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記事詳細

2018/10/18 20:49

人工甘味料の「身体破壊の威力」がまたも明らかに 低カロリーあるいはノンカロリー甘味料は「腸内細菌の環境を徹底的に破壊」し、健全な人間を2週間で糖尿病へと導く可能性

欧州糖尿病学会で発表された人工甘味料による腸内細菌の破壊の研究に関する報道
seetener-crash-gut.jpg

低カロリー甘味料がどのように腸内環境を破壊し、糖尿病を急速に悪化させるか
diet-drink-2018.jpg

科学報道メディアで冒頭のような「低カロリー甘味料が腸内細菌バランスを破壊する」

というものを見かけました。

私は馬を降り(馬はもういいから),そして、また馬に乗りました(そうかよ)。

こういう支離滅裂な思考になりやすい傾向というのは、私のように腸内環境が乱れている人にありがちなことですが、最近はこのブログでも

「腸の存在の重大性」

というものをよく取り上げます。

それは、腸というより、その腸に在住している「細菌たち」の重大性でもあるわけで、今はこの腸内細菌を破壊するさまざまなものが少しずつ判明してきていますが、今回は、ヨーロッパ最大の糖尿病の学会である欧州糖尿病学会の年次総会で、

「低カロリー(ノンカロリー)甘味料は腸内環境を破壊する」

ということ。

そして、それと共に、

「低カロリー甘味料は、糖尿病を発症あるいは悪化させる要因となる」

ということが発表されたということについてご紹介させていだたこうと思います。

この問題がどこにあるかといいますと、「多くの人たちが、健康や病気の管理のために低カロリーやノンカロリーの人工甘味料を使っている」ところにあると思われます。

しかし、今回の研究で、「人工甘味料の継続的な摂取は、短期間で腸内細菌の環境を破壊して、糖尿病の発症に大きく貢献する可能性」が示されたということになります。

簡単にいえば、

「低カロリー(ノンカロリー)甘味料はまったく健康のためにならない」

ということが、かなりはっきりとしたということかもしれません。

これらの人工甘味料が腸内環境に与える影響として、今回の実験からいえることは、

・体に役立つ良い腸内細菌群を減少(崩壊)させる

・しかし、体に「悪い」腸内細菌群は増加する


という一石二鳥の(使い方が違う)効果があるようで、良いものを消滅させて悪いものを増やすという、かつての高見山関が言うところの「2倍、2倍」という感じの効果であるわけです(何だかわからないですが)。

さらには、血糖値を下げる働きがあるホルモンに GLP-1 というものがあります。

糖尿病の人などは、この GLP-1 を補う薬を投与されますが、薬などなくても、人体には腸内に、もともとこの GLP-1 の放出を促す細菌たちがいるのです。

それは「ブチリビブリオ」という細菌で、この細菌が GLP-1 というホルモンの放出を手助けするらしいのですが、人工甘味料は、この有益な作用を助けるブチリビブリオ菌を「減少させる」こともわかったのでした。

つまり、

「低カロリー甘味料を摂取することは、糖尿病の発症に寄与するか、あるいは糖尿病を悪化させる可能性が極めて高い」

と言えそうです。

これは何だか皮肉な話で、なぜなら、低カロリー甘味料は、「糖尿病の人たちが血糖値を上げないために使っている」部分があるからです。

たとえば、糖尿病関係の、あるページには、以下のように記されています。

低カロリーやノンカロリーの甘味料は、急激な血糖上昇につながりやすい砂糖の使用量を抑える目的で広く使われています。

最近ではさまざまなタイプの甘味料が出回っており、これらを有効に使うことにより食事療法をより容易に行うことができるようになりました。


このようにありますが、実際には、

低カロリー(ノンカロリー)甘味料は GLP-1 の放出を手助けしている腸内細菌を死滅させることにより、摂取すればするほど血糖値が下がりにくくなる。

ということなりそうで、おそらく、このような人工甘味料を過剰に摂取している場合は、糖尿病が加速度的に悪化していく可能性があるように思います。

こういう「皮肉」は今の医学の世界には満ち溢れていますが、この場合の解決法は簡単で、「人工甘味料をとらなければいい」だけですので、皮肉を解消するのは難しいことではないと思われます。

人工甘味料は脳も破壊する

人工甘味料といえば、以下の記事で、人工甘味料入りドリンクは、脳に大変な悪影響があり、「脳卒中とアルツハイマー病の発症率が3倍になる」という内容をご紹介させていただいたことがあります。

人工甘味料入りドリンクが「脳卒中とアルツハイマー病の発症率を3倍にする」というアメリカの調査結果

人工甘味料が脳に与える影響を示したボストン大学の論文が掲載された記事
aha-stroke-2017l2.jpg

ここのところ自然災害的なことが続きまして、その手の記事が多かったのですが、今回はちょっと毛色の違うもので、タイトルに書きました通りの、

「人工甘味料が含まれている飲料が、脳卒中と認知症の発症を3倍にする」

ということが、アメリカのボストン大学の大規模研究でわかったということに関して紹介していた記事を翻訳したいと思います。

もしかすると、世界で最も人工甘味料入りの飲料を消費しているかもしれない日本の「酒飲み」たち
この研究は、3000人の成人の被験者を 10年に渡って調査した結果で、論分は、脳卒中研究の世界的権威であるアメリカ心臓協会が発行する医学誌「ストローク」に掲載されました。ストローク(stroke)というのは「脳卒中」という意味で、つまり、医学誌「脳卒中」というストレートな雑誌名です。

人工甘味料が脳に与える影響を示したアメリカ心臓協会の医学誌の記事
stroke-sweet02.jpg

上のタイトルは「ダイエット飲料は脳に負担が大きい?」というような感じですが、内容を先に簡単に書いておきますと、下のようなことがボストン大学の調査で判明したということになります。

・人工甘味料を摂取している人は脳卒中と認知症の発症率が約3倍になっていた

・砂糖も人工甘味料も含めて甘味料を多く摂取している人たちには「脳の老化の加速」が見出された

・1日に1種類以上のダイエット飲料を飲む人たちは脳の容量が小さくなっていることが見出された


などです。

具体的な数値は、人工甘味料入りの飲料を飲む人は、

・脳卒中になる率が 2.96倍
・アルツハイマー病になる率が 2.89倍

ということでどちらも、ほぼ3倍ということのようです。

この論文をご紹介しようと思った理由は、「現在の日本独自の飲料文化」をふと思ったからです。

たとえば、この「人工甘味料入りの飲み物」に関しては、ご紹介する原文では「ダイエット飲料」という表現がされていて、翻訳もそれに従っていますが、実は日本ではちょっと事情が違うのです。

というのも、この記事を読んだ時に、ふと以前のことを思い出したのです、

それは、お風呂で缶チューハイを飲んでいた時のことでした。

ふだんは缶入りのお酒はあまり飲まないのですが、この日は暑かったこともあり、メーカーはともかく(実質どこのメーカーのものも同じです)スーパーで缶チューハイみたいなのを買い、夕方お風呂に入った時に「飲みながら入ってみようかな」と、お風呂につかりながら飲んでいました。

そして、何となく、缶に表示されいるろいろいな文字を読んでいますと、「糖類ゼロ」とか「プリン体ゼロ」とか記されていて、「今は何でもかんでもゼロなんだなあ」と思いつつ、次に「成分」を読みましたら、次のようになっていました。

・グレープフルーツ
・ウオツカ
・酸味料
・香料
・甘味料(アセスルファムK、スクラロース)
・炭酸ガス含有

アセスルファムKとスクラロースは共に人工甘味料で、どちらもショ糖の数百倍の甘さを持ちますが、糖ではないので糖類にはなりません、人工甘味料では、アスパルテームなんかも有名です。

その時は何とも思わず読んでいましたが、今回の「人工甘味料入りの飲料がアルツハイマーと脳卒中を3倍にする」という論文を読んだ時に、

「人工甘味料入りの飲料って、まさにあれらの缶チューハイではないの?」

と思い至ったわけです。

論文には、「1日に1種類のダイエット飲料を飲む人」も影響を受けていることが書かれてありますが、お酒をわりと飲む人っていうのは、おそらく、あれらの缶チューハイを1本だけで済む人は少ないのではないかと思うのです。

そして、先ほどの缶チューハイだけではなく、どういうことか今の世の中の缶のお酒は、

「糖類ゼロばかり」

なんです。

糖類ゼロということは、人工甘味料が使われているということになりますが、非常に多くがそのようになっています(全部と言いたいくらいの比率です)。

そして、「もしかすると、今の日本人って、歴史的に見ても驚異的な量の人工甘味料を消費してるのでは」と思ったのでありました。

これはもちろん、良いとか悪いとか言っているのではなく、事実というか、つまり、かつては、ほとんどの缶入りアルコールには人工甘味料なんて入っていませんでしたから、まさに今の時代での出来事だと思います。

缶チューハイのたぐいがどのくらい飲まれているのかは、ちょっと古い数字ですが、2012年の缶入りチューハイの出荷量は日本経済新聞の記事によれば、「 1億2300万ケース」だったそうです。

1ケースは 24本換算ですので、本数になおせば、「 29億5000万本」!

これに通常のダイエット飲料だとかも加えると、日本で消費されている「人工甘味料飲料」は壮大な量となることに驚嘆した次第でした。

ARTIFICIALLY SWEETENED DRINKS FOUND TO TRIPLE YOUR RISK OF STROKE & DEMENTIA
collective-evolution.com 2017/09/05

人工甘味料が脳卒中と認知症の発症率を3倍にすることがわかった

人工甘味料の問題に関しては長い間議論にあがる議題のひとつだった。それまでも複数の研究が人工甘味料が糖尿病やガンなどの健康問題に関与しているという調査を出してきていた一方で、人体に対しての悪い影響は、それがある、あるいはないということについて、メーカーも含めて様々な意見や激しい応酬が繰り返されてきた。

そんな中、最近のボストン大学の新しい研究では、ダイエット飲料など人工甘味料入りの飲料が、脳卒中や認知症の発症リスクをほぼ3倍にしていることが示された。

この研究は今年初め4月のアメリカ心臓協会の医学誌「ストローク( Stroke / 脳卒中の意)」に掲載された「砂糖と人工甘味飲料が脳卒中と認知症の発症に対して持つリスク(Sugar and Artificially Sweetened Beverages and the Risks of Incident Stroke and Dementia)」と題された論文で発表された。

ボストン大学の研究者たちは約 3000人の成人のデータを収集し、それらを2つのカテゴリに分けた。 45歳以上の人たちのデータからは脳卒中のリスクに関して観察・分析し、60歳以上の人たちのデータに対しては認知症の発症に集中して観察と分析をした。

その研究の結果、ダイエット飲料が脳卒中や認知症を発症する危険性をほぼ3倍にすることが示されたのだ。

この研究は 10年間に渡って続けられた。

ボストン大学アルツハイマー病センターの神経学教授であるスッダ・セシャドゥリ(Sudha Seshadri)教授は、以下のように述べる。

「今回の研究が人工甘味料に関しての調査のすべてというわけでもなく、また最終的なものでもありません。しかし、強力なデータだとは言えます。この研究を見る限りでは、甘い飲み物を飲むことにはあまり良い面はないと思われます。砂糖を人工甘味料に変えても役に立たないこともわかりました」

同じテーマを研究するマシュー・ペーズ(Mathew Pase)博士も 2017年3月に、 医学誌「アルツハイマー病と認知症(Alzheimer’s & Dementia)」に研究を発表している。

この研究では、約 4,000人分のデータと、磁気共鳴画像( MRI )スキャンと認知テストの結果を使用した。 ここでの焦点は、1日あたり 2種類以上の砂糖飲料を消費した人々と、週 3回以上ダイエット飲料を消費する人々に焦点を当てた。

研究者たちは「甘味飲料の高い摂取量」を持つ人たちの中に、早期アルツハイマー病と相関する「脳老化の加速」のいくつかの徴候を発見した。

また、研究者たちは、 1日に少なくとも 1種類のダイエット飲料を飲む人たちでは脳の容積がより小さくなっていることを発見した。

腸は脳と直結していますので、腸内環境が乱れることにより、脳に悪影響がおよぶのはとても納得できます。

低カロリーの人工甘味料は、今の日本では、いわゆる缶入りチューハイのたぐいで大量に使われていまして、何億本、何十億本という「人工甘味料入りアルコールドリンク」が人々に消費されています。

これらの人体へのダメージは、アルコールによるものより、人工甘味料による腸内環境の破壊によるもののほうが大きいような感じがします。

個体差はかなりあるでしょうけれど、毎日、人工甘味料入りの飲料やアルコール飲料を飲んでいた場合、その期間に応じて段階的に腸内の「良い細菌群」が減少していき、あまりにも、その期間が長引いた場合(長期間、飲み続けた場合)は、回復できないレベルまで腸内環境が破壊される可能性もあるのかもしれません。

今回の実験では被験者数は少ないとはいえ、全員に腸内細菌の減少が見られていたようですので、個体差があるとはいっても、すべての人がある程度の影響を受ける可能性のほうが高い気がします。

今回の研究で被験者に使われた人工甘味料は、スクラロースやアセスルファムなど、低カロリー甘味料入りのドリンクや、缶チューハイなどに普通に使われているもので、日本ではありふれたものです。

それを「 2週間服用しただけで腸内環境は破壊された」のでした。

ここから、今回の記事をご紹介します。

New study reveals that low-calorie sweeteners disrupt the gut bacteria in healthy people in association with impaired blood sugar control
eurekalert.org 2018/10/04

最新の研究で、低カロリー甘味料が血糖コントロール障害と関連して、健康な人の腸内細菌を破壊することが明らかになった

今年の欧州糖尿病学会(EASD)の年次総会で発表された新しい研究は、低カロリー(およびノンカロリー)甘味料(LCS)の消費は、グルコースレベルの調節の障害に関連し、腸内細菌のタイプを変えてしまう可能性があることを明らかにした。

この研究は、オーストラリア・アデレード大学医学部とアデレード大学健康栄養科学センター(Centre of Research Excellence in Translating Nutritional Science to Good Health)の共同による。

この研究では、腸内の微生物(腸内細菌)に対する低カロリー甘味料の影響と、体内でグルコースをどのように吸収し、そして調節するかについての研究がなされた。

これまで知られている医学的研究では、低カロリー甘味料入りのドリンク(ダイエットドリンクなど)を定期的に、あるいは多量に飲用している場合は、2型糖尿病の発症リスクが高くなることが明らかにされているが、しかし、糖尿病発症の根底にあるメカニズムについては不明だった。

アデレード大学の研究者たちは、糖尿病ではない健康な体の被験者たちの食事に低カロリー甘味料を 2週間添加することで、グルコースの消費に対して体がどのように応答するかを調べた。

その結果、臨床的にグルコース消費と関連性のある反応の増加を引き起こすのに十分であることを示した。

今回の研究には、糖尿病患者ではなく、平均的な体重を有する平均年齢 30歳の 29人が被験者として参加した。

そのうち 15人の参加者は無作為にプラセボを摂取し、14人は 1日当たり 1.5リットルの低カロリー甘味料入りの飲料を飲むことに相当する低カロリー甘味料の組み合わせ(スクラロース 92mg および アセスルファム 52mg )を摂取した。

用量は、2週間にわたって 1日3回、カプセルの形態で投与された。 低カロリー甘味料の摂取の前後に便を採取し、腸内に存在する微生物の種類を同定した。

この研究で、低カロリー甘味料を摂取した被験者群が、糞便中に存在する微生物の型のより大きな変化を示し、その中でも良好な健康と関連する細菌であるユーバクテリウム‐シリンドロイデス(Eubacterium cylindroides / ヒト腸内グラム陽性細菌の一種)が有意に減少することを見出した。

他に食物の発酵を助ける腸内の有益な細菌種の個体群も減少した。

しかし、11種の日和見菌(体が弱った時に腸内で悪い働きをする細菌)の存在は増加していた。

さらに、研究では、血糖値をコントロールするのに役立つホルモン GLP-1 (血糖値を下げる働きがある)の放出が低下したことに関連して、ブチリビブリオ(Butyrivibrio)細菌集団の減少を観察した。

また、ショ糖およびグルコースのような単糖の代謝に関与する微生物遺伝子の量にも変化があった。

研究者たちは論文で以下のように述べている。

「健康な非糖尿病被験者たちにおいて、2週間の低カロリー甘味料の補給は、消化管の細菌を破壊し、健常な人(の腸内)には通常存在しない(悪い)細菌類を増加させるのに十分であった」

「エネルギーを収穫するためにこれらの増加した細菌に使用される経路は、グルコースを調節する身体の能力を低下させると予測される」

「今回の私たちの知見は、人工甘味料が糖尿病患者の血糖コントロールを悪化させるという考えを支持することになった」

ここまでです。

腸の重要性について、最近、記させていただきました記事としては、以下のようなものがあります。

現代の医学では「腸」は「第二の脳」と考えられている
「脳と腸」がきわめて密接な関係があることは知られていまして、脳腸相関というように言われていますが、平易に書かれてある記事から抜粋しますと、下のようなことです。

腸が「第2の脳」と呼ばれる理由は? 目には見えない「脳腸相関」のメカニズム
ヘルスプレス 2015/08/21

腸は「第2の脳」と呼ばれる。脳と腸は、自律神経、ホルモンやサイトカインなどの情報伝達物質を通して、互いに密接に影響を及ぼし合っている。

脳がストレスを感じると、自律神経から腸にストレスの刺激が伝わるので、お腹が痛くなったり、便意をもよおしたりする。

腸が病原菌に感染すると、脳は不安を感じる。腸からホルモンが放出されると、脳は食欲を感じる。まさに、腸は「第2の脳」だ。

このようなことは今ではよく言われていまして、もっといえば、腸が神経症状と関係することも最近は言われています。たとえば下は、京都府立医科大学附属病院の医学者の方が書かれているページにあるものの一部です。

腸内細菌のなかで神経伝達物資であるγアミノ酸(GABA)を産生する菌があることも確認されています。この菌が少ない子どもは、行動異常、自閉症などになりやすいとされています。自閉症の子どもに対して腸内環境の改善による治療が試みられています。

このように、腸が脳に与える影響はとても大きいということはわかってきていまして、それだけに最近は「腸内環境」とか「腸内フローラ」とか、そういう言葉が一般的に言われたりすることもあります。

つまりは、「腸はとても大事なものである」ということについては、最近までにずいぶんとわかってきていたということになります。

しかし、ここまでは「注釈」ですが、今回の記事の要点はこの部分ではないのです。

これまでの観点は、腸は大事だといっても、感覚的にも実際の研究などでも、「人間の理性や思考をつかさどる中心は脳」だという考えが普通だったと思います。

要するに、いくら腸が大事だといっても、「人が正気を保つことや、人がいろいろと考えること」に対しての重要な順位としては、

・脳
・腸

の順番だったわけです。あるいは、さらに言われたとしても、「脳と腸の相互作用で」というようなことだったと思われます。

ところが、最近(5月29日)の神経医学専門誌『ジャーナル・オブ・ニューロサイエンス』に発表された研究では、どうやらその順位は危ういかもしれないということになってきました。

つまり、現実は、「脳と腸が相互に関与し合っている」というより、

「腸が脳をコントロールしている」

という可能性が強くなってきたのでした。

コントロールという言葉を使うのが適切でなければ、「脳から独立した神経システム」を腸が持っているということになります。

最近出版されたアメリカのある本の内容にあるものなのですが、それらは本文の後にふれられたらふれようと思います。

まずは、ロシアの記事です。

科学者たちは、私たち人間は、脳から独立した神経系を持っていると確信した

2018/06/02

私やあなたがたが今この文章を読むことができているのは、私やあなたの頭の中に「脳」があるからだ。

しかし、私たちが「もうひとつの脳」を持っていることをご存じだろうか。それは頭にあるのではなく、脳とは関係のない場所の「腸」にある。

その部分は中枢神経系の関与なしに、何らかの形で腸の筋肉の動きを制御することができる何百万ものニューロンからなる自律的な基盤だ。これらのニューロンは実際に結腸にある。結腸は、小腸と直腸をつなぐ大腸の主要部分であり、消化管の最終的なリンクを通して食べ物の残骸を運搬する管状器官だ。

科学者たちは大腸のこの部分を腸管神経系(ENS)と呼び、脳や脊髄からの指示なしに機能することができるために、一部の科学者たちはこれを「第二の脳」と呼んでいる。

しかし、最新の神経科学に関する専門誌「ジャーナル・オブ・ニューロサイエンス(Journal of Neuroscience )」に発表された新しい研究によると、この「第二の脳」は、そのような呼称を超えた、あまりにも賢い存在かもしれない。

高精度の神経イメージング技術の組み合わせを用いて、この「第二の脳」を観察したオーストラリアの研究グループによれば、「腸管神経系は、腸内活動の組織化に必要な数百万のニューロンで構成されている」という。

科学者が微弱な放電を伴うマウスの単離結腸を刺激すると、結腸の隣接部分の筋肉の動きに直接対応する「ニューロンのリズミカルな協調興奮のプロセス」を観察することができた。「この研究では、腸管神経系の活動が、結腸に沿ってかなりの距離で筋肉活動を時間の経過とともに調整することができることを示した」と報告書は述べている。

研究者たちによると、ニューロンのこのような同期的な挙動は、脳の発達の初期段階においても一般的なのだという。

これは結腸内で明らかになった規則性が、腸管神経系の進化の初期段階から保存された「元の特性」であることを意味する可能性がある。

(※ 訳者注 / この部分は理解が難しいのですが、脳の発達そのものが初期段階より結腸のリズムによってなされているというような意味なのではないでしょうか)

しかし、今回の研究での結論は、さらに重要なことかもしれない。

それは何かというと、科学者たちは「中枢神経系が形成されるより前に腸管神経系が現れたと仮説しているため、おそらく結腸内の神経伝達のメカニズムは「第二ではない」可能性があるのだ。

これが真実ならば、哺乳類動物の脳は、まず消化管を通って食べ物を移動することを学び、その後に脳は複雑な体系を取りあげているだけなのかもしれない。

ニューロン興奮の機構が結腸で見出されたのは今回が初めてだ。

これはマウスでのみ検出されているが、研究者たちは、今回得られた結果が他の哺乳動物にも適用できると確信している。

しかし、腸管神経系の役割をより明確に理解するためにはさらなる研究が必要であることは明らかだ。脳ともうひとつの脳の働きについて研究しなければならないことは多い。

ここまでです。

そして、先ほど書きましたけれど、「腸内の異常は、理性や知性の喪失にも至る」という可能性について最近は思うことがあります。

先ほど、「アメリカの著書」のことを書いたのですが、それは、2016年に出版された『あなたの体は9割が細菌: 微生物の生態系が崩れはじめた』という著作です。

わりとタイトルの通りの内容のものではあるのですけれど、書かれてあることが多岐にわたっていて、うまくご紹介できないのですが……。

上の Amazon のページのに書評がたくさん書かれてあるのですけれど、その中に内容を説明して下さっているものがあり、そこから一部抜粋したいと思います。いくつか省略等させていただいています。

Amazon の『あなたの体は9割が細菌: 微生物の生態系が崩れはじめた』の書評より抜粋

以下、本書の中で新たに知った興味深い話題をいくつか取り上げる。

1. 自閉症の原因として色々なものが疑われている。破傷風菌類が腸内で繁殖することで、毒素を出してそれが脳に到達し、自閉症になるケースがあることが分かった。原因の一つは抗生物質の使用である。腸内の破傷風菌の繁殖を阻止する細菌類を抗生物質で殺してしまうことで、破傷風菌が繁殖する。

2. 細菌は体調だけでなく、精神にまでも影響を与えることがある。ラットがトキソプラズマに感染すると、恐怖心を失って振る舞いが変わり、猫の餌食になる。猫好きの人も猫にひっかかれることでトキソプラズマに感染し、性格が変わる。

3. 人の脳は乳幼児期に集中的に発達・形成される。その時の腸内微生物の様相によって性格は影響される。乳幼児期の抗生物質の使用は危険を伴うということを理解しておいた方が良いだろう。

5.自閉症に関して、特に生後18か月以内に抗生物質の治療を受けるのは最大のリスクとなるようだ。アレルギーに関しては、2歳になるまでに抗生物質の治療を受けた子供はのちに喘息、アトピー性皮膚炎、花粉症を発症する率がそうでない子供と比べて2倍も高い。抗生物質を多く与えられるほどアレルギーになりやすく、4クール以上の治療を受けたこどもは3倍もアレルギーを発症しやすくなる。


ここまでです。

最終更新:2018/10/18 20:52

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