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記事詳細

2018/10/18 20:51

実際の著作の中には、自分の子どもが後発的に自閉症となった母親のことが長く書かれていますが、医学知識のほぼないその女性が、1から子どもの「発症の原因の手ががり」を調べ続けて、医師に懇願しての「実験」も行いながら、ついにその原因の仮説に辿りつくのです。

そして、ついには、その女性は医学者ではないのに、医学界で受理される医学論文を発表するに至る一種の愛情と執念のドラマが書かれています、

なお、その内容は一言でいうと、「抗生物質により腸内の細菌環境が破壊されたことによる自閉症の発症」(もっと具体的な機序が本には書かれています)ということになるのですが、もちろん、これは一例であり、自閉症の原因の大半は今でもわからないままですけれど、問題は自閉症そのものの話ではなく、

「腸が理性をコントロールしている」

ということが、この本の中のいくつかのくだりなどでよくわかるのです。

脳が健全で正常であっても、細菌を含む腸のシステムが破壊されることで、「理性は消えていく」のです。

そして、おそらくとしか言いようがないですが、他のさまざまなメンタルに関する病気や症状の中にも、「腸内のシステムが破壊されることによって起きているものがある」という気がします。

私たち人間の遺伝子情報(ゲノム)は「自らの腸内細菌によってコントロールされている」ことが判明
2018年1月17日

そこから思う、感染症やガンや認知症の著しい増加の理由の原因のひとつは、抗生物質と超除菌の濫用社会での「腸内細菌の崩壊」なのかもしれないこと

2018年1月11日のアメリカの科学メディア報道より
bacteria-control-us.jpg

私たち人間の遺伝子をコントロールしているものは

いろいろと私たち近現代の人類は、この世の仕組みというか、「何かと何かのあいだの関係性」について勘違いしながら長いあいだ生きてきたということを最近になって、いろいろと知ることが多くなったように思います。

その中に、たとえば「腸内細菌」というものがあります。この言葉は、最近は比較的よく耳にする言葉でもあります。

そして今では、この腸内細菌から「マイクロバイオーム」という言葉も科学の世界では使われていまして

人体は「マイクロバイオーム」を内蔵する生態系、腸内フローラ、腸内細菌叢の世界

well 2015/12/22

世界的に有名な英国の総合科学雑誌ネイチャー誌が、このたび、人の腸内に住む微生物群、マイクロバイオームに関する話題を取り上げる特集を組んでいる。

研究グループは、マイクロバイオームの大部分は腸内に棲み付くが、微生物群は単なる「居候」ではないと説明している。「食べ物の消化」「抗炎症物質の産生」「敵味方を見分けるための免疫システムの教育」など、人間の健康と生存に重要な機能を数多く担う存在になっている。

医学や栄養学の世界の考え方が大きく変わりつつある。人間は単独で生きていく生き物ではなく、互いに協調・競合する微生物を内部に秘めた複雑な生態系だと考えられるようになりつつある。


このように、それまで単なる「居候」的存在と考えられていた人間の体内の細菌たちが、上の記事から抜粋しますと、

> 「食べ物の消化」「抗炎症物質の産生」「敵味方を見分けるための免疫システムの教育」など、人間の健康と生存に重要な機能を数多く担う存在になっている

という役割をおっていたということが次第にわかってきた、というようなことになってきていました。

この意味はつまり、「腸内(あるいは他の体内の)細菌と人間は共存している」ということへの理解が進んできていたということになるのだと思われます。

これを知った時にはそれなりに「微生物と人間の共存とは大したものじゃ」などというように思っていたのですが、しかし、「事態の真実」はさらに進みました。

最近の英国での研究でわかったことは、「共存」をはるかに上回る意味を腸内の細菌たちが持っていたということでした。

それは「共存」というレベルではなく、人間と細菌の立場が逆転したといっていいもので、すなわち、

「腸内細菌が、私たちの遺伝子情報をコントロールしている」

ことが判明したのです。

最近の科学で少しずすわかってきていたような「人間と体内の細菌の共存」というような概念から、見識はさらに進んで、「私たちは腸内の細菌に生かされている」という可能性が強くなってきたといってもいいと思います。

これはもう共存というよりも、「主従」でいえば、

・主は腸内細菌

・従が人間

ということになりそうなのです。

まあ、主従というたとえは変ですが、何しろ、今回の英国の研究でわかったことは、腸内細菌が制御しているのは、私たちのゲノム、つまりすべての遺伝情報なのです。これは「生体としての私たちのすべての部分を腸内の細菌が牛耳っている」可能性が高いということになります。

まずは、ネイチャーに掲載されたその英国での研究について、発表したバブラハム研究所のニュースリリースそのものから冒頭部分をご紹介します。

どうして冒頭部分かといいますと、中盤以降は難解理論と専門用語の嵐でして、私自身も理解できないですし、むりやり訳して掲載してもあまり意味がないと思いましたので、わかりやすい冒頭の部分を翻訳いたしました。全体にご興味のある方はリンクから原文をお読み下さい。

ここからです。

How good bacteria control your genes
英国バブラハム研究所 ニュースリリース 2018/01/09

良い細菌が遺伝子をコントロールするメカニズム
英国ケンブリッジ近郊にあるバブラハム研究所(Babraham Institute)の科学者たちは、ブラジルとイタリアの研究者たちと協力し、腸内の優れた細菌が細胞内の遺伝子を制御しているメカニズムを発見した。

ネイチャーに発表されたこの研究は、腸内細菌からの化学的メッセージがヒトゲノム全体の重要な化学マーカーの位置を変える可能性があることを示している。

このように化学的メッセージが腸内細菌から伝わることで、細菌は感染症と戦い、また、ガンを予防するのに役立っていると見られる。

パトリック・ヴァーガ・ウェイス(Patrick Varga-Weisz)博士が率いるこの研究は、果物や野菜の消化により腸内の細菌によって産生される化学物質が、腸内層の細胞内の遺伝子にどのように影響を与えるかを示している。

これらの分子は、短鎖脂肪酸と呼ばれ、細菌から私たち自身の細胞に移動し、そして、細胞内で遺伝子活動を変化させ、最終的に細胞の働きに影響するプロセスを引き起こす可能性がある。


ここまでです。

マーカーとか短鎖脂肪酸とか難しい言葉はともかとくして、ここにある、

> 腸内細菌からの化学的メッセージがヒトゲノム全体の重要な化学マーカーの位置を変える

の中に、「ヒトゲノム全体の」という部分があるのがおわかりでしょうか。

腸内細胞は、「体のどこかの部分に影響を与える」のではなく、「人間の遺伝子情報全体を変える」可能性があるのです。

さらに文章の中には、

> 最終的に細胞の働きに影響するプロセスを引き起こす可能性がある

とありますが、これらが示すことは、この腸内細菌の働きが人の体状態や、健康や病気にどのくらい影響を与えているかと考えますと、「ほぼすべてに及ぶ」といっていいのではないでしょうか。

つまり、明らかに外部的な要因からくる健康問題や病気を除いたすべてということです。免疫系の病気は全体的に関係があるはずですし、もちろん、ガンも非常に関係があると思われます。そして、精神や神経の病気もそうでしょうし、アレルギーも非常に関係してそうです。もちろん、あらゆる感染症にかかるということもそうだと思われます(同じ病気が流行しても、ある人はかかって、ある人はかからない、など)。

おそらく、およそ病気という病気すべてから「体を守る」役割をこの腸内細菌は持っているということになるのではないでしょうか。

ということは、

「腸内細菌が死滅したり消滅した時には、人間は健康に対しての防御を失う」

といっていいかと思います。

「何が他院医の細菌を殺すか」といえば、身近なところでは、腸内細菌を殺す最も有名なものとして「抗生物質」があります。

抗生物質の今の世の中での濫用は、もはや書くまでもないでしょうが、安易に抗生物質を使うたびに、その人の腸内細菌がいくばくか失われていくということは事実です。

そして、このようなことを思った時に、「なぜ、今の地球は病気の時代となっているのか」ということが、かなり具体的にわかってくるのです。

抗生物質と清潔に殺されていく人類

2年ほど前、「過去 30年間の世界での感染症の異常な増加」について

下の図は、米ワシントンポストに掲載されていた「1984年に新しく出現した感染症」と、その後の状況を示してものです。

1984年に新しく出現した感染症と「その後の30年間に出現した感染症」
infection-now-2017.gif

なぜ、1984年との比較かといいますと、この年にエイズが出現して世界に衝撃を与えたからですが、その後は図のように、世界に衝撃を与える感染症が日常的に出現するようになっています。

そして、こういうことが「どうして起きているのか」については、その根本的な理由は今でもわかっていないとされています。

しかしです。

たとえば、上の地図をよく見るとわかるように「新しい病気が数多く生まれている場所」は、いわゆる未開の地と言われるような衛生状態が悪い場所が主ではありません。この図を2年ぶりに見て、そのことに気づきました。それはアメリカであり、中国やアジアヨーロッパのような「清潔な国」での新しい感染症の出現が顕著になっているのです。

infection-truth.jpg

そして、私は過去に、「主要国の過度な清潔社会化が、数多くの病気を生み出している可能性」について書いたことが何度かありました。

そして、今回の記事でご紹介している「腸内細菌が人間の遺伝子をコントロールしている」ことから、

・「抗生物質の服用を含む過度な《除菌》社会」が、この病気の地球を作り出したことと関係あることは間違いない

と確信しました。

今回の記事では腸内細菌のことについての研究でしたが、人間には他のいろいろな部位に「常在菌」がすんでいてくれます。

そして、たとえば、喉や手の平にある常在菌は、現代社会では常に滅菌されやすくなっています。つまり、殺菌作用のある石鹸やうがい薬、あるいは除菌洗剤にふれるたびに、それらは死滅していきます。

いろいろなことがそうですが、こういうことの重なりで、現代人の体は極限まで弱くなってきているのではないかと思った次第です。

抗生物質だけではなく、過度な滅菌・殺菌という概念のあらゆる部分が、最終的には人間の遺伝子の弱体化につながっていくといえるのだと個人的に今は確信しています。

あるいは、生まれてくる子どもとの関係の話として、以下のような記事も書かせていただいたことがあります。

自閉症の子どもが生まれる決定的な要因が米バージニア大学の研究者により特定される。それは「母親の腸内細菌環境」。その予防法も初期段階ながら提起される

米国バージニア大学のニュースリリースより
microbiome-autism-uva.jpg

今回は、アメリカのバージニア大学が 7月17日に発表した冒頭の「自閉症のリスクは母親の腸内の微生物の健康状態によって決定されることを発見した」ということについてお伝えしたいと思います。

現在、主要国における自閉症のお子さんの増え方は普通ではなく、下はアメリカの例となりますが、「 40年間ほどの間に 70倍も増加している」のです。

アメリカの1975年から2015年までの自閉症と診断された子どもの推移
autism-diagnoses-rising02.jpg

日本を含む他の主要国でも、ここまでではないとしても、非常に増えていることにおいては同じだと思われます。

このようなこともあり、この問題は社会的にも大きすぎるものとなりつつあるのではないかとも思います。

それと共に、今回この記事をご紹介しようと思った理由は、以前いくつかの記事を書いている中で、私は、

「子どもの先天性障害のかなり多くが、母親の腸内細菌の状態と関係しているのではないだろうか」
と思うようになっていました。

たとえば、最近の記事では、以下の「腸内システムが脳を支配している可能性」についてふれた記事などの内容でも、それを考えました。

この中で翻訳してご紹介した記事の中に、

「お腹の赤ちゃんの、脳の発達そのものが結腸のリズムに支配されている」

ことが、神経科学に関する医学専門誌「ジャーナル・オブ・ニューロサイエンス」に発表されたりしていまして、つまり、「まず腸があり、それが脳を形成していく」ということが最近はわかったりしているのですね。

さらには、以下の記事、

妊娠中の「グルテン不耐性」の女性がグルテンを摂取すると、その子どもが統合失調症などを含む脳障害を発症する確率が飛躍的に高くなるという医学論文

アメリカの医学メディアの記事より
gulten-schizophrenia-link.jpg

Eating gluten during pregnancy may raise your child’s risk of adult schizophrenia
thedr.com

妊娠中にグルテンを食べると、その子どもが成人した時に統合失調症になるリスクが高まる可能性があることが判明している

小麦の摂取は、健康な妊娠につながるのかどうかということについて、最近になって調査が始められた研究によって、注目すべき結果が出ている。

それは、グルテン不耐性(過敏症)の人が、妊娠中にグルテンを摂取すると、その赤ちゃんが人生の中で統合失調症を発症するリスクが二倍以上になることがわかったのだ。

グルテンとは、小麦、ライ麦、大麦などに含まれているたんぱく質だ。

最近行われたこの研究は、スウェーデンで 1975年から 1985年の間に生まれた人たち約 800人の被験者の血液サンプルを分析し、その後の彼らの状態の経緯との比較を行った。

その結果、研究者たちは、統合失調症を発症した被験者たちは、出生時に血中に高レベルのグルテン抗体を有しており、母親からグルテン不耐性を受けていたことを示した。

母親の免疫抗体は、胎児が子宮から出た後に生きていくための準備をするために、胎盤を通過する。しかし、それはまた、食物の不耐性のような免疫異常や、あるいは炎症、および自己免疫系が体を攻撃する状態も受け継ぐ。これらの免疫関連障害は、胎児の脳の発達に深刻な影響を与えると考えられている。

これは、妊娠中の感染症や炎症性疾患が、なぜ、お腹の子どもの精神病や自閉症、あるいは他の脳障害のリスクに結びつくのかの理由ともなる。しかし、食物不耐性がそれらの原因となることがわかったのはこれが初めてのことだ。

なぜ妊婦がグルテン不耐性について知る必要があるのか

最近の食料品店の棚にはグルテンフリーの商品が増えており、あるいは、グルテンフリーのオプションを提供するレストランも増えていることに気づかれる方もいるかもしれない。

グルテンによる腸内の自己免疫疾患である「セリアック病」というものがあるが、現在、その割合が過去 50年間で 4倍になっていることがわかっている。しかし、実際には、セリアック病の患者の 95%が診断されていない(自分でわかっていない)と推定されているのだ。

研究者たちは、セリアック病ではなくともグルテンに対して炎症反応を起こすグルテン不耐性を有する人々の数は、全体の人口の 10%から 30%であると推定している。

グルテン不耐性が、お腹の子どもに統合失調症および他の脳障害を引き起こすことがある可能性については、今回のスウェーデンの血液サンプルの研究が初めてののものではない。

研究者たちは、1950年代からグルテン不耐性と統合失調症の関連を追求してきたが、それ以前の研究でも、たとえば、第二次世界大戦中のアメリカ陸軍の研究者たちは、配給する食糧に、小麦を極端に減らした食物を配給したところ、統合失調症の入院患者が著しく減少したことを記録している。

研究では、グルテン不耐性が脳や神経組織を体内の他のどの組織よりも破壊し、多くの他の脳障害や神経的障害につながっていることを示している。

母親のグルテン不耐性が赤ちゃんの脳にどのように影響するか

生まれる前から胎児の脳の左右の半球は、精巧なスケジュールに従って段階的に発達していく。

脳の左右の半球は、正確な時間枠内でその発達目標を達成するために他の半球に依存する。

子宮内および幼児期の間、グルテン不耐性などによる感染および炎症は、この複雑なタイミングの中でそれに干渉して、適切な脳の発達を妨げる可能性がある。

これは、幅広い範囲での神経障害、注意欠陥/多動障害(ADHD)、自閉症、うつ病、不安障害、および他の小児期の脳疾患の原因となり得るとも考えられている。

今やアメリカでは、小児の精神障害は 5人に 1人の児童に影響を及ぼしており、その割合は増加し続けている。

すべての女性がグルテン不耐性のスクリーニングをすることについて考慮する必要がある理由
この論文のメッセージは、すべての妊婦の方々、さらには、赤ちゃんを欲しいと思っているすべての女性たちが抗グリアジン抗体検査を受け、その検査が陽性だった場合、グルテンフリーの食事を取ることが勧められる。

妊娠中のどの時点で、母親のグルテン不耐性が胎児の脳に影響を与えるかはわかっていない。しかし、赤ちゃんの脳と神経系が妊娠の初期から発達することはわかっている。

大人になってからの精神病や統合失調症の原因は、現代の医学でもまだ完全に理解されてはいないが、データとして存在することに対して注意深くなることに問題はないと思われる。あなたが子どもが欲しい女性なら、グルテン不耐性かどうかを調べ、あなたがグルテン不耐性ならグルテンを摂取しない食事を心がけるべきかもしれないということだ。

グルテン不耐性では、腸の症状について言われるが、これは必ずしもグルテン不耐性の人が全員同じような反応をするわけではないので、明確ではない。人によって、反応は、慢性の皮膚の発疹、関節痛、神経症状、胃腸の問題などさまざまだ。

米ジョン・ホプキンス大学の神経学者であるハカン・カールッソン博士(Hakan Karlsson, M.D. Ph.D)は、以下のように述べている。

「母親の抗グルテン抗体と、その子どもの精神疾患との間に明確な因果関係があるかどうかが明確にわかっているわけではありません。しかし、それでも、セリアック病を発症していなくとも、子どもを持ちたい多くの女性の方、あるいは男性の方もグルテンを控えた食事を行うほうが良いと私は考えています」

では、「グルテン不耐性」(小麦などに含まれているグルテンを普通に消化できないために心身に様々な不調が発生する)という言葉が出ました。

……それで、その記事に書きましたけれど、「私自身がグルテン不耐性だった」ことが最近わかりまして、今は基本的に……というか、ほぼ完全にグルテンをとらない生活をしています。

ちなみに、これは「健康のため」とかではないです。今の私は、グルテンを摂取すると、多くの不快な症状(私の場合は、異常な胃の不調、さまざまなアレルギー症状、手足のしびれ、鼻血、睡眠時無呼吸症候群のような状態、持続する関節痛など)が出ます。

グルテンをやめて、これらの症状が全部消えたときにはさすがに驚きました。

「ああ、こういうことがこの世にはあるんだ」と。

しかし、自分のことはここでやめておきます。

書きたかったのは、このような状態も「グルテンが悪いのではない」と私は認識しているのです。

グルテンのせいではなく、私たちのほうのせいであり、

「大腸の細菌(マイクロバイオーム)のバランスが崩壊したことによって、グルテンとうまく付き合うことができなくなってしまった」

のだと私は考えています。

これは、先ほどリンクした記事でご紹介した本で、著作『あなたの体は9割が細菌 微生物の生態系が崩れはじめた』というものの中にも、グルテンや乳糖への不耐性の原因の可能性として腸内細菌について書かれていますが、私もそう思います。

グルテンからはここで離れまして、話を戻しますと、たとえば、この『あなたの体は9割が細菌』という著作の前半部分にあるエピソードは下のようなものでした。

後発性(生後しばらくしてから初めて診断される)自閉症の原因として、破傷風菌類が腸内で繁殖することにより、その毒素が脳に到達して自閉症になるケースがあることが分かってきた。

この原因のひとつが乳幼児期の抗生物質の使用によるもの。抗生物質が腸内の破傷風菌の繁殖を阻止する細菌類を殺してしまうことで、破傷風菌が繁殖する。


ごく一部のケースですけれど、自閉症の原因として、「腸内環境が抗生物質によって崩壊したことによるもの」があることがわかったということが書かれてあります。

人間の脳は、乳幼児期に最も発達するわけで、それに加えて、先ほど書きましたように、「脳の成長を担っているのは、腸であり、腸内細菌である」わけで、その時期に、腸内細菌がダメージを受けると、脳もダメージを受ける可能性が高くなると。

しかし、このような後天性というのはあくまでごく一部であり、多くの自閉症のお子さんたちは「生まれた時から自閉症」であることが圧倒的に多いのです。

先ほどのような最近の医学的発見と、現実のさまざまな状況を合わせてみると、最近の私は、「先天性の疾患はお母さんの腸内環境と関係があるのかもしれない」と考えるようになりました。

生まれてきてからならともかく、生まれる前の赤ちゃんの腸内の環境は、すべてお母さんからの影響としか思えないからです。

それで、今回のバージニア大学のニュースリリースでは、「自閉症のリスクが母親の腸内細菌の健康状態に決定づけられる」と断言されていまして、それでご紹介しようと思った次第です。

ここからご紹介しようと思いますが、これを読むにあたって、内容の概要と、注意しなければならないことを先に書いておきます。

最も大事なことは、

「これは自閉症の方のご本人の治療とは関係のない話である」

ということです。予防とは関係しますが、治療法ではありません。

アメリカでは、自閉症のお子さんに対して、糞便移植などで腸内環境を改善する治療の努力はおこなわれていますが、すでに脳の成長が完成した子どもへの影響には限界があります。

下が今回の研究の概要です。

バージニア大学の今回の発見の概要

・自閉症的な神経発達障害が、母親の腸内のマイクロバイオームの健康状態によって決定づけられることが判明した

・もうひとつは、自閉症となる脳障害を起こす原因が「インターロイキン17a (IL-17a)というタンパク質であることもわかった。


そして、以下の部分には注意されてしほいと思います。

読まれる際に注意するべきこと

ニュースリリースでは、食餌療法やプロバイオティクスを摂取することなどによって母親の腸内の健康を保つことにより、自閉症リスクを下げられるかもしれないと書かれてありますが、これは今回の研究で得た成果ではなく、ニュースリリースを書いた人の感想でしかないです。

これに関しては、今回は長くなるのでふれないですが、「腸内環境を良くする」と言われている食品やプロバイオティクスなどのサプリメントが、腸内を「完全に良くするということはあり得ない」というのが合理的に正しい考え方だと思われます(少しは良くするでしょうけれど、この自閉症の予防の問題では「少しの改善」ではいけません)。

まして、「食事の改善だけ」で、バランスを崩した腸内細菌の環境を完全に修復することは不可能だと思われます。何しろ、私たちひとりの中にある腸内細菌の数は「 100兆個」です。仮に何億もの数のいいものが入っている食品をとっても、東京ドームの観客のひとりに「良い水滴が当たる」程度の効果しかないと思われます。


このあたりには注意されて読んでいただきたいと思いますが、おそらく腸内環境を完全に変えるには「糞便移植」しかないと私は考えています。

糞便移植はアメリカやオーストラリアなどでは積極的におこなわれているようですが、日本ではどうなのかわかりません。

では、ここからバージニア大学のニュースリリースです。

Autism Risk Determined By Health of Mom’s Microbiome, UVA Finds
バージニア大学ニュースリリース 2018/07/07

子どもが自閉症となるリスクは母親の腸内の微生物の健康状態によって決定されることをバージニア大学の研究者たちが発見した

自閉症スペクトラム(典型的な自閉症の状態から軽い症状の人までをすべて含んだ医学用語)を発症するリスクは、妊娠中の母親の腸内に自然に生息している微生物の集合であるマイクロバイオームによって決定されることが、バージニア大学医学部の新しい研究から示唆されている。

この研究からは、自閉症を予防するためには、母親が食事の内容を変えたり、状態に合わせたプロバイオティクスを摂取する程度の簡単なものである可能性があることが見出されている。

バージニア大学の科学者たちは、マウスにおける自閉症的な神経発達障害の発症を防ぐために、今回の発見を使って、それが有効であることを確認した。

さらに、研究者たちは、免疫系によって産生される特定の炎症性分子を遮断することによって、自閉症のような疾患の発症を止めることができることを見出した。

このインターロイキン-17a(IL-17a)を標的とする試みは、自閉症を予防するための別の潜在的手段を提供すると研究者は言う。しかし、このアプローチは、副作用のリスクがあるために、はるかに複雑であることに注意してほしい。

「私たちは、腸内のマイクロバイオームが自閉症的な疾患に対する感受性の決定に重要な役割を果たしていることを明らかにしました。母親のマイクロバイオーム、またはこの炎症分子である IL-17a を標的とすることができることを示唆しています」と、 バージニア大学の神経科学科のジョン・ルケンズ(John Lukens)教授は述べる。

教授は、「この IL-17a を(自閉症の)早期診断のためのバイオマーカーとして使用することも可能です」とのべる。

マイクロバイオームと自閉症のリスク

ルケンズ教授と同僚たちによるこの画期的な研究は、母親のマイクロバイオームの健康と子どもの健全な発達との複雑な関係を明らかにしたといえる。

教授は、「マイクロバイオームは、複数の方法で発達中の脳を形作することに強く関係しています。 マイクロバイオームは、お腹の中の子どもの免疫系が感染や損傷やストレスにどのように反応するかということを形成していく上で、本当に重要な存在なのです」と言う。

そして、母親の不健全なマイクロバイオームが問題を生み出す場合がある。

ルケンズ教授の研究は、未発達の胎児が神経発達障害を受ける可能性を示している。そして、教授たちのチームは、IL-17a 分子がマウスにおける自閉症的症状の発症に重要な寄与をしていることを見出した。

今回の研究には、良いニュースが含まれている。

それは、マイクロバイオームは、食餌療法、プロバイオティックのサプリメント、糞便移植によって簡単に変更することができる。これらのアプローチのすべては、腸内に生息する様々な微生物の間の健康なバランスを回復させることを目指している。

「私たちの仕事の次の大きなステップは、妊娠した母親たちのうち、自閉症リスクと相関する腸内のマイクロバイオームの特徴を特定することだと思います。本当に重要なことは、母親のマイクロバイオームを効果的に、安全に調整するために、どのようなことができるのかを理解することだと考えます」とルケンズ教授は語る。

自閉症予防のためのもう一つの選択肢

IL-17a の遮断も自閉症を予防する方法を提供するかもしれないが、ルケンズ教授はその経路は、より多くのリスクを伴うと述べる。 「妊娠について考えれば、母親の身体は基本的に赤ちゃんの外来組織を受け入れています」と言う。

その結果、胚の健康を維持するためには、免疫調節の複雑なバランスが必要となるため、妊娠中に免疫システムを操作することには慎重にならざるを得ない。

IL-17a は、以前から、関節リウマチ、多発性硬化症および、乾癬などに関与していることがわかっており、それを標的とする薬剤はすでに入手可能だ。

しかし、ルケンズ教授は、この IL-17a という分子は感染症、特に真菌感染症を止めるための重要な目的を持っていると指摘する。そのような役割を持っている IL-17a を阻害することにより、母体が、「あらゆる種類の感染症に罹りやすくなる可能性があるのです」と言う。

妊娠中に感染症に罹りやすくなるというような状態になることは、胎内の子どもの発達に複雑な波及効果をもたらす可能性がある。

研究の次のステップとして、ルケンズ教授と彼のチームは、自閉症および他のそのような状態の進行における他の免疫分子の潜在的役割を探求する予定だ。今回特定された IL-17a は、その中にひとつに過ぎないかもしれないからだ。

ルケンズ教授の研究は免疫系と神経発達障害を関連づけているが、これはワクチンが自閉症の発症に寄与していることを示唆するものではないことを強調した。

「免疫応答と発達中の脳との間には明確な関連があります」と彼は語った。 「ワクチンとは何の関係もありません」。

この研究は、ハートウェル財団、オーウェンズファミリー財団、シモンズ財団自閉症研究イニシアチブによって支援されている。さらに、研究チームのメンバーは、国立衛生研究所 / 全米医科学研究所、バージニア大学医療科学者養成プログラムから支援を受けた。

ここまでです。

とても画期的な発見ではありますが、これで楽観できるものではないことを私たちは考えなければなりません。

なぜなら、「どうして、その母親(あるいは多くの大人たち)の腸内の環境は崩壊してしまったのか」ということを明確に突き止めない限り、自閉症や先天性の障害を持たれるお子さんたちが増え続けることは避けられないと思われるからです。

最近のさまざまな研究によって、人間の器官の中で最も重要なものが腸であるかもしれないということが次々と明らかになっています。

身体の健康に対してだけではなく、思考や理性やメンタルに関してもそうです。

先ほどリンクした記事にもありますように、脳でさえも、

「脳は腸内細菌にコントロールされている部位に過ぎない」

ということがわかってきており、腸というより、「人間の中に住み着いている細菌が、人間の肉体存在そのものを支配している」ということが事実のようなのです。

もちろん、肉体と「本質的な自分」は違うものかもしれないですけれど、しかし、人間は、ある程度は健全な(五体の話ではなく、疾病や苦痛がないという意味)肉体と共にいなければ、その自分本人としての理性を生かし切れないのも事実です。

たとえば、「ずっと症状や病気で苦しんでいる状態だけでは、その人の素晴らしい理性も表現も思考も良い状態で外へは出にくい」と。

人が健康になったほうがいいというのは、人としての理性と理想を表現するためだけであり、長生きなどするためではないはずです。

自分の持っている、より良い思想や理性や理念を、ある程度の年齢の時に自由に発散するためのもので、そのためには、ある程度の身体の健康があったほうがいいと。

そして、適度な年齢が過ぎたら、さっさと「自分の本質の世界」へ戻っていくと。

いずれにしましても、その「ある程度の健康」は、腸内の環境を浄化していくことで、保持できる、あるいは、かなり回復できると確信しています。

最終更新:2018/10/18 20:53

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