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2019/04/25 20:59

宇宙線の地球への到達量がもうじき「観測史上最高値」を突破する

2019年4月25日
cosmic-rays-2009.jpg

もうじき観測史上最大の記録に

太陽活動が弱まっていく中で、地球に到達する宇宙線の量が急増していることは、昨年以来、何度か記事で取りあげてきました。

冒頭の NASA のニュースリリースは、今から10年前の 2009年のもので、この 2009年には、歴史的に弱い太陽活動の中で「地球で観測された宇宙線の到達量が観測史上で最も高くなった」のですけれど、そのことを報じるニュースです。

そして、今日 2019年4月25日のスペースウェザーでは、

「もうじき、宇宙線のレベルは、その 2009年を突破する可能性が高い」

ということを記事で報じていました。

宇宙線の観測をしている機関や施設はいろいろとありますが、その中で、最も歴史があるものが、1964年から観測を続けているフィンランドのオウル大学にある宇宙線観測モニターで、その 55年の宇宙線のレベルの推移は以下のようになっています。

オウル大学の中性子モニターによる宇宙線到達量の推移
1965-2019-cr.jpg

上のグラフは、ちょっと小さくなってしまって、見づらいと思いますので、2004年からのグラフを示しますと、以下のようになります。

2004-2019-cr003.jpg

あと 1%ほどで 2009年の記録に並ぶことがわかりますが、その後はこの数値を越えていくことになると思われます。

まずは、スペースウェザーの記事をご紹介したいと思います。

COSMIC RAYS ARE NEARING A SPACE AGE HIGH
spaceweather.com 2019/04/25

宇宙線の到達量が宇宙時代の最高値に近づいている

10年前の 2009年、NASAは「宇宙線のパーフェクトストーム」を報告した。

2009年の間に、深宇宙から地球にやって来るこの放射線は、観測史上の過去 50年の中での最高値に達した。これは、宇宙時代の間で、それまでに観測されたことのないレベルの記録となった。

そして今、地球に到達する宇宙線量が、再び新たな最高値を記録しそうになっている。

地上で宇宙線量を観測している中性子モニターと、地球の高高度で宇宙線を検出している観測バルーンは、地球に到達する宇宙線の新たな増加を記録している。

1964年から宇宙線の測定を続けているフィンランドのオウル大学にある中性子モニターは、2019年4月に観測された宇宙線のレベルは、過去最大の記録となった 2009年の宇宙線量にほとんど近づいていると報告している。

この原因は、太陽活動極小期の状態と関係がある。太陽活動極小期は、約 11年間の太陽活動のサイクルの中で太陽活動が低い状態の時で、この時には太陽の磁場と太陽風は弱まる。

宇宙線の進行を妨げるのは主に磁場であるため、太陽の磁場が弱くなると、宇宙線は太陽系の中を容易に通過しやすくなる。そのため、太陽活動が弱くなると、太陽系内の宇宙線が増加するのだ。

2009年の太陽活動は、過去 100年で最も黒点が少なく、活動が極めて弱かった。そのために地球に到達する宇宙線の量は急増した。

それから 10年後の現在、太陽は極小期に入ろうとしているが、太陽の活動の弱い状態、すなわた磁場と太陽風が弱まる状態が再びやってきている。

NASA が述べた「パーフェクトストーム」とはこのことだ。

NOAA (アメリカ海洋大気庁)と NASA が率いる専門家によるパネルは、現在の太陽活動は 2019年後半あるいは 2020年に最も低い状態(極小期)になると予測しており、その際には太陽の活動が記録的に弱かった 2009年と同じようなレベルになる可能性がある。

もうじき、地球への宇宙線の到達量の新しい記録が作られると思われる。

ここまでです。

このスペースウェザーの記事では、このような宇宙線量の急増は、太陽活動極小期と関係があるとしていまして、確かにそうなのですけれど、ただ現在までの増え方のペースの早さには、昨年以来、科学者によっては懸念している人たちが数多くいたほどのものでもあります。

たとえば、今から約1年ほど前のスペースウェザーには、「悪化し続ける宇宙線の状況」というタイトルの記事で、その急増ぶりと、宇宙線が人体、気候などに与える影響にふれていました。そこから少し抜粋翻訳させていただきます。

THE WORSENING COSMIC RAY SITUATION
Spaceweather 2018/03/06

悪化し続ける宇宙線の状況

ニューハンプシャー大学のネイザン・シュワドロン教授が率いた研究は、人体等に危険でもある深宇宙からの放射線が、これまでに予測されていたよりも速いペースで加速していることを示した。

地球と月の間の宇宙空間の宇宙線レベルは、過去数十年の宇宙時代(人類が宇宙への探査等を始めた時代のこと)には見られなかったレベルでピークを迎えており、宇宙空間の放射線環境が悪化していることがわかった。

銀河宇宙線は、太陽系の外からやって来ている。それらは、超新星爆発および宇宙の他の暴力的な事象によって地球に向かって加速される高エネルギー光子と亜原子粒子の混合物だ。

そのような宇宙線から最初に私たちを守ってくれるのは「太陽」だ。太陽の磁場と太陽風は、太陽系に侵入しようとする宇宙線を遮る「シールド」を作り出すために組み合わされている。

太陽が宇宙線を遮る作用は、11年間周期の太陽活動とシンクロしており、太陽活動の最大期に最も強くなり、そして、太陽活動の最小期には最も弱くなる。

今、その太陽の防御に問題が起きている。

研究者たちが新しい論文で指摘しているように、太陽のシールドが弱体化しているのだ。

シュワドロン教授は以下のように述べる。

「過去 10年間、太陽風は低密度と低い磁場強度を示してきましたが、現在は、宇宙時代には決して観察されなかった異常な状態を表しています。このように太陽活動が著しく弱い結果として、私たちはこれまでで最大の宇宙線の放射を観測しているのです」

この記事の翻訳の全体は、記事でご紹介しています。

予測をはるかに上回り激増している宇宙線と放射線 その人類への影響は何か。気象、天候、人間の健康、地震や噴火そして生命の進化にも関係する? 

2018年3月6日のスペースウェザーの記事
cosmic-ray-situation.jpg

地球の成層圏の放射線量の過去2年間の推移
balloon-data-2015.jpg

予測を上回る増加を見せる宇宙線の影響はどのようなものか

NOAA や NASA などからのデータ提供により宇宙天気や太陽活動の情報を日々、提供してくれているアメリカのスペースウェザーですが、3月6日に、

「悪化し続ける宇宙線の状況」

といタイトルの記事がありました。スペースウェザーのひとつの記事は短いものが普通なのですが、この記事はかなり長く記されていたもので、現在の、そして今後の「宇宙線の状況」ついて懸念している感じがうかがえました。

まずはその記事をご紹介したいと思います。

内容的には、

・地球近辺の宇宙空間と、地球の大気圏内の宇宙線が予測以上に増加している

・それによって有人宇宙探査に影響が及ぶ可能性

・地球のさまざまな状況(気象、天候、人体の健康)に永久が及ぶ可能性


などについて書かれたものです。

では、ここからです。

THE WORSENING COSMIC RAY SITUATION
Spaceweather 2018/03/06

悪化し続ける宇宙線の状況

宇宙線の状況が悪化し続けている。これは研究誌「Space Weather」に掲載されたばかりの新しい論文の結論だ。

ニューハンプシャー大学のネイザン・シュワドロン(Nathan Schwadron)教授が率いた研究は、人体等に危険でもある深宇宙からの放射線が、これまでに予測されていたよりも速いペースで加速していることを示した。

シュワドロン教授たちの研究グループが最初に宇宙線に関する警報を鳴らしたのは、今から 4年前の 2014年のことで、それは NASAの月周回無人衛星「ルナー・リコネサンス・オービター(LRO)」に搭載された、放射線の影響の調査のための宇宙線望遠鏡「 CRaTER 」のデータの分析から得たものだった。

それによれば、地球と月の間の宇宙空間の宇宙線レベルは、過去数十年の宇宙時代(人類が宇宙への探査等を始めた時代のこと)には見られなかったレベルでピークを迎えており、宇宙空間の放射線環境が悪化していることがわかった。

シュワドロン教授らは、この宇宙線レベルは、宇宙飛行士たちに危険が及ぶ可能性があるものであること指摘し、2014年の発表時よりも、さらに「宇宙空間で人間が移動できる時間(宇宙空間に滞在する時間)」を短縮した。

論文では、30歳の男性の宇宙飛行士がアルミシールドを搭載した宇宙船で宇宙を飛行できる限度日数は、1990年には 1000日だった。しかし、2014年の宇宙船のレベルでは、700日が限度だという。

「これは大きな変化です」と、シュワドロン教授は言う。

銀河宇宙線は、太陽系の外からやって来ている。それらは、超新星爆発および宇宙の他の暴力的な事象によって地球に向かって加速される高エネルギー光子と亜原子粒子の混合物だ。

そのような宇宙線から最初に私たちを守ってくれるのは「太陽」だ。

太陽の磁場と太陽風は、太陽系に侵入しようとする宇宙線を遮る「シールド」を作り出すために組み合わされている。

太陽が宇宙線を遮る作用は、11年間周期の太陽活動とシンクロしており、太陽活動の最大期に最も強くなり、そして、太陽活動の最小期には最も弱くなる。

今、その太陽の防御に問題が起きている。

研究者たちが新しい論文で指摘しているように、太陽のシールドが弱体化しているのだ。

シュワドロン教授は以下のように述べる。

「過去 10年間、太陽風は低密度と低い磁場強度を示してきましたが、現在は、宇宙時代には決して観察されなかった異常な状態を表しています。このように太陽活動が著しく弱い結果として、私たちはこれまでで最大の宇宙線の放射を観測しているのです」

シュワドロン教授たちは、2014年に、次の太陽活動極小期に宇宙線の状態がどのように悪化するのかを予測するために、太陽活動に関する主要なモデルを使用した。現在、そのモデルにより 2019年から 2020年の状況が予想されている。

教授は以下のように言う。

「私たちの以前の研究は、ひとつの太陽活動極小期から次の活動極小期までの間に、宇宙線の量率が最大で 20%増加することを示唆しました。実際、過去 4年間に CRaTER によって観測された実際の宇宙線量率は予測値を最大で10%超えており、放射線の環境が予想以上に急速に悪化していることがわかったのです」

太陽の次に、地球上空にさらに 2つの宇宙線に対してのシールドラインがある。

それは、磁場と地球の大気だ。

このどちらも宇宙線の地球への突入を緩和する。

しかし、現在、その地球の上でさえ、宇宙線の増加が観測されているのだ。

スペースウェザーは、学生たちと共に 2015年以来、ほぼ毎週、成層圏に宇宙天気観測のバルーンを打ち上げている。これらのバルーンに搭載されたセンサーは、地球の大気に突入してくる放射線(X線とガンマ線)が 13%増加していることを示した。

これらのバルーンで検出される X線とガンマ線は、銀河の一次宇宙線が地球の大気に衝突することによって発生する「二次宇宙線」だ。

これらは地球の表面に向かって放射線を放つ。 そのセンサーのエネルギー範囲は10keV 〜 20MeV で、これは、医療用 X線装置や空港のセキュリティスキャナーのエネルギー範囲と同じくらいだ。

これらの宇宙放射線は私たちにどのような影響を与えるだろうか。宇宙線は民間航空会社では、空中の乗客、乗務員に多量に放射される。飛行機のパイロットは国際放射線防護委員会によって業務上での放射線作業者として分類されている。

いくつかの研究では、宇宙線が雲を作り出し、また落雷を引き起こすことが示されており、宇宙線が天候や気候を変える可能性があることがわかり始めている。

さらに、地上の一般的な人々における「宇宙線と心臓の不整脈」を結びつける研究が存在する。

これから、太陽は、過去1世紀の間で最も活動の弱い状態を迎える可能性がある中、宇宙線は今後さらに激化すると思われる。

ここまでです。

宇宙線の観測が開始されたのは、今あるデータでは 1965年からのもので、すでに 50年以上経っているのですが、少なくとも、その 50年間の中で最も宇宙線の量が多い時期に、現在並ぼうとしています。

過去 53年間で最も宇宙線が多かったのは 2009年のことですが、2017年からそのレベルに近づいていて、このままだと 2009年のレベルを超えていくのは確実だと思われます。

1965年から2018年までの宇宙線量の推移(フィンランドの観測地点)
cosmicray-1965-2018.jpg

冒頭に載せましたスペースウェザーの「放射線量の推移」は、アメリカのカリフォルニア上空の成層圏でのもので、過去2年で 13%上昇したことを示しています。もう一度載せておきます。

balloon-data-2015b.jpg

そして、決して今がピークではなく、一般的に、本格的に宇宙線が増加するのは、太陽活動が完全に極小期に入ってからですので「これから」ということになります。

それでも、先ほどの記事にありますように、現時点ですでに、

> 今、その太陽の防御に問題が起きている。

ということになっていまして、つまり「太陽による防御が弱い」のです。

これから、さらに太陽の防御は弱くなりますので、地球周辺の宇宙空間と、そして「地球上に」宇宙線(第二次宇宙線としての放射線)が増えてくることは確実の情勢です。

それでどんなことになるか・・・というのは実際のところは何ともいえないにしても、これまでの科学的研究などから、地球上での影響として、ある程度確実だと思われるのは、

・宇宙線が増加すると雲が増える

・宇宙線が増加すると雷の発生が多くなる

・宇宙線が増加すると心臓疾患(急停止など)が増える


はあると思われます。

2017年の『宇宙天気と、突然の心臓死』という論文では、以下のように結論付けられています。

頻脈性の突然心臓死は、より高い宇宙線活動および、より弱い地磁気活動を伴う状態において、著しいレベルでより頻繁に起こる。

また、「雲と宇宙線」についても、2010年頃から何度も記事にさせていただいていますが、比較的最近のものは、

Solar activity has a direct impact on Earth's cloud cover
PHYS.ORG 2016/08/25

太陽活動は地球の雲の被覆に直接影響を与える

デンマーク工科大学国立宇宙研究所(DTU Space)とイスラエルのヘブライ大学・物理学ラカー研究所の科学者たちのチームの研究は、地球が雲で覆われる事象と、太陽の爆発活動(太陽フレアなど)とが直接関係していることを示した。

これは 25年以上の衛星による観測に基づいて導き出された結論だ。

太陽の爆発現象が、地球の大気から宇宙線を遮断することはよく知られている。

しかし、今回、地球物理学会誌(Journal of Geophysical Research)に発表された新しい研究では、太陽の爆発現象があった際(つまり、地球の大気中に宇宙線が少ない場合)には、同時に、雲に覆われる事象が世界的に減少していることを見出した。

これは、雲の形成に宇宙線が重要な役割を果たしているという説を支持するものとなる。

太陽の噴火は、雲の質量を約2パーセント減少させる原因となることがわかったが、これは、その際に、大気中から約 10億トンの液体の水が消失していることを意味する。

雲の出現は、長い時間的スケールで地球の気温に影響を与えることが知られているため、今回の調査は、雲と気候変動の理解の重要なステップを示している。

論文の筆頭著者であるデンマーク工科大学国立宇宙研究所のスベンツマルク博士は、以下のように述べる。

「地球は銀河宇宙線と呼ばれる空間からの粒子による一定の衝撃の下にあります。太陽の表面で発生する暴力的な爆発(太陽フレアなど)は、約1週間、地球から宇宙線を吹き飛ばす力があります。今回の我々の研究は、宇宙線がそのような太陽活動によって減少しているときに、地球の雲の被覆(覆われること)も、太陽活動と対応して減少していることを示しています」

「雲は、私たちの研究では、地球上の気温を制御する上で重要な要素であるため、これらの関係は、地球の気候変動に影響を与える可能性があるのです」

非常に高エネルギーの粒子である宇宙線

宇宙線の粒子は、地球の大気中の分子イオンを帯電して生成する。イオンは、エアロゾルの形成を促進することが実験室の研究では示されており、エアロゾルが雲を構成する「雲の滴」を形成するための種として機能する可能性がある。

この実験室でのメカニズムが現実の大気中で実際に起こるのか、あるいは、これは実験室でだけ再現できるものなのかということについては、長い間、議論されてきたテーマだった。

太陽表面の爆発が銀河宇宙線を吹き飛ばした際には、地球の大気中では 20%〜 30%のイオンの低下を引き起こす。

イオンの存在が雲の形成に影響を与えるのであるならば、太陽の爆発が宇宙線を吹き飛ばす事象の中で雲量の減少を観察することが可能であるはずだ。

かつて、宇宙線と地球の雲の量の変化について、週単位での関係(これは「フォーブッシュ・ディクリーゼズ(Forbush decreases / 刷新のための減少)」と呼ばれている)は観察されていたが、その影響は科学文献の中で議論され続けてきた。

しかし、新しい研究では、この「フォーブッシュ・ディクリーゼズ」が現実的に雲の増減に影響していると結論づけた。この結果は、「イオンが雲の生成過程において重要な役割を果たしている」という提案を支持する。

しかし、チームがこの結論に到着するには、大きな努力が必要だった。フォーブッシュ・ディクリーゼズは、ほとんど発生するものではなく、その雲に及ぼす影響は、人工衛星や陸上からの地球大気観測を使用して、やっと検出できる程度のものだった。

フォーブッシュ・ディクリーゼズの強さを決定するために、大気モデリングとの組み合わせで約 130局からのデータを組み合わせる必要があった。この新しい方法により、イオン化に従ってランク付けられた 1987年から 2007年までの期間の 26の事象のリストが得られた。

長期的な影響の可能性

この短期的な雲の増減は、明らかに長期的な地球の気温の変化への影響を持つ。

雲は、常に銀河宇宙線での短期的変動の影響を受けているが、それらはまた、年間〜数十年〜数百年のスケールで起こるゆったりとした太陽活動の変化の影響を受ける可能性があるのだ。したがって、銀河宇宙線は、地球の気温を決定する役割を果たしている。

過去と将来の地球の気候変動への太陽の貢献は、単にその太陽放射(太陽光線の熱など)による影響だけではなく、むしろ、太陽活動の中で発生する爆発現象に左右される宇宙線の変化によるところが大きいという可能性があるという結論に達する。

なお、下のグラフは、23年間分の「雲の量と宇宙線量の相関」です。ほぼ完全な一致を見せていることがおわかりかと思います。

1983年から2006年までの雲の量と宇宙線量の推移
cosmic-ray-clouds2006c.jpg

これは簡単に書けば、

「地球の高層圏へ突入してくる宇宙線の量が多くなればなるほど、地球の雲の量は増えることを示唆している」

ということになるはずです。

もちろん、雲の量が増えるということが単純に「地球の悪天候の増加」を意味するのかどうかはわかりません。

しかし、一般論でいえば、「雲が多い」という条件は、穏やかな日々が増えるというよりは、悪天候が増えると考えた方がわかりやすい気がします。

今でも十分に地球は悪天候が極限まで進んでいる感じもしますけれど、宇宙線がさらに増えるのはこれからですので、

「今後はさらにこの天候の状態が激化する可能性」

があると考えるのが妥当ではないかと思います。

そして……あとひとつ挙げておくとすれば、これは科学的な論拠が乏しいものではあるのですけれど、個人的にとても魅力に感じている説が、

「宇宙線が増えると、火山の噴火と地震の発生が増える」

というものです。

東京工業大学地球生命研究所特命教授や、岡山大学地球物質科学研究センターの特任教授をされている丸山茂徳教授の以下の説をご紹介しています。

2008年に丸山茂徳教授が述べていた理論

・地震を起こすトリガー(引き金)となるのは宇宙線。地震の起きるシステムは今まで語られていた「力学的」なものではなく、化学的(ケミカル)な反応現象。

・地球内部まで到達できる上に極めて高いエネルギーを持つ物質は宇宙線しかない。

・太陽の黒点活動と宇宙線には活動の相関関係がある(太陽活動が弱い時は、宇宙線が多くなる)。


というようなものです。

そして、この説から 10年後の今、かつてないほど宇宙線の量が増えている中で「かつてないほど噴火が増えている」という現状は印象的にうつります。

とはいえ、これに関しては、データ以外では証明しようがなく、実証がとても難しいものですので、魅力的な説でありながらも、それ以上の進展は難しいようです。

これからの時代、つまり「大量の宇宙線が地球に降り注ぐことが確定的な今後十数年、あるいは数十年」は、

「人類が変化する可能性があるのではないか」

と秘かに考えている次第です。

その理由を客観的に、あるいは論理的に書くことができるに至るキッカケとなり得るような報道や論文が出てこないかなと。ずっと待ち焦がれている次第でもあります。

とはいえ、現実としては、宇宙線の影響は、まずはどちらかというと「悪い方」に顕著に出てきてしまうということにはなりそうです。

気象と天候、人体への影響、あるいは地震や噴火。

それらが激化する時代が長く続く可能性がそれなりに高いと感じます。

いずれにしましても、昨年の時点ですでに、

「太陽活動と磁場の状況は、過去に観察されなかった異常な状態」

になっていると科学者たちは指摘していました。

そして、その通りに、もうじき「過去最大の宇宙線の到達量となる」というようになってきているわけなのですけれど、問題は、「どこまで、この量が増加していくのか」

ということだと思われます。

先ほどの 1965年から 2019年までの宇宙線の到達量の推移のグラフを見ますと、21世紀になってから「地球に到達する宇宙線のレベルが底上げされている」という印象を受けます。

1965-2019-cr.jpg

これは、21世紀に入ってからの太陽活動の弱さと関係しているのだと思いますが、「太陽活動がこの先どの程度まで弱くなっていくのか」については、何ともいえないにしても、「かつてないほど弱い状態が、長く続く」と予測する科学者たちが多いのです。

そのあたりは、先日の以下の記事でもふれていました。

Experts Predict a Long, Deep Solar Minimum
Spaceweather 2019/04/10

次の太陽活動極小期は長く続き、程度も深いと専門家たちは予測する

もし、あなたが太陽活動極小期が好きならば、これは良いニュースだろう。なぜなら、次の太陽活動極小期は何年も続く可能性があるからだ。

この予測は先週、国際的な太陽研究の専門家集団「太陽活動周期予測パネル」(Solar Cycle Prediction Panel)により発表された。この太陽活動の予測は、毎年、NOAA (アメリカ海洋大気庁)によっ発表されている恒例の予測だ。

太陽活動周期予測パネルは、NOAA、NASA、国際宇宙環境サービス、その他の米国および国際的な科学者たちにより構成されている。

この専門家たちの予測が正しい場合、今後、2019年 7月から 2020年 9月までの間に、黒点の数は最低に達することになる。現時点でも、すでに太陽黒点の数は、非常に少なくなっているが、それよりもさらに黒点活動は小さくなる。

その後、 2023年から 2026年にかけて、次の太陽活動の新しい活動極大期に向かってゆっくりと太陽活動は回復すると見られる。

共同議長である太陽物理学者リサ・アプトン(Lisa Upton)氏は、次のように述べる。

「次の太陽活動周期のサイクル25は、サイクル24と非常によく似たものとなると私たちは予測しています。つまり、次のサイクルも、その活動極大期にもとても弱い太陽活動となり、また、極小期は長く続き、その間の太陽活動もまた極めて低いものとなると予測されます」

太陽周期にはサイクルがあり、約 11年ごとに太陽黒点が最大数を示す時期と最小数を示す時期のあいだを行き来している。この太陽活動のサイクルが発見されたのは 19世紀だったが、それ以来、研究者たちはこのサイクルを追跡してきた。

しかし、すべての太陽活動サイクルが似ているわけではない。時に、非常に強烈で強い太陽活動となる時があり、そのようなサイクルの極大期には、数多くの黒点が出現し、爆発的な太陽フレアが発生しやすくなる。

その一方で、太陽活動が弱いサイクルもある。最近まで続いたサイクル24は、そのような弱い太陽活動周期のひとつだった。サイクル24の極大期は、2012年から 2014年にかけて訪れたが、その活動は比較的弱いものだった。

研究者たちは、今でも太陽活動の衰退とその流れを予測することを研究している。予測手法は、太陽の内部磁気ダイナモの物理モデルからのものや、あるいは、株式市場のアナリストが使用するものと似た統計的手法での予測など多岐にわたる。

アプトン氏は次のように言う。

「私たちは、太陽活動に関する 61の予測を評価しました。その方法には、気候学、ダイナモ理論、機械学習、ニューラルネットワーク、統計法、表面フラックス輸送などがあります」

「その結果、次のサイクル25は、サイクル24とよく似た活動となることで専門家たちの意見は一致したのです」

「現在のサイクル24の太陽活動は、今はまだ活動の最低レベルに達していません。すでに、数カ月間、黒点のないような状態も経験していますが、しかし、太陽活動の極小期となるのは、これから 2020年の終わりまでの間になると思われます」

なお、この数年、インターネット上では、次のような話題が出ることがある。

「今度の太陽活動に期間に、17世紀に 70年のあいだ黒点がまったく出なかったマウンダー極小期のような状態になるのではないか」

というものだ。

しかし、専門家たちは、このような意見は持っていない。

これについて、アプトン氏はこのように述べる。

「現在の太陽活動において、マウンダー極小期のようなタイプの太陽活動極小期が近づいているという徴候はありません」

次の太陽活動極小期は、確かに長く続き、度合いも深くはなるだろうが、マウンダー極小期のようなことにはならないという。

しかし、専門家たちの意見として、次のサイクル25の太陽活動は「かなり弱い」という点では一致している。

もちろん、太陽活動が弱いとはいっても、サイクル24の活動極大期にも激しい太陽フレアや強い磁気嵐が発生したように、弱いとされるサイクル25も同程度の事象は発生するだろう。

また、現在、私たちの太陽は活動の極小期に向かっているが、この活動極小期については、広く誤解されていることがある。多くの人たちが、この期間は、太陽でのすべての活動が静かになると考えるかもしれないが、しかし、実際には宇宙天気は興味深く変化する。

たとえば、太陽の磁場が弱まると、太陽の大気に穴が開く。これにより、新たな太陽風の流れが地球の磁場を覆い、太陽フレアや黒点がなくても、地球ではオーロラが出現し続ける。

観測者たちによると、太陽極小期のオーロラは、太陽周期の他の期間よりもピンク色のオーロラが発生することが多いという。

太陽の磁場が弱くなることは、また宇宙線が太陽系に多く入ることを可能にする。宇宙線は、深宇宙からの高エネルギー粒子だが、この宇宙線が地上の大気中の電気量の変化から飛行機に乗っている人々へ放射線曝露に至るまで、多くの影響を与えるほど地球の大気に浸透する。

そして、太陽極小期には最終的に極端な紫外線波長で太陽は薄暗くなる。これにより、上層の大気が冷えて収縮して空力抵抗が減少するが、それによって人工衛星を崩壊させるスペースジャンクが溜まる。

そのために、太陽活動極小期には、人工衛星が破壊される可能性がある時でもある。

そこでは、ひとつの例として、次の太陽活動周期である「サイクル25」の活動を、以下のように予測している人たちいるということにもふれています。

太陽活動(黒点数)の強さの推移と今後の予測のひとつ
solar-cycle-2040c.jpg

太陽活動が、仮にこんなに弱い状態になってしまった場合は、地球あるいは太陽系内の宇宙線の量は、さらに増加して、かつて経験したことのないような「宇宙線の嵐」の中に私たちは置かれることになるかもしれません。

先ほどのスペースウェザーの記事では、 NASA が、現在の宇宙線の状態に対して、

「パーフェクトストーム」

という表現をしたことにふれていますが、今の状態ではまだパーフェクトストームとはいえないでしょうけれど、これからさらに宇宙線量が増えていき、前人未踏のレベルになった時には、「パーフェクトストーム」という表現も使えるものになるのかもしれません。

そのような時に、環境に、あるいは人体にどんなことが起きるかは(誰も経験していないので)わからないはずですが、宇宙線とはいえ、放射線ではあるわけで、さまざまな影響はありそうです。

宇宙線の影響については、確実な統計やデータはほぼないですが、学術論文などでは、以下のことは確実だと思われています。

・宇宙線が増加すると雲が増えて雨が増える。

・宇宙線が増加すると雷の発生が多くなる。

・宇宙線が増加すると心臓疾患(不整脈、突然の心臓死)が増える。


もしこれからの太陽活動が、多くの予測通り、かつてないほど弱いもので、しかも、それが長い期間続いた場合、私たち人類は現代文明時代には経験したことのない状態を見ることになるのかもしれません。

最終更新:2019/04/25 20:59

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