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2019/05/09 23:37

史上初めてとなる「過去400年間のエルニーニョ現象の状況」を調査する研究で、エルニーニョはほんの過去十数年で頻度も強さも急激に上昇していたことが判明

2019年5月7日の米メディア「ザ・カンバセーション」より
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エルニーニョは21世紀直前の十数年間に信じられないほど激しくなった

昨日(5月7日)、科学誌ネイチャー・ジオサイエンスにメルボルン大学やオーストラリア国立大学など、オーストラリアの複数の大学や研究機関によって、

「過去400年間のエルニーニョ現象の発生状況の研究」

という論文が発表されました。

エルニーニョの実際の観測が始まったのは 1900年代初頭くらいのようですが、それ以前をどう調査したかといいますと「サンゴの体内に残る記録」を調べたのだそうです。

サンゴは、長い期間に渡る「海の状態の変化」をその体内に化学的組成として残しているのだそうで、サンゴを調査することで、過去のエルニーニョの発生の頻度や発生位置がわかるのだそう。

そして、それによりわかったことは、以下のような衝撃的な記録でした。

西暦 1600年からの、太平洋でのエルニーニョの発生頻度です。
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赤いラインは実際の観測値で、緑のラインがサンゴによる記録です。多少一致していない部分はあるにしても、おおまかの流れとしては、過去 400年では、このようになっていることが初めてわかったのでした。

どう見ても、

「 21世紀直前になって、エルニーニョは異様なほど増えた」

ということになっていたようなのです。

これを見ていまして、「地球の気候も荒れていくはずだよな」と、21世紀になってからの異常気象の状況に妙に納得しましたが、まずは、その研究に関しての記事をご紹介します。

ここからです。

El Nino has rapidly become stronger and stranger, according to coral records
The Conversation 2019/05/07

サンゴの記録は、エルニーニョ現象は最近になり急速に強くなり、そして以前とは違うものとなったことを示す

過去 400年の間に発生したさまざまなタイプのエルニーニョ現象を識別するものとしての最初となる記録によれば、エルニーニョのパターンが、近年劇的に変化していることがわかった。

エルニーニョは、この過去数十年の間に、過去 400年のどの時点よりもはるかに広く行き渡っていて、同時に、その数十年に、過去よりもはるかに激しくなっている。

この新たな発見は、間違いなく、エルニーニョ現象に対する私たちの理解を変えていくだろう。エルニーニョ現象の変化は、オーストラリア、東南アジア、そして南北アメリカの降水量あるいは気温の極値(過去最高の気温が観測されるなど)のパターンに影響を与える。

いくつかの気候モデル研究は、エルニーニョの最近の変化のタイプが気候変動に起因しているかもしれないことを示唆している。

しかし、これまで、エルニーニョに対しての長期間の観察の期間は限られたものだった。

そのような中、今日の科学誌ネイチャー・ジオサイエンス ( Nature Geoscience )に掲載された論文では、過去 400年間のエルニーニョ現象の状況を再現するために、サンゴの記録を使って、エルニーニョの長期観察の空白を埋めていくという作業をおこなったことが記されている。

エルニーニョとは何か

エルニーニョは、太平洋熱帯域の海洋の表面で、ほぼ一年にわたり海水温度が上昇する現象だ。これらの海水表面の温度の上昇は非常に極端で強力であり、それらの影響は世界中で感じられることになる。

激しいエルニーニョ現象の間、たとえば、オーストラリアとアジアの一部の地域では、通常の年よりも、はるかに少ない降雨量となる。南北アメリカの西部では、この反対となり、異常に暖かい海水上のより強い上昇の動きがしばしば大雨をもたらし、大規模な洪水を引き起こす。

同時に、世界中で記録されている最も暑い年の多くは、エルニーニョ現象と同時に起こっている。

そのような広範囲にわたり天候へと影響を与える理由は、エルニーニョが大気循環に変化を引き起こすためだ。

通常は、ウォーカー循環と呼ばれる大規模な大気の循環パターンが、熱帯太平洋の赤道に沿って空気を移動させる。

ところが、エルニーニョ現象の間は、熱帯太平洋の表面温度が暖かくなり、これにより通常の循環パターンを混乱させたり、あるいは、逆転させるのだ。このように大気の混乱が起きることによって気候への影響が生じる。

どの地域に気候の混乱があらわれるかは、エルニーニョの暖かい水のある大平洋の海域の場所によって異なる。

エルニーニョの新しいタイプ

そして今、新しいタイプのエルニーニョが、熱帯太平洋で確認されている。

このタイプのエルニーニョは、南米の海岸近くの極東太平洋で発生する海域の場所としては典型的な海水温度の高温化ではなく、中部太平洋の海の温度が高くなることを特徴としている。

中部太平洋のエルニーニョは、2014年から 2015年、そして最も最近では、2018年から 2019年を含む最近の数十年ではっきりと観測されている。

過去 400年間の大半にわたって、エルニーニョ現象は、中部太平洋と東部太平洋でほぼ同じ割合で起こっていた。

ところが、私たちの研究は、「 20世紀の終わりまでに起きたエルニーニョの突然の変化」を示していた。特に、中央太平洋でのエルニーニョ現象が急激に増加していたことが明らかとなっている。

また、以前は、東部太平洋地域で発生するエルニーニョ事象は、比較的弱い状態のままだったが、1982年から 1983年、1997年から 1998年、および 2015年から 2016年に発生した最近の 3つの東部太平洋でのエルニーニョは異常に強力なものだった。

過去の歴史を読むためにサンゴを使う

この新しいタイプといえる中部太平洋で発生するエルニーニョへの理解は、私たちが、「エルニーニョは、2年から 7年ごとにのみ発生する」という事実によって妨げられる。

現在のエルニーニョへの理解だけでは、この中部太平洋で発生するエルニーニョを本当に理解するのには十分ではなく、また、この中部太平洋でのエルニーニョが、今後一般的になりつつあるのかどうかの理解にも十分ではない。

そのような中で、研究者たちは、熱帯太平洋のサンゴを調査することにした。

サンゴたちは、科学者たちが機器を使ってエルニーニョを観測し始める以前から、何十年も何百年も成長し続けている。

サンゴは、エルニーニョに関連する海の温度の変化を含む、海の水の状態の変化の優れた記録倉庫だ。サンゴの成長の中に、過去の海水温度の変化が示されているのだ。その過去の状況が体内に保存されているサンゴから情報を収集した。

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その方法で、季節的な時間スケールで、サンゴの体内の化学における過去のエルニーニョ現象の特徴的なパターンを見ることができる。これらのパターンから、過去 400年間の、それぞれのエルニーニョを識別できるのだ。

サンゴの倉庫から得られた過去のエルニーニョの連続的な記録から、太平洋のエルニーニョのタイプの最近の異常な変化の明確な光景が見つかった。

なぜこの変化が気になるのか

このエルニーニョの状況の推移の異常な変化は、世界中の社会や生態系に深刻な影響を及ぼしている。たとえば、2015年から 2016年の間の最新の東部太平洋でのエルニーニョ現象は、世界中で病気の発生を引き起こした。

気候変動の影響が拡大し続けているため、記録的に暑い年の多くもエルニーニョと一致している。

さらに、太平洋には現在なおエルニーニョが居座っている。これらの交錯した出来事により、世界中の多くの研究者たちが、今後数ヶ月から数年のうちにどのような極端な天候が地球に出現するのだろうと考えているのが現状だ。

今回示された新しい記録は、エルニーニョの過去の変化を理解するための扉を開き、将来への影響もあるだろう。

さまざまな種類のエルニーニョが、過去にどのように展開されてきたかを知ることで、将来のエルニーニョと、その広範な影響についてモデル化し、予測、および計画を立てることができるようになる可能性がある。

ここまでです。

ちなみに、サンゴというのは「寿命では死なない」もので、100年でも 1000年でも生きるものなのだそう。サンゴは、増殖してクローンを増やすことで拡大するので、基本的には、環境が破壊されない限りは、半永久的に生きるものだそうです。

たとえば、徳島県南部に生息する「千年サンゴ」と呼ばれるサンゴは、大きさから推定すると、「 1700年くらい生きている」と推測されるのだそう。

このあたりから考えますと、サンゴを使った海の状態の変化の調査は、1000年くらいまではできるのかもしれないですね。

ただ、世界中でサンゴ自体が次々と「消滅」していますので、何ともいえない面はあります。これについては、以下の記事などで取りあげています。

サンゴと海藻が全滅に向かい続ける「地球の海」の近い未来

2016年6月18日のタイの報道より
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冒頭の記事は、ベトナムのビーチリゾートとして人気の海域で、サンゴ礁の 30%から 40%が「白化」の影響を受けていることが判明したという記事でした。

「白化」というのは、厳密には「死」という言葉と同義ではないですが、現状では限りなく近いですので、言い換えれば、大規模な白化現象というのは「サンゴの大量死」と同じような意味だと思っていただいて構わないと思います。

この報道を見て、

「なんだか、もう全世界でサンゴが消えてしまうのでは?」

と思ったのですが、すでに太平洋では大規模なサンゴの白化が拡大しています。

サンゴ礁で有名なオーストラリアのグレートバリアリーフのサンゴ礁は、もはや「絶滅間近」という言葉が使われ始める状態となっています。

下はナショナルジオグラフィックの記事です。

「白化していた」という言葉を「死にかけていた」と置き換えて読んでいただければわかりやすいかと思います。

グレート・バリア・リーフの93%でサンゴ礁白化

ナショナルジオグラフィック 2016/04/25

グレート・バリア・リーフは、2900の小規模なサンゴ礁から構成される。今回調査したのは911のサンゴ礁で、このうち実に93%に上る843のサンゴ礁が、何らかのかたちで白化していることが判明した。

さらに、主に北部にある手つかずの316のサンゴ礁において、そこに生息するサンゴの60~100%が白化していた。

サンゴ白化の拡大によって、副次的な影響が大きくなることは明らかだ。というのも、グレート・バリア・リーフには1500種を超える魚、世界のウミガメ7種のうち6種、30種のクジラやイルカが暮らしている。


今の海の状態が続けば、サンゴは消滅へ

現在の太平洋のサンゴの大量死の深刻な部分としては、いわゆる海の汚染とか、人的な要因とか、そういうこととはあまり関係がないと思われることです。

たとえば、先ほどのナショナルジオグラフィックの記事にも、アメリカ海洋大気庁(NOAA)のサンゴ監視に携わる人が、以下のように述べています。

「これほど広い範囲で、特に人間による影響が少ない北部で深刻な影響が出ていることは大きな問題です」

人間の生活圏から大きく離れたような場所でも、次々とサンゴが死んでいっているということで、最大の理由は「海水温の異常な上昇」ということになりそうですが、地球の海水温の異常な高さは、もう長く続いている上に、今すぐに解消していくという感じもしない問題ではあります。

そして、海水温度の高さは「ほとんど全世界の海域」に及んでいます。

2014年7月までの世界の海水温度の推移
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このグラフは 2014年7月までのものですが、全世界の気温と共に海水温度もさらに上昇し続けていて、しかも、大西洋の一部を除いた地球上のほぼすべての海域でこのようなことになっているのです。

グレートバリアリーフのサンゴの大量死の原因のひとつが「海水温度の上昇」だとしますと、これは世界の他の海域にも当てはまるわけで、地球上のあらゆる海域のサンゴが白化していっても不思議ではないと思います。

そして、少なくとも太平洋に関しては、サンゴを滅ぼしているのは、海水温度だけではないのです。

もうひとつ大きな要因があります。

それは、「ヒトデ」なのです。

2015年11月16日の米国ワシントンポストより
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ヒトデの中の「オニヒトデ」というものなのですが、このオニヒトデの太平洋での数も増殖が続いていて、数千万匹という数のヒトデが日々、太平洋のサンゴを食べ続けています。

以前、地球ブログで翻訳しましたオーストラリアの報道から抜粋したいと思います。

オニヒトデが「まるで農作物に被害を与えるイナゴのように」大発生している
Brisbane Times 2015/12/11

グレートバリアリーフのサンゴを食べてしまうヒトデの発生が、これまでの記録を上回って過去最悪になる可能性があり、自然保護活動家たちを恐れさせている。

WWF のオーストラリア支局が委託したレポートによると、サンゴを食べるオニヒトデの数は 2020年までに 1200万匹から 6000万匹に上昇する可能性が述べられている。

オニヒトデのサンゴの被害についての著作がある専門家のグレン・ホルムズ( Glen Holmes )博士は、「これはまるで、イナゴによる壊滅的な被害のようなものといえるものなのです」と述べる。

ヒトデによる被害の規模は、すでに過去 30年間でサンゴ礁「6万ヘクタール」に及んだ範囲で生きたサンゴが壊滅していっていると考えられている。

このオニヒトデの拡大を止めるための手段は何もない。


この「ヒトデがサンゴを絶滅に追いやっている」という響きには、何かこう皮肉な部分がありまして、種類はオニヒトデとは全然違うものではありますが、太平洋では「ヒトデが絶滅していっている」という事実があるのです。

これは何度か記事にしたことがありましたが、たとえば、

米国オレゴン州のヒトデは「絶滅の方向」へ。そして、その出来事から考える、神や神のようなものが自然の中に創造したものたちの色や形の意味

「これは前例のない出来事です。私たちはこれまで、このような大規模で壊滅的な消耗性疾患の拡大を見たことがありません。」
- ブルース・メンゲ教授(オレゴン州立大学総合生物学科)


2014年6月4日の米国オレゴン州立大学ニュースリリースより。
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オレゴン州にあるオレゴン州立大学から、冒頭に貼りましたように、「オレゴン州では地域に一部の種類のヒトデが全滅されると予測される」というショッキングなニュース・リリースがありました。この2週間ほどで急速に事態が悪化したのだそうです。

このアメリカ西海岸のヒトデの「消滅」は、消耗性疾患というようにつけられていますけれど、要するに、

・自切して溶けて消えていく

という、見た目もその状況も悲劇的なものです。

アメリカの海岸でのヒトデのことを最初に記事にしたのは、昨年 11月でした。

米国の海に広がる衝撃的な光景 : まるで絶滅に向かおうとしているような「ヒトデたちの自殺」
2013年11月07日
自分で手足を次々と落として死んでいくアメリカ沿岸のヒトデたち

自らを助けない自切を見て

現在、アメリカ西海岸から東海岸、そしてカナダの東海岸を中心として、極めて大規模な「ヒトデの大量死」が進行しています。

このこと自体は、わりと以前から知っていたのですが、このヒトデの大量死が、単なる大量死ではない非常にショッキングな状況で起きている可能性があることを知りまして、今回はそのことを書きます。

ところで、私は今回のことを調べていて、現象は知っていたものの、それを表現する単語があることを初めて知った日本語があります。それを最初に書いておこうと思います。それは「自切」(じせつ)という言葉です。Wikipedia からです。

自切

自切は、節足動物やトカゲなどに見られる、足や尾を自ら切り捨てる行動(ないし反応)。

なぜ自ら体の器官を切り捨てるかは状況により異なると思われるが、主に外敵から身を守るために行われる例が多い。すなわち外敵に捕捉された際に肢や尾等の生命活動において主要ではない器官を切り離すことで逃避できる可能性を作り、個体そのものが捕食される確率を下げるための適応であると考えられている。

そのため自切する器官はあらかじめ切り離しやすい構造になっていたり、喪失した器官を再生させる等の機能を持つ種が多い。


トカゲが自分の尻尾を切って逃げる、ということに代表されて言われることの多い現象ですが、上の表現で、

 > 自らの体の器官を切り捨てるのは、主に外敵から身を守るために行われる例が多いという意味の表現があります。

起きているアメリカでのヒトデの大量死では、まさにこの「自切」行為が発生しているのですが、しかし、普通の自切と違うのは、「自分を守らず死んでしまう」ところです。

つまり、ヒトデたちが自分の腕を自分で落としていってから死んでいっているということが、明らかになろうとしているのです。

なお、これらの現象は決してミステリーの類いではなく、このヒトデの大量死が「消耗性疾患」という名前の病気だということは判明しているのですが、過去にないほど拡大し続けていることと、こんな状態を「どんな科学者も今まで見たことがなかった」ということで、脅威を与えているようです。

AP 通信によれば、ある種ではその棲息エリアで 95パーセントが死滅しているそう。

海洋研究者が日々見ている光景

下はカリフォルニア州のサンタクルーズにあるロングマリン研究所( Long Marine Laboratory )という海洋研究所の人のサイトの記事にある写真です。

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内容は下のようなものですが、このタイトルの「 And then there were . . . none 」というのが私にはどうにも日本語として訳せなくて、タイトルなしで概要を記します。

このヒトデの種類は Pisaster ochraceus と書かれているのですが、これも日本語が探せなくて、こちらのサイトによりますと、これは日本語で「マヒトデ」というものに属するもののようです。

And then there were . . . none

Notes from a California naturalist 2013.09.13


研究室にあるすべてのマヒトデが死ぬまで、すなわち、最後のマヒトデが自分自身の体をバラバラにしていくまで、私は丸3日間、そこにいた。

そしてこの写真(上の写真)が、今朝、私の飼育する生き物に起きた光景だった。

ヒトデの本体はまだ残っているのだが、彼らは気まぐれに自切していくので、私は切断された触手を検査しながら、さらに時間を過ごした。

彼ら(バラバラになった手たち)は、自分が死んでいることを知らない。

私はこの数日間、彼らが幽霊になることを諦める前のそれらのバラバラの状態の触手を10個前後見てきた。その切断された手は、自切した後もかなり長く動き続ける。少なくとも1時間くらいは手だけで動き続ける。

私は、この、もともと美しく複雑な「海の星」の切断された腕を解剖スコープの下のボウルに入れて写真を撮った。

私は、この研究所で、ヒトデのこの病気を扱っている唯一の研究者ではなく、隣の部屋でも、そして、他の研究所では Pycnopodia helianthoides (俗名ヒマワリヒトデ)を失っている。また、学生たちがサンタクルーズの海中でヒトデの大量死を見つけたという話も聞いている。

この数週間で海で起きている様々なことは、もしかすると、何か本当に悪いことの始まりなのかもしれないとも思う。


というもので、この時には「溶ける」という概念は報道にはまだ登場していませんでした。

この研究員の人が、上の時期、つまり、 2013年 9月 13日にAnd then there were . . . none書いた

もしかすると、何か本当に悪いことの始まりなのかもしれない。

という予感は不幸にして的中したのでした。

それが冒頭にある「オレゴン州での全滅」であり、原因がわからずに、爆発的な拡大を続けているということは、これは次第に「アメリカ西海岸全域での(ある種の)ヒトデの全滅」という方向性に進む可能性はかなりあると思われます。

そして、今回のオレゴン州のヒトデの全滅は、この時のカリフォルニアの海洋研究所の研究員が見続けていた「自切」ではなく、もっと悲惨な状態、つまり、「溶けていく」というものでした。

この「ヒトデが溶けて消えていく」ということに関しては、2013年12月の記事、

「星が消えて海が壊れる」アメリカ周辺のヒトデの大量死の状態は「分解して溶けて消えていく」という未知の奇妙なものだった

そして仮に太平洋でヒトデが「全滅」した場合、海の生態系は大きく破壊されると指摘する科学者たち
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▲ オーストラリアのシドニー・モーニング・ヘラルドが、アメリカ周辺のヒトデの「大量消滅」の特集を組んだ記事より。

海が壊れ始めている

現在起きているアメリカでのヒトデの大量死では、まさにこの「自切」行為が発生しているのですが、しかし、普通の自切と違うのは、「自分を守らず死んでしまう」ところです。

つまり、ヒトデたちが自分の腕を自分で落としていってから死んでいっているということが、明らかになろうとしているのです。

なお、これらの現象は決してミステリーの類いではなく、このヒトデの大量死が「消耗性疾患」という名前の病気だということは判明しているのですが、過去にないほど拡大し続けていることと、こんな状態を「どんな科学者も今まで見たことがなかった」ということで、脅威を与えているようです。

トップに貼った記事はオーストラリアのメディアなのですが、そのことについて、非常に詳しく伝えています。これは後でご紹介しますが、その状態。

ドロドロに溶けて海底に付着するヒトデたち

アメリカの KUOW というニュースメディアが、シアトルの海中の様子を撮影した動画を紹介しています。撮影したのは、20年間のダイバー歴のあるローラ・ジェームス( Laura James )さんという女性です。1年間のシアトルの海底の変化を追っています。
vimeo-01.gif

彼女の撮影した動画は、米国の動画共有サイト Vimeo にありますが、下のような状態になっているようなんです。

・まず生きている状態から溶けていく
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・そのまま朽ちて海底に落ちていく
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・海底に落ちたヒトデは粘質の「物質」となり、その白い粘体がシアトルの海底に広がっている
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という感じのようで、ローラさんはコメントで、「 20年間のダイビング歴の中で、こんな光景は見たことがないのです。今まで水中で私が見た中で最も哀しい光景です」と述べています。

哀しいのも確かですが、原因がわからないということに生物学者たちが懸念を持っているということと、ヒトデの大量死の規模があまりにも大きく、海の生態系への影響も考えられているようです。

そして、ヒトデの大量死が起きている範囲もはるかに広くなっています。

カリフォルニア州の地元メディア KRCB の報道に、現在、カリフォルニア州の海で「ヒトデの消滅」が起きている場所が地図で示されています。下がその地図です。

sea-star-map_1.jpg
赤が「 yes 」、青が「 no 」とありますので、調査した地点でのこの赤の地点で、ヒトデの消滅が発生しているということだと思います。

シドニー・モーニング・ヘラルドの記事をご紹介しておきます。

生物学者たちは、ヒトデの大量死の規模があまりにも大きいために、海の生態系そのものに影響を及ぼすのではないかと懸念しているようです。

Freakish disease is turning starfish into goo
SMH 2013.11.27

奇妙な病気がヒトデを粘体の物質にしてしまっている

北米の西海岸と東海岸で、見るに堪えない姿になるヒトデたちの大量死が発生している。

ヒトデたちのカラフルな手足は曲がり、まるでトカゲのように手足が体から切り落とされる。それだけではなく、ヒトデの内部から潰瘍のように組織に穴が開き、内臓が外部にしみ出るのだ。

その光景はまさに身の毛のよだつものだが、海洋科学者たちは、ヒトデたちは、知られていない何らかの消耗性疾患による攻撃を受けていると言う。

今回のヒトデの大量死の規模は、太平洋沿岸で記憶にないほどの大きなものとなっている。

太平洋沿岸だけではなく、大西洋に面するアメリカ東海岸のロードアイランド州とメイン州でもヒトデの大量死が発生していることが確認されている。

科学者たちは、ヒトデたちの大量死がもたらす生態系への影響についての意見の合意はいまだに得ていない。ヒトデは、イガイやムール貝、あるいは小魚等の相互関係の中での生態系に関与している。

カリフォルニア大学の生態学と進化生物学が専門のジョン・ピアーズ( John Pearse )名誉教授は、「この影響は考えられないほどですが、制御不能になる前に科学者たちはこの問題に対処できると確信しています」と語っている。

しかし、この病気を研究しているカリフォルニア大学の他の専門家は、その意見に同調していない。進化生物学のピート・ライモンディ( Pete Raimondi )教授は、「この病気の研究は始まったばかりなのです」と言う。

また、さらに重要なことは、これらの出来事は「変化の前哨であるにすぎない」と言う科学者がいることだ。コーネル大学の生態学者であるドリュー・ハーヴェル( Drew Harvell )教授はそのひとりだ。

「現在起きていることが極めて極端な出来事だということは科学者全員が考えていると思います。そして、まずは、いったい何が起きているのかを突き止めることが最も重要なことなのです」

とハーヴェル教授は言う。

ちなみに、彼らは、この原因を気候変動や海水の酸性化、あるいは地球温暖化と結びつけて考えることを完全に否定している。

ハーヴェル教授は以下のように述べた。

「何なのかわからないということが最も恐ろしいのです。細菌、ウイルス、寄生虫、あるいは外来種によってもたらされた病気。その見当さえつかないのです」。

そして、こう続けた。

「もし、同じようなことが人間に起きた場合なら、アメリカ疾病予防管理センター( CDC ) は、膨大な予算と、軍隊やあらゆる医者を動員して原因を究明しようとするでしょう。しかし、海洋生物の病気の解明のためには、そのような予算が用意されることはないというのが現実です」。

の頃から明らかになってきたことでした。

そして、直接的に報道されるきっかけとなったのは 20年間のダイバー歴をもつローラ・ジェームス( Laura James )さんというシアトル在住の女性ダイバーが、「1年間のシアトルの海底の変化」を追っていた際に、

「ヒトデたちがドロドロに溶けていく光景」

を目撃し、長期間にわたり、シアトル沿岸の様子を米国の動画サイト Vimeo にアップし、それが各メディアで一斉に報じられたのでした。

オレゴン州立大学のニュースリリースの概要を記しておきます。

Sea star disease epidemic surges in Oregon, local extinctions expected
米国オレゴン州立大学 ニュースリリース 2014.06.04

オレゴン州のヒトデの疾病の爆発的拡大に関して地域的には全滅が予想される

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このほんの2週間ほどの間に、オレゴン州沿岸のヒトデの消耗性疾患は、歴史的な範囲に拡大しており、ヒトデの種類の中には、全滅するものもあると予測されるという事態となっている。

消耗性疾患の発生を監視してきたオレゴン州立大学の研究者によると、オレゴン州沿岸では、局所的に一部の種類のヒトデが絶滅するかもしれないという。

この消耗性疾患は、アメリカ西海岸で広く知られていたが、今回のオレゴン州のように、急速に広範囲に拡大するのは異常としか言えないと研究者たちは語る。

推定では、現在、地域的に最高で 60パーセントのヒトデが消耗性疾患で死んだと考えられるが、じきに 100パーセントが死に絶える海域が出るだろうと予測されている。

オレゴン州立大学総合生物学科のブルース・メンゲ( Bruce Menge )教授は以下のように言う。

「これは前例のない出来事です。私たちはこれまで、このような大規模で壊滅的な消耗性疾患の拡大を見たことがありません。原因もまったくわからないのです。そして、これにより、どのような深刻なダメージがあるのか、あるいは、今後もこんな状態が持続していくのか、それもわからないのです」。

決定的な原因はまだ同定されていない。

細菌やウイルスなどの病原体などの可能性も含め、研究者たちはこの問題に取り組み続けている。

という記事の中でご紹介したオレゴン州立大学のニュースリリースには、

このほんの2週間ほどの間に、オレゴン州沿岸のヒトデの消耗性疾患は、歴史的な範囲に拡大しており、ヒトデの種類の中には、全滅するものもあると予測されるという事態となっている。

消耗性疾患の発生を監視してきたオレゴン州立大学の研究者によると、オレゴン州沿岸では、局所的に一部の種類のヒトデが絶滅するかもしれないという。

この消耗性疾患は、アメリカ西海岸で広く知られていたが、今回のオレゴン州のように、急速に広範囲に拡大するのは異常としか言えないと研究者たちは語る。


とあり、これが2年前ですから、今どうなっているのかは正確にはわからないですが、種類によっては「全滅」している可能性もありそうです。

このヒトデの死に方がまた記憶に残るものだったんですね。その死に方の名称こそ「消耗性疾患」というような難しい呼び方をされているのですが、一言でいえば、

「自分で自分をバラバラに崩壊させて死んで行く」

という「自死」に近いものでした。

下のように、「自分で」自分の腕を切り落としていって、ついには死んでしまうのです。
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いっぽうでは、太平洋でヒトデたちが「自死」を決行していて、その太平洋では、種類は違うヒトデとはいえ、ヒトデがサンゴを食べ尽くしているという構図は「何だかなあ」と思わせるものがあります。

そして、海藻も「海に生命が生きられる環境を作っている」わけですが、海藻も、地域的には確実に「絶滅」に向かっているのです。

2016年4月28日のロシア・トゥディより
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アメリカのフロリダ湾で大規模な海藻の大量死が起きていることを報じたものですが、原因は「はっきりとしない」のです。

これも、仮に原因が人為的なものではなく、海水温の変化や海流の変化など「自然」の原因だとすれば、この海藻の地域的な絶滅も、あらゆる場所で発生する可能性があるのかもしれません。

ちなみに、海から海藻やサンゴが次々と消えて言っている中、増えているのは、「藻」です。

2016年3月13日のカナダの報道より
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藻の毒素は、海や川の小さな生物から大きな生物、陸上の生物へと循環していくものですので、食物連鎖の最後のほうにいるものたちは、藻の毒素が凝縮された魚や肉を食べているのかもしれません。

いずれにしましても、今、海は激しく変化しようとしているのかもしれず、もし仮に今の傾向が止まらなかった場合、すでに各所に点在している生命が生きられない海域「デッドゾーン」の出現がさらに加速するのかもしれません。

ところで、最初のほうに示させていただきました「エルニーニョの発生数の変化」のグラフを見ていますと、過去記事、

・自然災害は予想以上の驚異的な勢いで地球の文明を崩壊させ続けている : ドイツの大学が発表した西暦1900年以降の災害損失データベースが示すこと

2016年4月20日ドイツ・カールスルーエ工科大学ニュースリリースより
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過去115年の災害被害の推移の「壮絶さ」を数字で見る

ドイツ最古の工業大学であるカールスルーエ工科大学というのがありまして、この大学は、CATDAT という「世界の自然災害に起因する社会経済的損失」に関してのデータベースを持ちます。

昨日、カールスルーエ工科大学は、このデータベースから、

「西暦 1900年から 2015年までの自然災害での経済的損失と、全死亡者数」

のデータを作成し、公開しました。

これがですね・・・。予想を上回るというのか、実際に私たちはものすごい時代に生きているということが数字として実感できるものなのです。

今回は、そのカールスルーエ工科大学のニュースリリースをご紹介しようと思いますが、まずは、とにかく、そのデータをご覧いただきたいと思います。

1900年から 2015年までの自然災害での経済的損失の推移(米ドル)
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たとえば、この100年ちょっとの間に「世界がどれだけ変わってしまったか」を感じるには、1900年からの 20年間と、現在の 2016年までの 20年間という2つの時代を下のように比べますと、そのすさまじさがわかります。

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もう、これは「全然別の地球に生きている」というような言い方をしてもいいようなすごさで、しかも、1900年からというのは、たった 100年くらいしか経っていないのですよ。それでこれだけ地球は変わってしまった。

現生人類は十数万年の歴史を持っていますので、100年というと、比較的「瞬間」的な時間だと思うのですが、その「瞬間」の間の自然災害のすごいこと。

印象的なのは、100年前にはほとんど見られなかった、

森林火災(グラフの赤の部分)
干ばつ(グラフの黒の部分)
が、数多く起きていることです。

洪水は昔からあったもののようですけれど、最近はそこに「火」が加わっている。

でご紹介させていただきました「過去 120年の自然災害での経済的損失の推移」のグラフの形を思い出します。とても似た形をしているのです。

先ほどのエルニーニョの推移のグラフと並べますと、以下のようになります。

el-nino-1600.jpg

disasters-1900-2015a.jpg

どちらも、「 21世紀に向けてガーッと急激に上昇」していることがわかります。

自然災害の中は、エルニーニョの影響によるものもたくさんあることを考えれば、こういうような似たような推移となるというのも必然なのかもしれないですね。

それにしても、エルニーニョは、簡単にいえば、海の海水温度の変化の現象ですから、しみじみと、

「地球の環境を牛耳っているのは海なのだなあ」

と思います。

しかし、では、「なぜ海の温度が一定期間、変化するのか」ということについては、今でも「わからない」ままです。

たとえば、エルニーニョ - Wikipedia には、その発生の原因について、以下のようにあります。

エルニーニョ - Wikipedia「発生の根本的な原因」より

海水温や気圧の異常を引き起こす根本的な原因を突き止めようと研究が行われているが、根本的な原因は未だに詳しく解明されていない。しかし、一部分については解明されてきている。

エルニーニョの場合、海水温の異常が発生する数か月前に東から西に流れる赤道海流が弱まったり反転したりする現象が観測されている。これは、何らかの原因によって海流に変化が起きたことによるものと考えられている。(略)

いずれにしても根本的な原因は確定していないのが現状である。


このように、「一部分については解明されてきている」とはいっても、その解明されてきている部分の説明にも、「何らかの原因によって」と「何らか」ありますようにエルニーニョの根本的な原因は不明のままということになりそうです。

それにしても、 1年間近くも、海の温度を高いままにする力の根源は何なのかということには、とても興味があります。

しかも、それはランダムに適当なものでもなく、場所にしても期間にしても、比較的過去の規則に則って起きる。

とはいっても、ご紹介した中にありますように、ここ数十年、あるいは 21世紀になってから、エルニーニョは、頻度も強さも場所も決定的に変化しているようです。

このような変化がさらに進めば、地球の気候の荒れ方もさらに激しくなっていくのは不可避なのかもしれません。

なお、現時点の地球もエルニーニョの渦中にありまして、気象庁によれば、10月頃まで続く可能性が高いとしています。

これが日本にどのような影響を与えるかは明白なところはわかりませんが、一般的には、エルニーニョの夏は、気温が低くなり、西日本で雨が多くなる傾向があるとされています。

いずれにしても、世界各地で今年の夏から秋も相当荒れた状況となっていくことが予想されます。

最終更新:2019/05/09 23:37

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2019/05/09 14:53

戦争や震災ドラマが子供に悪影響を与える!? いよいよ意味不明になってきた報道規制の現状を業界人が暴露

テレビの世界の平成という時代を振り返るとき、規制が強化された時代と表現する業界関係者は多い。その流れは令和の時代にも引き継がれる予感があるが、最新の規制事情を聴くと驚愕の実情が明らかになった。

「タバコやアルコール、薬物などを使用するシーンはたとえヤクザ映画や暴力映画でも規制が入っています。そのため、表現手法は次々に削られている状況ですが、ついには戦争もNGになりつつあるんです」(在京テレビ局ドラマ部門スタッフ)

 戦争がNGとはどういうことだろうか。

「映画やドラマのひとつのジャンルとして戦争ものってありますよね。これが丸々、今後は作れなくなる可能性が出てきているんです」(同)

 信じがたい話だが、なぜそんなことになっているのか。

「無論、発端は苦情です。戦争は悪いことであり、それを子供に見せるのは悪影響だというクレームが来るんです。また、人が死ぬシーンを見せるのも恐怖心を与えるということで、戦争を題材にした映画はまだしもドラマに関してはかなり企画が通りにくくなっています」(同)

 たしかに戦争は良くないことだ。しかし、終戦記念日などの前後には教訓として受け継ぐ意味でも重要な戦争ドラマがあるはずだ。

「テレビ局としても戦争を賛美するようなドラマを作っているわけではなく、この日本がかつて誤った道を歩んだ日を知るための作品として届けているつもりです。しかし、戦争を日本がおこなったことを子供に知らせるのは悪影響だから戦争ドラマを作るなという意見が親御さんなどから届くんです。

学校の教科書に載っているのに、おかしな話だとおもいませんか」(同)

これはおかしな話だ。

さらに、もうひとつNGになりつつあるテーマがあるらしい。

「ズバリ、震災関連の再現ドラマです。東日本大震災や阪神淡路大震災などをテーマに毎年いくつかのドラマやドキュメンタリーが作られていますが、こうした内容を子供が怖がるということで放送しないでくれと言われています。無論、津波の映像はトラウマになっている人も多いために注釈テロップを入れるなどして放送していますが、教訓として残すべき逸話も多いため、ドラマは重要です。

さらに、この震災関連のドラマも『子供に悪影響』と言ってくる団体などがあるんです。恐怖という理由はまだしも悪影響と言われてしまうと、もはや意味不明ですよ」(同)

本当に意味不明だ。過去の実際の出来事から現代を生きる人間が学ぶべきこと、忘れてはいけないことがたくさんあり、それを伝えてくれるドラマも多いはずだ。

恐怖心があるからクレームが来るのはまだしも、悪影響とはどういうつもりなのだろうか。このような苦情をテレビ局に入れる親御さんや市民団体の当事者に話を聞いてみたい。

最終更新:2019/05/09 14:53

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