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2019/11/13 20:10

ほぼ完ぺきにそこにある物体を隠してしまう軍事用透明マント「量子ステルス」がカナダの企業から発表される

2019年10月21日のオーストラリアの報道より
invisibility-cloak-real.jpg

物体を見えなくするという意味

もともと、海外の軍隊や企業の「対象を見えなくする技術」というものには興味を持っていました。

というのも、「見えなくする技術」というのは、突きつめていけば、人間にとって「見るということは何か」ということに結びついていることでもあるからです。

見るとは実際には、光の屈折と、その受容体の世界ではあるのですが、しかし現実として、私たちは、ふだん生きていて、

「そこに物体があるから、それが見えている」

という風に思いがちではあります。

けれど、私たちの目に入ってきているのは、とこまで行っても「光の波長」でしかないわけで、その波長の色彩の度合いの違いを「モノ」として脳が認識しているという話であります。

そういう意味で、「実際の物質を私たちの肉体(目など)がキャッチしているわけではない」という現実があります。これは、音でも味覚でも全部同じですが。

そして、これまでのテクノロジーでは、「対象を見えなくする」ということは簡単ではありませんでした。

今日(10月21日)見たニュースで、カナダの民間企業が、使い方によっては、ほぼ完ぺきに「対象を見えなくする」装置・・・といっても、単なるシートであり、SF映画などに見られる「透明マント」のようなものなんですが、それが特許申請されたことが報じられていました。

名称は「量子ステルス」という物々しいものですが、安価で、どんな天候や状況下でも使用できるという「戦争にうってつけ」のものとなっており、おそらく、それほど遠くない時期に実際に販売されることになると思います。

この会社は同時に、「ホログラフィック・ディスプレイシステム」という名称の新しい装置なども特許を申請していて、これらも戦争用として開発されてものではありますけれど、いろいろな用途がありそうで、不思議な光景の未来が待ち受けているのかもしれません。

その技術に関してのアメリカの報道をご紹介いたします。

’Invisibility cloak' to hide troops, tanks a step closer to reality
9NEWS 2019/10/21

兵士たちや戦車を隠す「透明マント」が実現に一歩近づく

映画「ハリー・ポッター」の中に出てくる不可視マント(光を迂回させて、中にある物体を見えなくする技術によるもの)が、軍事迷彩服の企業の開発者たちが、不可視技術の特許を申請し、現実に近づいている。

軍事迷彩服専門企業「ハイパーステルス・バイオテクノロジー (Hyperstealth Biotechnology)」社が作り出した「量子ステルス (Quantum Stealth)」として知られる紙のように薄い素材は、物体の周りの光を曲げ、その物体の位置を変更したり、あるいは消滅させることにより、背景のみを表示させることができる。

英国テレグラフの報道によれば、このカナダの企業は、量子ステルスを用いることで、戦車や兵隊、大砲、さらには建物そのものの位置を隠すことも可能だと述べていることを報じている。

ハイパーステルス社が公開したビデオでは、この量子ステルス素材の向こう側に、オモチャの戦車と戦闘機を置き、それが外からは完全に見えない様子が描かれている。

fighter-jet-001.jpg

外からは、背景しか見えず、戦車や戦闘機そのものは、ほぼ完全に隠れている。

ハイパーステルス社によれば、この技術は電源を必要とせず、昼夜を問わず稼働でき、そして、安価に製造できるという。

同社は以下のように言う。

「量子ステルスは、昼夜を問わず、どの季節のどの環境でも動作が可能です。これは、他の迷彩技術ではできません」

このテクノロジーは、数年間にわたり開発されてきた。これまで、ハイパーステルス社は、従来型の軍事迷彩服を製造していたが、今回の量子ステルスの特許出願により、このテクノロジーの製造と商品化に一歩近づいたことを意味する。

これらの不可視性マントに加えて、同社は同じ素材を使用した 3つの特許出願を発表した。それぞれ、

・ソーラーパネルアンプ (solar panel amplifier)

・ホログラフィック・ディスプレイシステム (holographic display system)

・レーザー散乱、偏差、操作 (Laser Scattering, Deviation and Manipulation)


というものだ。

これまで、サイエンス・フィクションの領域でのみと考えられていた不可視マントのような素材を実現することは、軍事技術者たちにとって長年の目標でもあった。

今年初めに機密文書の指定を解除されたアメリカ国防総省の文書によれば、米軍は透明マントの素材の研究を行っていたことが明らかとなっている。また、英国では、2016年に、ハイテク迷彩素材を用いての野外演習ヴァテック (Vatec)を実施している。

ここまでです。

このハイパーステルス・バイオテクノロジー社の量子ステルスに関しては、同社の以下の動画で見ることができます。

https:●//youtu.be/wsR14D5FzsM

他に特許申請されたテクノロジーの、たとえば「ホログラフィック・ディスプレイシステム」というものも、やはり「視覚に錯覚を起こさせる」というようなタイプのもののようです。

たとえば、以下は、ごく普通の写真の前に、ホログラフィック・ディスプレイシステムを設置したものので、見る角度によって、あるいは、さまざまな角度にいる人たちにとって、

「見えているものが違う」

というようなことになるようです。

holographic-display-system.jpg

これも、戦争での迷彩技術ですけれど、他にもいろいろな用途がありそうです。

たとえば、エンターテイメント的なショーなどでも使えるでしょうし、あるいは、悪い方向にも・・・具体的にはともかく、使えないこともなさそうです。

私が最初にこのようなことに興味を持ったのは、2012年のことで、その時には、

Pentagon-backed 'time cloak' stops the clock
AFP 2012.01.04

ペンタゴン支援の研究での時計を止める『タイム・クローク』

ペンタゴン(アメリカ国防総省)の支援を受けている科学者たちが、1月4日、ある装置を発明したと発表した。その装置は、「少しの間、起こっている出来事を感知されなくなる」というもので、『タイム・クローク』(時間を隠すもの)と呼んでいる。

科学誌『ネイチャー』に発表された論文によると、研究所で開発された装置は、光の流れを操作し、わずかなの間、起きていることを見えなくさせるものだ。

これは、いわゆる「透明マント」( invisibility cloak )といわれている特定の色を人間の視覚では見ることができなくする次世代のカモフラージュの開発の実験を加速させることになる。

この研究を率いる、米国コーネル大学のモティ・フリードマン教授は、「今回、私たちが得た結果は、『時間と空間を完全に覆い隠す装置』の開発への重要なステップとなる」と言う。

今回のブレークスルーは、光の周波数がわずかに異なる速度で動いているという事実を利用してもたらされた。

この装置は、光ファイバーケーブルの下で橋渡しされる緑の光のビームから始められる。

mant-1.jpg

青っぽい光は比較的速く進み、そして、赤みがかった光は、より遅く進む。
この赤と青の2方向の光にわけるためのレンズに光のビームを送る。

このわずかな速度の違いは、2つの光線の前に透明な障害物を置くことによって強調される。

結果として、赤と青の光線の間で「時間のギャップ」(時間の空白)が開かれる。

この時間のギャップは 50ピコ秒(1ピコ秒は1兆分の1秒)と小さい。しかし、この時間は、システムを通過している光と異なる周波数のレーザーのパルスを押しこむには十分な時間だ。

それから赤と青の光は逆の処置を与えられる。

もうひとつの障害物により、今度は赤の速度を上げ、青の速度を遅くする。こうすることにより、この赤と青の光をひとつの緑の光として再構築する逆のレンズに送る。

しかし、40ピコ秒のレーザーのバーストは、光子(フォトン)の流れの一部ではなく、したがって、それを見ることができなくなるという仕組みだ。

今回の「時間」とは対照的に、「空間」を覆い隠す研究が、いわゆるメタ・マテリアルを使ったことで進歩したことが、科学者たちから報告されている。

ナノ・マテリアルは、表面が小さいナノレベルの構造のため、特定の周波で光と相互作用する新しい合成物だ。

この研究は、軍事利用できる未来的なテクノロジーの開発にあたるペンタゴンの部署である『国防総省高等研究計画局』( DARPA )の支援を受けている。


という記事を書いていました。

この研究は、軍事利用できる未来的なテクノロジーの開発にあたっている国防総省の部署『高等研究計画局』( DARPA )の支援を受けて、おこなわれたもので、科学誌ネイチャーに発表された論文では、これは、

光の流れを操作し、わずかなの間、起きていることを見えなくする

というものでした。

そして、この装置を開発した研究者たちが目指しているものは、

『時間と空間を完全に覆い隠す装置』

なのだそうです。

形而上的な概念を、わりとわかりやすい科学技術で行ってしまおうとしていることでして、そして、今回の透明マントなどの開発を見ていますと、その実現は近いのかもしれないとも思います。

奇妙な戦争や、奇妙な現実が、サイエンスフィクションではないリアルの世界に現れてくる時が近いという表現もできそうです。

最終更新:2019/11/13 20:10

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