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2018/10/21 18:03

子どもに対しての虐待は、その子どもに「DNAレベルの変化」を引き起こすことが国際的研究で示される。
それがもし「人類全体の遺伝子」として受け継がれていくのなら…人類は結局滅亡するかも

10月2日のアメリカの報道より
abuse-and-dna.jpg

研究発表というのは、冒頭に貼りました最近のものなのですが、これは、本日(10月3日)の AFP の日本語版の記事としても紹介されていました。上の記事では、米ハーバードとありますが、カナダのブリティッシュコロンビア大学などを含めた研究チームによるものです。

この記事の中に「 DNA のメチル化」という言葉が出てくるのですが、この言葉は、In Deep の過去記事で「 2回だけ」出てきたことがあります。

それらの過去記事も後に振り返るとして、まずは、その AFP の記事から一部を抜粋して、ご紹介します。

全体をお読みになりたい場合は、http:●//www.afpbb.com/articles/-/3191912からどうぞ。

ここからです。

児童虐待、被害者に残る「分子の傷跡」 研究
AFP 2018/10/03

虐待を受けた子どもは、そのトラウマ(心の傷)を示す物質的特徴が細胞の中に刻み込まれている可能性があるとする研究論文が2日、発表された。

研究は、トラウマが世代間で受け継がれるのか否かをめぐる長年の疑問解明への一歩ともなり得る。

カナダ・ブリティッシュコロンビア大学などの研究チームは今回の研究で、児童虐待の被害者を含む成人男性34人の精子細胞を詳しく調べた。

その結果、精神的、身体的、性的な虐待を受けたことのある男性のDNAの12の領域に、トラウマによる影響の痕跡がしっかりと残されていることが分かった。

研究チームは、未来の児童虐待容疑の捜査において、「メチル化」として知られるこのDNAの改変を捜査当局は調べることになるだろうと予想する。

ブリティッシュコロンビア大遺伝医学部のニコル・グラディシュ氏は、AFPの取材に「遺伝子を電球とみなすと、DNAメチル化はそれぞれの光の強度を制御する調光スイッチのようなものだ。そしてこれは細胞がどのように機能するかに影響を及ぼす可能性がある」と語った。

「ここで得られる情報から、児童虐待が長期的な心身の健康にどのように影響するかをめぐる、さらなる情報が提供される可能性がある」

遺伝子をめぐってはかつて、受精時において既にプログラムが完了しているものと考えられていたが、現在では、環境要因や個人の人生経験によって活性化・非活性化される遺伝子も一部に存在することが知られている。

精神医学専門誌「トランスレーショナル・サイキアトリー(Translational Psychiatry)」で論文を発表した研究チームは、メチル化が個人の長期的な健康にどのような影響を与えるかについてはまだ不明だとしている。

ここまでです。

簡単にいいますと、

「子どもの頃に虐待を受けた男性の遺伝子 DNA は変化していた」

ということがわかったというものです。

先ほど、過去記事に、この「 DNA のメチル化」という言葉が出てきたと書きましたが、それは以下のふたつの記事です。

まずは、「人間はストレスにより、DNA そのものが変化している」ことが判明した 2017年のネイチャーに発表された論文をご紹介した以下のものです。

ストレスは「DNAレベル」でヒトの肉体を根本的に改変する(だからどんな健康法もどんな健康医療もストレスには勝てない)

2017年10月24日の米医学メディアの記事より
dna-modification-stress.jpg

ストレスが、肉体や精神の健康に対して、極めて重要なおこないをするということは今ではよく言われることですし、特別に言われなくても、誰しも「ストレスばかりの生活が良いわけがない」とは思うところだと思います。

しかし、今では、そういう感覚的な部分を超えて、ストレスが「人間を根本的に変化させている」ということについて、医学と生化学の世界で「実際的な結果」として数多く示され続けています。

今回は、アメリカの医学メディアに出ていた冒頭の記事をご紹介すると共に、過去記事で取りあげた関連する内容も再度ご紹介したいと思います。

DNAの改変は、ガンやうつ病を含むさまざまな肉体と精神両方の病気の原因に

今回ご紹介する記事の内容は医学専門メディアの記事ということで、出てくる単語も内容そのものも難しいです。専門用語はやや平易なものに置き換えたりしていますが、それでもわからない部分は多いですけれど、結局は、

「ストレスが DNA にメチル化と呼ばれる変化を引き起こすことがわかった」

ということが主要な概要となります。この「メチル化」というのを正確に説明することは私にはできず、たとえば、DNAメチル化 - Wikipedia を引用したとしても、

DNAメチル化とは、DNA中によく見られるCpG アイランドという配列の部分などで炭素原子にメチル基が付加する化学反応。エピジェネティクスに深く関わり、複雑な生物の体を正確に形づくるために必須の仕組みであると考えられている。

と、あまりよくわからないのですが、「いまだにそのメカニズムがはっきりとわかっていない DNA の変化」というように私たちは考えていいように思います。

これは大ざっぱにいうと、下のような塩基といわれる部分に変化が起きることです。
dna-mod.jpg

この「DNA のメチル化」というものは、良いとか悪いとかというものではなく、それそのものは生体すべてのための重要なメカニズムで、たとえば、「遺伝子発現の制御をおこなう」ということで、生命の誕生そのものに大きく関わっているのですが、人間が誕生した後のこととして、

・DNAメチル化が発ガンに大きく関わっている

・ヒトの長期記憶の保持はDNAメチル化によって制御されている

・DNAメチル化が精神神経系の病気と関係している


などがわかっています。

要するに、乱暴にいえば、「 DNA のメチル化があるからヒトはガンになったり、メンタル系の疾病になったりする」というようなことも言えるのですが、では、「DNAメチル化がなければいいのか」というと、そういうことではないとは思われます。しかし、おそらく、この「 DNA のメチル化」というものが多発することにより、ガンの発生や、メンタル系の病気の発生、あるいは認知症も関係している部分もあると思いますが、それも増えるということになります。

この DNA のメチル化がどうして起きるのかというのは「わかっていない」ことであり、謎に包まれていたものなのですが、今回、アメリカのエモリー大学の研究者たちの実験より、

「ストレスでそれは起きる」

ということが明らかになったということです。

つまり、「ストレスがガンや精神系の病気を作り出す」ということは感覚的な意味ではなく、「ストレスが DNA を改変し、そして病気になる」という道筋となっている可能性がとても強いです。

以前、

アルツハイマー病の最大の原因が「ストレス」である可能性がアイルランドの大学の研究により突き止められる

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認知症が700万人になる日本の将来、そして、1億人を突破する世界の将来

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文字での報道ですと、

認知症患者は2025年に700万人を突破。65歳以上の5人に1人
認知症ねっと 2015.01.09

厚生労働省は7日、全国で認知症を患う人の数が2025年には700万人を超えるとの推計値を発表した。65歳以上の高齢者のうち、5人に1人が認知症に罹患する計算となる。

認知症高齢者の数は2012年の時点で全国に約462万人と推計されており、約10年で1.5倍にも増える見通しだ。


というように、高齢者の数が圧倒していくことが確定している上に、その高齢者の

> 5人に1人が認知症

ということになっていくことも、ほぼ確定しているという未来というものがあったりいたします。

あるいは、世界全体に目を向けますと、以下のようなことが予測されています。

世界の認知症患者数、2050年には現在の3倍、1.3億人に
認知症ねっと 2015.08.27

世界の認知症患者の数は2050年に1億3200万人に達し、現在(約4680万人)の3倍となる可能性があるとする報告書が国際アルツハイマー病協会(Alzheimer’s Disease International、ADI)より発表された。

この報告は、同協会が作成した「世界アルツハイマー報告書2015」による。

報告書によれば、新規患者数は毎年約990万人とされ、これは3.2秒ごとに患者が1人増える計算。この結果は2010年における推定値に比べて約30%も高いものとなっており、高齢化が進む世界においてその数は急激に増加していくと見られている。


ちなみに、日本では、「認知症の6割がアルツハイマー病」です。
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また、アルツハイマー病が「最も増えている」のはアメリカです。
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それにしても、世界全体として認知症が増え続けているというのは、何と表現すればいいのか悩みますが、こう・・・「蒙昧としていく未来」というよう感じはあるわけですが、そんな状況の中、アイルランドのダブリン大学の研究で、「アルツハイマー病に関して、発症防止に結びつく画期的な発見」をしたという報道があったのですね。

「アルツハイマー病の発症がストレスと明確なつながりがある」というものです。

そのことを、米国インターナショナル・ビジネス・タイムズが、わかりやすく説明している記事を載せていましたので、先にご紹介したいと思います。

鍵になるのは「アミロイドベータ」という物質なのだそうですが、これについては、一般社団法人「認知症予防協会」のページによれば、以下のようなもののようです。

認知症の多くはアミロイドβとタウタンパク質の蓄積によって引き起こされる脳神経細胞の死滅が原因です。

・アミロイドβ……脳神経細胞の老廃物で蓄積が続くと脳神経細胞先端部を傷つける物質

・タウタンパク質…脳神経細胞の中に蓄積し神経細胞そのものを死滅させる物質

初期段階ではアミロイドβの蓄積から始まりその約10年後からタウタンパク質の蓄積が始まります。それから更に約15年間アミロイドβとタウタンパク質は蓄積を続け、脳神経細胞を死滅させ認知症を発症させます。


ということで、一般社団法人の認知症予防協会がこのように書いているということは、現在の医学では、この「アミロイドベータ」という物質が、認知症の発症の要因となっているとされているようです。

ただし、アルツハイマー病になっていない健常者でも、大量のアミロイドベータが蓄積している例(アメリカでの調査では、健康な人の 4人に 1人がアミロイドベータを持っていました)はあるようですので、これが「主原因」ではなく、結局、アルツハイマー病の発症要因は正確にはわかっていなというのが実際のところのような気がします。

そのあたりを前提として、記事をご紹介したいと思います。

World Alzheimer's Day 2015: New Study Associates Stress With The Development Of The Disease
IB Times 2015.09.21

アルツハイマー病の発症とストレスの関係についての新しい研究

ストレスは、しばしば、うつ病や不安症、および高血圧などの疾患の患者数の増加と関連していることが知られるが、トリニティ・カレッジ・ダブリン(ダブリン大学)の研究者たちのチームは、ストレスとアルツハイマー病の発症との間の画期的ともいえる関連を発見した。

研究者たちによると、人は、プレッシャーやストレスの下にあるとき、副腎皮質と呼ばれるホルモンが放出される。

これらのホルモンは、アミロイドベータ(アミロイドβ)と呼ばれる化学的物質の断片の産生の引き金になる。アミロイドベータは、認知症に罹患している患者における記憶喪失を引き起こすことが知られているタンパク質を形成する。

今回の研究の間、研究者たちは、多くのストレスにさらされた実験室のマウスの対照群は、脳におけるアルツハイマー病と関連するタンパク質の多くを示したことを発見した。

ストレスにさらされたマウスたちは、また、彼らの脳内にアミロイドベータのタンパク質の凝縮を示した。これは、アルツハイマー病の発症に重要な役割を果たすことが知られている特定のタンパク質だ。

研究者たちは、この知見を人間の脳細胞に置換した。

チームは、これを、人間の脳細胞における副腎皮質刺激ホルモンの放出因子であると見なし、また、アルツハイマー病に関与するアミロイドタンパク質のレベルの増加を発見した。

フロリダ大学のトッド・ゴルデ教授( Professor Todd Golde )は、今回の研究結果は、アルツハイマー病の原因となる遺伝子を修正や改変するよりも、より容易に、病気を追い払うために使われる可能性とつながると語る。

研究チームは現在、抗体を開発する計画を立てている。この抗体は、ストレス下に放出されるホルモンをブロックするために使用される可能性があり、その場合、ストレス下でも、アルツハイマー病の原因となるタンパク質は形成されない。

ダブリン大学のマシュー・キャンベル博士( Dr. Matthew Campbell )は、プレスリリースの中で以下のように述べている。

「最近のアミロイドベータ抗体の臨床試験の進歩を考えますと、私たちの調査結果が、アルツハイマー病という、この壊滅的な状態が改善されることにつながる可能性となることを願っています」

毎年 9月21日は、世界アルツハイマー・デイだ。

この日は、認知症の最も一般的な形態であるアルツハイマー病に対しての意識を高めることを目指して制定された。

アルツハイマー病協会によると、現在、世界で 4700万人がアルツハイマー病にかかっており、68秒に 1人の割合で新しい患者が出ている。

という記事を書かせていただいたことがありますが、これは「ストレスが、脳の中にアミロイドベータというアルツハイマー病の原因となる物質を増やす」ことが研究でわかったというものでした。これも、後で一部抜粋しておきたいと思います。

日本を含めた今の主要国の社会というのは、多くの人々が大変に健康に気をつかっていて、食べる物や日頃の生活において「歴史的に見て異常なほど健康に気をつかっている」ということになっていて、高齢の方なども、いつまでも若くと頑張り続ける人がとても多い………………のに「病気はとめどなく増えている」という現実。

以前から感じていますが、「今の世の中は《生きているだけでストレスにさらされ続ける》社会」となっていることが原因かとは思います。

何もかもストレス的ではありますけれども、それでも、かつては「夜になれば、ひとりに、あるいは家族だけで過ごせた」のですが、今は違います。スマートフォンや SNS の普及のおかけで「他人から隔離されているリラックス状態」は崩壊しました。

起きている間中、かつてなかった緊張とストレスに見舞われ続けている毎日。

ガンを含めた病気がすさまじく増加している原因、そして、認知症が歯止めが効かないほど増加している原因をここに求めるのは奇妙でしょうか。

というわけで、冒頭の記事をご紹介します。なお、文中に出てくる、うつ病の検査としての「強制水泳試験」と「尾懸垂試験」は、マウスにおこなうもので、人間を対象にしたものではありませんので、ご安心下さい。

Mysterious DNA modification seen in stress response
Medicalx Press 2017/10/24

ストレス応答に見られるミステリアスなDNA修飾

ゲノミクス(ゲノムと遺伝子について研究する生命科学の一分野)の進歩により、科学者たちは、動物の DNA 配列から次々と追加の構成要素を発見している。

そして、発見される DNA の珍しいメチル化による改変(DNAのメチル化修飾)は何か特別な意味を持っているのだろうか。それとも細胞のメカニズムが間違いを起こした徴候というだけなのだろうか?

ジョージア州アトランタにあるエモリー大学医学部の遺伝学者ペン・ジン博士(PhD. Peng Jin)は、いまだに理解されていない動物における DNA の変化、すなわち DNA アデニンにおけるメチル化を研究している。そして、博士たちは、DNA のメチル化が、ストレス条件下で脳内に多く現れ、神経精神障害において役割を有していることを見出した。

この研究結果はネイチャー・コミュニケーションズに掲載される。

DNAのメチル化とは、DNA 中の配列の部分などで炭素原子にメチル基が付加する化学反応のことだ。DNA のシトシン上のメチル化は、一般に遺伝子を遮断し、DNA 遺伝子自体を変更することなく DNA コードをどのように読み取るかを細胞が変化させるエピジェネティック的な調節の重要な部分となっている。

DNA のアデニンにメチル化が現れるとどうなるのだろうか?

バクテリアの場合では、メチル化したアデニン( N6 - メチルアデニン)は、ファージというバクテリアに感染するウイルスによる細胞内への侵入に対して防御する方法の一部となる。

そして、このエピジェネティック的な変化は、細胞のメカニズムの間違いなどではなく、その機能の完全な説明を待っていた。

研究論文の著者であり、エモリー大学人間遺伝学の助教授であるビン・ヤオ博士(PhD. Bing Yao)は最近、 DNA 配列の新しく見出された部分を調べるために、自身の研究所を設立した。ネイチャー・コミュニケーションズの論文で両博士は、うつ病の研究のための標準モデルである強制水泳試験、および尾懸垂試験において、ストレスを受けたマウスの脳の前頭前野を調べた研究について発表した。

この状況下で、ストレスを受けたマウスの脳細胞の DNA 中のメチル化したアデニンの存在量は 4倍に増加したことを科学者たちは見出した。

DNA の変化は、液体クロマトグラフィー/質量分析および、メチル化したアデニンに対する抗体への結合の 2つの繊細な技術で検出された。

メチル化したアデニンは、ゲノムの特定の領域に限定されて存在すると考えられる。

変化した DNA の構成要素(メチル-A)は、遺伝子間の領域に多く見られ、タンパク質をコードするゲノムの部分からほとんど除外されていた。

メチル-Aの喪失は、ストレスによって上方制御される遺伝子と相関し、活性遺伝子の周りで何かがそれを除去していることを示唆している。

ストレスから誘導されるこれらのメチル化した遺伝子は、精神神経障害に関連する遺伝子と重複しているが、しかし、より多くの調査が必要な関係性でもある。

科学者たちは、ストレスに応答する異常な DNA の変化は、DNA結合タンパク質を異所的に生成されること(本来発現する場所以外で遺伝子が発現しタンパク質が生成されること)によって精神神経的疾患の発症に寄与すると推測している。

ここまでです。

まあ、やっぱりわかりにくくはあるのですが、これ以上はわかりやすくすることができなくて申し訳ないです。

ところで、関連としまして、過去記事で、

・子ども時代のストレスが DNA の構造に影響を与え、将来の寿命を縮める

・ストレスが認知症を誘発することについて

子ども時代のストレスが細胞レベルで人の寿命を短縮することが科学者により判明
Scientists: burdens in the childhood reduce life at the cellular level

小児期における離別や悲痛が DNA の損傷に対して保護をする役割を持つ染色体の先端部分にあるテロメアの長さを減少させることが判明した。テロメアの長さの減少はヒトの細胞の老化を意味する。

テロメアは、人体の各細胞の核にある染色体の末端部分にある部位で、DNA を損傷から保護する働きをもつ。テロメアは、細胞分裂を繰り返すたびに徐々に短くなっていき、短くなると染色体は不安定になり、最終的に分裂をしなくなる。その時に細胞は死滅する。

つまり、テロメアの長さが短いほど、細胞の死滅が近いということになり、それは老化を意味する。

chromosome_telomere_genome02line.jpg

最近、科学者たちは、テロメアの長さが加齢の状況だけで変化するのではないことを見出した。

加齢だけではなく、うつ状態、経済的困難、そして、ストレスと結びついた構造体の中でのプロセスの結果として、テロメアの長さが変化することがわかったのだ。また、親しい人との離別と孤独は、より強くテロメアを短くすることもわかった。

ブリティッシュ・コロンビア大学の科学者が率いる研究チームは、小児期にストレスが多い状況で過ごした場合、それが、テロメアの長さと細胞の健康に影響するかどうかを確かめる大規模な調査を実施した。

この研究のために、科学者たちは約 4600人のアメリカ人の高齢者を分析した。これは、染色体におけるテロメアの長さと老化の関係を調べるものとしておこなわれた調査としては、アメリカで最大規模のものとなる。

その結果、小児期における有害要因がテロメアが短くなる結果と結びつくことを示し、高齢者において寿命を短くさせることを加速させた。その場合、テロメアが平均で 11%短くなっていることが示された。

というように、幼少期のストレスが、「そのヒトの寿命を短くしている」ことがわかったというものです。

次は、ストレスとアルツハイマー病の関係についての 2015年のアメリカの報道の翻訳からの抜粋です。

アルツハイマー病の発症とストレスの関係についての新しい研究
World Alzheimer’s Day 2015: New Study Associates Stress With The Development Of The Disease

ダブリン大学の研究者たちは、ストレスとアルツハイマー病の発症との間の画期的ともいえる関連を発見した。

研究者たちによると、人は、プレッシャーやストレスの下にあるとき、副腎皮質と呼ばれるホルモンが放出される。これらのホルモンは、アミロイドベータ(アミロイドβ)と呼ばれる化学的物質の断片の産生の引き金になる。アミロイドベータは、認知症に罹患している患者における記憶喪失を引き起こすことが知られているタンパク質を形成する。

今回の研究の間、研究者たちは、多くのストレスにさらされた実験室のマウスの対照群は、脳におけるアルツハイマー病と関連するタンパク質の多くを示したことを発見した。

ストレスにさらされたマウスたちは、また、彼らの脳内にアミロイドベータのタンパク質の凝縮を示した。これは、アルツハイマー病の発症に重要な役割を果たすことが知られている特定のタンパク質だ。

研究者たちは、この知見を人間の脳細胞に置換した。チームは、これを、人間の脳細胞における副腎皮質刺激ホルモンの放出因子であると見なし、また、アルツハイマー病に関与するアミロイドタンパク質のレベルの増加を発見した。

もうひとつは、赤ちゃんのときに「親との肉体的接触が多いか少ないかで、その人の DNA かそれぞれ変化する(接触が多い方が良い方向に変化)」という、ブリティッシュ・コロンビア大学の医学部が発表した研究をご紹介した以下の記事です。

赤ちゃんは「抱っこ」など肉体的接触を数多くされるほど「DNAが良い方向に変貌する」ことをカナダの研究者たちが突き止める。その影響は「その人の健康を一生左右する」可能性も

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赤ちゃんの一生の健康は、人生の最初の頃の「親との肉体敵接触」で決まる
今回は、カナダ最大の大学であるブリティッシュ・コロンビア大学の医学部が発表した研究について、そのニュースリリースをお伝えしようと思います。

その内容のテーマは短く書けば、

「赤ちゃんをたくさん抱っこするのとしないので(肉体的接触が多いか少ないかで)、赤ちゃんの遺伝子に大きな差が出ることがわかった」

というものです。特に、「体の免疫と代謝に関係する DNA 」に明らかな差異が出ることがわかったのでした。

研究は、生まれて五週目の赤ちゃんの親たちに、子育ての中での記録をとってもらい、赤ちゃんの様々な感情や状態、そして、「どのくらい親と肉体敵に接触していたか」ということを記録してもらうところから始まりました。

そして、「その4年6ヶ月後」に、成長したその子どもたちの DNA を採取して調べたところ、

「親との接触の時間の差が、DNA の生物学的的な優劣と比例していた」

ということがはっきりと示されたというものです。

「5週目の赤ちゃんの時に、たくさん抱っこ(肉体的接触)された赤ちゃんのほうが生物学的に優位な遺伝子だった」と。

これは、ブリティッシュ・コロンビア大学の医学部小児科において、「早い時期からの健康のスタート」というものは何ということで調べるプロジェクトでわかったことだそうで、「これが医学的にわかったのは今回が初めて」ということだそうです。

さらには、他の動物類での実験などと照らし合わせた時に、「この子どもの時に生じる DNA の差異は、その人の健康に一生影響するかもしれない」というところにまで可能性が及んでいます。

つまりは、「自分の子どもをできるだけ健康にしたいのなら、生まれてすぐの頃に、できるだけ肉体的接触をたくさんもってあげること」ということになりそうなのです。この「健康」には、肉体的なものだけではなく、精神的、心理的な健康も含められます。

エピジェネティクス的に変転し続ける子どものDNA

人間の DNA は、ある程度の大人になると不変なのかもしれないですが、子どもの頃は「変化し続ける」ことが最近わかってきています。

今年5月には、アメリカ・ノースウェスタン大学の研究者たちが、「子どもたちの DNA が《子どもの頃に過ごす環境で変化する》」ことを発見しています。

下は、その医学論文のページです。
dna-methylation-child02.jpg

難しいタイトルですが、幼少時に肉体的・精神的に苦しい経験をした子どもたちと、そうではない子どもたちとの間に「 抗炎症などに関与する DNA の変化の差異がある」ことが明らかとなったというものです。

子ども時代の苦しい経験、つらい精神的経験は「良くない変化」を与えることがフィリピンでの大規模調査でわかったというものでした。

ここでいう「変化」というものは、「曖昧なものではない」ということに注意していただきたいです。つまり、 DNA の変化を伴っているわけですから、「その人の体が根本的に変化した」ということなのです。

こういう研究が今いろいろと出ていまして、結局、遺伝子科学が明らかにすることは、子どもに対して最も大事なことは「親や周囲の人間からの愛情」であり、そして今回のブリティッシュ・コロンビア大学の研究は、その中でも、

「生まれてすぐの赤ちゃんをたくさん抱っこすることが、その子どもの人生を健康にする最大の要点」

だということがわかったということになります。

この研究が進めば、たとえば病弱で生まれて、お母さんが赤ちゃんを抱っこできないような病院の環境などがあるとすれば、それを改善することで、良くなるというようなケースも出てくるかもしれません。

そして、これから赤ちゃんを生むことになるような方々は、赤ちゃんが生まれて最初に頑張ることはそれだけ、つまり「たくさん抱っこしてあげる」ということが、その子の一生の健康に最も影響することだと認識していればいいということなのではないでしょうか。

Holding infants or not can leave traces on their genes
ブリティッシュ・コロンビア大学医学部 ニュースリリース 2017/11/27

「乳幼児を抱っこするかしないか」は、その赤ちゃんたちの遺伝子に影響する

ブリティッシュ・コロンビア大学と、その小児病院研究所の新しい研究によると、乳児と親との密接な接触が、分子レベルで子どもに影響を与えている力を持つことがわかり、子どものその生物学的な影響は 4年後には出現していることも明らかになった。

この研究では、乳幼児の時に、親(あるいは世話をしている大人)との肉体的な接触が少なかった幼児たちの細胞の分子プロフィールが実年齢より未熟であり、生物学的に遅れている可能性を示した。

幼児期のこれらの発達の違いが、成人になってからの健康に影響するかどうかは今のところ明らかになっていないが、この変化は、遺伝子発現に影響を及ぼすエピゲノム(生化学的変化)に深く根づき、生涯にわたって影響を及ぼす可能性を示している。

この発見は、胃是か行われたげっ歯類の同様の研究に基づいているが、生命の早い段階での肉体的接触という単純な行為がその生体の一生全体に影響を及ぼすかもしれないということが、ヒトにおいても示された最初の研究である。

ブリティッシュ・コロンビア大学病院の小児研究所で、子どもたちが健康に人生をスタートさせられるためのプロジェクト「ヘルシー・スターツ(Healthy Starts)」を指導している遺伝学教授であるマイケル・コボー(Michael Kobor)博士は「小さな子どもでは、エピジェネティックな老化が遅いと、あまり好ましくない発達の進展が反映されると考えられます」と述べる。

医学誌『デベロップメント・アンド・サイコパソロジー(Development and Psychopathology / 発達と精神病理学)』に掲載された論文によれば、今回の研究には、カナダ・ブリティッシュ・コロンビア州の 94人の健康な乳幼児たちが参加した。

ブリティッシュ・コロンビア大学の研究者たちは、5週齢の乳児の両親に、幼児の行動(睡眠、騒ぐ、泣く、摂食など)の日記を保管しておくように依頼した。その中には、親と子の身体的接触を伴う世話の時間も含まれていた。

そして、その子どもたちが 4歳半になった時に、彼ら彼女らの DNA を頬の内側から提供してもらい、それをサンプリングした。

チームは、 DNA メチル化と呼ばれる DNA の生化学的変化を調べた。そこでは染色体の一部に炭素と水素でできた小さな分子が関連付けされる。これらの分子は、各遺伝子の活性化を制御し、細胞の機能に影響を与えるのを助ける「調光スイッチ」として働く。

メチル化の程度、およびメチル化が DNA 上のどこで特異的に起こるかは、特に小児期における外的条件に影響を与える可能性がある。 これらのエピジェネティックなパターンは、私たちが年をとるにつれて予測可能な状態に変化する。

研究者たちは、5つの特定の DNA 部位で、親との肉体的接触が高い場合と、肉体的接触が低い場合とのメチル化の「差異」が一貫して存在していることを見出した。

これらの部位のうち2 つは遺伝子内にあり、免疫系において役割を果たすもので、もう 1つは代謝に関与している。

(※訳者注 / 親との肉体的な接触が多い乳幼児ほど、4歳の時の免疫と代謝が良好であり、接触が少ないとその逆になる傾向がはっきりとしている)

しかし、これらのエピジェネティックな変化が子どもの発達と健康に及ぼす場合の、それ以上の影響の具体的な部分はまだ分かっていない。

乳幼児の時により高い苦痛を経験し、親との肉体的な接触が少なかった小児は、「後成的年齢」を有し、彼らの実際の年齢( 4歳半)を考えると、予測よりも低かった。いくつかの最近の研究では、後成的年齢は小児の不良な健康状態に結びつく。

研究者たちは、今後これら「生物学的な未熟さ」が見出される子どもたちの健康、特に心理的発達に大きな影響を及ぼすかどうかを研究していくつもりだとしている。

主任医師のサラ・ムーア(Sarah Moore)氏は以下のように述べた。

「さらなる研究で今回の発見が確認された場合、体の弱い乳幼児たちのために、積極的な肉体的接触を提供することの重要性が強調されることになると思います」

この後者の記事は、昨年 12月のものですが、この研究では、単に赤ちゃんの時だけの健康の状態ではなく、「それがその人の一生の肉体的条件を左右する」という可能性を示したもので、記事では以下のように書いています。

他の実験などと照らし合わせた時に、「子どもの時に生じる DNA の差異は、その人の健康に一生影響するかもしれない」というところにまで可能性が及んでいます。

つまりは、

「自分の子どもをできるだけ健康にしたいのなら、生まれてすぐの頃に、できるだけ肉体的接触をたくさんもってあげること」

ということになりそうなのです。この「健康」には、肉体的なものだけではなく、精神的、心理的な健康も含められます。

前者の記事では、「 DNA のメチル化」という言葉が全面に出てきますが、これはとても難しい概念で、今も私にはうまく説明できないのですが、DNA のメチル化とは、図でいえば、 DNA の下の部分などが「変わってしまう」ことです。

dna-mod.jpg

そして、このメチル化というもの自体は、良いとか悪いとかというようなものではないのですが、ただ、以下のように重要な意味を持っているようです。

・DNA のメチル化が発ガンに関わっている

・人間の記憶の保持は DNA のメチル化によって制御されている

・DNA のメチル化が精神神経系の病気と関係している

つまり、ガンになったり、精神系やメンタルの病気になったりする理由の根幹に、この DNA のメチル化があるようなのですが、しかし、今のところ、この DNA のメチル化がどうして起きるのかというのは「わかっていない」のです。

しかし、上の前者の記事のように、アメリカの大学の研究者たちの実験によって、

「 DNA のメチル化はストレスによって起きる」

ことが明らかになったのでした。

もちろん、ストレスだけが原因ではないでしょうが、「何も原因がなく起きているわけではない」と。

そして、これらの問題は、体の何かの部位に影響があるというのではなく、「 DNA 」そのものを変えてしまうということであるわけです。

DNA とは「遺伝」子であり、つまり一般的には「受け継がれていく」ものです。

今のところ、「変わってしまった DNA 」が、後の世代に遺伝として伝わっていくのかどうかは不明ですが、しかし、普通に考えれば、

「変わってしまったものであろうと何だろうと、 DNA なら遺伝する」

というようには思うのです。

そして、今回の、「子どもの時に虐待を受けていた人たちの DNA も変化してしまっていた」という事実。これまでの研究などから見れば、それはおそらくは「良い変化ではない」と考えられます。

たとえば、さきほどの「ストレスは DNA で変化する」ことを取りあげた記事でご紹介した医薬系メディアの内容には、以下のような記述があります。

ストレスに応答する異常な DNA の変化は、DNA 結合タンパク質を異所的に生成されること(本来発現する場所以外で遺伝子が発現しタンパク質が生成されること)によって精神神経的疾患の発症に寄与すると推測されている。

というように、「 DNA が変化してしまったから」「精神神経的疾患の発症にいたってしまった」という人たちは、少なからずいると思われるのです。

精神的なものだけではなく、さまざまな肉体的な疾患の増加も関係していると考えられています。

本題としては、ここからですが、つまりは、今回の冒頭に示しました研究は、「子どもを虐待することは、その人の DNA を悪い方へと変化させる」と共に、

「それは、人類全体としての遺伝子の質の低下につながるのかもしれない」

というように私は思うのです。

そこで改めて見てみる「現在の日本の児童虐待の現状」をあらわした下のグラフです。

日本の児童虐待の相談対応件数の推移(1990年-2014年)
jidou-2014c.gif

過去 20年くらいで、何倍……なのかはよくわからないですが、ものすごい増加を示しています。

もちろん、これはあくまで統計であって、現実をうつしだしているものではないかもしれないですが、現実としての数字はともかくとして、「子どもへの虐待がものすごく増えている」ことは事実だと思われます。

そして、このグラフで棒線として示されているのは、数ではなく「人間の子ども」であり、その子どもたちは、全員ではないだろうにしても、

「それぞれ DNA に傷を受けて、それは基本的に一生修復されない」

のです。

体に受けた傷と違って、DNA のメチル化で変わってしまった DNA は(その研究はまだないにしても)もう元には戻らないと考えられます。

そして、その「悪く変わってしまった DNA 」が、

「人類の遺伝子のひとつして、この世に定着していく」

ということになっても不思議ではないのです。

次の世代に伝わり、また次の世代に伝わっていく傷ついた DNA ……。あるいは、劣化した遺伝子。

そういう状況が、さきほどの「日本の児童虐待の件数」のように、飛躍的に増えているという現状があります。

「人間は遺伝子を持ち、その遺伝子は受け継がれる」という基本的な輪廻から考えても、今の時代は、過去にないほどの「破壊の時代」だと私が考える根幹はこのあたりにもあります。

まったくカタストロフだとは思いますが、だからといって、もはや何かを責めるというような特定の対象も思い浮かびはしないわけで、人類みんなで「 DNA の劣化した人類」へ退行進化し続けている現状を見るだけです。

最終更新:2018/10/21 18:03

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