【楽天市場】Shopping is Entertainment! : インターネット最大級の通信販売、通販オンラインショッピングコミュニティ 店長の部屋Plus

記事詳細

2019/10/03 20:48

子どもたちが築くべき未来の社会は 虐待やネグレクトを経験した子どもは、そうでない子どもに比べて重度の精神疾患にかかる確率が極めて高いことが英国の大規模研究で判明

2019年9月26日の英バーミンガム大学のニュースリリースより
abuse-neglect-child.jpg

子どもに対しての虐待やネグレクト(育児放棄)を受けた子どもたちが、その後に精神的に不安定になるであろうことは、普通に考えてもわかるのですけれど、最近の研究では、「具体的な数値」が出てきていまして、それらについては、In Deep での記事でも、これまでずいぶんとご紹介しました。

たとえば、今年 1月にご紹介しました記事では、英国のマンチェスター大学とサウスウェールズ大学の共同研究の論文の内容をご紹介していますが、その研究では、

・子どもの時に性的虐待を経験した人の自殺企図リスクは 3倍に

・子どもの時に身体的虐待を経験したことのある人の自殺企図リスクは 2.5倍に

・子どもの時に精神的虐待またはネグレクトを経験した人々の自殺企図リスクは 2.5倍に


なることがわかったことをお伝えしたことがあります。

今回は、イギリスの名門バーミンガム大学が発表した論文の内容についてご紹介したいと思います。

まずは、そのニュースリリースをご紹介します。

Abused or neglected children are four times more likely to develop serious mental illness, study finds
University of Birmingham 2019/09/26

虐待またはネグレクトを受けた子供は、重度の精神疾患を発症する可能性が4倍高いことが研究で判明

バーミンガム大学の最近の研究で、児童虐待やネグレクト(育児放棄)を経験した子どもたちは、統合失調症、あるいは双極性障害など重度の精神疾患を発症する可能性が4倍高いことが示された。

医学誌ランセット・サイカトゥリ (Lancet Psychiatry)に本日発表されたバーミンガム大学の研究者による論文によれば、虐待を受けた人たちは、虐待の経験がない人たちと比べて、統合失調症、双極性障害などの重度の精神疾患を発症する可能性が倍以上高いことが見出された。

研究者たちはまた、虐待を受けた子どもたちがうつや不安などの何らかの形の精神疾患を発症する可能性も倍あることも発見した。

研究者たちは、小児虐待やネグレクトを経験したか、あるいは経験した疑いのある 18歳未満の 21万7758人の被験者の 1995年から 2018年までのGPレコード (イギリスでのかかりつけ医の記録)を精査し、それを経験していない 42万3410人の被験者の記録と比較した。

現在は、あらゆる形態の身体的虐待、性的虐待、あるいは精神的な虐待は、18歳未満の 3人に 1人の子どもに影響を与えているとされ、世界的な公衆衛生および人権の問題となっている。この中には、養育すべき者がその世話を怠り育児放棄に至るネグレクトと定義される事例も含まれる。

今回の研究は、虐待やネグレクトと、その子どもたちの精神疾患の発症との関連性を探るこの種の研究としては過去最大のものとなった。

研究者たちはまた、GPレコードでの児童虐待についての明確な「記録の過小」を見出しており、これにより、個別の児童虐待が見逃されていたり、子どもたちの管理計画を実施する潜在的な機会を見逃していると述べている。

論文の筆頭著者であるバーミンガム大学応用健康研究所のジョート・シン・チャンダン (Joht Singh Chandan)博士は、次のように述べる。

「私たちの今回の調査結果は、他の世界的な研究からのエビデンスと共に、子どもへの虐待やネグレクトの後、子どもたちが精神的な疾患に陥る重大なリスクを示しています」

「虐待は広く蔓延しており、虐待が精神疾患の重要な危険因子であるということがわかった以上、精神疾患の予防と検出のために、虐待の問題にはさらに取り組まなければならないと思います」

「小児期の虐待とそれに関連する否定的な結果を防止および検出するための公衆衛生アプローチを再考する必要があります」

論文の共同著者であるバーミンガム大学看護学部のジュリー・テイラー (Julie Taylor)教授は次のように述べている。

「虐待から救出された子どもたちの回復力を構築することを目的とする公衆衛生サービスによって、精神疾患の発症が減少することに私たちは大きな期待を持っています」

「虐待と精神疾患の関係の調査が今回のような規模でおこなわれたのは、これが初めてであり、この結果を受けて、虐待やネグレクトを受けている子どもたちの生活への早期の介入の重要性があらためて認識されます」

また、やはり共著者であるバーミンガム大学のクリッシュ・ニランサラクマール (Krish Nirantharakumar)教授は、以下のように付け加えた。

「ここには、小児期の虐待を予防、検出するアプローチだけでなく、小児期の虐待を経験した人たちの精神疾患を予防する、あるいは、それを検出する方法を探求するための重要な公衆衛生のメッセージが含まれていると考えています」

ここまでです。

児童虐待は、日本を含めて、特に主要国では、どの国でも増加し続けているようでして、下は日本の虐待相談件数と、イギリスの性的虐待の件数の推移です。

1990年 - 2014年の日本の児童虐待報告数の推移
japan-abuse-stat2014.jpg

2004年 - 2017年までの英国の性的被害の推移
2018-indicato-uk03.jpg

日本の場合、異常な増加ぶりを見せていますが、これは単に虐待が増えたということより、報告対応のシステムが変化してきたことや、統計の取り方の変化などにも関係しているようですが、しかし、虐待件数が増えているということもまた事実だとは思います。

今回のバーミンガム大学の論文は、虐待やネグレクトを受けた子どもたちが、その後、精神疾患になる確率の高さがわかったというものですが、「そうなる理由」と、「その精神的トラウマは世代を超えて受け継がれるか」ということについては、2018年のカナダでの研究などで、少しわかった部分があります。

そのカナダの研究によりますと、虐待を受けると DNA に傷が残るのです。

以下はそれを報じた AFP の報道からの抜粋です。

児童虐待、被害者に残る「分子の傷跡」 研究
AFP 2018/10/03

虐待を受けた子どもは、そのトラウマ(心の傷)を示す物質的特徴が細胞の中に刻み込まれている可能性があるとする研究論文が発表された。研究は、トラウマが世代間で受け継がれるのか否かをめぐる長年の疑問解明への一歩ともなり得る。

カナダ・ブリティッシュコロンビア大学などの研究チームは今回の研究で、児童虐待の被害者を含む成人男性34人の精子細胞を詳しく調べた。

その結果、精神的、身体的、性的な虐待を受けたことのある男性のDNAの12の領域に、トラウマによる影響の痕跡がしっかりと残されていることが分かった。

研究チームは、未来の児童虐待容疑の捜査において、「メチル化」として知られるこのDNAの改変を捜査当局は調べることになるだろうと予想する。

研究チームは、メチル化が個人の長期的な健康にどのような影響を与えるかについてはまだ不明だとしている。


このように、DNA そのものに傷跡が残るということは、本人の長期のトラウマとも関係するでしょうし、あるいは「あとの世代に遺伝」さえしてしまう可能性もあるのかもしれなません。

また、2017年5月には、アメリカ・ノースウェスタン大学の研究者たちが、「子どもたちの DNA は《子どもの頃に過ごす環境により変化する》」ことを発見したことを発表しています。ここでいう「環境」とは、主に精神的な環境のことです。

2018年5月25日に発表された医学論文より
dna-methylation-child02b.jpg

これは、幼少時に肉体的・精神的に苦しい経験をした子どもたちと、そうではない子どもたちの DNA を比較調査したもので、「抗炎症などに関与する DNA の変化に差異がある」ことが明らかとなったというものでした。つまりは、

「 幼少期の精神的な環境により、子どもの DNA は具体的に形が変化する」

のです。

この論文のタイトルには「炎症遺伝子のメチル化」などという言葉が出ていたりして難解そうで、DNA のメチル化というのは、とても難しい概念なのですが、たとえば、以下のように理解して問題ないのかもと思います。

DNA のメチル化

・DNAはアデニン、グアニン、シトシン、チミンの4つの塩基から成る
dna-agct.jpg

・4つの塩基の中のシトシンについている水素がメチル基(CH3)に変わる
dna-c-h3c.jpg

・ここがメチル基に変わると、その後、遺伝子が働かなくなる

理解は難しいにしても、つまりは、DNA がメチル化すると「具体的に遺伝子の働きが変化する」のです。

身体が変わってしまうといっていいのだと思われます。

あと、以下の記事でご紹介したことがありますが、私たちの染色体には「テロメア」という部分があり、これは、細胞の老化と関係しているもので、「短くなればなるほど老化が進んでいることを意味する」ものなのですが、

「幼少時代にストレスを受けると、このテロメアが短くなる」

ことを、カナダのブリティッシュ・コロンビア大学が発見したことをご紹介しています。

Scientists: burdens in the childhood reduce life at the cellular level
Earth Chronicles 2016/10/04

科学者グループ:子ども時代の負荷は、細胞レベルで人の寿命を短縮する

小児期における離別や悲痛が DNA の損傷に対して保護をする役割を持つ染色体の先端部分にあるテロメアの長さを減少させることが判明した。

テロメアの長さの減少はヒトの細胞の老化を意味する。

研究は、カナダのブリティッシュコロンビア大学の研究チームにより行われ、その結果が先日、米国科学アカデミー紀要に掲載された。

テロメアは、人体の各細胞の核にある染色体の末端部分にある部位で、DNA を損傷から保護する働きをもつ。テロメアは、細胞分裂を繰り返すたびに徐々に短くなっていき、短くなると染色体は不安定になり、最終的に分裂をしなくなる。

その時に細胞は死滅する。

つまり、テロメアの長さが短いほど、細胞の死滅が近いということになり、それは老化を意味する。

最近、科学者たちは、テロメアの長さが加齢の状況だけで変化するのではないことを見出した。

加齢だけではなく、うつ状態、経済的困難、そして、ストレスと結びついた構造体の中でのプロセスの結果として、テロメアの長さが変化することがわかったのだ。また、親しい人との離別と孤独は、より強くテロメアを短くすることもわかった。

ブリティッシュ・コロンビア大学のエリ・ピュートマン(Eli Puterman)氏が率いる研究チームは、小児期にストレスが多い状況で過ごした場合、それが、テロメアの長さと細胞の健康に影響するかどうかを確かめる大規模な調査を実施した。

この研究のために、科学者たちは約 4600人のアメリカ人の高齢者を分析した。これは、染色体におけるテロメアの長さと老化の関係を調べるものとしておこなわれた調査としては、アメリカで最大規模のものとなる。

その結果として、興味深い事実として浮かび上がったのは、調査に参加した人たちの中で、幼少期に深刻な状況を経験した人たちや、人生の最初の数年間に困難を乗り越えなければならなかった人たちについてのものだった。

幼少期の困難の理由は事情により様々だ。両親が貧困だった場合や、離婚などによる父親や母親との離別を体験した人たち、あるいは、親がアルコール依存症や麻薬常習者だった場合、あるいは、学校や親族などに関係する様々な問題もある。

また、幼少での犯罪経験や、それと類似したネガティブな問題も含まれる。

そのような子ども時代の問題の追跡に加えて、研究では、彼らが大人になってからの逆境や災難の経験についても追跡した。

この分析は、小児期と成人期における有害要因の、それぞれ一部はテロメアが短くなることと結びつくことを示し、高齢者において寿命を短くさせることを加速させた。

しかし、このすべてのプロセスのほとんどは、成人期より、小児期における有害要因の影響を受けることが見出され、その場合、テロメアが平均で 11%短くなっていることが示された。

興味深いのは、小児期の体験が高齢期のテロメアの長さに影響するのに対して、青年期の体験に関しては、そのプロセスにまったく影響を及ぼさなかったことだ。

科学者たちは、幼少期の社会状況のあり方は、人の余生の長さと人生の質に強力に影響すると考えられるとし、また、ストレスの多い状況では、テロメアが損傷しやすい傾向から、慢性疾患の素因にも影響するかもしれないという。

心臓や血管に関しての慢性疾患や、糖尿病やその他の危険な疾患になりやすいことなどが考えられる。

じきに、同様の調査がヨーロッパにおいてもおこなわれる予定となっている。


染色体の中のテロメアの場所
telomere-genome2016.jpg

テロメアが短いということは、端的にいえば、「老化が進んでおり、寿命が短い」ことを意味します。つまり、幼少期に強いストレスを受けること自体が、それだけで「その子どもの生命力を弱めている」と言えるのです。

こういうように、幼少期の精神的な環境の状態は、子どもたちのその後の人生の大部分にも影響することは、具体的な現実だといえます。

ですので、当たり前の言い方にはなるのですが、「幼少時を過ごす環境は非常に大事だ」ということは、具体的な意味で「強い真実」なのですね。

そして、これは本人と家族だけの問題ではないです。

今回ご紹介したように「虐待を受けた子どもたちが、精神疾患になる確率が飛躍的に高くなる」ということは、その子どもたちが「次の世代の家庭や社会」を作っていく時に、もしかすると、また同じ問題を作り出してしまう可能性もないではないのかもしれないと思わざるを得ないのです。

ですので、子ども時代の良い環境の構築というのは、それぞれ個人の家庭の問題を超えて、「社会そのものを構築する上での重要な問題」だと思います。

日本だけではないですけれど、日本も含めた今の世界では、それができていない状態が圧倒的に増加しており、そのような場所に、良い社会や良い世界が生まれ得るかどうかというのは疑問です。

最終更新:2019/10/03 20:48

このお店で1週間以内に売れた人気アイテム

コメント 0件 コメントを書く

コメント入力欄
お名前(必須)
タイトル(必須)
本文(必須) ※全角で800文字まで記入できます。

書き込みに際しては店長の部屋規約の禁止事項や免責事項をご確認ください

ページ上部へ

カレンダー

2019年10月
1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 31

今月

このお店で1週間以内に売れた
人気アイテム