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記事詳細

2019/09/04 21:40

ミツバチは花の蜜や花粉を食べているのではない。彼らは食糧としての微生物がいなければ生きていけない「肉食」であることが判明。そのことから、ハチの大量死が「殺菌剤」と関係する可能性が浮上

2019年8月23日の米サイエンティフィック・アメリカンより
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人間と同様に、ミツバチもまた「微生物に生かされている」という事実

最近、ミツバチの大量死があまりにも加速していて、たまにそのことを記事で取りあげさせていただくことがあります。

ミツバチの大規模な減少に対して、最も一般的に主張されているのが、農薬であるということがあるのですが、最近の以下の記事などでも取り上げていますが、どうしても、農薬が主要な原因と考えるには無理があるとは感じていました。


French honey at risk as dying bees put industry in danger
france24 2019/06/27

ミツバチの大量死が続く中、フランスの養蜂産業そのものが危機に直面している

フランスの養蜂家たちは、ミツバチのコロニーの崩壊によって、今年のフランスのハチミツの収穫は完全な不作となる恐れがあると述べた。フランス各地の養蜂家たちが全国各地で同じ警鐘を鳴らし続けている。

フランス農業組合 MODEF の会長は、取材に対して以下のように述べた。

「ハチミツはいっさい収穫できていません。このシーズンの始まりは、過去にないほど壊滅的なものでした」

このようなフランスのハチミツの収穫の不作は新しいことではない。 2017年には、フランスのハチミツ収穫量としては過去最低の不作を記録した。その前年の 2016年にも、通常は 20,000トンほど収穫できるハチミツが、9,000トンしか収穫できなかった。

フランスは欧州連合(EU)で 5番目に大きなハチミツの生産国だが、他のハチミツの大生産国であるスペイン、ルーマニア、ポーランド、ハンガリー、ギリシャ、そしてイタリアのような国々でも、ハチミツの生産量の大幅な減少を経験している。

気候変動が原因なのか

フランスのミツバチの大量失踪は、1990年代には、年間平均でミツバチのコロニーの 5%ほどで起きていた。ところが今では毎年、コロニーの 30%ほどで大量死が起きる。

フランス養蜂家連合(SNA)の会長は、以下のように言う。

「私たちは、気候変動の影響について懸念しています。養蜂家にとって最大の関心事でもあります。今年の初めは、北半球では霜や悪天候により、植物が枯れたり、花が乾かなくなってしまっていました。これでは蜜は収穫できません」

「花や蜜がなければ、ミツバチは生きられず、コロニーは急速に崩壊します」

今年、フランスでは、5月になっても寒波が続き、霜が下り続けたことで、多くの植物が枯れたり、花が咲かなかった。

ミツバチの個体数が減少するもう 1つの主な原因は、農薬の普及だと言われる。

ネオニコチノイド、またはその化学組成がニコチンの構造を模倣している農薬は、ミツバチの中枢神経系を直接攻撃するため、特に危険なものだ。

EUは、ミツバチを標的とする農薬の使用を徐々に制限してきており、昨年フランスは主要 5種すべてのネオニコチノイドを禁止する最初のヨーロッパの国となった。

しかし、状況は改善していない。

養蜂家連合の会長は、ネオニコチノイド以外のあらゆる農薬や殺虫剤もミツバチに脅威をもたらしている可能性が高いと述べる。養蜂家連合は、伝統的な農業方法など、持続可能な方法を模索していかなければならないと考えている。

フランス養蜂家連合会長は以下のように言う。

「ミツバチは約 8000万年前に地球に現れたことを覚えておく必要があります。 300万年前には最初の人類が登場しました。そして、 8万年前から 1万年前くらいの間に、すでに農業は存在していました。現在の集中農業が始まったのは、ほんの 70年前なのです。わずか70年で、私たちは環境と生態系を大きく変えてしまいました」

「ミツバチを失うと、私たちの食糧である果物、野菜、さらには穀物さえも失うのです。それらがなければ、鳥や哺乳類なども地上から消えていくのです。ミツバチは、生物の多様性の基盤を作っている存在なのです」

そうしましたら、「アメリカの科学メディアに興味深い記事が出ていましたよ」というお知らせをいただいたのです。

それが冒頭の記事で、サイエンティフィック・アメリカンの 8月23日の記事でした。サイエンティフィック・アメリカンは 1845年創刊の科学誌で、アメリカでというより、世界最古の科学メディアです。

そこに掲載されていた最近の研究による「驚愕の事実」。

記事は、比較的長いものですので、まずご紹介したいと思います。サイエンティフィック・アメリカンの記事の内容は平易とはいえず、あまりに難解にすぎる部分はわかりやすい表現に変えています。

驚くべき内容です。

Surprise: Bees Need Meat
Scientific American 2019/08/23

驚きの発見 : ミツバチが生きるためには肉が必要だった

花に棲息している微生物は、ミツバチの餌として不可欠であり、微生物叢の変化は、ミツバチを飢えさせる可能性がある

ミツバチとスズメバチの違いを尋ねると、多くの昆虫学者たちは、「スズメバチは肉食で、ミツバチは草食」と答えるだろう。しかし、新しい研究での発見は、それは真実ではないことを示している。

ミツバチは実は雑食動物であり、肉を食べることがわかったのだ。
肉というのは、花の中の微生物のことだ。

現在、世界中でミツバチに関しての大量死やコロニーの崩壊の問題が大きくなっているが、今回の発見は、ミツバチがこのような問題を抱えている理由について新しい洞察を開く可能性がある。

このミツバチがエサとしている微生物の群の状態を混乱させるようなものは、それはミツバチの餓死に結びつく可能性があるということだ。現在のところ、微生物群の状態を混乱させるものとして可能性のあるものとして、殺菌剤や、高い気温などによる微生物の状態の変化が考えられている。

ミツバチは、その幼虫にとって、花粉の媒介者として最高の存在だ。

花にやって来て、蜜を食べる昆虫や他の生物は多くおり、それらは、花から花に移動する際に花粉も移動させることができる。しかし、ミツバチは、花粉と蜜を故意に一緒に集め、それを巣の幼虫のもとに運ぶのだ。

微生物が花粉に存在すること自体は、何十年もの間、科学者たちに知られていたことだ。

しかし、それらの微生物がミツバチにとって重要な食物であるかどうかということを考える科学者はこれまでいなかった。

花粉の微生物は、花粉の一部を分解する役割を持っており、言うなれば、「外部にある消化のための胃」のような存在だ。

ミツバチが、花粉中のこれらの微生物を摂取する可能性があることは理にはかなっているが、しかし、これまでそれを調べた科学者はいなかった。

今回、 2人の科学者が、ミツバチが雑食であるといえるほどの量の微生物を食べているのかどうかを調査することにした。

米ウィスコンシン大学マディソン校のプラターナ・ダランパル(Prarthana Dharampal)教授と、アメリカ農務省農業研究局(ARS)のショーン・ステファン (Shawn Steffan)博士の 2人は、それに関しての、6つのコロニーの 14種類のミツバチに関して評価をおこなった。

その調査の中で、研究者たちは、ミツバチは肉食であるという評価を与えるのに十分な量の微生物を食べていることを発見したのだ。

微生物を肉と見なすという考えは過激に思えるかもしれないが、過去 4年間、ダランパル氏とステファン氏を含む研究チームは、微生物がミツバチを含む、さまざまな食物網の中の重要な部分であるという証拠を示す一連の論文を発表している。

彼らの発見は、真菌やバクテリア、またはその他の微生物たちが、食物網のどこにでも収まり、捕食者と獲物の関係に新しい洞察を与え、そして「ミツバチは草食」という概念を逆転させた。

ステファン氏と彼の同僚たちはまた、ミツバチの幼虫の成長の状態を調べる中で、微生物の肉は、ミツバチの食事として必要なものであることを示した。

調査では、ミツバチの幼虫に与えるエサの花粉を除菌し、それを少しずつエサに配合した。

その調査の中で、滅菌されているエサ(微生物がいない花粉)の割合が増加するにつれて、ミツバチの幼虫の死亡率が増加していった。また、幼虫の体重も軽くなり、成虫になるのに時間がかかった。このことから、花粉の微生物は、ミツバチの幼虫にとって重要な栄養だと考えられる。

ダランパル氏はこのように言う。

「微生物が、ミツバチにとって非常に重要な栄養源であることがわかったのです。彼らミツバチの食事から、微生物という、この重要な部分が奪われると、彼らはひどく苦しむのです」

ミツバチが菜食であるという考えは昆虫学に完全に根付いており、ステファン氏が最初、ミツバチは肉食でもあることに関しての論文を掲載しようとした時には、かなりの逆風にさらされたという。

最終的には、これらの論文は、科学誌アメリカン・ナチュラリスト (American Naturalist)と、英国王立協会の議事録に掲載された。

このミツバチの研究の結果は、特定の微生物がミツバチの食事から消えると、ミツバチは苦しんだり、あるいは飢える可能性があることを示唆している。

現在、世界中で発生しているミツバチの減少について、現在の科学者たちは、生息地の減少や、疾患や病害虫、そして農薬、気候変動などがさまざまに複合的に絡んだことが原因だと考えており、これまでは、このような「ミツバチに直接的に影響を与える原因」から、ミツバチの減少の理由を研究するのが基本的な方法だった。

しかし、今回の研究結果から、このような直接的な要因以外に、「花粉の微生物に与えられている環境ストレス」が要因となっている可能性も考慮するべきことになってきたと考えられる。

つまり、ミツバチそのものがダメージを受けなくとも、花の中の微生物が減少すれば、結果的に、ミツバチは飢えて、あるいは成長することができなくなる。

ステファン氏は次のように言う

「花粉の微生物がいなくなることは、間接的にミツバチを殺すことになっている可能性があるかもしれません」

そのような要因の 1つは、気候変動による気温の上昇だ。

ステファン氏はこう言う。

「気温の上昇あるいは高温は、ミツバチそのものへの影響としては致命的ではないでしょう。しかし高温は、花粉の中の微生物の共生状態を崩壊させる可能性があります。それによって、微生物が減少し、ミツバチたちが苦しむということは、非常にあり得ると考えられます」

ふたりの研究者は、現在このようなことが起きる可能性も調査している。

また、「殺菌剤」も、間接的にミツバチを殺しているかもしれないという。これについては、「さらなる研究が必要ですが」と前置きし、ステファン氏は次のように述べた。

「現時点で、殺菌剤が花粉の微生物群の共生状態を劇的に変化させているという十分な証拠があります。殺菌剤の農業での利用は、花の中の微生物に対して、大きなストレス要因となっている可能性が非常に高いです。そして、微生物が衰退していくと、それは結局、ミツバチたちの衰退につながります」

ミツバチの個体数が減少していくと、受粉に役立つ作物や野生植物を損なう可能性がある。地球の顕花植物および農作物の約 4分の 3 は、生物による受粉に依存している。数としては、世界で 115種類ある主要な食用作物のうち、87種類が、受粉動物によって成り立っているのだ。

受粉はミツバチだけによっておこなわれるわけではないが、しかし、ミツバチは、大部分の主要な作物の最も重要な受粉者であることは事実だ。

花粉の中の微生物の役割を知ることは、例えばミツバチの生息地の回復のために、花の選択を指示することにより、最終的にミツバチの保全の課題を解決することに役立つ可能性がある。

カナダ・ヨーク大学の科学者サンドラ・レーハン (Sandra Rehan)教授は、野生のミツバチに関連する微生物の生態を研究しており、以前の論文では、「花、環境、そして微生物を関連づければ、長期的なミツバチの保全に応用できるだろう」と述べている。

2017年の研究で、レーハン教授と研究チームは次のように書いている。

「主要な花粉媒介生物(※ミツバチのこと)の生息地の回復の取り組みは、花、成虫、ラクトバチルスやサッカリバクテリアなどの花粉の供給に見られるバクテリアの存在を増やす花の植えつけを考慮する必要があるかもしれない。 どのような花とバクテリアの組み合わせが、健康なミツバチのコミュニティの回復に必要なのか、そして、最も重要な細菌の役割はどのようなものなのか。それらを決定するために、今後さらなる調査が必要だ」

花粉の微生物に関する、これらの新しい洞察は、生命のあらゆる領域において微生物叢がいかに重要であるかを示す最新の例にすぎない。

私たちは、脊椎動物や哺乳類などを中心とした食物網を見る傾向があるが、微生物は、脊椎動物や哺乳類よりずっと長くこの地球に存在していた。

ステファン氏やダランパル氏は、「地球上の生命をどのように見るべきか」という根本的な事柄に対しての修正を求めている。

今回の論文の最後に、彼らは次のように記した。

「微生物を中心とした観点から、ハチと微生物の共生を考えると、微生物こそ熱心な養蜂家と見なすことができる。微生物が、毎年のハチによる花粉の収穫における動物相の共生を促進および支援しているのだ」

ここまでです。

なお、この記事に出てくる 3人の科学者のうち、プラターナ・ダランパル教授と、サンドラ・レーハン教授は女性の科学者です。

このミツバチの生態に関しましては、また別の記事でも関わろうと思っていますが、

「本当にこの世は何もかも微生物によるものなのだなあ」

と思う次第で、そのことが最近どんどんわかってきています。

人間の体でも、最も重要な存在が、腸内の細菌をはじめとする「体内の常在菌」であることがわかってきていたり、あるいは、以下の記事など何度か取り上げさせていだいていますが、病気やアレルギーが多くなっている原因に、環境を無菌で清潔にし過ぎているという「科学的ではない行為」が、特に先進諸国では普通になっていることがあります。

Your Environment Is Cleaner. Your Immune System Has Never Been So Unprepared
NY Times 2019/03/12

私たちの環境は衛生的すぎる。免疫システムは、このような環境への準備はできていないのだ

今から 1世紀前、イギリスの科学者たちが衛生状態の向上とアレルギー状態との関連性を示唆した。これは、私たちの免疫システムが「不適切に訓練された」ようになっていることについての最初のヒントだった。

あなたは鼻をほじるだろうか?。

ふざけた質問をしているわけでもない。 これは科学的に興味深い質問でもある。

では、ご自分のお子さんが鼻をほじるのをどう思われるだろうか。あるいは、お子さんが不潔なものを口に入れることをどう思われるだろうか。

現代の私たちは、自分たちの体の免疫の問題が、現在の私たちが暮らしている環境にどのようにチャレンジしているかを知る必要がある時に来ている。

たとえば、多くの人は、抗菌作用のある石鹸や手の洗浄液を使うことに疑問を抱いていないかもしれない。しかし、実際にはこれは「良くないこと」だ。

そして、私たちは、あまりにも日常で抗生物質を使いすぎていることにも疑問を抱いていないが、しかし、このような慣習はやめなければならないものなのだ。

デンバーの皮膚科の医師であるメグ・レモン博士(Dr. Meg Lemon)は、以下のように述べている。

「床に食べ物を落としたなら、それを拾って食べてください」

「抗菌作用のある石鹸をご家庭から排除して下さい。子どもたちに予防接種を受けさせるのは問題ありません。ただし、その場合、子どもたちは汚いものを口に入れる生活習慣をしている必要があります」

より良い免疫システムを獲得するのためのレモン博士の処方はこれだけでは終わらない。

「鼻はほじるだけでなく、(ほじったものを)食べるべきです」とレモン博士は言うのだ。

レモン博士は、私たちの免疫システムが、自然界との定期的なやりとりがない場合には混乱する可能性があるという事実と向きあっている。

「私たちの免疫システムには《仕事》が必要なのです」と博士は言う。

「私たちは、何百年にもわたって自分たちの体の免疫システムを絶え間ない攻撃にさらしてきました。 今、私たちの免疫システムは何もできなくなっているのです」

このような極端なことを述べる医師は今や彼女ひとりではない。現在、一流と呼ばれる医師や免疫学者たちは、現在の世の中に浸透している消毒方法を立て直さなければならないと再検討しているのだ。

なぜ、今このようなことが専門家たちによって検討されているのか。

まずは、19世紀のロンドンに目を向けてみよう。

1872年に出版された医学誌「ブリティッシュ・ジャーナル・ホメオパシー(British Journal of Homeopathy)」の第 29巻には、驚くほど先見の明のある所見が含まれている。

そこには以下のように記されている。

「花粉症は貴族の病気であると言われている。そして、それは疑いの余地がない」

花粉症は、花粉および他の空中刺激物に対する季節性アレルギーの包括的な用語だ。19世紀のイギリスの科学者たちは、「花粉症は貴族の病気である」というこの考えをもって、研究に取り組んでいた。

それから 1世紀以上経った 1989年11月、花粉症をテーマにした別の影響力のある論文が発表された。

それは医学誌『ブリティッシュ・メディカル・ジャーナル (BMJ)』に発表されたもので、「花粉症、衛生、および世帯規模 (Hay Fever, Hygiene, and Household Size)」と題された短い論文だった。

著者は、 1958年3月に生まれた 17,414人の子どもたちの間の花粉症の有病率を調べた。その中で、子どもが花粉症アレルギーを起こす確率と、その兄弟姉妹の数の関連性が最も印象的だったと述べている。

それはどのような関係性だったかというと、「多くの兄弟姉妹がいればいるほど、花粉症アレルギーとなる確率が低い」ことがわかり、そして、アレルギーを起こす可能性が最も低かったのは、年上の兄弟姉妹を持っていた子どもたちだった。

この論文は、以下のように述べる。

「アレルギー性疾患は、幼児期の(細菌への)感染によって予防されるか、年上のきょうだいとの衛生的ではない接触によっての伝染か、あるいは年長の子どもたちとの接触によって感染した母親から出生前に、その予防が獲得されていると考えられる」

「過去 1世紀にわたり、家族の数は減少し、家庭の快適さと衛生状態は向上し、そして、個人の清潔さの基準も向上したことにより、若い家族での相互の(細菌の)感染の機会が減少してきた」

さらに論文は次のように続いている。

「この研究では、アトピー性疾患が、より裕福な人々のあいだに広範囲に出現している可能性があり、それは花粉症も同じだと思われる」

ブリティッシュ・メディカル・ジャーナルに発表されたこの論文から「衛生仮説」が生まれた。その背後にある考えはその後も進化し拡大してきたが、それは人間が現代世界との関係において直面する課題への深い洞察を提供する。

私たちの祖先は、何百万年もの間、自分たちの環境で生き残るために進化した。

人間の歴史の大部分は、その環境は、食料の不足、あるいは病気を運ぶ可能性のある食物、ならびに不衛生な状況、および不潔な水、あるいは水が枯渇する天候などのような極端な課題を特徴としていた。それは危険な環境であり、生き残ることが最大の目的の環境だ。

私たちの体の防御の中心は、私たちが持つ免疫システムにある。このシステムは何世紀にもわたる進化の産物だ。

その過程の後半に、人間は私たちの防御を強化するための措置を講じることを学び、私たちの生存を支えるためのあらゆる習慣や行動を身につけた。

このようにして、免疫システムのもう一つの側面として、私たち人間が習慣や行動を身につけるのを助ける器官 である「脳」を考えてみよう。

私たち人類は、集団的な頭脳を使って効果的な行動を見出した。

たとえば、私たちは手を「洗うようになった」。あるいは、経験が示したある種の食べ物が危険であるか命に関わるものである際にはそれを避けるように注意を払うようになった。

たとえば、いくつかの文化では、豚肉を避けるようになったり、他の国々でも、肉を禁忌とする文化があるが、後年になり、肉が大腸菌や他のバクテリアの有毒物を人体にもたらす可能性があることを私たちは知る。

最も初期の記述の中にあらわれる儀式的な洗浄方法は、旧約聖書「出エジプト記」で述べられている。

このように、私たちの考えは進化したが、免疫システムはそうではない。

もちろん、免疫システムがまったく変化しなかったと言っているのではない。免疫システムは私たちの環境に反応する。私たちがさまざまな脅威に遭遇したとき、私たちの防御システムは学び、そして将来その脅威に対処することが、さらに可能となっていく。そのようにして、私たちは自分の環境に適応していく。

私たち人類は何万年ものあいだ生き残った。

そして結局、私たちは手を洗い、床を掃き、食べ物を調理し、特定の食べ物を完全に避けるようになった。飼育されている動物の衛生状態を改善させた。

世界のより裕福な地域では、水を浄化し、配管と廃棄物処理プラントを開発した。

私たちは水から細菌や他の微生物を分離し殺菌するようになったのだ。

私たちの体の免疫システムが、この変化に追いつくことができていないことが証明され始めている。世界で最も長く生き残り続けたこの免疫システムと、私たち人間が暮らす現在の環境との間に「摩擦」が引き起こされている。

私たち人類は、歴史の中での学習の中で、さまざまな「種」との関係性を排除し続けてきた。寄生虫はもちろん、体に有益なバクテリアや免疫システムさえも、人体との関係性を最小限にまで抑えるようなことをしてきた。

時代と共にそれはさらに進んでいる。

たとえば、今は、赤ちゃんのいるような部屋は清潔で、虫と遭遇することなどないはずだ。そして、今は多くの家庭の規模が小さくなり、たくさんのきょうだいを持つ子どもは少なくなった。

ただでさえ過度に衛生的な環境の中で、きょうだいもいない。より年上のきょうだいが細菌を持ち帰り、赤ちゃんに感染させてくれるのだが、それもない。

さらには、私たちの食べ物や飲料水、そしてミルクも殺菌されている。

今は、かつて私たち人類が自然界で出会っていたあらゆる種類の微生物との相互作用が欠如しているのだ。

このような環境で、免疫システムはどのようなおこないをするだろう。

それは過剰に反応することになる可能性が高い。塵やダニまたは花粉のようなものに悩まされるようになる。これは、私たちがアレルギーや炎症と呼んでいる「慢性的な免疫システムの攻撃」であり、これはさらに危険な方向に進み得る。

アメリカ疾病管理予防センター(CDC)によると、1997年から 1999年の間と、2009年から 2011年の間に、アメリカで食物アレルギーを持つ子供の割合は、それぞれ 50パーセント増加した。

その間の皮膚アレルギーは 69%と急増し、米国の子どもたちの 12.5%が湿疹やその他の刺激症状を持っていた。

食物アレルギーおよび呼吸器アレルギーは所得水準と連動して上昇した。

一般に高等教育と相関するより高い資産状況にある場合は、アレルギーのリスクがより高くなった。

同じ傾向が国際的にも見られる。医学誌『ジャーナル・オブ・アレルギー・アンド・クリニカル・イミュノロジー( Journal of Allergy and Clinical Immunology )』の論文を引用した研究によれば、皮膚アレルギーは「過去 30年間に先進国では 2倍または 3倍となり、子どもの 15〜 30パーセント、成人の 2〜 10パーセントに影響を及ぼしている」と述べられている。

世界アレルギー機構(World Allergy Organization)の報告によると、2011年までにヨーロッパでは 4人に 1人の子どもがアレルギーを起こし、その数は増加している。

衛生学の仮説を補強するものとして、この論文では、海外で生まれて移民をしてきた子どもたちのほうがアメリカで生まれた子どもたちよりもアレルギーと自己免疫の両方の疾患の率が低かったことを指摘している。

このアレルギーには、炎症性腸疾患、リウマチ状態、そして特にセリアック病(小麦への完全な不耐性)に関連する傾向がある。

セリアック病の原因は、免疫システムが小麦、ライ麦、大麦のタンパク質であるグルテンに過剰反応することにより起きる。セリアック病での攻撃は、小腸の壁を傷つける。

これは食物アレルギーのように聞こえるかもしれないが、症状から述べると、自己免疫疾患といえる。このような自己免疫疾患の場合、免疫系はタンパク質とその関連領域を攻撃する。

アレルギーは、より一般化された反応を引き起こす可能性がある。 例えば、落花生アレルギーは、アナフィラキシーとして知られる状態により気管の炎症を引き起こす可能性があり、それは絞扼(気管がしめつけられること)を引き起こす場合がある。

アレルギー性疾患と自己免疫性疾患のどちらの場合も、免疫系は他の場合よりも強く反応したり、宿主にとって健康な場合よりも強く反応する。

もちろん、このようなアレルギー疾患や自己免疫疾患が増加していることの原因すべてが、衛生状態の向上や、子ども時代の細菌への感染の減少と関係しているというわけではない。

あるいは、裕福であることと高い教育が、必ずしもアレルギー性疾患と関係すると言っているわけでもない。新たに登場した汚染物質を含む環境の変化もあるだろうし、絶対的な遺伝的要因もあるだろう。

しかし、アレルギーに関していえば、衛生仮説は驚くほどよく成立している。

衛生仮説とはつまり、「工業化されたプロセスと、人間の健康は《逆の関係》にある」ということだ。

感染予防と疫学の専門家協会によって 2001年に発表された研究によると、私たちは 1800年代後半から市場で始まった衛生において安定した食事を与えられている。

米コロンビア大学の研究者は、私たちがどのようにして石鹸製品に夢中になってきたかを理解しようと研究した。その研究の概要は以下のようものだ。

・1900年代初頭のアメリカの百貨店シアーズのカタログでは、「アンモニア、ホウ砂、そして洗濯用および石鹸用洗剤」を大々的に宣伝していた。

・「1900年代初頭から 1900年代半ばまでの間に、米国における石鹸製造は 44%増加した」とし、これは、「給水、ごみ処理および下水システムの大幅な改善」の時期と一致している。

・1960年代から1970年代にかけては、抗生物質とワクチンのマーケティングは、「個人的責任」を重視することなく、感染因子に対する解決策であると理解されていた。

・1980年代後半から、その中でも家庭用および個人用の衛生製品の市場は 81%急増した。論文の著者たちは、「感染症からの保護に対する公衆の関心の回復」を引用しており、その注目の一部としてエイズの登場があったことを考えることは難しくない。

・1998年のギャラップ世論調査によると、アメリカの成人の 66%がウイルスやバクテリアを心配していると答え、40%が「これらの微生物が蔓延していると考えている」と述べた。 26%が、身体と皮膚をウイルスやバクテリアから保護することが必要だと考えていた。


結局、このようなアメリカ人の考えは間違っていたのだ。

医者さえも間違っていた。

アメリカの医療では、抗生物質が非常に過剰に処方される。 抗生物質の使用は、致命的な感染に直面している場合は、免疫システムへの恩恵となるかもしれないが、 しかし、正当な理由なしに抗生物質を使用すると、それは私たちの腸内の健康な微生物を一掃し、侵入した細菌をさらに致命的なものに発達させる可能性がある。

世界保健機関(WHO)は、抗生物質の使用を制限するための世界的な政策を策定する努力をおこなっているが、それを主導した科学者ケイジ・フクダ博士(Dr. Keiji Fukuda / 福田敬二)は、「これは過去 1世紀のマーケティングに反する学習をするようなものです」と語っている。

「環境からあらゆるリスクを排除しようとすると、私たちは安全ではいられないのです。私たちは、環境からこれら(細菌など)を全滅させるという考えから脱していかなければなりません」

私たちの歴史の中で作り出された衛生観念の多くは、実用的で価値があり、私たちの命を守るものであったことは確かだろう。

しかし、私たちは、衛生に対して過剰に進み過ぎてしまったのかもしれない。

ここで話を最初に戻そう。

鼻はほじるべきだろうか? あるいは、なぜ「ほじりたい」という衝動が湧くのだろうか。

文化的な観点からは、ほじるべきではないのだろうが、しかし、これは驚くほど公正な科学的な主題だと思える。

これは、2010年にピューリッツァー賞を受賞した米ニューヨークタイムズの記者による記事で、「現在の過剰な衛生観念と抗生物質の使用が、アレルギー性疾患と自己免疫疾患を増加させている」ということを述べていたものでした。

そして、今回の研究からは、ミツバチの衰退の本当の原因は、「農業で使われる殺菌剤である可能性」が強くなっています。

現代の農業において、細菌やカビから作物を守るために、膨大な種類と量の殺菌剤が使用されていますが、それにより「花の中の花粉の微生物が死ぬ」ということになり、それは結局、

「微生物をエサとしているミツバチと幼虫たちの食糧がなくなり、彼らは餓死する」

という可能性があるということのようです。

農業で広く使われる殺菌剤
sakkin-zai.jpg

「殺菌剤を使わない現代農業」というものが、どの程度可能なものなのか私にはわからないですが、簡単なことではないような気はします。

結局、現代文明には、抗生物質や殺菌剤などのように、細菌を敵対視する物質にあふれているわけで、その理由は、私たちが、

「古い時代に確立した《細菌は悪という観念》から逃れられていない」

ためではあると思います。

科学的になることができない私たち人類の集団が現代の文明の基本にある限り、これはあまり変わっていかないかもしれません。

そして、それが人間の病気を増やし、ミツバチを殺している。

最終更新:2019/09/04 21:40

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