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記事詳細

2021/02/14 21:46

「種の起源」について科学誌ネイチャーに掲載された国際研究は、現世人類の共通の祖先が存在しない可能性に行き着く

2021年2月14日
sapience-a-2021.jpg
これまで発見された様々な「人類」。

地球のそれぞれの人種は「バラバラに勝手に出現した」可能性

ドイツのマックスプランク研究所が主導した国際研究の結果が、最近の科学誌ネイチャーに掲載されていまして、それはなかなか興味深いものでした。

専門的な言い方ではなく書きますと、

「どうやら人類の共通の祖先は存在しないようだ」

というものです。

2021年2月10日のネイチャーより
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この論文の内容は、世界中の科学報道で一斉に報じられていましたが、その理由としては、「現世人類には単一の祖先があった」という学説が主流だからです。

それを系統立ててきたのは、主に遺伝子解析的なアプローチと化石などの解剖学的なアプローチからですが、このマックプランクの研究は、結論として、

「どの側面から系統付けて分析しても、全人類の共通の祖先が登場した場所も時間も特定することはできない」

というものとなっています。

現在の「現世人類の起源の学説の主流」というものは以下のようになっています。

ホモ・サピエンスの進化と拡散については、アフリカ単一起源説と多地域進化説とが対立している。アフリカ単一起源説では、アフリカで「最も近いアフリカの共通祖先」であるホモ・サピエンスが進化し、世界中に拡散してホモ・エレクトゥスとホモ・ネアンデルターレンシスに置き換わったとしている。 (人類の進化 - Wikipedia)

ここには「説が対立している」というようにありますが、現実には、以下のようになっています。

アフリカ単一起源説とは、地球上のヒトの祖先はアフリカで誕生し、その後世界中に伝播していったとする自然人類学の学説。遺伝子研究の裏付けもあり、現在、多くの科学者が一致してこの見解を支持している。 (アフリカ単一起源説 - Wikipedia)

このようなわけで、基本的には現在の科学では、「現世人類は、単一の起源を持っている」という説が主流となっています。アフリカに登場した現世人類が、地球を移動する中で、さまざまな人類や人種が「進化などで」分化し、広がっていったということです。

しかし今回、ネイチャーに発表された論文は、

「単一起源はないとしか言えない」

としたもので、それで科学誌などがいっせいに報じたようです。

まずは、その内容についてリリースで発表していた、ドイツのマックスプランク研究所のニュースをご紹介します。

そう書かれているわけではないですが、ここにあるニュアンスは、「地球の人類は、いろいろな時間やいろいろな場所でバラバラに《登場》した」というようなことかもしれません。

私たち現世人類の種の起源
On the Origin of Our Species
Max Planck Institute 2021/02/10

新しい研究は、遺伝的および化石の記録は、現世人類が出現した単一の時点を明らかにできないことを示唆している。

自然史博物館、フランシスクリック研究所、マックスプランク人類歴史科学研究所の専門家たちが協力し、私たちの種であるホモサピエンスの進化における祖先のさまざまな意味を解明した。

私たちの多くは、自分たちの祖先ひいては「人類の祖先」の存在とその探究に魅了されることがある。

報道でも、「新しい人類の祖先が発見された」というものや、「新しく発見された化石が人類の祖先についてのこれまでの概念を変える」というような見出しを定期的に目にする。

しかし、祖先あるいは人類の祖先などの言葉の意味が詳細に説明されることはめったにない。

科学誌ネイチャーに掲載された新しい論文では、専門家たちが、世界中の現代人類の祖先を遠い過去にさかのぼることができる方法と、過去の旅の間にどの祖先を通過するかについての現在までの科学的理解をレビューしている。

論文の共著者である自然史博物館のクリス・ストリンガー教授は、次のように述べている。

「私たちの祖先の中には、化石記録から特定できる人種集団グループや人口集団はありますが、特定できている他の人種についてはほとんど知られていません。今後 10年間で、私たち人類の複雑な起源に対する認識の高まりは、古人類学たちのフィールドワークの地理的焦点を、中央アフリカ、西アフリカ、インド亜大陸、東南アジアなど、これまでは、私たちの進化の周辺と考えられていた地域に拡大させていくはずです」

この研究は、これまでに主要な疑問が含まれ、また、今後の研究の最前線となる私たち人類の祖先の 3つの重要な段階を特定した。

それは、約 4万年前から 6万年前の現代人の世界的な拡大、ネアンデルタール人やデニソワ人などの旧人類との最後の既知の接触から、 約 6万年から 30万年前のアフリカ人類の多様性の起源、そして最後に、約 30万年から 100万年前の旧人類からの現代人の祖先の複雑な分離だ。

論文で科学者たちは次のように主張している。

「現代の人間の(共通の)祖先の場所が、限られた発祥地に限定されていた場合、そして、解剖学的または行動的特徴の最初の出現の既知のパターンからは、人類の共通の祖先のひとつの時点を特定することはできない」

フランシス・クリック研究所の共著者ポントス・スコグランド氏は、次のように述べている。

「多くの人たちが信じていること(※たとえばアフリカ単一起源説など、人類には共通の祖先がいるということ)に反して、遺伝的記録も化石の記録も、これまでのところ、私たち人類種の起源について定義された時間と場所を明らかにしていません」

「私たちの祖先の大部分は、小さな地理的地域で発見されており、私たち人類種に関連する形質が現れたそのような(※ 共通の祖先が出現したような)時点は存在しなかった可能性があります。今のところ言えるのは、人類の単一起源の考えから離れることが有用だと思われます」

論文の共著者で、マックスプランク研究所パンアフリカン進化研究グループのエレナー・セッリ博士は以下のように述べる。

「主要な新たな疑問は、どのメカニズムがこのそれぞれの人間の混合を、その多様な祖先の系譜とともに、どのような時間と空間にわたってそれが推進され、維持されたかに関するものです」

「破壊された生息地と変化する人間の生活空間との関係を理解することは、間違いなくこれらの質問を解明する上で重要な役割を果たし、どの人口統計パターンが遺伝的および古人類学的記録に最もよく適合するかを明らかにするでしょう」

これまでの直接的な遺伝子分析の成功は、古代の遺伝子記録の重要性を浮き彫りにしている。

これには、古代 DNA(aDNA)の検索、認識されていない人間の物質を見つけるための断片化石の生体分子スクリーニング、堆積 aDNA のより広範な検索、および古代タンパク質によって提供される進化情報の改善における継続的な技術的改善が必要だ。

成長する遺伝的、化石的、考古学的記録の学際的な分析は、間違いなく、現代の人類の祖先のルーツについての多くの新しい驚きを明らかにするだろう。

ここまでです。

まあしかし。

人類でなくともいいのですが、何らかの生物に対しての、

「単一起源」

という発想そのものの根底にあるものは何かといいますと、それは「進化論」です。

何かが最初にあって、それが進化して分化していった。

ですので、地球の学問の根底に「進化論が存在しなかったとしたなら」人類の単一起源というような考えも発生しなかったようには思います。

なお、これに関しては、2018年に、アメリカとスイスの科学者たちが、10万種以上の生物の DNA と 500万以上の DNA バーコード(遺伝子の断片)を徹底的に調査した内容を発表したことがありました。少し振り返ります。

そもそも生物学の発展により進化論自体が崩壊している

このときの DNA と 遺伝子の断片の解析は、かつてない歴史的な規模の遺伝子調査でしたが、その結果、わかったことは次の通りでした

ほとんどの動物がヒトとほぼ同時期に出現した

具体的には、「現在地球にいる人間を含む大半の生物が地球上に登場したのは、10万年〜20万年前の間だとわかった」のでした。

さらに、「中間種は存在しない」ことも。

この大規模な DNA と遺伝子の断片のスクリーニングでは、

「地球のほぼすべての生物は、20万年以内に出現したもので、それ以前はない」

ということがわかったということになります。

事実上の「進化論の全否定」となってしまう結果に、研究した本人たちも戸惑っていましたが、このことについては、2018年の以下の記事でご紹介しています。

[特報]ダーウィンの進化論が崩壊 : かつてない大規模な生物種の遺伝子検査により「ヒトを含む地球の生物種の90%以上は、地上に現れたのがこの20万年以内」だと結論される。つまり、ほぼすべての生物は「進化してきていない」

2018年6月7日
現行の進化論が現実的な崩壊に直面している大ニュースなのに、日本ではまったく報道されないという事実も
科学メディア Phys.org の5月28日の記事より
new-evolution-faces.jpg

ダーウィンの時代の終焉への扉

現行の科学と関係するものとして、以下に関しては、ずいぶんと以前から主張させていただくことがありました。

下のふたつです。

・ビッグバン宇宙論の全否定

・ダーウィンの進化論の全否定


の2本です。

今回はこのうちの「ダーウィンの進化論」について、それが、ついに「全否定」される可能性が強くなったことについての報道です。

これは、アメリカの科学メディアに掲載されていた記事をご紹介したいと思いますが、この研究の方法もすさまじいものです。かつてなかったもので、誰も想像さえしなかったものです。

それは、10万種以上の生物種の DNA と、アメリカ政府の遺伝子データバンクにある 500万以上の DNA の断片を「徹底的に調査した」というものなのです。

そこからいろいろとわかったのですが、最も衝撃的だったのは、

現在地球にいる大半の生物(人間を含む)が地球上に登場したのは、10万年〜20万年前の間だとわかった。そして、「中間種は存在しない」。

ことでした。

その部分を記事の翻訳から抜粋しますと、次のようになります。

おそらく、この研究の最も驚くべき結果は、人間を含む現在地球上に存在する生命種のうちの 10種のうち 9種が 10万〜 20万年前に出現したことが明らかになったことだろう。

これはつまり、この地球の生物の 90%以上は「それ以前への遺伝子的なつながりがない」ということでもあり、もっといえば、

・地球のほとんどの生物は 20万年前以降に「この世に現れた」

のです。

これがどういう意味かといいますと・・・。たとえば・・・「現行の科学で言われている人類誕生までの地球の歴史」というものは下のようにされています。

46億年前から始まり、35億年前くらいの最初の生物が誕生し、そこから「徐々に」進化してきた……というものです。

seimei01.jpg

しかし、今回の大調査の結果からわかることは、

「徐々に」進化していない

ということなのです。

つまり、20万年より前の部分は、「現在の地球の生物とほとんど関係ない」としか言いようがないのです。

seimei-02.gif

とにかく、ほぼすべての生物種が 10万年から 20万年前に地球に登場しているという可能性が極めて強くなったのです。

今回の調査の方法論と、この結論については、科学的に真っ向から反論することしは難しいように思えるほど、ほぼ完ぺきなものに見えます。

これから科学界はどうするのか……とも思いましたが、このニュースが出て以来の日本の報道を見て少しわかりましたが、どうやら、今は、

「できる限り無視する」

という姿勢なのかもしれません。

何しろこれだけの内容が提示されているニュースなのに、日本語の報道がほぼないのです。

もともとがアメリカの AFP 通信社の特報記事として報じられたものですので、日本の AFP にはその後掲載されましたが、今のところ、どうもそれだけしか見当りません。科学メディアも含めてです。

第一報から 10日ほど経過していますので、今さら出てくることもなさそうです。

まったく報道されていないのです。

こんな大きな出来事がどうして? とも思いますが、いずれにしても、現実として、日本語ではほとんど報道されていないので、ご存じない方も多いかもしれないと思い、ご紹介しようと思いました。

ダーウィンの進化論というのは、地球の生命の仕組みを見る限りは、存在し得ないものですが、それがやっと科学的な検証によってその事実が証明されたことになるわけです。今は亡きフレッド・ホイル博士もこのような調査が行われることを心から望んでいたと思われます。

何だかんだと余談が長くなりましたので、その内容をご紹介します。

科学用語等がなかなか難しくて、ここ数日調べながら少しずつ翻訳していたのですけれど、間違い等があるかもしれませんので、 遺伝子解析などにお詳しい方はオリジナルの記事をご参照いだたけると幸いです。

なお、関係する過去記事などについては、翻訳記事の後に短くご紹介させたいただこうと思います。

ここからです。

Sweeping gene survey reveals new facets of evolution
phys.org 2018/05/28

生物種の全面的な大規模遺伝子調査により、生物進化の新しい側面が明らかに

かつてない生物種の遺伝子大調査が開始された時に、そこから、このような結果が出てくることを誰が想像しただろうか? いや、そもそも、このような大規模な遺伝子の解析が実際に行われるということさえ想像されたことがあるだろうか?

実際に行われたのは「 DNA バーコード(DNA barcodes)」の全調査プロジェクト、というものだ。

これは、アメリカ政府が運営する遺伝子データバンク(GenBank)にある、世界中から数百人の科学者たちによって集められた 10万種の生物種の DNA と、500万の遺伝子断片である DNA バーコードと呼ばれるマーカーが徹底的に調べ尽くされたのだ。

それを行い、その「結果」を報告したのは、米ニューヨーク・ロックフェラー大学のマーク・ストークル(Mark Stoeckle)氏と、スイス・バーゼル大学のデビッド・タラー(David Thaler)氏であり、共同でその内容が発表された。

そして、その内容は「生物の進化がどのように展開されたか」についてのこれまでの定説を揺らがせるものだったのだ。

覆されるかどうかはわからなくても、定説が揺らぐことは間違いがなさそうだ。

定説とは何か? 現在の生物学の教科書では、たとえば、アリでもネズミでもヒトでもいいのだが、大規模な個体群を持つ生物種は時間が経過するほど遺伝的多様性が増すとされている。このように時間の経過と共に、生物が進化してきたというのが定説だ。

しかし、それは本当なのだろうか?

その問いに対して、今回の研究の主任著者であるマーク・ストークル氏は次のように述べた。

「いいえ、それは違います」

ストークル氏は、地球上に住む 76億人のヒトも、5億羽生息しているスズメも、あるいは、10万羽生息しているシギたちも、その遺伝的多様性は「ほぼ同じくらいなのです」と AFP に語った。

おそらく、この研究の最も驚くべき結果は、人間を含む現在地球上に存在する生命種のうちの 10種のうち 9種が 10万〜 20万年前に出現したことが明らかになったことだろう。

「この結論は非常に驚くべきことであり、この問題に対し、私は可能な限り、非常に厳しく自分自身で反論を試みました」とデビッド・タラー氏は AFP に語った。

このタラー氏の自分自身の研究結果に対して反論する態度という反応は理解できる。

何しろ、この調査によれば、この地球上にいる生物種の 90%は「ほぼ同じ頃に地球に現れた」ことになるのだ。

これをどう説明すればいいのだろうか?

その 20万年前に何かそれまでの生物種をすべて消し去るようなカタストロフ的な事象が何かあったとでもいうのだろうか。

より簡単で安価なDNAバーコード解析

この答えを理解するには、 DNA バーコーディングを理解しなければならない。

動物には 2種類の DNA がある。核 DNA とミトコンドリア DNA だ。

私たちが最もよく知っている核 DNA は、ほとんどの動物で雌雄の両親によって受け継がれ、各個体の遺伝的青写真を含んでいる。

しかし、すべての動物はミトコンドリア内に DNA を持っている。ミトコンドリアは、細胞からのエネルギーを食物から細胞が使用できる形に変換する各細胞内の小さな構造体だ。

細胞の小器官ミトコンドリアは 37種の遺伝子を含み、そのうちの 1つが COI (シトクロームオキシダーゼサブユニット)遺伝子として知られており、これが DNA バーコーディングを行うために使用される。

生物の種と種の間で大きく異なる可能性のある核 DNA 遺伝子とは異なり、ミトコンドリア DNAにはすべての動物が持つ共通の DNA 配列が存在する。この共通の DNA 配列が比較のための基盤を提供するのだ。

このミトコンドリア DNA の解析は、核 DNAに比べると、その単離がより簡単で、より安価に行うことができる。

カナダの分子生物学者であるポール・エイバート(Paul Hebert)氏は、2002年頃に「 DNA バーコード」という用語を作り出し、COI 遺伝子を解析することで種を同定する方法を描いた。

今回、研究者たちは、10万種の生物において、このような DNA バーコードを解析したのだ。

その結果として、ほとんどの動物がヒトとほぼ同時期に出現したことを示す明確な証拠を発見したのだった。

そして、研究者が目にしたものは、いわゆる「中立」な遺伝子変異にばらつきがないことだ。

この「中立変異」は、世代を超えて生じる DNA の微小な変化で、生物個体の生存可能性に対しては有利にも不利にもならない。言い換えれば、進化を後押しする自然淘汰は中立変異が無関係であることを意味する。

この中立突然変異が、互いにどれほど類似してるかは樹木の年輪を見るようなもので、これにより一つの種のおおよその年齢が明らかになる。

その結果、こんにち地球上に生存しているうちの圧倒的多数の種が、ほぼ同じような時期にこの地球に出現したとなると、その理由は一体何なのだろう。

ダーウィンは困惑している

環境的な大きな外傷がこの一つの可能性であるかもしれないとロックフェラー大学人間環境プログラムの代表であるジェッセ・オースベル(Jesse Ausubel)氏は説明する。

「ウイルスの蔓延、氷河期、新しい競争相手などを含め、これらはすべて動物の人口数が急激に減少する時期をもたらす可能性があります」と氏は AFP に語った。「これらの時期に、遺伝的イノベーションが生物種を消し去り、新しい種の出現に寄与することは十分にあり得ます」

このような種の人口減をもたらす環境要因等を「ボトルネック効果」というが、これは部分的な説明にしかならないだろう。

知られているところでは、最後の地球での大量絶滅事象は、6550万年前に小惑星だと思われる巨大天体の衝突によって発生した。この時の大量絶滅では、地球上の恐竜と、すべての生物種の大半が消滅した。

今回の研究者のひとりであるタラー氏は以下のように述べた。

「最も簡単な解釈は、生命は常に進化しているということです。進化の過程の中では、いつでも、その時点で生きている動物が比較的最近出現したものであるという可能性が高いのです」

この見解では、ある種が持続するのは一定の期間でしかなく、その後、新しいものに進化しなければ絶滅するということになる。

今回の種の研究からは、予期せぬ別の発見も得られている。

それは、「生物種には非常に明確な遺伝的境界があり、2つの間に位置する中間種は何もなかった」ということだ。

タラー氏は「中間にあるべきはずの種がない」ことについては、「ダーウィンも困惑しているのではないか」と述べた。

この論文は、人類進化学の専門誌「ヒューマン・エボリューション(Journal of Human Evolution)」に掲載された。

ここまでです。

なお、この後半の部分にあります、

> 「生物種には非常に明確な遺伝的境界があり、2つの間に位置する中間種は何もなかった」

というのも印象深い発見です。

これはつまり、「少しずつ進化していると言われるような《間の生物種が存在しなかった》ことが遺伝子解析ではっきりした」からです。

もっと簡単にいえば、

「この世の生物は、遺伝子的にまったく新しい形で 10万年から20万年前の間に突然登場した」

ということになりそうです。

この時の論文の内容を読んでいまして、つくづく実感したことは、

「なんだか、地球の生物って、全部突然現れたんだなあ」

ということでした。

どのように出現したかとか「なぜそんなことが?」ということはわかりようがないですが、DNA バーコード解析の手法を完全に否定することはできないわけで、何がどうしたかはわからないながらも、

「どうやら、地球の生物は、人間も含めて、ある時唐突に出現している」

という結果が最近の科学的研究にはよくあります。

科学解析の手法が進むほどに、その傾向は強くなっていまして、今後さらに新しい遺伝子解析や、それに準ずる方法が出た場合、このような傾向は強くなっていくと思われます。

ダーウィンの進化論に関しては、「この世に、分子生物学が登場して、基本的に終わった」とする見方は科学界にはわりと強く、以下の記事では、米イエール大学のコンピューターサイエンス学の教授が寄稿した文章をご紹介しています。

GIVING UP DARWIN
David Gelernter 2019/05/01

分子生物学の出現

ダーウィンの時代には、分子生物学という学問のジャンルはなかった。そのため、当時の科学は基本的に自然観察主義であり、外部からしか見ることができない時代だった。しかし、現代は、内部から見ることができる。(略)

タンパク質は、生きた細胞の特殊な作用力だ。もちろん、タンパク質は珍しいものではなく、一般的なものだ。タンパク質は目を見張るような役割の中で、生物の、すべての重労働、すべてのトリッキーで重要な割り当てを行う。

酵素と呼ばれるタンパク質は、あらゆる種類の反応を触媒し、細胞の代謝を促進している。コラーゲンなどの他のタンパク質は、テントの支柱のような細胞の形と構造を持つが、実際には、それよりはるかに多くの形をしている。神経機能、筋肉機能、および光合成はすべてタンパク質によってなされる。

そして、これらの働きや他の多くの働きをする上では、タンパク質分子が、実際に 3-D 形状をしていることが重要だ。

ダーウィンの理論で、これらの複雑な働きを説明できるだろうか。あるいは、ランダムな自然選択で、これらの現実を説明することかできるだろうか。

それを説明させていただく。

突然変異

生体で、タンパク質が作られるときについての最初の質問は次のようになる。

タンパク質は連鎖状であり、原子グループが線形に配列している。そして、それぞれが次のものに結合している。

まず、タンパク質の分子はアミノ酸の連鎖に基づいている。適度なサイズのこのアミノ酸の連鎖には、150の要素がある。平均は 250の要素となる。

通常、このそれぞれの結合は 20個のアミノ酸のいずれかから選択される。アミノ酸の鎖はポリペプチドという。「ペプチド」は、あるアミノ酸を次のアミノ酸に結合する化学結合のタイプのことだ。

これだけでも、かなり複雑な様相を呈しているが、この連鎖は出発点にすぎない。連鎖間の化学的な力により、連鎖の一部がらせん状にねじれる。そして、連鎖の他の部分はまっすぐになり、時には、平らなシート状になる。その後、集合体全体が折り紙の複雑なシートのように折り畳まれる。そして、結果として生じる分子の実際の 3-D 形状が重要だ。

さて、150種類のタンパク質を 150個の鎖として想像してみてほしい。各ビーズは 20種類から選択されているが、ただし、特定の鎖のみが機能する。特定のビーズの組み合わせのみが、安定し有用で適切な形状のタンパク質になるのだ。

このような中で、有用で、良い形のたんぱく質を作るのはどれくらい複雑で困難なことなのかおわかりだろうか。

たとえば(突然変異などによって)まったく新しいタンパク質が誕生したとすれば、それは、新しい遺伝子の誕生を意味する。遺伝子は、タンパク質鎖のリンクをアミノ酸ごとに綴る。

各遺伝子は、この世で最も優れた高分子である DNA のセグメントだ。DNA は、各ステップがヌクレオチドのペアである有名な二重らせんとなっている。 DNA の螺旋の道に沿った 3つのヌクレオチドの各グループがアミノ酸を指定する。

3つのそれぞれのヌクレオチドのグループはコドンであり、コドンとアミノ酸の対応は遺伝コードだ。 DNAの 4つのヌクレオチドは アデニン (A) 、グアニン (G) 、チミン (T) 、シトシン (C) で、TTAとTTCはフェニルアラニン、TCTはセリンだ。

突然変異によって新しい遺伝子を誕生させるということは、あるコドンを偶然に別のコドンに変えることを示す。この試みには 2つの出発点が考えられる。そして、既存の遺伝子を変異させたりすることができます。

DNAは実際には、長い無意味な配列で区切られた有効な遺伝子で構成されているため、選択される必要がある。ほとんどの生物学者たちは、これらの無意味な配列が新しい遺伝子の主な発生源だと考えている。

有効な遺伝子を下手にいじると、それはタンパク質を消失させ、生物を危険にさらすか死ぬまで、ほぼ確実にその生物の状態は悪化する。

一方、DNA の無意味な配列はタンパク質を作成せずに傍観者の立場にあり、私たちが知る限り、何も危険にさらすことなくそれらを変異させることができる。

変異された配列は次の世代に渡され、そこで再び変異される。したがって、生物に影響を与えることなく、傍観者に突然変異を蓄積することができるのだ。しかし、実際の有効な新しい遺伝子への道を変えると、その新しい遺伝子は新しいタンパク質を作成することができるようになり、その結果、進化において役割を果たす可能性がある。

より良いタンパク質の構築

これでようやく、ダーウィンの理論を考える準備が整った。

アミノ酸の 150要素の連鎖から始まり、突然変異により、有用な新しい形状のタンパク質へと道を変えることができる可能性はどのくらいだろう。

この問題を、より計算しやすい方法で考えてみよう。

ランダムな 150の連鎖のアミノ酸の配列がそのようなタンパク質を作成する可能性はどのくらいだろうか。DNA の無意味な配列は本質的にランダムだ。

ランダムな配列にランダムな変更を加えると、別のランダムな配列が得られる。

したがって、目を閉じて、20個のビーズボックスから 150個のランダムな選択を行い、選択した順序でビーズをつないでいく。そこから、有用な新しいタンパク質が生まれる確率はどのくらいか。

この配列の組合せにより出てくる配列の総数が膨大であることは簡単にわかる。が、実際には、この数値は、現実的に新しいタンパク質が作成される場合よりも小さな組み合わせとなっているが、それでも以下のようになる。

各連鎖の 20個のアミノ酸の連鎖から、個別に選択される可能性のある 150個の連鎖の総数は、「 20 の 150乗」だ。これは、10 の 195乗とほぼ同等の数となる。ちなみに、宇宙には、 10 の 80乗の原子しかない。

これだけ多くのポリペプチドのうち、どのくらいが有用なタンパク質になるのだろうか。

これに関しては、生物学者のダグラス・アックス氏が、一連の実験を行った。

タンパク質作成プロセスの最終段階である折り畳みに到達し、その形状がタンパク質として十分に長く使えるようになるのは、150連鎖のすべてのアミノ酸配列のうちの「 1074個に 1個」だとアックス氏は計算した。

つまり、ランダムな選択から、タンパク質の要素として有用となるアミノ酸配列が生まれる可能性は、1074 分の 1 だといってもいい。

これらの計算からは、ランダムな 150 配列から、有用なタンパク質が生まれる可能性は「完全にゼロ」だと言える。1000回の突然変異でも、1万回の突然変異でも、100万回の突然変異でも、ランダムな配列の選択から新しいタンパク質が生まれる可能性はまったくない数値となるのだ。

悪い賭けに勝利はない

しかし、現代のダーウィン主義は、突然変異はまれであり、成功したものはさらに少ないことを理解している。

それでも、バランスをとるために、実際に、地球上には多種多様な生物がいることと、そして、地球のもつ長い歴史を挙げる。

では、ダーウィンの理論のための数字のバランスは取れているだろうか?

これについて、ダグラス・アックス氏は次のように推論した。地球の生物のすべての歴史の、あらゆる生物のグループ全体を見てみれば、数値的にはバクテリアが圧倒している。

植物だろうがどんな生物だろうが、バクテリア以外の他のすべての生物は、数として比較にならないほど少ない。

そこで、これまで、今までに地球に生きたバクテリアたちのすべてが、生命の歴史を終える前に 1つの突然変異に寄与すると仮定してみよう。もちろん、実際にはそんなことはあり得ず、これは寛大な仮定だ。

実際には、ほとんどのバクテリアは、遺伝情報を変異させずに次の世代に渡す。突然変異は例外的だ。しかし、ここでは、すべてのバクテリアが突然変異に寄与すると考えてみよう。

アックス氏の推計によれば、地球のこれまでのすべての歴史の中では、「 10 の 40乗」のバクテリアが存在してきた。つまり、先ほどの「すべてのバクテリアがすべて変異をする」という設定からみれば、10 の 40乗の突然変異が起きてきたことになる。

これはとても大きな数値だが、しかし、これは確率と合わせると、大きな数値ではないことがわかる。進化を推し進める可能性のある突然変異をひとつでも発見する試行の確率は、以下のようになる。

mutation-odds-1077.png

進化を推し進める可能性のある突然変異が発生する確率は、毎回 10 の 77乗分の 1となる。これはつまり、突然変異による進化の可能性が「ゼロ」であることを意味する。

ダーウィンの考えは、抽象的にはまだ合理的であるかもしれない。しかし、具体的には、ダーウィンが予見できなかった、生命が持つ数と確率に圧倒される。

有用なタンパク質の数に比べて途方もなく多いアミノ酸鎖。これらの数値は、特定の推定セットの詳細を超えており、有用なタンパク質はランダムな過程の中では生まれ得ないことが、数と確率とでわかるのだ。

これらの明らかな事実は、細胞の生命の基盤を形成するタンパク質の青写真を保存する際に、遺伝子が驚くべき量の情報をコード化していることによる。

この非常に深い生化学的な知識は、何らかの意味で作動中のタンパク質のあらゆる記述に取り込まれている。これらのコード化された情報は一体どこから来たというのか。

現代ダーウィン主義では、自然はサイコロを転がすだけであり、そこから何か有用なものが現れることは素晴らしいと言う。しかし、現実的には、有用な配列が生まれることは非常に稀であり、この「自然はサイコロを転がすだけ」という答えは自然界では機能していない。

かなり長い記事をご紹介しているのですが、いわゆる、進化論の「不可能性」は、数の上からはっきりしており、それは、1980年代にフレッド・ホイル博士なども何度も指摘していますが、上の記事でご紹介しましたデービッド・ゲランター教授の文章の一部を抜粋してみます。

2019年5月のデービッド・ゲランター教授の寄稿文より

ランダムな 150の連鎖のアミノ酸の配列がそのようなタンパク質を作成する可能性はどのくらいだろうか。DNA の無意味な配列は本質的にランダムだ。

ランダムな配列にランダムな変更を加えると、別のランダムな配列が得られる。

したがって、目を閉じて、20個のビーズボックスから 150個のランダムな選択を行い、選択した順序でビーズをつないでいく。そこから、有用な新しいタンパク質が生まれる確率はどのくらいか。

実際には、以下の数値は、現実的に新しいタンパク質が作成される場合よりも小さな組み合わせとなっているが、それでもこのようになる。

各連鎖の 20個のアミノ酸の連鎖から、個別に選択される可能性のある 150個の連鎖の総数は「 20 の 150乗」だ。これは 10 の 195乗とほぼ同等の数となる。ちなみに、宇宙には 10 の 80乗の原子しかない。これだけ多くのポリペプチドのうち、どのくらいが有用なタンパク質になるのだろうか。

(略)

これらの計算からは、ランダムな 150 の配列から、有用なタンパク質が生まれる可能性は「完全にゼロ」だと言える。1000回の突然変異でも、1万回の突然変異でも、100万回の突然変異でも、ランダムな配列の選択から新しいタンパク質が生まれる可能性はまったくない数値となる。


フレッド・ホイル博士は、これに関して、以下のように述べて科学界から反発をくらっていましたが、数字的には「あり得ない」ことをこのように表現していました。

ホイル博士の言葉より

「(最も単純な単細胞生物がランダムな過程で発生する確率は)がらくた置き場の上を竜巻が通過し、その中の物質からボーイング 747 が組み立てられるのと同じくらいだ」

「(単機能のたんぱく質が、アミノ酸が偶然組み合わさって生成される見込みは)太陽系全体に埋め尽くされた目隠しされた人たちが同時にルービックキューブを解くくらいあり得ない」 (The Blind Watchmaker)


これらの話で皮肉なのは、「科学や生物学が発展しなければ」進化論も存続し得たのですけれど、生物に関しての分子生物学や遺伝子構造の驚くべき緻密さが明らかになるにつれて、ダーウィンの理論は現実には(その理論の中のひとつも)通用しなくなっています。

どこをどう見てみても「不可能性」しか見えてこない。

それでも、今もなお科学の根底に進化論を据え置かなければならないあたりに、学問界という存在のいろいろを感じます。

最終更新:2021/02/14 21:46

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