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2018/06/08 19:29

メキシコで桁外れの熱波。各地で最高気温が50℃を超え、首都メキシコシティでは99年前の観測史上最高記録を更新

メキシコの熱波を伝える報道
mexico-burning-2018.jpg

「世界の気温が 5月や 6月としては、異様な状況となっている」ことをご紹介させていただきました。

温暖化も寒冷化もなく世界各地の気温はムチャクチャな渦中。メキシコでは44℃の中で信号機が溶け、極東シベリアでは37℃の超熱波。一方で、ロシア西部と南米チリでは寒波の記録を更新中

観測史上最高の熱波を報じるメキシコの報道より
mexico-44-record.jpg

南米チリの首都サンティアゴは氷点下の気温と氷に包まれている
santiago-kion-m3.jpg

私の住む場所を含めて、ここ最近の関東は、過ごしやすいというのか、晴れやかな天候や気温の日々が続いています。日中の最高気温が高くなったとしても、湿度が低いせいか、比較的心地良いといえる感じです。

今日も、ボーッとベランダに佇みながら、

「何だかアゼルバイジャンの春みたいだなあ」

と呟いていましたが、考えてみれば、アゼルバイジャンに行ったことがあるわけでもなく、「朝から妄言」というたぐいの思考であることがわかります。

それはともかく、私の住んでいるあたりの気温に関して、「比較的心地良い」というように書いたのですけれど、「平年と比べると、どうなんだろう」と、ユーラシアの気温の現況を見てみましたら、下のように「何だかグッチャグチャ」になっていたのでした。

下は、6月2日の「平年との気温の差」です。

簡単に書けば、

・赤が濃くなればなるほど平年より気温が高く
・青が濃くなればなるほど平年より気温が低い

ことを示します。

2018年6月2日の中東、ロシア、アジア等の平年との気温差
0602-kion-anomaly01.jpg

現在のユーラシア大陸の気温の分布を大まかにあらわしますと、およそですが、以下のようになっているようです。

0602-kion-anomaly02.jpg

平年より気温が 10℃以上高い地域や、 反対に 10℃以上低い地域がこれだけ広範囲に広がっているとは今日調べるまで知りませんでした。

ヨーロッパやアメリカの荒れた気象に関して記事にすることは最近もありましたけれど、アジア地域の気象については、それほど取りあげていませんでしたので、気温は平年並みに推移しているのかな、程度に考えていたのですけれど、そうはいかないですね。

先ほどの気温分布では、6月2日に関しては、日本列島もほぼ全域が平年より気温が高く、しかも、北海道から九州まで広い地域で、平年より 5℃以上高い場所が点在しているという状況のようです。

つまり、「今は平年より暑い」ということになるようで、先ほどの「心地良い」という表現は適切ではないようです。

どうして、こんなにちぐはぐな気温の分布となってしまっているのかに関しては、個別にもいろいろと条件はあるでしょうし、大きな意味では、先日、ジェット気流に関して書いた以下の記事にあるようなことも関係するのかもしれません。

地球のジェット気流が崩壊している中で、その大気の循環異常のメカニズムがアメリカの日本人科学者によって突き止められる

5月24日の米シカゴ大学ニュースリリースより
jet-stream-traffic.jpg

New theory finds ‘traffic jams’ in jet stream cause abnormal weather patterns
University of Chicago 2018/05/24

科学者たちは、異常気象のパターンがジェット気流中の「交通渋滞」によって引き起こされてという新しい理論を発見した
シカゴ大学の新しい研究は、これまで気象予報士たちを困惑させていたブロッキング現象について説明した
新しい研究を発表したシカゴ大学の二人の大気科学者は、以下のように述べる。

「空の交通量にも限界があるのです」

科学誌サイエンスに発表された新しい研究では、謎の気象パターンが出現したり、あるいは時には自然災害級の気象の原因となるジェット気流の流れの異常の原因を発見した。

ジェット気流は地球を循環する大気の流れだが、ジェット気流がある地域で急速に失速することが起きる。ジェット気流には能力の限界があり、それは高速道路を例えとしてもいいが、道路を過度の量の車が通過しようとすると渋滞が起きるように、ジェット気流でもそのキャパシティを超過した場合、交通渋滞と似たように「止まって」しまうのだ。

実際、ジェット気流の渋滞の予測と、高速道路の渋滞の予測は、同じ数式であらわすことができることも見出された。

予測出来ない謎の異常気象のパターンは多い。2003年のヨーロッパでの猛烈な熱波を予測した気象の専門家はいなかった。あるは、2014年のカリフォルニア州の干ばつや、2012年の激しい嵐「サンディ」なども予期されていない事象だった。

これらのような予期せぬ気象パターンは、「ブロッキング」と呼ばれるジェット気流の現象によって引き起こされていることはわかっていた。

これについては、科学者たちの間では、数十年前から知られていたことでもある。このブロッキングを最初に発見したのは、20世紀の偉大な気象学者カール=グスタフ・ロスビー (Carl-Gustaf Rossby 1898-1957年)だ。

しかし、このブロッキングがなぜ起きるのかは、それから数十年経っても誰も説明できなかった。

下の風の流れを示した地図は、太平洋の典型的なブロックパターンを示している。風が分かれて円を描いていることがわかる。

jet-stream-uchicago.gif

研究を主導したノボル・ナカムラ教授(Noboru Nakamura Ph.D. / 中村 昇)は、「ブロッキングは予測することが難しいことが知られています。理由は、それがいつ発生するかについての説得力のある理論がなかったことによります」と述べる。

ナカムラ氏と共著者のクレア・ヒュアン(Clare S.Y. Huang)教授は、ジェット気流を研究し、現象をよりよく分析するために、ブロッキングのための明確な測定値を決定しようと試みた。

新しい測定基準の 1つは、ジェットストリームの蛇行を測定した数式だ。そして、数式の世界を見てみると、数十年前に「現実の交通渋滞」を説明しようとした輸送技術者が考案した方程式とほぼ同じであることが認識されたのだった。

「高速道路に交通の限界容量があるように、ジェットストリームにもまた『交通許容量』があり、それを超えると渋滞し、ブロッキングが発生することが判明したのです」とヒュアン教授は述べる。

高速道路の場合、速度制限がある場所や、複数の高速道路が交差する場所などで渋滞が発生することが多いのと同じように、ジェット気流でも、山岳地帯や沿岸地帯など、ジェット気流の速度が遅くなる背景がある場所でブロッキングが頻繁に発生する。

ナカムラ教授は、今回の研究の重要な結果は、ブロッキングのメカニズムを発見して再現したことだけではなく、「予測できること」にあるという。

「これは、私の研究人生の中で思いがけない啓発的な瞬間の時で、神からの贈り物に他なりません」と教授は言う。

今回の発見について、気象の研究者たちは、これにより短期間の天気予報が直ちに改善されるというわけにはいかないかもしれないが、洪水や干ばつの発生が予想される地域をを含む場所での長期的な気象パターンを予測することに役立つだろうと語っている。

現在の気候変動は、おそらくジェット気流をその限界能力に近づけることによってブロッキングを増加させているが、それには地域差が存在することも示されている。

例えば、太平洋は実際には、今後何十年にもわたってブロッキングの減少を見るかもしれないという。

この記事にありますように、「ジェット気流がスムーズに動いていない」というようなこともあるのかもしれないなとは思いますが、まあしかし、いろいろな条件があるのでしょうね。

気温に関係するニュースを少し見てみましたけれど、やはり範囲を世界全体にしてみても、寒冷化とか温暖化とかの「傾向」というものがなくて、グチャグチャではあります。

冒頭に、熱波のメキシコの報道と、時期としては異常な寒波のチリについての記事を載せましたけれど、メキシコにいたっては、「高温で標識や信号機が溶けている場所がある」のだそうです。

下の写真は、メキシコのトレオンという場所の 6月1日の様子です。

6月1日 メキシコ・トレオンで熱波で溶けた信号機のカバーなど

torreon-melting-shingou.jpg

あと、先ほどの気温分布にもありましたけれど、ロシア西部の広範囲が異常な寒さに見舞われていまして、氷点下を記録する場所があるなど、5月としては記録的な寒波となっています。

このタイトルの中に「メキシコでは44℃の中で信号機が溶け」とありますが、この記事を書きました直後から、メキシコの気温はさらに上昇し、ついに「各地で 50℃超え」ということになっています。

現地の報道によれば、5月の終わりからメキシコの一部では 50℃を記録する地域があらわれていたそうなのですが、ここにきてそれが全土に拡大しているようです。

この熱波による死者も相次いていることも伝えられてもいます。

6月5日のメキシコの報道より
mexico-heat-50c.jpg

下の図は、6月1日のメキシコ全体の最高気温の分布ですが、ほぼすべての地域で35℃を超えており、45℃を超える場所もかなりの地域で見られます。

heat-wave-mexico-june-2018-1-6.jpg

なお、信号機は相変わらず、各地で熱のために「溶け続けて」いるようです。

メキシコ各地で熱波によりで溶けている信号機
traffic-lights-melting01.jpg

traffic-lights-melting02.jpg

首都のメキシコシティは、これらほど異様な気温ではないとはいえ、5月30日に、最高気温が 31.7℃を超え、これは、統計が開始されて以来最も高い気温で、その前は 1919年に記録された 31.2℃でしたので、99年ぶりに記録が更新されたことになります。

現在、世界中で熱波や寒波が入り乱れていまして、メキシコのように大変なことになっている場所も多くなっています。

北半球も南半球も、天候が荒れる本番はこれからですので、それなりに激しい時期になっていくことは避けられなさそうです。

最終更新:2018/06/08 19:29

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