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2019/08/19 20:55

「アメリカでは毎48時間ごとに500人が医療ミスで死亡している」という天体物理学者による投稿が物議を醸す中、計算し直してみたら「48時間で1300人以上」だった件について

2019年8月6日の米国科学メディアより
medical-error-500.jpg

最近のアメリカでは連日のように乱射事件で人命が奪われていますが、そのような中、8月4日、アメリカの著名な天体物理学者であるニール・ドグラース・タイソン (Neil deGrasse Tyson)さんという方が、2日間で 34人の方が犠牲になったということを引き合いにしながらも、以下のようなツイートを投稿し、それが物議を醸しました。

下はその投稿の一部です。

2019年8月4日のニール・ドグラース・タイソン博士のツイートより
us-medical-error.jpg

アメリカでは 48時間という時間のあいだに、これだけの数の人たちが、このような原因で亡くなっていると。

500人が医療過誤で死亡し
300人がインフルエンザで死亡し
250人が自殺で死亡し
200人が自動車事故で死亡し
40人が拳銃で撃たれて死亡している


これは、乱射の犠牲者の数との比較ということではなく、アメリカの医療従事者の人たちに対して、アメリカの医療をさらにより良くしてほしいというメッセージのつもりだったと博士は後に述べています。

しかし、この投稿の直後から、医療関係者あるいは科学関係者から、この投稿に対しての反対意見が相次ぎました。

つまり、

「アメリカでは、医療ミスでそんなにたくさんの人は亡くなってはいない」

という反論が相次いだのです。

冒頭のサイエンス・アラートの記事もまた、このタイソン博士の投稿の内容に異議を唱えるものでした。これは非常に長い記事で、アメリカの医療ミスの統計についての、さまざまな過ちの歴史などが書かれているのですが、この記事そのものは、ご紹介することに意味があるものとは思えませんでしたが、しかし、そういう医療研究の専門家の方々はともかくとして、私たち「一般人」にしてみれば、そういうものの正確な数値を知りたいのなら、

「最も権威のある医療統計を信じる」

という方法しかないような気もするのです。

たとえば、世界で最も権威ある医学誌のひとつに、イギリス医師会が発行するブリティッシュ・メディカル・ジャーナル(BMJ)があります。

その BMJ に、2016年に掲載された「医療過誤(医療ミス)」に関しての論文をご存じでしょうか。そこに掲載されている数が真実に近いものなら、何と、先ほどのタイソン博士が述べた数字よりもさらに、「医療ミスで亡くなっている人の数は多い」ということになってしまうのです。

以下は、その BMJ の論文について報じた AFP の記事です。

医療ミス、米国で死因3位

AFP 2016/05/05

医療ミスが米国における死因の3位になっているとの研究結果が、3日の英医学誌ブリティッシュ・メディカル・ジャーナル(BMJ)に掲載された。

研究によると、2013年に、回避可能なミスにより死亡した人は少なくとも25万人に上った。この人数は、脳卒中とアルツハイマー病を合わせた死亡者数よりも多く、また、毎年それぞれ約60万人の死亡の原因とされる心臓疾患とがんに続き3番目に多い。

また、この人数には介護施設や通院患者は含まれておらず、これらを含めると医療ミスによる死亡はさらに多くなるという。

研究結果をまとめた論文の主著者で米ジョンズホプキンス大学医学部のマーティン・マケリー(Martin Makary)教授は「バクテリアや心臓疾患だけが死因ではない。人はコミュニケーションの失敗、医療の細分化、診断ミス、過剰投薬などによっても死亡する」と述べた。

マケリー教授は「これらを合わせると米国の死因3位になる」と続け、世界の保健問題において報告が実際より最も少ないのが医療ミスだと付け加えた。過去の研究によると、医療ミスによる死亡者は推計で年間25万~44万人に上る。

ここまでです。

この論文に対しても、多くの反対意見が出たと思われますが、しかし、西洋医学の世界で、「 BMJ に掲載されたジョンズホプキンス大学医学部の研究」を信じてはいけないのなら、私たち一般人は何を信じていいのだろう、という話でもあるのです。

ちなみに、このジョンズホプキンス大学の研究の数値に従うと、以下のようになります。

先ほど、タイソン博士は、「アメリカでは 48時間ごとに 500人が医療過誤で死亡している」としまして、そして、この数値に対して「そんなに多いわけがない」という反論をたくさん受けたのですけれど、上の報道にありますジョンズホプキンス大学の研究によるアメリカでの医療過誤での死者数の推計値の中の「最も少ない数」である 25万人だとすると、

250000 ÷ 365 = 684人

となり、「 1日平均で 684人の方が医療ミスで亡くなっている」ことになります。

ということは、48時間で 1368人となり、タイソン博士の数より、さらに大きなものとなりまして、

アメリカでは 48時間ごとに 1300人以上が医療過誤で死亡している

ということになってしまうのでした。

あるいは、ジョンズホプキンスの研究での最大値である「 44万人」ですと、

アメリカでは 48時間ごとに 2400人以上が医療過誤で死亡している

ということになります。

また、上の AFP の報道では、

> この人数には介護施設や通院患者は含まれておらず、これらを含めると医療ミスによる死亡はさらに多くなるという。

という下りがあることから、医療過誤による現実的な死亡数は、相当なものとなっている可能性があります。

特に、過剰投薬に関しては、結果として、かなり多くの人に害を与えていると思われます。

たとえば、頭痛や関節痛などの時に誰でも服用する「鎮痛剤」ですが、一般的に処方される消炎鎮痛剤のほぼすべてが「非ステロイド性抗炎症薬 (NSAIDs)」と呼ばれるもので、この薬の「致死率」もかなりのものです。

私も、十数年前に、整形外科で処方されたボルタレンという非ステロイド性抗炎症薬を服用している中で胃潰瘍を発症し、その後、深夜に大吐血をして救急病院に運ばれ手術をして入院するハメになったという思い出があります。

こういう薬の副作用などについては、一般的には医療過誤には入れられませんが、医療過誤に「薬の害」の事例を含めますと、相当な数になっていくと思われます。

なお、先ほどの鎮痛剤に関して、非ステロイド性抗炎症薬 - Wikipedia には、以下のような記載があります。

NSAIDsを処方された患者の10~20%に消化器症状が現れ、アメリカでは年間に10万人以上が入院し、1万6500人が死亡している。また、薬剤が原因の救急患者の43%をNSAIDsが占めている。

日本人の場合は、アメリカ人より、ピロリ菌という胃に炎症を発生させやすい細菌を胃に持つ人が多いですので、アメリカでの事例以上に、鎮痛剤から胃潰瘍になる方は多いと思われます。

ちなみに、ピロリ菌に関しては、私の自身の経験(ピロリ菌の除菌)から、「ピロリ菌は、人間にとって悪さをする細菌ではない」と確信していますが、それについては以下の記事などをご参照下さればと思います。除菌したことは本当に誤った選択だったと思いますが、一度除菌されたピロリ菌が戻ることはありません。

ピロリ菌は人間を逆流性胃腸炎から守る守護神

まずは、2010年12月の読売新聞の医療サイト「ヨミドクター」の記事より抜粋させていただきます。

逆流性食道炎がある患者は、ピロリ菌を除菌すべきか
ヨミドクター 2010/12/28

日本ヘリコバクター学会ガイドライン(2010年)では、ピロリ菌陽性の方には逆流性食道炎の有無に拘わらず、除菌することを勧めています。

一方、消化性潰瘍などで、ピロリ菌の除菌をすると、胸やけなどの逆流症状や逆流性食道炎が増加する心配があるといわれてきました。

実際、ピロリ菌の除菌が成功すると、逆流性食道炎になる場合があります。裂孔ヘルニアを持っている人、肥満している人などでは、除菌後に逆流性食道炎が発症しやすいといわれおり、逆流性食道炎を抑えるためのプロトンポンプ阻害薬(PPI)が必要となる場合があることがあります。


ここまでです。

ここに書かれていることは、簡単に書きますと、

・ピロリ菌を除菌すると「逆流性食道炎になる」場合がある

そして、そのようになった場合は、その逆流性食道炎の治療のために、

・プロトンポンプ阻害薬(PPI)という薬での治療が必要となる場合がある

ということになります。

この中の「プロトンポンプ阻害薬(PPI)」というものの名称をご記憶いただきまして、続けます。

次は、ガン医療情報サイトの「リファレンス」が、英国医療サービス局(NHS) のニュースリリースを元にした 2017年12月の記事からの抜粋です。

胃酸逆流治療薬の長期服用と胃がんリスク増加が関連
リファレンス 2017/12/11

「胃酸逆流の治療に一般的に用いられる薬が、胃がん罹患リスクの2倍以上の増加と関連している」と英ガーディアン紙が報じました。

研究者らの調査の目的はプロトンポンプ阻害薬(PPI)として知られる薬と胃がんとの間に関連があるかどうかを調べることでした。よく使われるPPIとしては、エソメプラゾール、ランソプラゾール、オメプラゾール、パントプラゾールおよびラベプラゾールなどがあります。

PPIは胃酸逆流の治療と胃粘膜保護の目的で用いられていて、以前に胃がんとの関連が指摘されたことがあります。


ここまでです。

先ほどの記事は、「ピロリ菌を除菌すると、逆流性食道炎になりやすい」ので、その逆流性食道炎の治療のために、プロトンポンプ阻害薬(PPI)という薬での治療が必要となるという場合があるということでした。

そして、次に直面する事実は、

・逆流性食道炎の治療に使われるプロトンポンプ阻害薬(PPI)は、胃ガンのリスクを2倍以上にする

ということに至るという

この場合は、

「胃ガンの予防のために、ピロリ菌を除菌した」

という行動が、

「その結果、胃ガンになる確率が2倍に増加した」

という形而上的なパラドックスを見せているわけです。

現在の日本の医療でのガイドラインでは、「ピロリ菌除菌は積極的におこなったほうが良い」ということになっているようですので、そのあたりは自己責任ということになるのでしょうけれど、先ほども書かせていただきましたように、私自身は、「ピロリ菌の除菌は絶対にしてはいけないこと」だと断言します。

これまでの医学的研究では、おそらく、ピロリ菌の除菌後の研究として、胃潰瘍や胃ガンの発生の推移の統計などについての研究はあったと思いますが、

「ピロリ菌の除菌後のアレルギーの増加」

「ピロリ菌の除菌後の精神疾患の増加」

「ピロリ菌の除菌後の認知症の増加」


などの研究はおこなわれていないのではないでしょうか。

これらは、(そのすべての原因だとは言わないにしても)腸内細菌の環境が大きく関係していることが今の医学ではわかっています。

ピロリ菌の除菌というのは、極めて強い体内の細菌に対しての殺菌作用のある抗生物質を使ってのものですので、その結果、

「おびただしい数の腸内細菌が死滅あるいは絶滅する」はずです。

そして、その結果、少しずつ、その人の心や体に変化が現れてくる。

花粉症や食物アレルギーや食物不耐性を含めたアレルギーが出てくる。

あるいは、精神的に不安定になり、場合によっては、うつ病やパニック障害、統合失調症などに至るというようなこともないではないかもしれないと思っています。

そもそも、「ピロリ菌を除菌したあちに、逆流性胃腸炎になりやすくなる」という事実そのものが、「ピロリ菌は、逆流性胃腸炎のような症状から守ってくれている存在」以外のなにものでもないことがわかります。

実際には胃の「守護神」であるピロリ菌
pylori-shugo-shin.jpg

くどいようですが、ピロリ菌を除菌する「意味はない」のではなく、「デメリットがあまりにも大きい」と思われます。

私のように、気軽な気持ちでピロリ菌を除菌した人間には、その後、さまざまな体と心の不調が襲いかかるはずで、腸内細菌崩壊による免疫の低下により、ガンなどをはじめとする大きな病気の発生率も非常に大きくなると思われ、死亡率そのものも大きく上昇するはずです。

そういえば、つい最近、中国とアメリカの共同による研究で、医学的に初めて、

「統合失調症の原因が、腸内細菌の構成の変化」

である可能性が示された研究が発表されていました。

今回は、それを紹介していた以下のアメリカの科学メディアの記事をご紹介して締めさせていただきたいと思います。

2019年2月7日のアメリカ医学系メディアの記事より
microbiomes-differences-people.jpg

腸内環境の劇的な変化は、統合失調症のようなものも導く可能性がかなり高いのだと思われます。

そして、ピロリ菌の除菌を含む、強力な抗生物質の濫用がこのようなことを招いている可能性はかなりあると思われます。

ここからです。

Researchers find differences in gut microbiomes in people with schizophrenia
medicalxpress.com 2019/02/07

統合失調症の患者たちは、そうではない人たちと腸内微生物叢が違うことが発見された

中国のいくつかの機関および米国の機関と提携している研究者たちのチームは、統合失調症の人々は、その障害のない人々と比較して、彼らの腸内細菌叢(腸内マイクロバイオーム)の構成に違いがあることを発見した。

研究グループは、統合失調症患者たちへの試験と、そしてマウスへの糞便移植の試験を行った。

統合失調症は、幻覚、妄想、混乱した思考、感情表現が曖昧になるなどを特徴とする精神障害だ。世界中のすべての人々のうちの 0.5 〜 1%が統合失調症だと考えられている。

科学者たちは、古くからこの疾患について研究してきたが、腸内細菌の環境と統合失調症との間の関連性が考えられてきたのはつい最近のことだ。この新しい努力の中で研究者たちは、統合失調症の有無にかかわらず人々の腸内微生物叢の間に違いがあることを見出した。

研究者たちは、症状を軽減するために薬を服用している 53人の統合失調症の患者たちから便サンプルを集めた。そしてまた、薬を飲んでいなかった統合失調症患者と、統合失調症ではない 69人から便サンプルを集めた。

研究者たちは、腸内細菌を単離するために集められた便サンプルに対して遺伝子配列決定を行った。そして見つけたバクテリアを OTU (ある一定以上の類似性を持つ配列同士を一つの菌種のように扱うための操作上の分類単位)に分けた。

その中で、854 の OTU のうち、56 が統合失調症患者にのみ出現し、64 が対照群にのみ出現したことを彼らは発見した。

また、統合失調症の患者の腸内細菌叢は対照群よりも全体的に多様性が低いことも見出された。

さらに詳細に見てみると、研究者たちは、統合失調症患者と障害のない人たちとの間に、明らかに異なる細菌のよりサブセット(下位集団)を発見した。

その後、マウスの実験で、研究者たちは、これらの統合失調症患者のサブセットの便サンプルを健康なマウスたちの腸内細菌叢に導入すると、そのマウスたちは行動の変化を示した。

研究者たちは、このマウスでの実験の結果は、統合失調症を持つ人々が彼らの腸の細菌叢に違いがあり、そしてその違いが統合失調症の症状と関連しているかもしれないことを示していると述べている。

さらに、研究では、腸内細菌叢中のある種の細菌が、微生物の腸 - 脳内アミノ酸との相互作用、そしておそらくは、脂質代謝経路に起因する統合失調症の関連症状と関連している可能性があることを示している。

そして、最近は、以下の記事でご紹介しましたけれど、なんということもない症状に使われる「ありふれた薬」が、認知症の発症リスクを増加させていることなどもわかってきています。

花粉症の薬や風邪薬、胃薬にパーキンソン病の薬、そして抗うつ剤や抗不安剤……多くの「抗コリン」一般薬が、認知症発症のリスクを著しく増加させていることが判明

2019年6月24日の米医学メディアより
anticholinergic-drug-dementia.jpg

英ノッティンガム大学の研究者たちによって行われ、結果が発表されていました。

抗コリン薬というのは、「アセチルコリンというものを遮断する作用を持つ」……というように書くと面倒くさい感じですが、大ざっぱに書きますと、

アレルギーの薬も、抗不安剤も睡眠薬もめまいの薬も抗うつ剤も、あるいは市販の胃薬も市販のかぜ薬も、ぜーんぶ抗コリン薬

ということになるのです。

基本的に、今の世の日常薬というのは、この抗コリンという作用が中心となっているといってもいいのかもしれません。

この抗コリン薬に「人を認知症に導く作用がある」ことは以前から知られてはいましたが、今回の英国の研究の大規模研究によって、かなり信用できる「数値」が出ました。

それによれば、

「強力な抗コリン薬を服用している人が、それから10年以内に認知症になる確率は、服用していない人たちより 50%多い」

ことがわかったのです。そして、その数は、「イギリスで毎年、新たに認知症と診断される人たちの 10%ほどにもおよぶ」ということもわかり、抗コリン薬の服用が、認知症のリスク要因の非常に大きな部分を占めていることがわかったのでした。

以下にその記事をご紹介します。

なお、この研究では、抗コリン薬の中でも、強力な作用があるとされる「抗うつ薬、膀胱の抗ムスカリン薬、抗パーキンソン薬、てんかん薬」などについての調査が主です。

ここからです。

Commonly prescribed drugs could increase the risk of dementia, says a new study
medicalxpress.com 2019/06/24

一般的に処方されている薬が認知症のリスクを大幅に高める可能性があることが新たな研究で見出される

英国国立健康研究所 (NIHR)のプライマリーケア研究学校によって資金提供され、英ノッティンガム大学の専門家たちによって実施された研究は、55歳以上で、毎日、強力な抗コリン薬を使用していた患者たちは、認知症のリスクがほぼ 50%増加したことが見出された。

抗コリン薬は、筋肉の収縮と弛緩に役立つ。それらは、神経系でメッセージを伝達する化学物質であるアセチルコリンを遮断することによって作用する。

病院では、慢性閉塞性肺疾患、膀胱の疾患、アレルギー、胃腸の障害、あるいはパーキンソン病など、さまざま症状を治療するために、この抗コリン薬を処方する。

これらの薬は、混乱や記憶喪失などの短期的な副作用をもたらす可能性は知られているが、長期的な使用によって認知症のリスクが高まるかどうかは研究されたことがなかった。

ノッティンガム大学のキャロル・クープランド (Carol Coupland)教授が率いたこの研究は、米国医師会が発行する JAMA インターナル・メディシン (JAMA Internal Medicine)に掲載された。

研究では、55歳以上で認知症と診断された 5万8,769人の患者と、認知症と診断されていない 22万5,574人の患者の医療記録を調べた。これらの患者たちは、2004年1月1日から 2016年1月31日の間に、英国の医療データベースに登録された人たちだ。

研究は、認知症の他の危険因子を考慮した後に、抗コリン薬全般と、そして特に抗コリン薬の中の抗精神病薬、抗パーキンソン病薬、膀胱薬、および、てんかん薬に対する認知症のリスク増加を示した。

抗ヒスタミン薬や胃腸薬など、すでに研究されている他の種類の抗コリン薬についてはリスクの増加は見られなかった。

ノッティンガム大学の認知症センターの代表であるトム・デニング (Tom Dening)教授は、以下のように述べる。

「この研究は、抗コリン作用を有する特定の薬を処方する際には、医師は用心するべきであるという証拠を提供しています。ただ、この種の薬を服用している患者の方々は、急に薬の服用を止めてはいけません。それは有害な作用となる場合があるからです。抗コリン薬を服用されていて、(認知症に対しての)心配がある場合には、医師に相談して、受けている治療法の長所と短所を考慮して対応する必要があります」

認知症患者 5万8,769人の平均年齢は 82歳で、63%が女性だった。それぞれの認知症の症例は、同じ年齢、性別、および一般診療の対照患者と一致した。

認知症になった人々の抗コリン薬への暴露は、認知症と診断される 1年前から 11年前までの 10年間、または対照患者における同等の日数の 10年間にわたる処方情報を使用して評価され、2つの患者群間で比較された。

さらなる分析では、認知症と診断される前の最大 20年間の抗コリン薬の処方が調べられた。

認知症と診断された日または対照群と同等の 1〜 11年前までのあいだに、認知症の症例の人々のほぼ 57%および対照の 51%が少なくとも 1つの強力な抗コリン薬を処方されていた。

症例数は平均で 6種処方、対照は 4種の処方であった。最も頻繁に処方される種類の薬は抗うつ薬、抗めまい薬、および、過活動膀胱の治療に使用される抗ムスカリン薬だ。

これは観察研究であるため、これらの抗コリン薬が認知症を引き起こすかどうかについての確固たる結論を引き出すことはできないが、認知症のごく初期の症状に対しても抗コリン薬が処方されていた可能性がある。

クープランド教授は、次のように述べている。

「私たちの研究は、強力な抗コリン薬、特に抗うつ薬、膀胱の抗ムスカリン薬、抗パーキンソン薬、てんかん薬に関連する潜在的なリスクのさらなる証拠を追加しています」

「このタイプの薬のリスクは、薬を処方するときの利点と一緒に医療従事者によって慎重に考慮されるべきであり、可能であれば、他のタイプの抗うつ薬や、膀胱のための代替タイプの治療などの代替の対処も考慮されるべきです。また、この研究は、定期的な投薬状況の確認を実施することの重要性も強調しています」

「私たちは、80歳以前に認知症と診断された人々のリスクがより高いことを見出しました。これは、抗コリン薬は中年の人々と同様に高齢者にも慎重に処方されるべきであることを示します。」

これらの結果は、2018年に発表された同様の研究の結果とともに、どのタイプの抗コリン薬が認知症の最も高いリスクと関連しているかを明らかにするのに役立つことになるだろう。

これらの抗コリン薬に関連するリスクの増加は、その関連が原因である場合、認知症診断の約 10%が抗コリン薬曝露に起因する可能性があることを示しており、これは英国における年間 20万9,600の新規の認知症の症例うちの約 2万例に相当するものだ。

これはかなりの割合であり、認知症の症例の人たちの持つ状態の他の割合は、中年の高血圧で 5%、糖尿病で 3%、後期喫煙で 14%、身体的不活動が 6.5%となっており、これらと比較しても、抗コリン薬曝露による認知症発症率は、他の危険因子に匹敵するか、それを上回る。

ここまでです。

今回の調査では、強い作用の抗コリン薬と認知症の関係についての研究でしたが、実は「強力ではない抗コリン薬」も、認知症となるリスクを高めることが、2015年のアメリカの研究で示唆されていました。

風邪や花粉症など、身近な薬がアルツハイマー病を増やす、飲むほど影響、米国グループ報告

米ワシントン大学を中心とする研究グループが、内科分野の国際誌である JAMA インターナル・メディシン誌オンライン版で、風邪や花粉症など、身近な薬がアルツハイマー病を増やすことを 2015年1月26日に報告した。

問題になるのは、抗コリン作用を持つ薬だ。抗コリン作用を持つ薬剤は多く、総合感冒薬や鼻炎薬、胃腸薬、一部の抗精神病薬、抗うつ薬などが知られている。

研究グループは、抗コリン作用薬を使った蓄積と認知症リスクの関連を明らかにする研究をより大規模に行った。

研究開始時に認知症がなかった 65歳以上の参加者 3434人を対象に、2年ごとに状況を調査、平均 7.3年間の追跡を行った。追跡したところ、参加者のうち2割強が認知症を発症。認知症の8割はアルツハイマー病だった。

認知症およびアルツハイマー病の発症と、抗コリン作用薬の使用状況の関係を調べたところ、抗コリン作用薬を長期間にわたって多く使用するほど認知症のリスクが増していた。


この際の調査では、「どのくらいの頻度で抗コリン薬を服用するとリスクとなるのか」ということに関する数値も出されていまして、その結果は、

「 1年間当たり 9日くらい抗コリン薬を飲むなら注意した方がいい」

ということになっていたのです。

つまり、少なくとも高齢者に関しては「 1年で 9日間、かぜ薬を飲んだらアウト」であり、「 1年で 9日間、抗うつ剤を飲んだらアウト」ということになってしまうらしいのですね。

このあたりから、現在の世の、メンタル疾患を持つ人たちに対して大量のメンタル系の薬を処方している現状を考えますと、今後さらに認知症は増えていくのだろうなと。

抗うつ剤でも、抗不安剤でも、基本的には「毎日飲む」ことが前提として処方されます。

そして特に、ベンゾジアゼピン系の抗不安剤などは服用期間が長期になりやすいです。ベンゾジアゼピン系もまた抗コリン薬です。

その認知症発症リスクの増加ぶりは、それほど軽視できるものではなく、こういうものは、医療過誤とは言われないものですけれど、「何とかしたほうがいいのではないか」とは思ったりすることもあります。

なお、アメリカ人の死因の上位は、以下のようになっています。
us-death-causes2014.jpg

1位の心臓疾患で亡くなる方と、2位のガンで亡くなる方が、それぞれ年間 60万人くらいですが、医療過誤での死亡数に関しては、先ほどのジョンズホプキンス大学の研究の「 25万人から 44万人」という数字を照らし合わせれば、ガンの次の 3位ということになりそうです。

私個人としては、先ほど書きましたように、「薬による幅広い副作用の影響」を考慮すると、あるいは「死因の 1位なのかもしれない」と思うこともあります。

とはいっても、これは医療を非難しているわけではありません。西洋医学というものは、そもそもが「仕方のない犠牲」の上に進んできたものだということの前提上にあると私は理解しています。

副作用のない西洋薬というものが存在しないように、西洋医学そのものの中に「何かを犠牲にして何かを治す」という思想は常にありまして、その思想の流れの中では、医療過誤による死亡数が多いことは当然でもあるのかもしれません。

なお、医療過誤のような経験をしないための唯一の方法は、「医療にかからない」ということになるのでしょうけれど、現実の世の中は、それとかけ離れていることなどを含めまして、なかなか難しい時代です。

最終更新:2019/08/19 20:55

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