラー博士は「濃度は低いものの、環境に影響をもたらすおそれのある成分が検出されており、これらは野生生物にとってもリスクとなる」と警鐘を鳴らす。

シアトル沿岸ではオピオイド系鎮痛剤も

2018年5月には、米ワシントン州シアトルとブレマートンの沿岸で生息するキタノムラサキガイからオピオイド系鎮痛剤のオキシコドンが検出されたほか、豪メルボルンでも、同年11月、近郊の河川に生息する水生無脊椎動物や水辺のクモから60種類以上の医薬化合物が見つかっている。

ここまでです。

この記事で重要なのは、コカイン云々というより、川のエビから、

> 107種類の化学成分が検出された

ということで、これは川の水体系に広く薬剤が流入しているということと、「それが生物の体内に滞留している」ことを示します。ここではエビの調査ですが、おそらく、あらゆる川の生物で同じような状態だと思われます。

それと共に、この記事の中には、イギリスの他に、

・アメリカ
・オーストラリア

の国名も出ています。

つまり、これはどういうことかといいますと、「主要国の水システムは、どこも同じような状態のはず」

といえると思います。

どうして、そのように言えるか。

それは、「排泄をしない人間はいないから」です。

「地球の水体系は、《薬を服用した人間の排泄》で汚染され続けている」

ことを知ったのです。

これは、2017年7月に、イギリスのエクセター大学で開かれたイギリス漁業協会 の記念シンポジウムの講演の内容が紹介されているものを取り上げたものです。

記事から抜粋します。

Male Fish Are Mysteriously Changing Gender
mysteriousuniverse.org 2017/07/05

オスの魚たちが不可解な性別の変化を起こしている

イギリスでの新しい試験では、試験したオス魚の 5分の1がトランスジェンダーとなっていることが判明した。そのオスたちは攻撃的ではない態度を示し、精子の数は減少し、それどころか卵さえ産生する。

今週、英国エクセター大学で開かれたイギリス漁業協会 50周年記念シンポジウムのオープニング講演で、エクセター大学の魚類生理学者で環境毒性学者であるチャールズ・タイラー教授(Professor Charles Tyler)が、英国の 50の異なる場所で捕獲された淡水魚のうちの約 20%がトランスジェンダーであったという報告を述べて、会場を驚かせた。

さらに衝撃的なデータとして、研究者たちは、このミステリアスな性転換の原因が、トイレや流し場などから川に入りこむ避妊薬(経口避妊薬 / ピル)であることを突き止めたのだ。

これは、体内から尿として排泄される分と、直接廃棄されて流されるものと両方が含まれる。

タイラー教授はこう述べる。

「私たちは、化学物質のいくつかが、これまで考えていたよりもはるかに魚に広く健康への影響を与えている可能性があることを知りました」

ヒトの避妊薬は、女性ホルモンであるエストロゲンを魚に異常な量を与える主要な原因だが、研究者たちは、魚にエストロゲン様の変化を引き起こす水域に、他にも 200種類以上の化学物質が存在することを発見した。

研究者たちは、以下のように述べている。

「他の研究では、下水処理によって排出される他の多くの化学物質が、魚に影響を与える可能性があることがわかってきています。たとえば、抗うつ薬を含むいくつかのの薬剤は、魚の臆病さを減少させ、それにより捕食者に対する反応がにぶくなってしまうことが示されているのです」

避妊薬と化学物質により、攻撃的でも競争的でもなくなったオスの魚たちは仲間を惹きつけることが難しくなる。この性質的な弱点は、次世代に受け継がれるわけではないが、それらの性質の変化により生殖行為の総数が減るため、結果として、その種の魚の数は減っていく。

行動に加えて、化学物質は魚の物理的特性にも影響を与えていることについても、研究者たちは下のように語った。

「特別に作ったトランスジェニック魚を使って、リアルタイムで魚の体内の化学物質への反応を見ることができます。たとえば、いくつかのプラスチックに含まれる物質は、魚たちの心臓の弁に影響することを示しました」

プラスチックは現在、太平洋に夥しい量が漂っていることがわかっているが、それらは、イギリスの魚の心臓不全も起こしているらしいのだ。

これらの解決法について、エクセター大学での講演で、魚生物学者たちは、「人間の行動の変化が伴わない限り、いかなる解決法もありません」と述べている。

つまり、尿から排水システムに大量の薬が流れていくような生活をやめて、プラスチックの過剰な廃棄をやめるしかないと言っている。

シンポジウムの主催者であるスティーブ・シンプソン博士(Dr. Steve Simpson)は、今できる最善の策として、「手遅れになる前に、この急速に変化する海と川の魚類の減少を防ぐ方法を私たちは議論しなければなりません」と言う。

しかし……もしかすると、もう手遅れだということはないのだろうか。

この講演での主要なテーマは、「人間の服用したピルが、排泄と共に川から海へと流入していき、それにより、魚のオスたちがメス化している」ということですが、やはり、この記事でも、以下の部分が際立ちます。

> 他にも 200種類以上の化学物質が存在することを発見した。

私たちの日常の価値観では、

・病院で処方される薬は悪くない薬で、違法薬物は悪い薬

というような認識が一般的ですが、人間に対してではなく、「自然環境とその生物に対して」考えた場合、どちらがより凶悪なものかは明白で、簡単にいえば、

「現在の水システムを破壊しているのは、病院で処方される薬」

が主流です。

私たちが日常で服用する薬は、身体から排出される際も薬効が消えているわけではないですので、以下のようにダイレクトに世界中の水体系に合流していきます。

人間の薬が世界中の水体系に流入するシステム

・主要国のほとんどの下水処理は水洗システム

・なので、ほとんどの国で人間から排出されたものは自然の水の中に循環される

・ということは、口から体内に入った薬や化学物質は、排出物からそのまま水中に流入していく


先ほどの記事では、避妊薬が、魚類のオスをメス化させるというようなことになっていますけれど、しかし、それ以上に私が思っているのは、

「世界中でおびただしく処方されている《抗生物質》も、毎日、排泄によって、川から海へと流れ込んでいる」

「ガン患者が増加する中で、毎日、大量の《抗ガン剤》も、排泄と共に川から海へと流れ込んでいる」


というようなことです。

抗生物質と抗ガン剤については、ここでは、ヒトへの処方の善悪を言っているのではなく、「自然環境に対しての影響」という意味では、このふたつは相当な影響を与えていると思われることについて述べています。

この世界は、そして人間も「細菌で成り立っている」わけですから、その細菌を殺す力を持つ作用の薬が自然に影響を与えないとは考えにくいです。抗ガン剤に至っては、細胞の生成を阻むものですから、あらゆる生物に対して良い影響が出ようがないです。

なお、今の世の中では、「どのくらいの率で、人から薬が排出されているか」といういうことを示すひとつの事例は、以下の 2015年の中国の調査でもわかります。

産経新聞の記事からの抜粋です。

中国で「6割の児童の尿から抗生物質」 過剰摂取に警鐘 水・食物に原因か 消費は「米国の10倍以上」
産経新聞 2015/05/07

58%の児童の尿から検出
復旦大公共衛生学院の研究グループが江蘇省、浙江省と上海市の 8~11歳の児童計千人余りを対象に調査。58%の児童の尿から抗生物質が検出された。このうち25%の児童からは2種類以上を検出し、中には6種類が検出された児童もいたという。

中国国内では抗生物質が年に21万トン生産され、うち85%が国内で医療や農業に使用されていて、1人あたりの抗生物質消費量は米国の10倍以上に達する。

特に、畜産業や養殖業では飼育対象の魚類や家畜が病気にかからないようにするため抗生物質が大量に使用されており、動物飼料や排せつ物を介して地下水や土壌を汚染している。

こうした環境の悪化に加え、汚水処理施設に抗生物質除去機能が備わっていないという問題もあり、「食物連鎖」を通じて、多くの人体その他の生物体に悪影響を及ぼしていると考えられるという。


ここまで西洋薬が濫用されているということは、抗生物質以外の薬も大変に多量に使われているのだろうとも推測できます。

世界で最も人口が多いこの国が、「世界で最も抗生物質をよく使っている」という状況を考えますと、この国の周辺の水システムは、毎日毎日ものすごい変化を続けているのだろうなということも想像できなくないです。

オランダのラドバウド大学の科学者たちが調査した「 1995年から 2015年までの《人が服用する薬剤による汚染》の拡大の状況」です。

「赤が濃いほど汚染状況が高い」ことを示します。

1995年と2015年の薬剤汚染地域の拡大の状況の比較
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すごいと思いませんか?

1995年から 2015年という、たった 20年ほどで、さまざまな場所が「真っ赤」になり、それは拡大し続けています。

また、人から排出された後も、成分と薬効は簡単には消えないということもあり、時間と共に「累積的に状況が悪化していくばかり」ということにもなりそうです。

そして、これらの薬剤を環境から除去する方法は存在しません。

関係ない話になるかもしれないですけれど、前回の記事は「二酸化チタン」というものに関しての以下のものでした。

Common food additive found to affect gut microbiota
sydney.edu.au 2019/05/13

腸内微生物叢に影響を及ぼすことが判明した日常的な食品添加物

シドニー大学の専門家たちは、研究により、食品添加物として広く使われている二酸化チタンが腸内細菌叢に影響を及ぼし、それが炎症性腸疾患または結腸直腸癌につながる可能性があることを明らかにした。このことから専門家たちは、食品および医薬品におけるありふれた添加物であるこの二酸化チタンの規制強化を求めている。

シドニー大学の研究は、多くの食品に含まれている二酸化チタンのナノ粒子が人間の健康に多大かつ有害な影響を及ぼす可能性があるという新たな証拠を提供している。

この研究では、食品中に一般的に大量に使用されている食品添加物 E171 / 二酸化チタンナノ粒子 (以下、二酸化チタン)と、美白剤としての薬品の健康への影響を調査した。

二酸化チタンは、チューイングガムやマヨネーズなど 900種類以上の食品に含まれており、多くの人々により、日常の食品摂取の中で毎日高い割合で消費されている。

医学誌「フロンティアーズ・イン・ニュートリション (Frontiers in Nutrition)」に発表されたマウスによる研究は、二酸化チタンを含む食物の摂取は腸内細菌叢(腸内フローラ)に影響を及ぼし、炎症性腸疾患や直腸癌などの疾患を引き起こすことを見出した。腸内細菌叢腸とは、腸内に生息する何兆もの細菌コロニーで、ヒトの健康と大きな関連があることが知られている。

主任研究者のウォシエック・クルザノウィスキー(Wojciech Chrzanowski)准教授は、この研究は、二酸化チタンのナノ粒子の毒性と安全性、そして、それらが健康と環境に与える影響に関する研究を大幅に追加したと述べた。

クルザノウィスキー准教授は、以下のように述べる。

「この研究の目的は、オーストラリアと世界で二酸化チタンの安全な使用を確実にするために、新しい規格と規制に関する議論を促すことです」

二酸化チタンは、医薬品、食品、衣服、その他の用途に広く使用されているが、二酸化チタンが及ぼす可能性のある影響、特に長期的な影響については、まだよくわかっていない。

二酸化チタンの消費量は過去 10年間でかなり増加しており、すでにいくつかの疾患とも関連していることが示されている。二酸化チタンは、食品添加物として承認されているが、その安全性についての証拠は不十分だ。

二酸化チタンへの曝露の増加率とリンクしている疾患のリストには、認知症、自己免疫疾患、癌の転移、アトピー性皮膚炎、喘息、および自閉症がある。

シドニー大学薬学部およびシドニー・ナノ研究所のナノ毒性学の専門家でもあるクルザノウィスキー准教授は、次のように述べている。

「食物組成が生理および健康に影響を与えることは確立されていますが、食品添加物の役割はよくわかっていないのです」

「現在、二酸化チタンへの継続的な曝露が腸内細菌叢の組成に影響を与えるという証拠が増えています。腸内細菌叢は私たちの健康の守護者であるため、腸内細菌環境の機能の変化は全体の健康に影響を与えるのです」

「この研究は、二酸化チタンを含む食品の摂取が、腸内細菌叢と腸内の炎症に影響を与えるという極めて重要な証拠を提示しており、二酸化チタンの摂取が、炎症性腸疾患や結腸直腸癌などの疾患につながる可能性があります」

共同研究者であるシドニー大学のローレンス・メイシア(Laurence Macia)准教授は、次のように述べている。

「私たちの調査によると、二酸化チタンは腸内のバクテリアと相互作用し、腸内のバクテリアの機能の一部を損なうのです。それにより、病気の発症につながる可能性があります。このことから、二酸化チタンは、食品当局によってより規制されるべきです」

メイシア准教授は、腸管および腸内細菌叢の健康に対する影響についての研究をおこなっている免疫学の専門家だ。准教授は、以下のように述べた。

「この研究では、マウスの腸の健康に対する二酸化チタンの影響を調べたのですが、二酸化チタンは腸内微生物叢の組成は変えませんでした。しかし、二酸化チタンは、バクテリアそのものの活動性に影響を及ぼし、望ましくないバイオフィルム(微生物により形成される構造体)の形でバクテリアの成長を促進していたことがわかったのです」

「バイオフィルムは、バクテリアが互いにくっついているもので、このようなバイオフィルムの形成は、たとえば、直腸癌のような病気で報告されています」

ここまでです。

このローレンス・メイシア准教授の言葉によれば、二酸化チタンは、「腸内フローラの組成は変えない」けれども、

「バクテリアのコロニーを、良くない形で成長させる」

ということで、それが疾患へと結びついていくということのようです。

現段階で二酸化チタンが関係している可能性がある疾患は、このニュースリリースによれば、

・認知症
・自己免疫疾患
・炎症性腸疾患
・結腸直腸癌
・癌の転移
・アトピー性皮膚炎
・喘息
・自閉症

などとなっています。

では、「どんな食品に添加物として使われているのか」といいますと、インターネット上では、脱脂粉乳、チーズ、ヨーグルト、マヨネーズ、チョコレート 、マシュマロなどに使われている、というようにあります。

それで、私の家にある、そういう系の食品の添加物を見てみたのですが、うちでは、二酸化チタンの含まれている食品は見当たりませんでした。

次に、楽天や Amazon などのショッピングサイトで「二酸化チタン」で検索してみたのですね。

この二酸化チタンには、トリウムというものが含まれているらしいのですが、このトリウムの半減期、つまり少しずつ消えていくまでの時間は、通信用語の基礎知識によれば、なんと 140億年なんだそうで。

なので、酸化チタンの廃棄物に含まれるトリウムは、140億年もの先にまで地球に残り続けることになるようなのですね。

ここまでではなくとも、薬や化学成分の中には、相当長く自然界に残り続ける物質はたくさんあるのだろうなと思います。

主に、人間から排泄される抗生物質や抗ガン剤などの薬物などにより、淡水に微生物が生きることが難しくなっているため、微生物から始まることで成り立っている「水中の生態系」が崩壊した水域が多くなっています。

今の地球の多くの河川や、あるいは海中は、生物が生きるのにはふさわしくない環境となっている場所が増加していると思われるのです。

そのため、今後も淡水の生物種は加速度的に消滅していくはずです。

これからも、私たちは生物種の消失という事態を次々と見聞していくことになると思いますけれど、そのような状態の中で、人間社会がいつまでもつのかはわかりません。

個人的には、長くても 30年、早ければ 10年以内に、人類種の消失も始まるのではないかと思います。他の生物種がいない中で人類が生き残ることは難しいです。

最終更新:2019/08/26 22:26

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