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記事詳細

2019/02/01 21:26

観測史上最低気温に近づくシカゴの -29℃の朝のミニ氷河期的光景

2019年1月30日 凍結したシカゴの朝。左の湖は五大湖のミシガン湖
chicago-2019-0130.jpg

アメリカに北極からの旋風「極渦」がやってきていることを以下の記事でご紹介させていただきました。

北極からの旋風「極渦」のメカニズムが「崩壊」している。その中でアメリカは歴史的な寒波となり、北極より寒い気温の場所が続出

-50℃にまで気温が下がったイリノイ州では「5分で凍傷になる気温」なので外出には注意をという勧告も
breaking-cold-us2019.jpg

その影響は拡大を続けていまして、アメリカの多くの場所で氷点下の気温が続出しています。

そのような状況の中、シカゴが記録的な低温に見舞われていまして、1月30日の朝には -29℃という異例の気温を記録しました。

1月29日 あらゆるものが凍結しつつあるシカゴ
chicago-lake-ship01.jpg

chicago-ice-river01.jpg

chicago-river-blue002.jpg

シカゴの場所
chicagi-caold-map2019.jpg

川も湖までも凍結しつつあるシカゴですが、このシカゴでのこれまでの観測史上の最低気温は、1985年1月20日に記録された -32.8℃ということで、今の状況からは、この記録が更新されるのも近いと考えられています。

シカゴには、アムトラックという鉄道が通っているのですが、この鉄道があまりの低温のために走行できなくなり、現在運行が停止されています。

アムトラックの運行停止を報じるニュース
amtrack-stop-2019.jpg

このような異例の事態となっている理由は、北極からの極渦が、下のように通常ではない位置にまで南下しているためですが、ジェット気流の位置があり得ないほど南を通っているのです。

polar-voltex-chicago.jpg

地球のジェット気流の異常については、以下の記事もご参考いただければと思います。

《特報》地球の気流が壊れた ジェット気流が赤道を通過して北極から南極に進むという異常すぎる事態。このことにより、この先の気象と気温はこれまでに考えていた以上のカオスとなる可能性が極めて濃厚に

2016年6月30日気象の専門家たちは「私たちは地球規模の気候緊急事態を宣言しなければならない」と語り、騒然が広がる
カナダ・オタワ大学の気象学の専門家ポール・ベックウィズ教授による事態の解説
jet-stream-equator.jpg

ベックウィズ教授の動画解説欄の翻訳

北半球のジェット気流が赤道を越えて進行し、そして、南半球のジェット気流と合流するという事態が起きています。

これは今までになかった新しいジェット気流の動きだと思われ、そして、このことは、気候システムの騒乱が進行中であることを示しています。

現在の私たちの気候システムの振る舞いは、私たちが予想していなかった状況、あるいは予想はしていても、過去に経験したことのない新しい、あるいは恐ろしい方法で私たちを驚かせ続けています。

混乱した気候の世界へようこそ。

私たちは今、地球規模の気候緊急事態を宣言しなければなりません。


今回ご紹介することは本当に驚くべきものですが、最初に何が問題なのかを簡単に記しておきます。

まず、そもそも、ジェット気流とは通常はどのような動きを見せるものかということと、そして、今はどのようになっているのかということから入らせていただきますと、まず、通常のジェット気流というのは、Wikipedia の説明では、以下のようになります。

ジェット気流 - Wikipedia

ジェット気流とは対流圏上層に位置する強い偏西風の流れ。

主要なものとして北緯40度付近の寒帯ジェット気流と北緯30度付近の亜熱帯ジェット気流がある。


図で示しますと、下のようになります。

通常のジェット気流の一例
jetstream-past.jpg

地図の下に「赤道」の位置を加えましたが、寒帯ジェット気流も、亜熱帯ジェット気流も、どちらも赤道などとはまったく関係しない場所を循環するのが普通だということがおわかりかと思います。

しかし、冒頭の動画のタイトルに「ジェット気流が赤道を通過している」とありますように、「ジェット気流が赤道を通過している」という壊滅的な変化が見られているのです。

下の写真は、アジアからオーストラリアくらいまでの位置の現在のジェット気流を示したもので、赤と緑で示されているジェット気流が「赤道」を通過して、しかも、寒帯ジェット気流と亜熱帯ジェット気流が「出会っている」という異常な光景が記録されたものです。

jet-stream-asia.gif

これまでの考え以上に気象と気温が混乱する可能性

ことの発端は、気象などの記事を記しているロバート・スクリブラー(Robert Scribbler)という方がブログ上で、このジェット気流の異常を指摘した

「巨大な重力波が冬と夏をゴチャゴチャにしてしまうのか? 壊れてしまったジェット気流が今、北極から南極に走っている」

というタイトルの下の記事の投稿以来、ソーシャルネットワーク上で大きな話題となり、冒頭のように、このことについて気象学の観点から状況を解説する専門家なども現れるというような騒動となっているという次第です。

wrecked-jet-stream0s1.jpg

これは「ジェット気流の動きが、これまで一度も見たことのないものとなっている」ということなんです。

先ほどのブログのタイトルに「冬と夏をゴチャゴチャにしてしまうのか」とあったり、冒頭のオタワ大学のベックウィズ教授は、「混乱した気候の世界へようこそ」と書いていたりしているのを見てもわかるように、今後、今まで想像していた以上の経験したことのない気象や気温が出現する可能性がより高くなっていると言えます。

ちなみに、ジェット気流のこの異常に関しては、「こういうことが起きている」という事実があるだけで、「理由」や「原因」は誰にもわかるものではないもののはずです。

どうしてこんなことが? ということに対しての答えは出ないと思われます。

しかし、現実として起きている。

この現象が、どのような異常気象や異常気温をもたらすのかも予測はできません、

しかし、最近言われていたような、「2016年の夏は、エルニーニョからラニーニャに移行するから猛暑」というような単純な図式で、これからの気候や気温を考えることはできないと思われます。

この夏の日本が熱くなるのか寒くなるのかもわからないですし、晴れが多いのか雨が多いのかもわからないですが、ただ、今年の気象で、ひとつ気になっていたことがありました。それは、「まだ台風1号が発生していない」ことです。

今日(6月30日)で、もし6月が終わったとすれば(「もし」って変だろ)、ああまあ、今日で6月は終わりですが、1951年以降の気象庁の記録に残る限りでは、過去に、6月が終わるまでに台風が来なかったのは、1983年と 1998年の2回だけです。

というわけで、現時点では、今年は過去3番目に台風1号が遅い年となります。

1983年の台風1号発生の日は 7月2日、1998年は 7月9日ですが、この日までに台風1号が発生しなければ、今年はとんでもなく台風発生が遅い年ということになります。

台風は、日本とアジア地域の大事な水源となるものですので気になりますが、太平洋上の状態が先ほどのジェット気流の図にありますように「ムチャクチャになっている」現状では、例年通りに、正しく台風が発生するということは阻害されてしまうのかもしれません。

完全に変わってしまった地球の大きな大気の流れ

私は、今回のジェット気流の異常ともいえる位置の変化を見まして、この2、3年の間に書いたいくつかの記事の現象の理由がわかったような気がします。

2013年の6月に、

・ハワイから消滅しつつある「そよ風」。でもその理由は誰にもわからない

Hawaii's gentle breezes disappearing, but scientists don't know why
CTV News (カナダ) 2013.06.04

ハワイのおだやかなそよ風が消えつつある。しかし、科学者たちはその理由がわからないという

人々がハワイに住みたいと思う理由のひとつに、ハワイ特有の心地よい「そよ風」もその中に含まれているように感じる。それらの穏やかな風は北東からやってくるもので、ハワイの湿度を追い払ってくれることにも十分に役立っている。

ハワイでは人々が涼むために、家のリビングではなく、庭や駐車場などでリラックスしている光景は珍しくない。涼しいそよ風と冷たい飲み物があれば、扇風機もエアコンもなくとも、快適に過ごせるのだ。

ところが現在、専門家が言うには、貿易風と呼ばれるこれらのそよ風が減少し続けていて、ハワイの人々の生活にも少しずつ変化をもたらしている。

それは見た目に大きな変化ではないが、湿気に弱いハワイの人々は以前より扇風機やエアコンを使う機会が増えていたり、あるいは、火山からのスモッグをすべて吹き飛ばすには現在の風はあまりにも弱いために、街にモヤが増えてきているということなどがある。

さらには、風は雨が降る手助けをする。貿易風が減少することは、水そのものが少なくなることをも意味する。当局は、ハワイでの給水の保持と、人々へ節水を促しているが、その理由にこの「風が消えてきている」ということがある。

水の減少は森林が健全に維持することに影響し、また、農作への影響についても、科学者たちは検討している。


なぜ風が減ったのか?

その背景に何があるのかはよくわかっていない。


マノアにあるハワイ大学の気象学者、パオ・シン・チュー博士は、風の減少について次のように述べる。

「そのことはいつもハワイの人々に質問されるのです。どうして風がなくなってきているのかと。しかし、私たち科学者にはまったくその理由がわからないのです」。


地球物理研究ジャーナルで発表された昨年(2012年)の秋の調査では、 1970年以来、ホノルル空港での測定で、貿易風がこの数十年で 28パーセント減少していることが示された。

ハワイに住む住人たちは、体感的にこのことに気づいている。釣りやカヌー、あるいはサーフィンを楽しむ人々は、風が変化したことを直接的に感じているという。

それだけではない。

風が消えてしまってから、時に、ハワイ島のキラウエア火山から出る二酸化硫黄によって産み出された風がホノルルにまで立ちこめ、白や茶色の「もや」を残すことがある。現在のハワイの風は火山のスモッグを完全に飛ばすにはあまりにも弱いのだ。

これは、喘息やその他の呼吸器系の問題を悪化させる懸念がある。

そして、パオ・シン・チュー博士が懸念していることは、今後、ハワイの人口が増えた場合、より多くの水が必要となるが、現在の風の弱い状況は、雨の減少と、その結果としての水の供給の低下に繋がることだという。

ハワイの議会は、予測される雨の減少から森林を守る対策のひとつとして、雑草を除去すること、そして森林植物を掘る野生動物を締め出すことなどを含む森林保護のための 850万ドル( 8億 5000万円)の国家予算を承認した。

貿易風の減少は、ハワイの一部が干ばつとなっている理由の一つだ。たとえば、マウイ島は、今年、観測史上最も乾燥した4月となった。干ばつは農業に影響を与える。

そして、貿易風の減少は、最大の産業であるハワイの観光にも影響を与える可能性がある。毎年 800万人の観光客がハワイを訪れる。しかし、貿易風がなくとも、ハワイの気候は東京や香港に比べても十分に穏やかだ。気温もテキサスやアリゾナのように上がるわけでもない。

なので、観光客の減少ということへの懸念は少ないと現地では見ている。

地球の大気の流れに何が起きているのか 北半球の「風力」が過去40年間で最大70パーセント近くも「弱くなっている」ことが中国科学院の大規模調査で判明

2019年1月11日中国科学院の研究を報じるロシアのメディア
wind-weaks-2018.jpg

Ветры в Северном полушарии ослабевают
МИР ВОКРУГ2019/01/02

北半球の風が著しく弱まっている

中国科学院の科学者たちは、陸上の風力発電所のタービンを駆動する風速が、北半球全体で著しく減少していることを発見した。

科学者たちは、世界中で 1000以上の気象観測所を調べることによって、この発見に至った。

発表では、1979年のレベルと比較して、北半球の風の力は 67%減少していることを示しているという。

この影響は、アジアで最も顕著であり、風力発電基地の 80%が、約 30%の電力の減少を示した。

また、ヨーロッパの全拠点のほぼ半分の風力発電基地でも同様の結果が示された。

北アメリカでは、気象観測所の 30%が、1979年の風力の 3分の 1にまで低下していた。

そして、この事実は、世界最大の風力発電所群が設置されている中国にとっては、懸念されるべきュースとなっている。

中国の研究者たちは、このような変化の原因を突き止めようとしているが、理由のひとつには、1979年当時は空気の移動を妨げないような畑や草原が広がっていた土地が多かったことと比較すると、現在は、土地の使用方法が変化し、大量の建物が出現したことなどがあるのではないかと指摘している。

あるいは、大気中の二酸化炭素濃度の増加により地球の環境が変わったことにより風力が弱くなったのではないかと考える科学者たちもいる。

複合的な要因で風の流れの減少に影響を与えた可能性もある。

科学者たちは、風力エネルギーを開発することを計画しているすべての国と企業は、これらの要素を考慮に入れなければならないと指摘する。

ここまでです。

「 67%減少」というのはかなりのもので、現在の私たちの住む北半球は、今から 40年前などと比較して 7割近くも風が弱くなっているようなのです。

中国科学院の科学者たちは、北半球の風が弱くなっている原因を、「家や建物が増え、風が通りにくくなった」とか、「二酸化炭素の濃度が増えて云々」というようなことを述べていたようですが、おそらく、それは関係ないですね。

というタイトルの記事を書きましたけれど、今はその理由がわかります。地球の大きな大気の流れがその頃から変化していたのだと思われます。

2013年には、ヨーロッパで大規模な洪水が発生しました。

その原因は複合的ではありながらも、ドイツの気候変動ポツダム研究所の科学者が、AFP に、以下のように語っていました。

気候変動ポツダム研究所は、(この大洪水は)地球上空のジェット気流が乱れたことによって、豪雨をもたらした低気圧が移動せず1か所に停滞してしまったためと指摘している。

同研究所は、現在ロシアで起きている干ばつも、ジェット気流の乱れに関連しているとの見方を明かした。


また、この 2013年の梅雨時には、日本の長野県などが極端な水不足に陥りましたが、その原因は、通常の梅雨時の気圧配置とまったく違う気圧配置が続いたことによるものでした。

ジェット気流の変化によるものだと思われますが、下のように、本来なら日本列島にかかる梅雨前線が、南のほうに停滞したままの状態が続いたのです。

2013年6月の日本列島周辺の気象図
ts-2013.jpg

ジェット気流の蛇行の状況によっては、「同じ国の別の地域が、熱波と寒波に同時に見舞われる」とか、やはり同じ国の別の地域で「極端な雨の地域と、干ばつの地域が同居する」とか、まあ、これは今すでに起きていることかもしれないですが、そういうこともさらに多く起きていくと思われます。

とんでもない光景を何度も見ていくことになるのでしょうけれど、この夏は正念場かもしれないなと思うと、背筋に冷たいものが(飲みかけのチューハイじゃないの? ← そのツッコミはもういいっつーの)。

まあしかし、人為的にどうこうできるものでもないですし、先行きを深刻に考えるよりも、起きてしまった状況に適切な対応をして生きていくしかなく、心配していても仕方ないです。

いずれにしても、今の世界中の異常な気象や気温の原因のひとつが少し理解できて、そのことに関しては、むしろ謎ではなくなってきたわけで、気分爽快な面もあります。

あとは、ほぼ完全に活動停止となり始めている太陽と気象の関係がどのようになっていくかということも興味があります。

このジェット気流の状況によっては、現在のアメリカやヨーロッパのような極端な凍結が、他にも拡大する可能性があります。

最終更新:2019/02/01 21:26

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