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2019/04/01 23:34

オーストラリア 前例のない雹嵐により「たった10分間で、400万個のアボカドが破壊される」

2019年3月27日のオーストラリアABCニュースより
4000000-acocados-smash.jpg

「食糧生産地域への壊滅的な自然災害が続いている」として、以下のような記事を書かせていただきました。

アメリカ中西部の大洪水は重大な食糧危機の発生の懸念と、それを発端とした経済・金融・社会の混乱の勃発の可能性が台頭

アメリカの洪水をはじめとして、カナダやオーストラリアなど、世界の食糧生産の拠点となるような場所で、異常気象などにより深刻な生産の停滞が次々と発生しています。

そんな中、海外の報道を見ていましたら、数日前に、オーストラリアの南東にありますニューサウスウェールズ州の巨大な果樹園が、激しい雹(ひょう)嵐に見舞われ、10分間ほどのあいだに「 400万個のアボカドが粉砕した」という報道がありました。

avocados-nsw-2019.jpg

果樹園は、ニューサウスウェールズ州にあるノーザン・リバースという場所にあります。

オーストラリアのノーザン・リバース
northern-rivers-map2019.jpg

このニューサウスウェールズ州というのは、長く深刻な干ばつに見舞われていまして、ようやく、まとまった雨が降ると期待していたら、それは「とんでもない雹嵐」であり、結局、果樹園の作物は壊滅的な被害を被ったという切ない話でもあります。

これは、冒頭のオーストラリア ABC ニュースの内容を翻訳してご紹介させていただこうと思います。

本当に、今は、「食糧を生産している場所」を自然が徹底的に攻撃している感じがいたします。

しかも、この果樹園にしても、今回の雹嵐の影響は今年だけの問題ではなく、来年からの収穫にも影響するということになっています。

ここからです。

Hail storm smashes 4 million avocados in under 10 minutes at huge orchard
abc.net.au 2019/03/27

巨大な果樹園を襲った雹嵐は10分間で400万個のアボカドを粉砕した

先週、ニューサウスウェールズ州ノーザン・リバーズにあるアボカド果樹園が雹嵐によって壊滅的な被害を受けた。

この雹により、推定で 400万個のアボカドが粉砕された。

果樹園「オージー・オーチャーズ(Aussie Orchards)」の支配人であるコリン・フォイスター(Colin Foyster)氏によれば、果樹園にある 12,000本の樹木になっていたアボカドの実のうちの 80%が雹により地面に落ちたという。

降った雹のサイズは、最大で 7.6cmほどもある巨大なものだった。

フォイスター氏は、以下のように述べる。

「ほとんどの実が落ちるのに 10分もかかりませんでした。そして、雹は、ほとんどのアボカドを傷つけることになりました。まだ、ほとんどが未熟な果実ですので、どうにもなりません」

フォイスター氏によると、木から落ちなかったアボカドも、多くが雹により傷ついており、また、木そのものも損傷を受けているという。

「落ちずに残っているものも、損傷がひどい場合は、腐敗につながり、いずれ落下いるでしょう」

木から落ちなかった 20%のアボカドも、商品としては格下げされるという。高級品の半値くらいになってしまうだろうとフォイスター氏は言う。

この果樹園は家族により経営されており、アボカド、ライチ、サトウキビ、マカダミアナッツ、そして野菜農園がノーザン・リバーズとクイーンズランド北部に広がっている。

この果樹園は、強風が吹かないために、プレミアム級のアボカドが産出されることで知られる。

今年は、この雹嵐に見舞われるまでは、かつてない豊作が期待されていた。しかし、それが一転して、今回の雹嵐は、オーストラリアでのアボカド果樹園を襲った自然災害による被害としては最大のものとなってしまった。

果樹園の経済的被害は壊滅的なものとなっているが、果樹園そのものの回復にも、かなり時間がかかるという。

アボカドは果実であることから、次の収穫につなげるために、その収穫の際には、来年以降のために、すべてを収穫せずに果実を木に残しておくのだが、今回の雹嵐で、ほとんどの果実が落ちたり、あるいは、「葉が落ちてしまっている」ために、来年からの収穫にも影響が出ると見られている。

フォイスター氏は「来年の収穫にも大きな影響があるでしょう」と言う。

この地域では、これまで数ヶ月に及ぶ乾燥した気候が発生しており、厳しい季節が続いていた。

しかし、最近、大雨の予報が出て、果樹園の人々は「干ばつが終わる」と喜んだのも束の間、それは雨ではなく、雹という形でやってきてしまった。

ここまでです。

なお、オーストラリアの最近の気象もまた非常に混沌としていまして、昨年の暮れにはやはり、同国史上最悪の雹嵐に見舞われたこことを以下の記事でご紹介させていただきました。

オーストラリアのシドニーが過去数十年で最悪級の雹嵐に見舞われ、当局は「壊滅的な自然被害状態」を宣言

2018年12月21日シドニーの雹嵐の被害を伝える報道
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オーストラリアのシドニーで 12月20日、考えられないような雹嵐が発生し、各地で大変な被害が出たことが報じられています。

雹で破壊された自動車 12月20日 シドニー
car-sydney-002.jpg

下の写真は、雹嵐の中のシドニー沿岸の様子ですが、まるで「爆撃」のような雹に見舞われています。

sydney-sea-1220.jpg

被害の範囲は、シドニーのあるニューサウスウェールズ州の広範囲に渡ったようで、州当局は、「壊滅的な自然災害」と宣言しています。

経済的な被害は、日本円で、少なくとも 60億円から 70億円に上ると見られています。

ニューサウスウェールズ州とシドニーの位置
nsw-sydney-map2018.jpg

この雹は、その大きさがものすごく、報道でも「テニスボールサイズ」と伝えられていますけれど、そのようなサイズのものが激しく降り注いだようです。ソーシャルネットに投稿された写真の中には、テニスボールの大きさを超えているようなものもありました。

big-hail-sydney2018.jpg

このような大きさの雹が下のように降り続けたのですから、それは被害も出ようものだと思います。

また、この雹嵐の際には、特大のスーパーセルも観測されていました。

2018年12月20日 シドニー上空に出現したスーパーセル
supercell-australia-1220.jpg

シドニーでは、1999年にも激しい雹嵐に見舞われたことがあるそうで、その時も大きな被害が出たようですが、今回の雹嵐の被害はそれと同等か、上回る規模のものだと報じられています。

南半球のオーストラリアはこれから真夏に入りますが、高い地表の気温と冷たい上空の寒気がぶつかることが増えそうでもあり、気象はさらに荒れていく可能性がありそうです。

あるいは、つい最近まで、今回の果樹園があった付近の地域では、史上最悪級の山火事が発生していました。

オーストラリア南東部で史上最悪級の巨大な山火事が制御不能な状態で拡大中

オーストラリアの山火事を伝える2019年3月4日の報道より
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アメリカやヨーロッパなど、北半球では、極端な寒波に見舞われる場所が多かった今年の 1月から 2月ですが、南半球のオーストラリアでは、極端な猛暑が続いていました。

そのような中で、山林火災が相次いでいたのですが、2月の後半にオーストラリアの南東部にあるビクトリア州で発生した山火事は、コントロール不能の状態で拡大を続けていて、日々、状態が悪化し続けていることが報じられています。

オーストラリア・ビクトリア州の位置
victoria-map-2019.jpg

ビクトリア州には、オーストラリア最大の都市であるメルボルンがあります。

以下の山火事の煙は、メルボルンから撮影されたものですが、この火災による煙のすさまじさからも、現在発生している山火事の規模の大きさがわかります。

2019年3月2日 - 5日 ビクトリア州の山火事の煙の様子
fire-blaze-victoria02.jpg

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冒頭の CNN の報道のタイトルにありますように、オーストラリアの緊急事態管理局では、人々に、「命を守ることを最優先に、迅速な行動をして下さい」と呼びかけています。

現在、2000人の消防士たちが、消火に当たっていますが、3月5日の時点では、「山火事を制御できる見込みは立っていない」とのことです。

そして、このビクトリア州をはじめとしたオーストラリア南東部の今後の気候なのですが、もうそろそろオーストラリアの夏も終わりに近いというのに、「猛暑」と、そして極端な降雨不足が予想されています。

オーストラリアの東部から南東部にかけての気温は、場所により「 38℃」にまで上がる見込みがあり、また、今後、雨が降る可能性ですが、以下のように、東部から南東部まで、

「平年に比べて極端に雨が降らない見込み」

となっています。

2019年3月から5月のオーストラリアの降水予想
rainfall-australia-2019.jpg

最高気温も、雨の少なさも、歴史的なものとなる見込みだとオーストラリア気象庁は述べています。

そのあたりからも、山火事が急速に収束に向かうというのは、今の時点では難しそうです。

北半球でも南半球でも極端な気象とそれによる災害が続きます。

世界中の豊かな農作地域が、次々と壊滅的な自然災害に見舞われ続けていて、そして、北半球に関しては、自然災害が本格化するのはこれからのシーズンだと考えますと、今年の春から夏という時期には緊張感が漂います。

最終更新:2019/04/01 23:34

2019/04/01 23:11

アメリカ中西部の大洪水は重大な食糧危機の発生の懸念と、それを発端とした経済・金融・社会の混乱の勃発の可能性が台頭

2019年5月27日の米メディアの記事より
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少し前に、アメリカ中西部の洪水について以下の記事を書かせていただきました。

アメリカで始まった新たな大洪水伝説 : 米国立気象局が「今年5月までに国土の3分の2が洪水に見舞われ、2億人が危機にさらされる可能性がある」と発表

2019年3月21日の USA トゥディの記事より
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アメリカを覆い尽くそうとしている前代未聞の洪水危機
今から 10日ほど前に、アメリカのネブラスカ州など中西部を中心とした、「過去最悪の規模の洪水」が発生したということがあり、その影響は今も続いています。

これについては、以下の記事などで取りあげさせていただいています。

米ネブラスカ州の黙示録的な洪水被害は過去最悪に。100万頭の仔牛が死亡し、140を超える市と郡に非常事態が宣言

ネブラスカ州知事の声明を伝える米FOXニュースより
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このタイトルにも「 100万頭の仔牛が死亡し」というような表現にありますように、すさまじい農業被害が出ているのですけれど、先頃、アメリカ国立気象局と、NOAA (アメリカ海洋大気庁)が、共に、

「この洪水は、今後2ヵ月の予告のようなものに過ぎない」

ともとれるような発表をおこなったのです。

すなわち、

「 5月の終わりまでに、アメリカの東部全域を含む国土の 3分の 2が洪水の影響を受け、2億人のアメリカ人が危険に直面する可能性がある」

と述べたのです。

まずは、そのことについて、アメリカのブログ「エンド・オブ・ジ・アメリカンドリーム」が、各報道の内容をまとめた記事を投稿されていましたので、それを翻訳してご紹介したいと思います。

この春のアメリカが直面しようとしている「危険な状況」がおわかりになるのではないかと思います。

ここからです。

200 Million People At Risk: National Weather Service Warns Apocalyptic Midwest Floods Are “A Preview Of What We Expect Throughout The Rest Of The Spring”
endoftheamericandream.com 2019/03/24

アメリカの2億人が危険に直面している:アメリカ国立気象局は米中西部の黙示録的な洪水は、「これからの春を通じて続く事象の予告かもしれない」と警告した

アメリカの中央部を襲った洪水は、アメリカの農家の人々に過去数十年で最悪のダメージを与えた。しかし今、アメリカ国立気象局は、この洪水は、単に「これからの春を通じて続く事象の予告編のようなものかもしれない」と述べている。

そのようなことが現実になるのだろうか。私たちがすでに目撃したアメリカ中西部の巨大な荒廃の後、これから洪水はどれほど悪化する可能性があるのだろうか。

今現在、すでに何千何万の家や農場が完全に破壊されている。経済的被害の総額は、数十億ドル(数千億〜1兆円)になるとも言われている。

しかし、国立気象局などの予測によれば、残念なことに、さらに悪い事態がやって来る可能性が非常に高いのだ。

この冬のアメリカは、非常に雪が多かったが、そのために、今後数週間のうちに、大量の雪が溶けると見込まれている。雨が降らなくとも、その大量の雪解けによる水だけで途方もない洪水を引き起こす可能性が指摘されている。

雪が溶けることに加えて、気象の専門家たちは、今年のアメリカの春は非常に雨が多い季節になると述べている。

ウェザーチャンネルは、今後 3ヶ月間で、「アメリカ本土 48州すべての低地で、平年を上回る降水量があるだろう」と予測している。

そして、今後降ると予測される雨は、アメリカ中央部に甚大な洪水を引き起こした大雨を含めた、ここ数週間で降っている豪雨より多くなると見られているのだ。

現時点で、ミシシッピ川流域では、すでに「平年の 3倍の降雨量」となっている。

しかし、仮に今回のような大規模な洪水が再び起きることがないとしても、今年のアメリカの食糧生産高は大幅に減少するだろう。今回の洪水では、何千もの農家の人々が、平年の予定通りの植え付けや収穫をすることができなくなっている。

それどころか、今年まったく畑を使うことができない人たちも数多くいる。

そして仮に、先ほど書いたようにアメリカの気象の専門家たちの予測通りに、今後 3ヶ月間に大雨や雪解けによる洪水が繰り返し発生するとした場合、これは、現代アメリカ史の中で、前例のない規模の農業被害となる可能性がある。

そして、現時点(3月20日過ぎ)で、アメリカ中西部の北部では、いまだに「 50センチ以上の雪が積もっている」のだ…。

これについて、WIRED は以下のように報じている。

サウスダコタ州東部とミネソタ州では、いまだに 50センチメートル以上の雪が残っている。

アメリカ中央部のミズーリ州、オハイオ州、ミシシッピ州では、河川から水を放水しているが、水が下流に流れるには数週間かかる。

その間、緊急事態当局は、地元住民たちに避難計画を立てることを強く奨めており、また、特定の地域では、洪水保険に加入するように呼びかけている。


同じ記事では、以下のように、現在、アメリカの 2億人が危険に直面していると警告している。

アメリカ中西部を荒廃させている記録的な大洪水は、現在さらに深刻化している。

今後数週間のうちに急速に雪が溶け、それと同じような時期に暴風雨が増えると予測されているため、アメリカの各当局は、5月までに、全米 25州で 2億人が危険にさらされると警告している。


現在の洪水被害地域から遠く離れて暮らしているアメリカ人にとっては、何の関係もない話だと思われるかもしれないが、それはやや違う。

今後の 5月までに、ミズーリ川とミシシッピ川に沿って起きると予測されている洪水は、アメリカの過去の洪水記録をすべて上回る範囲で発生するものとなる可能性が高いのだ。アメリカ国立気象局は、「アメリカ合衆国の東半分のほぼすべて、国土面積でいえば、全体の3分の2が洪水の影響を受ける可能性がある」と述べている。

USAトゥディは次のように報じている。

アメリカ国立気象局の副局長、メアリー・エリクソン氏は、記者会見で、今年の春を通じて、アメリカの東半分のほぼすべて、合衆国の国土面積の3分の2近くが洪水に見舞われるはずだと語った。

国立気象局によると、アメリカの約 25州において、「中程度」から「重大」な洪水が発生すると予測されている。

現在起きているアメリカ中西部の洪水は、「これから 5月までの春の期間を通して続く事象の予告編のようなものだと言えるかもしれません」とエリクソン氏は述べている。

そして、以下のように付け加えた。

「今年アメリカで起きる洪水は、過去数年間に経験したものより悪化する可能性があります。 1993年と 2011年に発生した歴史的な洪水よりもさらに悪化する可能性があるのです」


これは、アメリカで起き得る洪水の最悪のシナリオであり、これまでの最悪のシナリオをすべて上回るものとなる可能性が高い。

何千もの農場が破壊されるだろう。

そして、何十億ドル(何千億〜 1兆円)もの追加的な損害が、私たちの農業産業に与えられるだろう。

食糧生産量は短期間で減少していき、食糧価格は急激に高騰するはずだ。そして、私たちはスーパーで、とんでもない価格の食糧品と向かい合うことになるのかもしれない。

現在までに起きている洪水により、アメリカの農家は、すでに数百万ブッシェルの小麦、トウモロコシ、および大豆を失っている。

なお、ウェザーチャンネルは、今後、特に危険だと考えられる州と地域を記事で掲載している。それは以下の通りとなるが、あなたがたの中で、以下に記載のある地域に住んでおられる方の場合は、事態が予想以上に極めて悪くなる可能性も考慮し、速やかに緊急事態計画を準備しておく必要があるだろう。

NOAA (アメリカ海洋大気庁)によると、今後、中規模から大規模洪水のリスクが最も高い地域は、ミシシッピ川上流周辺、ミシシッピ川北部、五大湖、ミズーリ川東部、オハイオ川下流域、 カンバーランド川下流域とテネシー川流域となる。

今、私たちの地球は変化しており、気象パターンはより激しくなっている。

たとえば、地球の反対側の南半球で今何が起きているのかを見てみれば、オーストラリアでは「カテゴリー 3の重大なサイクロン」に見舞われるという事態が起きた翌日に「カテゴリー 4のサイクロンの直撃を受ける」という事態が報じられているのだ。

私たちは今まで見たことのない事態を目の当たりにしている。

いずれにしても、アメリカの中央部に住んでらっしゃる方の場合は、この春の洪水を極めて重く受け止めていただきたいと思う。

この洪水の危機を説明するために、当局でさえ「終末的な表現」を使っているほどなのだ。そして、当局のその大げさにも聞こえる警告は、決して誇張されたものではないと考えていただきたいと思う。

この記事を書いていた時から思っていたのですが、アメリカのこの洪水は、場合によっては「食糧危機」というような問題と結びつく可能性があるのではないかなというようなことは思っていました。

というのも、ここ最近、「世界有数の食糧生産地帯」が、自然災害でメチャクチャにやられているのです。カナダやオーストラリアも「少なくとも過去数十年間で経験したことのない農業損失」を出していまして、そして、今回のアメリカの洪水では、それを上回る被害を出しています。

そして、アメリカのこの洪水は「あと2ヵ月は続く」と、アメリカ海洋大気庁などが述べているわけで、さすがに、

「食糧供給的にかなり厳しいことになっていくのでは」

というようには思っていたりしたのですけれど、そのあたりの現況が、冒頭のアメリカのメディアの記事で、ある程度詳しくふれられていました。

わりと長い記事ですので、まずはこの記事をご紹介させていただこうと思います。

予想以上に、今回のアメリカの洪水が「深刻な事態」の引き金となる可能性を持つものだということがわかります。

余裕がありましたら、なぜ、「洪水と社会的パニック」を結びつけて考えているのかにも簡単にふれさせていただこうと思います。

ここからです。

The World’s Greatest Agricultural Disaster
Cold Climate Change 2019/03/27

世界最大の農業災害

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この航空写真は、2019年3月19日に、アイオワ州のミズーリ川に沿って発生している洪水が示されている。アメリカ陸軍の工兵隊は、ネブラスカ州、アイオワ州、ミズーリ州で、少なくとも 12個以上の河川の堤防が決壊したと述べていいる。

激しい気候変動の中、今、アメリカで信じられない洪水が発生している。このような壊滅的な洪水を私たちは見たことがない。

アイオワ州、ネブラスカ州、サウスダコタ州および他のいくつかの州では、広範囲で農地を広く帯状に破壊している。

特に、ネブラスカ州では、この歴史的な災害の範囲は州のあらゆる範囲に及んでおり、ネブラスカ州は現在、混乱の中にある。

この洪水により失われた農作物と酪農動物の被害額は、現在の初期段階の見積もりで、すでに 30億ドル(3300億円)に近づいている。

しかし、洪水はこれで終わるわけではないのだ。

アメリカの気象機関は、この洪水が 5月まで断続的に続くと警告しており、洪水の被害がさらに増加すると予測されている。

これ以上の洪水は、これらの州の農地をすべて使用することができなくなる状態にまで追い込む可能性がある。

豆やトウモロコシ、穀物の栽培に通常使用されている畑の多くが現在、大量の雪、あるいは数メートルの水の下にある。水没している畑では、今年の作物生産は事実上難しいだろう。

アメリカ海洋大気庁(NOAA)は、全米の 25の州で 2億人以上の人々が危険にさらされていると警告した。NOAA の予測では、この春は、過去最高の降水量が予測されており、アメリカの大部分の地域では、5月まで「前例のない洪水の季節」になると考えられる。

今後も多くの地域で、農作物や農作地が一掃される可能性があるだろう。

当局は、雪解け水の増加、そして河川の堤防が現在の洪水により水への防御が弱まっているため、今後数週間でさらに大きな洪水が引き起こされるだろうと述べている。

壊滅的な洪水の原因は、気候の激しい変化に起因することは確かだが、降水量の劇的な増加に関しては、天体物理学にも注目したほうがいいかもしれない。宇宙放射線(宇宙線)の増加は、地球の雲の増加を引き起こし、降水量の増加と関係する。

現在、私たちは、太陽活動の極小期の中にいるが、太陽活動極小期の特徴のひとつが、より多くの雨雲と降水量の増加を生み出す宇宙線の増加にある。

私たち(アメリカ人)はアメリカの洪水だけに注目しているが、実際には、現在、世界中で激しい洪水が数多く発生し続けている。

これはどういうことかというと、「世界中の農作物と農作地が荒廃していく可能性がある」ということでもある。

現在のアメリカ中西部がそうであるように、世界のいくつかの国や地域でも、洪水のために、多大な農業損失が発生しているだけではなく、今年の農作が不可能となっているところも出ている。

あるいは、アメリカ中西部の洪水が春の後半にまで続いた場合、農村部の道路や橋、あるいは鉄道等のインフラへの被害も出始める。

これらのインフラはアメリカにとっては非常に重要なものだ。農場から加工工場や出荷拠点に作物を移動するためのものであり、これらが洪水により一掃された場合、農作物を市場に出すことができなくなるのだ。

また、道路が損傷することから、植栽シーズンのためにトラックが農家に種子を届けることがさらに困難になることもあるだろう。

私たちが今見ている光景は、間違いなくアメリカの歴史の中で史上最悪の、私たちが見たことのない農業災害なのだ。

広大な農地が水没しており、しかも今後数カ月はそのままだ。

膨大な食糧備蓄も失われた

この洪水では、農家の人々が貯蔵していた小麦、トウモロコシ、大豆の大量備蓄が失われたこともわかっている。

アメリカ農務省によると、サウスダコタ州、ネブラスカ州、カンザス州、ミネソタ州、アイオワ州、ミズーリ州、ウィスコンシン州、イリノイ州の各農場には、67億5000万ブッシェル(約 1億8000万トン)のトウモロコシ、大豆、小麦が貯蔵されていた。

これだけの驚異的な量の食糧備蓄が洪水で失われたことは驚きだが、なぜ、このように大量な備蓄をしていたかというと、米中の貿易戦争のために、農家は以前よりも多くの小麦、トウモロコシ、大豆を貯蔵していたのだ。

そのような中、洪水は貯蔵されていた食糧の多くを破壊した。

つまり、洪水は、農作地の作物を一掃しただけではなく、倉庫に備蓄されていた食糧、つまり過去の生産物も一掃した。そして、農地を使用不可にしたことで、未来の生産物も消し去ろうとしている。

経済への波及

洪水以外も含めて頻繁になっている他の農業災害を前に、次のことに注意することが重要だ。それは、インフラの損傷、農業損失、および干ばつ、洪水、ハリケーンによる商品価格の急上昇によって引き起こされるマクロ経済的なショックについてだ。

サンフランシスコ連銀上級執行役のグレン・ルデブッシュ(Glenn Rudebusch)氏は、「気候変動は金融危機を引き起こす可能性がある」と述べている。

巨大なインフラの被害、莫大な農業損失、食料品の急激な価格上昇の脅威、そして多くのアメリカの州間での経済活動の急激な低下が金融市場の混乱を引き起こす可能性を示唆している。

オリーブオイルのカタストロフ

CNNの報告によると、ここ数カ月の間に悪天候と霜により、世界のオリーブオイル生産とその業界が問題を起こしており、57%の損失が発生しているという。

2018年までに生産量が減少し、同部門に約10億ユーロ(11.33億ドル / 1200億円)の損失が出た。

特に状況がひどいのがイタリアで、生産量の劇的な減少を防ぐために、イタリアはオリーブオイルの輸入を余儀なくされる可能性がある。

極端な気象現象がオリーブの収穫を激減させ、イタリアの最も重要な料理の材料のひとつであるオリーブオイルの不足という懸念が現実化しようとしている。

イタリアの大部分のオリーブオイルを生産している南部地域は、最も気候の影響を受けており、「 2500万本のオリーブの木が消失した」という。

気候変動とジャガイモの黙示録

ジャガイモの生産も世界的に壊滅的となっている。カナダでは、5億ポンド(2.4億キロ)のジャガイモが駄目になった。

これは、春の終わりに 3週間に渡ってカナダを襲った悪天候によるものだ。

昨年のカナダはあまりにも暑い夏、そしてあまりにも寒い秋の中で、推定で 6000ヘクタールのジャガイモ畑で収穫することができなかった。関係者たちは、「このようなことは、過去 25年間で一度も見たことがない」と話している。状況が好転する兆しもない。

メキシコ

メキシコでは、この冬の異例ともいえる寒波と大雪により、多くの農作地が破壊された。ソノラ州では、霜と雪で大量の作物が収穫できない状態となった。

ソノラ州だけでも、推定で 1万2000ヘクタールの農作物が被害を受けたと考えられている。

他にも、カボチャ、チリビーンズ、ジャガイモなどが何千ヘクタールにわたり、霜の被害を受けている。

劇的な気候変動は世界全体で起きている

オーストラリアは、昨年までの 7年間、史上最悪の干ばつを経験していた。ところが、一転して、オーストラリア・クイーンズランド州は、壊滅的な洪水に襲われ、飼育されていた牛たちが一掃される光景と対峙しなければならなかった。

オーストラリア最大の牛の企業は、「極度の損失」について警告しており、オーストラリア北東部では、この洪水により 30万頭以上の牛が溺死あるいは流失したと見られる。

現在までに、オーストラリアの洪水での牛の死亡数は 50万頭に上っている。

アメリカでも、真冬のアイダホ州とワシントン州で、大雪、強風、極寒が複数の酪農地域を襲い、約 2000頭の乳牛が死亡した。

ワシントン州の酪農家たちによると、自分たちの人生でこのようなことを経験したのは、これが初めてだと述べている。

そして、現在のアメリカ中西部の洪水では、どれほどの数の牛が死亡しているかまだわからないとはいえ、天文学的な数字になることは確実だろう。

洪水の初期段階で、溺死あるいは流失した仔牛は数百万頭にのぼるとされている。

結論

気候学者のジュディス・カレー(Judith Curry)氏は、最新の論文の中で、現在の海面上昇は異常ではないことを説明し、そして過去 150年間、海洋は「ゆっくりとした変化」を続けてきたと主張しながら、1950年以降の二酸化炭素排出量の増加から、気候変動が人為的な理由だけでは説明できないことを発見した。

NASA の研究によると、グリーンランド最大の氷河であるヤコブスハブン氷河は、2016年から急速に拡大を始めた。これは科学誌ネイチャー・ジオサイエンスに発表された。

北半球最大の氷河が成長に転じた中で、温暖化の傾向を考えるのは難しい。

しかし、地球が温暖化に向かおうが寒冷化に向かおうが、とにかく気候は変化している。

より寒くなり、あるいは、より暑くなり、より多くの雪、より多くの雨、より多くの洪水、より多くの干ばつ、より大きな嵐が地球の各地で猛威を奮う。

劇的な気候変動の中にある現在は、火山の噴火も地震も増えている。これは過去の気候変動の時期のデータと太陽活動極小期の関連でも予測できることだ。

気候変動に関しては、人それぞれの信念や確信があるだろうが、その信念はともかくとして、現在の激しい気候変動の結果として現れているこれらの事象は無視できない事実だ。

太陽活動は減少し、太陽の日射も少なくなっている。そして、その原因はCO2とは関係ないことを私たちは知り始めている。

ここまでです。

記事にもありますけれど、一般的な洪水被害と比較して、今回のアメリカの洪水は、「食糧供給への影響が大きすぎる」ように思うのです。

もちろん、これほどの農業被害の経験はアメリカ自身にもかつてないわけで、どうなるのかはよくわからないですけれど、次々と出てくる数字が大きすぎるのです。

他にも、カナダやオーストラリアでも、異常気象の中で農作や酪農が非常に大きな打撃を受けている他、イタリアでは「オリーブオイル不足」という事態も現実化してくる可能性があるほどのこととなっています。

上の記事で、イタリアにおいて「 2500万本のオリーブの木が消失した」というのは、おそらく以下の過去記事で取りあげた「暴風雨」によるものではないかと思います。

イタリア北部の暴風雨被害は歴史的な規模に。1400万本以上の森林の木々が倒され、「回復には1世紀かかる」

2018年11月4日の報道より
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ここ数日、イタリア北部の大雨被害について、いくつか記事を記しましたが、このイタリア北部の大雨による洪水、土砂崩れなどの被害が、地域としては歴史的なものになりつつあります。

冒頭の報道によれば、北部のヴェネト州では 1400万本の森林の木々が暴風や洪水などにより倒されたと報じられています。

イタリアの農業協会は、声明で、

「地域の森林の状態が元に回復するには1世紀かかるだろう」

と述べました。

2018年11月4日 イタリア・ヴェネト州の森林
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経済被害は、ヴェネト州だけで 1200億円規模になると推定されていますが、森林の正確な被害がまだわかっていませんので、さらに大きくなる可能性があります。

また、ジェノバなどイタリアの都市には建造物そのものに価値があるものが数多くありますが、それらの建物や景観などへの被害も大きく、観光の点からも長期的な経済的影響へとつながる可能性があるとヴェネト州知事は述べています。

廃墟のような景観となった場所も多く、また復旧もすぐにというようなわけにはいかないレベルの被害を受けている場所も多いようです。

ジェノバ近郊の海岸
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ベネチア北部 川の堤防の決壊で流された家
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この一連の暴風雨による人的被害も拡大しており、11月4日までに 20名が亡くなっていると伝えられています。

しかし、これで連続した悪天候が終わったというわけではないようで、気象専門家たちによれば、今のイタリアの気象は、

「過去 50年から 60年のあいだで最も複雑な状況となっている」

とのことで、天候の見通しも立てづらいようです。

この記事のタイトルに「回復には1世紀かかる」とありますように、今起きている自然災害の影響は、そう簡単に元に戻るというようなものではないのです。

この「洪水」に反応しましたのは、最新メルマガ「同じ世界に生きている異なったふたつの人類」というものでもふれたのですけれど、アメリカの未来予測プロジェクト「ウェブボット」のちょうど 10年前の 2009年の記述に「洪水」に関するものがありまして、そして、その中にある、

「 2009年前に起きると予測されていたことが今 2019年と似ている」

ことに気づいたのです。

ですから、「洪水 → 社会変化」という流れは、今年 2019年に起きる可能性もあるのかなあと。

その 2009年に起きる(と予測して起きなかったこと)の代表的なことが、

・人類の変容の始まり

・世界中での物資の不足と飢餓

・金融危機と通貨危機


などですけれど、人類の変容なんていう雲を掴む系の話はともかくとして、「物資の不足と飢餓」は、現在すでに多くの国や地域で発生していまして、英国 BBC は、3月20日に、「食糧がなくなった時に何が起きる?」という大特集を掲載しています。

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国連世界食糧計画によれば、現在、1億2400万人が食糧危機に直面しており、約 8億人が栄養不良となっているそうですが、この数字は「世界全体としての食糧の供給に問題がない状態」でのものです。

ここに「問題が起きたとしたら」どうなるのか。

カナダ、オーストラリア、そしてアメリカと立て続けに農作地が破壊され続けている現状で、仮に、

「世界全体の食糧供給のバランスに問題が起きた場合」

はどうなってしまうのかと。

上の記事にもありましたけれど、アメリカでは大量の「食糧備蓄」も失われてしまっているわけで、いかに食糧生産が豊富なアメリカでも、この洪水、そして今後もこのような状態が続くとなると、なかなか展望は厳しいものになるのではないでしょうか。

まして、食糧自給率が極端に低い東アジアの国々は、本当の意味での「世界的な食糧の危機」が発生した時には、対処できないかもしれません。

過剰に心配する必要はないかもしれないですが、今後のアメリカなどの自然災害の状況次第では、多少は、「食糧供給に問題が生じた場合」の対策なども考えておくのも悪くないかもしれないですね。

何でもなければ、食べちゃえばいいだけですし。

それにしても、ここまで「ピンポイントで農産地を連続して攻撃する自然災害」というのは過去に例がない気がします。

本格的な「黙示録の時代」というような気配を感じざるを得ません。

最終更新:2019/04/01 23:11

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