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2019/02/05 20:08

[1] 2億5000万年前の地球史上最大の大量絶滅では「まず植物が先に絶滅」し、それから他のすべての絶滅が始まったことが判明。そこから思う「今まさに進行している地球の6度目の大量絶滅事象」

2019年2月1日の米ネブラスカ大学のニュースリリースより
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すべての他の生命の登場に貢献した「植物」という存在。その植物が消えた時には他のすべての生命は再び消える

「植物」というものについて取りあげることが多いです。

植物に対しては、いろいろな考え方があると思いますが、私自身の植物に対しての考え方、そして最近では、微生物に対してもそうですが、おおむね以下のような考えでここ数年固定されています。

地球の生命体系というのは、「海にいた古代の藻が、4.5億年前に地上のバクテリアと共生して最初の植物に進化した」ことによって始まり、この時の植物の誕生から他のすべての生命が花開いていったということが、2015年に国際共同研究者たちによって突き止められたのですけれど、これは当時、私は大変に感動したものでした。

海にいて「水のない場所での生活を知らないはずの《藻》」が、地上のアーバスキュラー菌という微生物と「共生する」ことで、

「この地球に最初の植物が誕生した」

のです。当然、この地球には、植物が最初になければ、他の生命の息吹は何も生まれなかったはずです。

4億5千万年前に、「古代の藻と微生物が共生したとき」から、地球のすべてが始まった。

これに関しては、以下の記事でご紹介させていただいています。

私やあなたはなぜ地球にいられる? それは「4.5億年前の藻が植物として地球を支配するため」に上陸したから 英国の専門機関により初めて解明された「植物はいかにして地球に誕生したか」

2015年10月7日
地球の植物たちの祖先は「地球を植物が支配するために」宇宙から飛んで来た。そして、植物は人間の登場を待ち続けた

イギリスでの植物研究においての最高機関といえるジョン・インズ・センターという機関が「地球最初の植物がどのようにして、陸地で生きるようになったか」を、DNA や RNA の解析により突き止めたというものです。

まずは、そのジョン・インズ・センターのプレスリリース記事の翻訳を先にご紹介しておきます。

ここから想起させられることは、「進化」というものが、今まで言われてきたような、単なる適材適所に応じたものなどではなく、

「生命の進化のメカニズムは、あらかじめ生命の遺伝子の中に組み込まれている」

ことがわかります。

そして、地球の陸上の、ほぼすべての生命の根幹となる植物においての「地球での最初の使命」は極めて重要なものだったわけで、それは、

「まず植物が地球の陸地を支配し、あらゆる陸地の生命がそこで生きられるような地球を作ること」

だったことが想像されます。

そして、それらは、最終的に、その地球に人類が登場する時のために、すべてあらかじめ決められていたことだということも想像できるのです。

先に記事をご紹介しておきます。

Ancient alga knew how to survive on land before it left water and evolved into first plant
John Inns Centre 2015.10.05

古代の藻類は、水を離れて「最初の植物」に進化する以前から陸地で生き残るための方法を知っていた

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ジョン・インズ・センターのピエール・マルク・デロウクス博士( Dr Pierre-Marc Delaux )が率いる科学者チームは、地球上の最初の段階の植物生命について、長く謎となっていた問題を解決に導いた。

ジョン・インズ・センター、ウィスコンシン大学、および他の国際共同研究者たちは、古代の藻がどのように陸地に生息し、それらが最初の植物となり、陸地の植物として地球に定住していったかということについての発見をした。

これまでの科学では、古代の藻類は、それがアーバスキュラー菌根と呼ばれる有益な菌類との密接な関連を形成することによって陸地に到着した後、その生存のために必要な栄養素を調達する能力を進化させていることを前提としていた。

アーバスキュラー菌根は今日も存在しており、植物に、その根で、炭素と引き換えに土壌から養分や水を得ることを手助けしている。

以前発見された 4.5億年の化石化したアーバスキュラー菌根の胞子と似た化石は、この菌類が、最初の陸上植物が遭遇する環境に存在していたであろうことを示唆していた。

先史時代の真菌の残骸も、この考えを補強し、最古の植物の化石の細胞の中に発見されている。

しかし、陸上植物の藻類の祖先は、菌類と代償機構を媒介するほど十分に長く生き残っていた可能性があるのかどうか、科学者たちには明確にはわからなかった。

ところが、今回新たに得られた藻類についての、この重要な機能を進化させる知見は、藻たちがまだ海に住んでいた時から持っていたという驚くべきことを示した。

デロウクス博士らは、最古の陸上植物や緑藻として知られる一部の DNA と RNA を分析し、その結果、それらの陸地の植物が、地球の海に住んでいた藻類の祖先と遺伝子を共有しており、海の藻類は、すでに陸地の植物の遺伝子のセットを持っていたことの証拠を発見したのだ。

そして、その共生経路は、有益なアーバスキュラー菌根を探しだしして相互作用する必要があった。

この機能は、藻類たちが海から陸地に出て生き残り、そして、地球の陸地を支配し、植物が陸地に繁茂していくために重要なものだったと科学者チームは確信している。

菌類と共生することにより、藻類は進化の上での明確な利点を示し、そして、このことは、一見すると藻たちが繁茂することができないような環境だった陸地で、彼らが生き残り、地球を植物の緑で覆うことに成功したのだ。

デロウクス博士は以下のように述べる。

「 4.5億年前のどこかの時点で、地球の海に住んでいた藻は、不毛で何もなかった地球の陸地に這い上った。普通なら、その環境では海の藻類は生存できません。ところが、どういうわけか、彼らは生き残り、陸地での繁殖を開始したのです。これが、地球の陸地での生命進化のスタート・ポイントだったのです」

「私たちの今回の発見は、藻類たちがまだ水の中にいた時に、すでに彼らは陸地で生き残る方法を知っていたことを初めて示しました。もし、当時の藻類に、この陸地への適応能力の進化がなければ、今の地球は、現在とは非常に異なる場所となっていた可能性があります」

「この発見は、地球の生命の起源についての、私たち科学者集団の知識のギャップを埋めることになると思います。また、この発見は、様々な機関からの多大な貢献と、世界的な科学者たちの貢献がなければ成し得なかったものです」

ウィスコンシン大学のジャン=ミシェル・エーン教授( Professor Jean-Michel Ane )は、以下のように語った。

「この発見の驚きは、植物が共生菌類と相互作用することを可能にする、藻類でのメカニズムを見つけたことにあります。これまで、誰も、この藻類に有益な関連性を研究したことはなかったのです」

ここまでです。

植物が地球に登場した際には、

> 陸地の植物は、地球の海に住んでいた藻類の祖先と遺伝子を共有しており、海の藻類は、すでに陸地の植物の遺伝子のセットを持っていた

とあり、そして、

> 古代の藻類たちは、まだ彼らが水の中にいた時に、すでに彼らは陸地で生き残る方法を知っていた

とありますが、その方法こそ、藻たちが「菌類と共生することで進化する」ことでした。

記事に出て来る「アーバスキュラー菌根菌」というのは、北海道大学大学院農学研究院のページによりますと、

アーバスキュラー菌根菌(あるいはVA菌根菌)と呼ばれる糸状菌の一群 は、土壌中に普遍的に存在し、およそ80%の陸上植物と共生することができる。この菌は植物からエネルギー源(主にブドウ糖)の供給を受ける代わりに、土壌中の希薄なリン酸を集め、宿主植物に供給する。

> この菌は植物からエネルギー源の供給を受ける代わりに、土壌中の希薄なリン酸を集め、宿主植物に供給する。

とありますけれど、リンは肥料の主要な原料であることからもわかるように、植物の成長には不可欠なものですが、そのリンをこのアーバスキュラー菌根菌という読みにくい菌は、植物に対して供給するようです。

この菌自身もまた、植物からエネルギーを受けているというように、共に生きるための「完全な共生」が実現されているようなのですが、上の記事にありますように、それは、海の藻たちが陸地に上り、植物となった上で偶然起きたことではなく、

「まったく関係のない藻と菌という種が共生して生きるメカニズムは、もともとお互いの DNA に書かれてあった」

という解釈でいいのかと思います。

つまり、藻は、陸地に上がってから適応して植物になったのではなく、

「藻は最初から地上の植物になるために地球に存在していた」

ことがわかります。

そして、当然ながら、彼ら「藻が植物になって」陸上で繁茂を続けなければ、後のいかなる地上の生命も生まれ得なかったわけです。

植物が陸上に出現して、地球は一気に変化したはずです。

その数十億年後の今もその延長線上といえます。

つまり、「今」があるのは、植物が地上に出現したからであるわけですが、それは藻たちの「偶然な進化」などによるものではなく、「地球への植物の出現は最初から決められたメカニズムだった」ということが何となく思われます。

そして、「地球(あるいは、あらゆる天体)の生命は宇宙がもたらした」とする、パンスペルミア説から見れば、もともとの遺伝子に、藻が菌類と共生して植物になるように「書き込まれていた」ということは、いつかは、その藻は必ず菌類と共生して「地上に上がっていく」わけですから、

「最初から地球という惑星の歴史は決められていた」ということも想定できます。

地球に水が生じる。

その海に、宇宙から降り注ぐ藻や菌類の「種」、あるいは DNA が生存できる条件が整う。

そして、今回の内容のように、植物が地上へと進出し、「地球が植物に支配される」。

そこから、様々な動物が陸上に生息できるようになって、それぞれの環境に応じて、それらの「種」は、地球に(場合によっては唐突に)登場する。

おそらくはその最後の段階に、地球に人間が登場する。

その先は・・・と、そこまでわからないですが、これらの地球の歴史には、おそらく「偶然はひとつも含まれない」と思っています。

さて、この

この地球の生命体系は、植物がいなければ成り立たない

ということがはっきりしたというようなことが、最近の米ネブラスカ大学の研究で明らかになったのです。

それは、地球の歴史上最大の大絶滅があったときに、

まず最初に植物が絶滅していたことが判明したのでした。

この地球では、5回の大量絶滅が起きたとされていますが、この研究は、その中で最大の事象であった大量絶滅に対してのもので、以下のような事象です。

ペルム紀末の大量絶滅 - Wikipedia

古生代後期のペルム紀末、P-T境界(約2億5100万年前)に地球の歴史上最大の大量絶滅がおこった。

海生生物のうち最大96%、全ての生物種で見ても90%から95%が絶滅した。


これらの生物種の大絶滅に先駆けて、「まず地球上から植物たちが消えていた」ということのようなのです。

とりあえず、ネブラスカ大学のニュースリリースをご紹介しますので、お読みくだされば幸いです。

Nickel and died: Earth’s largest extinction likely took plants first
unl.edu 2019/02/01

ニッケルと植物の死 地球の歴史上最大の大量絶滅は、まず植物から起きたと見られる
大絶滅として知られる地球の歴史上最大の大量絶滅では、当時の地球上にいたほとんどの生命が生き残ることができなかった。しかし、ネブラスカ大学リンカーン校が率いる新しい研究は、多くの動物たちが絶滅するよりずっと以前に、まず植物から絶滅が始まったという強い可能性が見出された。

約 2億2500万年前、地球では、パンゲアと呼ばれる超大陸が激しく大地の分裂を起こしていた。地球内部からはスーパープルームが上昇し、世界各地の火山活動が活発となり、現代のシベリアにある火山群が次々と噴火し始めていた。

その中で、多くの火山の噴火は、約 200万年間ものあいだ、地球上の大気に炭素とメタンを吹き込み、これらの噴火により、海洋生物の約 96パーセントが絶滅し、陸上の脊椎動物の 70パーセントが姿を消した。これは地球の歴史上で最大の大量絶滅だった。

しかし、新しい研究によれば、噴火の副産物である「ニッケル」が、ほとんどの海洋生物種が消える、およそ 40万年前にオーストラリアの植物を絶滅させたかもしれないことを示唆している。

ネブラスカ大学リンカーン校の地球大気科学部の教授で、論文の執筆者であるクリストファー・フィールディング(Christopher Fielding)氏は以下のように述べる。

「これは大きなニュースです。これまでも、そのことについての示唆はあったのですが、そのことが具体的に突き止められたことはなかったのです。今回の研究で、地球の歴史がまたひとつ明らかになろうとしています」

研究者たちは、化石化した花粉、岩石の化学的組成と年代、そしてオーストラリア南東部の崖の底から採取した堆積物の層を研究することによって、今回の結論に達した。

研究者たちは、オーストラリアのシドニー盆地の泥岩の中で、驚くほど高濃度のニッケルを発見した。

地球大気科学部の教授のトレイシー・フランク(Tracy Frank)氏は、この調査結果はシベリアのニッケル鉱床を通じた溶岩の噴火を示していると述べる。

その火山活動がニッケルをエアロゾルに変え、そこから、地球上の植物の生命の大部分がニッケルに毒されるほど南に何千マイルも大気中を流れた可能性がある。ニッケルの同様の急増は、世界の他の地域でも記録されたとフランク教授は言う。

フィールディング教授は以下のように言う。

「それは状況の組み合わせでした。そして、それは地球の歴史における5回の主要な大量絶滅のすべてを通じて繰り返しされています」

もし、そうなのだとすれば、確かに、その後の大量絶滅でも、植物の絶滅が先駆けた後に、他の大半の動物たちが絶滅する引き金となったかもしれない。

植物の不足で死ぬ草食動物、そして草食動物の不足で死ぬ肉食動物、そして、毒性の物質が川から海に流れ、結果として二酸化炭素が上昇し、酸性化と気温の上昇が進む。

研究チームはまた、別の驚きの証拠を見出した。これまでは赤道近くの場所で行われることが多かった、この地球上最大の絶滅に関する以前の研究の多くでは、その間に堆積した堆積物の急激な着色の変化を明らかにしていた。

灰色から赤色の堆積物への変化は一般的に、火山活動による灰と温室効果ガスの放出が世界の気候を大きく変えたことを示していると研究者たちは述べていた。

それでも、その灰色 - 赤色のグラデーションは、シドニー盆地でにおいては、はるかに緩やかなものであり、噴火からの距離は当初、他の場所で見られる激しい気温上昇と乾燥からそれを緩衝するのに役立ったことを示唆した。

この 2億2500万年前の大量絶滅の時間的進行とその規模は、地球の現在の生態学的危機を超えたものではあるが、しかし、 2億2500万年前の大量絶滅と現在には類似性がある。

研究者たちは、特に温室効果ガスの急増と種の絶え間ない絶滅の連続が似ているとして、これらは研究の価値があるものになるだろうと述べている。

そして以下のように述べた。

「地球の歴史の中でこれらの大量絶滅事象を振り返ることは、私たちに何ができるかということを知ることができるという意味において意味があります」

「地球の状況は過去にどのように混乱したのか? いったいどんなことがあったのか? そして、その変化はどのくらいのスピードで進んだのか。そのようなことを研究することは、私たちが、『今の地球で何が起きているのか』を知り、研究することの基礎になるのです」

この研究は、アメリカ国立科学財団とスウェーデン研究評議会よって資金が供給され、論文は、科学誌ネイチャー・コミュニケーションズに発表された。

ここまでです。

これは簡単にいいますと、当時の大規模な火山活動によって、地球のあらゆる場所において噴火の副産物である「ニッケル」が広がり、それによって植物が消えてしまったという事象が他の生物種の大絶滅に先駆けて起きていたということが、ほぼ確実になったということのようです。

このこと自体も「植物と生命体系の関係」ということについて大きな示唆を与えてくれる重要な研究でもありますが、これは、単に過去の研究ではなく、実際には、「現在の地球と照らし合わせて考えることができること」であることにも気づきます。

記事の中に、以下のような下りがあることがおわかりでしょうか。

しかし、 2億2500万年前の大量絶滅と現在には類似性がある。

という部分です。

そして、この数年に書いた記事のいくつかを思い出しますと、

「今もまた、植物が絶滅し続けている時代」

だということが言えるのです。

以下のような記事は、そのタイトルからも、内容がご想像できると思われます。

サンゴと海藻が全滅に向かい続ける「地球の海」の近い未来

2016年6月18日のタイの報道より
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冒頭の記事は、ベトナムのビーチリゾートとして人気の海域で、サンゴ礁の 30%から 40%が「白化」の影響を受けていることが判明したという記事でした。

「白化」というのは、厳密には「死」という言葉と同義ではないですが、現状では限りなく近いですので、言い換えれば、大規模な白化現象というのは「サンゴの大量死」と同じような意味だと思っていただいて構わないと思います。

この報道を見て、

「なんだか、もう全世界でサンゴが消えてしまうのでは?」

と思ったのですが、すでに太平洋では大規模なサンゴの白化が拡大しています。

サンゴ礁で有名なオーストラリアのグレートバリアリーフのサンゴ礁は、もはや「絶滅間近」という言葉が使われ始める状態となっています。

下はナショナルジオグラフィックの記事です。

「白化していた」という言葉を「死にかけていた」と置き換えて読んでいただければわかりやすいかと思います。

グレート・バリア・リーフの93%でサンゴ礁白化

ナショナルジオグラフィック 2016/04/25

グレート・バリア・リーフは、2900の小規模なサンゴ礁から構成される。今回調査したのは911のサンゴ礁で、このうち実に93%に上る843のサンゴ礁が、何らかのかたちで白化していることが判明した。

さらに、主に北部にある手つかずの316のサンゴ礁において、そこに生息するサンゴの60~100%が白化していた。

サンゴ白化の拡大によって、副次的な影響が大きくなることは明らかだ。というのも、グレート・バリア・リーフには1500種を超える魚、世界のウミガメ7種のうち6種、30種のクジラやイルカが暮らしている。


今の海の状態が続けば、サンゴは消滅へ

現在の太平洋のサンゴの大量死の深刻な部分としては、いわゆる海の汚染とか、人的な要因とか、そういうこととはあまり関係がないと思われることです。

たとえば、先ほどのナショナルジオグラフィックの記事にも、アメリカ海洋大気庁(NOAA)のサンゴ監視に携わる人が、以下のように述べています。

「これほど広い範囲で、特に人間による影響が少ない北部で深刻な影響が出ていることは大きな問題です」

人間の生活圏から大きく離れたような場所でも、次々とサンゴが死んでいっているということで、最大の理由は「海水温の異常な上昇」ということになりそうですが、地球の海水温の異常な高さは、もう長く続いている上に、今すぐに解消していくという感じもしない問題ではあります。

そして、海水温度の高さは「ほとんど全世界の海域」に及んでいます。

昨年書きました記事、

・海の巨大な変化とミニ氷河期の関係(1):大西洋で拡大する「異常に冷たい海域」と、海流システムの異変が招く地球の行方
 2015/10/15

では、その時点まで、海水温度が上昇し続けていることを書きました。

2014年7月までの世界の海水温度の推移
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このグラフは 2014年7月までのものですが、全世界の気温と共に海水温度もさらに上昇し続けていて、しかも、大西洋の一部を除いた地球上のほぼすべての海域でこのようなことになっているのです。

グレートバリアリーフのサンゴの大量死の原因のひとつが「海水温度の上昇」だとしますと、これは世界の他の海域にも当てはまるわけで、地球上のあらゆる海域のサンゴが白化していっても不思議ではないと思います。

そして、少なくとも太平洋に関しては、サンゴを滅ぼしているのは、海水温度だけではないのです。

もうひとつ大きな要因があります。

それは、「ヒトデ」なのです。

2015年11月16日の米国ワシントンポストより
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ヒトデの中の「オニヒトデ」というものなのですが、このオニヒトデの太平洋での数も増殖が続いていて、数千万匹という数のヒトデが日々、太平洋のサンゴを食べ続けています。

以前、地球ブログで翻訳しましたオーストラリアの報道から抜粋したいと思います。

オニヒトデが「まるで農作物に被害を与えるイナゴのように」大発生している
Brisbane Times 2015/12/11

グレートバリアリーフのサンゴを食べてしまうヒトデの発生が、これまでの記録を上回って過去最悪になる可能性があり、自然保護活動家たちを恐れさせている。

WWF のオーストラリア支局が委託したレポートによると、サンゴを食べるオニヒトデの数は 2020年までに 1200万匹から 6000万匹に上昇する可能性が述べられている。

オニヒトデのサンゴの被害についての著作がある専門家のグレン・ホルムズ( Glen Holmes )博士は、「これはまるで、イナゴによる壊滅的な被害のようなものといえるものなのです」と述べる。

ヒトデによる被害の規模は、すでに過去 30年間でサンゴ礁「6万ヘクタール」に及んだ範囲で生きたサンゴが壊滅していっていると考えられている。

このオニヒトデの拡大を止めるための手段は何もない。


この「ヒトデがサンゴを絶滅に追いやっている」という響きには、何かこう皮肉な部分がありまして、種類はオニヒトデとは全然違うものではありますが、太平洋では「ヒトデが絶滅していっている」という事実があるのです。

これは何度か記事にしたことがありましたが、たとえば、

米国オレゴン州のヒトデは「絶滅の方向」へ。そして、その出来事から考える、神や神のようなものが自然の中に創造したものたちの色や形の意味

2014年06月06日
「これは前例のない出来事です。私たちはこれまで、このような大規模で壊滅的な消耗性疾患の拡大を見たことがありません。」
- ブルース・メンゲ教授(オレゴン州立大学総合生物学科)
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アメリカ西海岸のヒトデの大量死は重大局面に

大学の研究機関から「海の崩壊」に関しての研究発表が続いています。

上の記事の翌日には、米国コロンビア大学の地球研究所から「海が急速に酸性化している」という研究発表のリリースがありました。

そのことは、

「地球の海が急速に酸性化している」という論文を6度目の大量絶滅の中にいるかもしれない今の時代に読む

2014年06月03日
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▲ 2014年6月2日のコロンビア大学ニュース・アーカイヴ Modern Ocean Acidification Is Outpacing Ancient Upheaval, Study Suggests より。

読むと、原因については確定した結論が出ているわけではないようなのですが、海の水が早いスピードで酸性化してきているのは確かなようです。

この「海の酸性化」は、この論文によると、約 5600万年前にも起きていたことが確認されているそうなのですが、その 5600万年前には、海の酸性化によって、

・ある種の生物は絶滅



・ある種の生物は進化(登場)

したとあります。

実際に、現在、海が酸性化しているのだとしたら、また同じようなことが海で起きているということなのかもしれないですが、上の論文には最近の海の状態として、以下のようなことも起きていることも知りました。

アメリカ海洋大気庁( NOAA )の海洋学者の最近の研究では、ワシントン州とオレゴン州、そして、カリフォルニア沖で、小さな浮遊性の巻き貝やプテロポッド(クリオネのような生き物)の半分以上が、極度に殻が溶解する症状を示していることを突き止めた。

また、海洋の酸性化は、ワシントン州とオレゴン州で 2005年から起きている広範囲でのカキの大量死と関係していると考えられている。珊瑚礁への悪影響も懸念されている。


とのこと。

海の水が酸性化すると、貝の殻って溶けちゃうんですね。

調べてみると、 Yahoo ! 知恵袋に、「自由研究で、酢に溶けるものと溶けないものの実験をしました」という中学生の人の投稿を見つけまして、そこには、

貝がら・アルミ・卵を酢の中に入れました。
結果は、貝がらはすごく柔らかくなってもろくなりました。
卵は、殻が溶け、黄身はガチガチになりました。


とのことで、「その理由を教えてほしい」というものでしたが、答えとしては、

貝殻や卵殻は、タンパク質の網目に炭酸カルシウムが沈着してできたもので、これらは酢の成分の酢酸と反応して、二酸化炭素を発生して酢酸カルシウムとなり溶けてしまう

ということだそうです。

つまり、「酢の中では貝は生存し得ない」と(他の生物も酢の中で生きるのは難しいだろ)。

まあ、それはともかく、その生物の外皮などの組成の成分によっては「海の酸性化によって溶けやすくなる」ということはあるようです。

そういうのを考えると、アメリカ周辺のヒトデの大量死2013年12月05日

「アメリカの西海岸でヒトデが溶けている」ことを思い出します。
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これも主として、アメリカの西海岸で起きていて、上の論文にある「巻き貝が溶けていく」という現象が確認された場所あたりと同じような海域です。ヒトデの体の組成はわからないですし、これが海の酸性化に原因があるかどうかはわからないですが、何だかやっぱり海は「壊れてきている」のかもしれないと思ったりもします。

最近は海の生き物の話題が多いですしね。

ダイオウイカとか、メガマウスとかいう深海の巨大なサメとかリュウグウノツカイとか、いろいろとありますけれど、とにかく、ふだん見られないものが出て来たり、あるいは逆にふだんいる魚が見られなくなったり。

原因はどれもわからないままですけれど、いろいろと総合して考えてみると、思っているより海の異変というものは進行しているものなのかもしれないです。

関係のない話ですが、ここ数日、海外の報道では下のような「地球が6度目の大量絶滅に瀕している」という記事をよく目にします。

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地球の大量絶滅というのは、地球の誕生以来、幾度となく起きていますが、その中でも地球全体の生物のほとんどが絶滅してしまったような、非常に規模の大きな絶滅が「過去5回」あるとされていて、そのようなわけで次に大量絶滅が起きれば6回目となりますので、上の記事のように「6回目の」という言葉がつくというようなことのようで・・・。

と書いたところで、今、私は「地球の誕生以来」という言葉を使ったことに気づき、この表現自体についてちょっと注釈しておきます。

という記事に書きましたが、その中のコロンビア大学の論文には下のような記述がありました。

ワシントン州とオレゴン州、そして、カリフォルニア沖で、小さな浮遊性の巻き貝やプテロポッド(クリオネのような生き物)の半分以上が、極度に殻が溶解する症状を示していることを突き止めた。

また、海洋の酸性化は、ワシントン州とオレゴン州で 2005年から起きている広範囲でのカキの大量死と関係していると考えられている。


そのオレゴン州にあるオレゴン州立大学から、冒頭に貼りましたように、「オレゴン州では地域に一部の種類のヒトデが全滅されると予測される」というショッキングなニュース・リリースがありました。この2週間ほどで急速に事態が悪化したのだそうです。

このアメリカ西海岸のヒトデの「消滅」は、消耗性疾患というようにつけられていますけれど、要するに、

・自切して溶けて消えていく

という、見た目もその状況も悲劇的なものです。

アメリカの海岸でのヒトデのことを最初に記事にしたのは、2013年11月でした。

米国の海に広がる衝撃的な光景 まるで絶滅に向かおうとしているような「ヒトデたちの自殺」
2013年11月07日

自分で手足を次々と落として死んでいくアメリカ沿岸のヒトデたち

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自らを助けない自切を見て

現在、アメリカ西海岸から東海岸、そしてカナダの東海岸を中心として、極めて大規模な「ヒトデの大量死」が進行しています。

このこと自体は、わりと以前から知っていたのですが、このヒトデの大量死が、単なる大量死ではない非常にショッキングな状況で起きている可能性があることを知りまして、今回はそのことを書きます。

現在起きているアメリカでのヒトデの大量死では、まさにこの「自切」行為が発生しているのですが、しかし、普通の自切と違うのは、「自分を守らず死んでしまう」ところです。

つまり、ヒトデたちが自分の腕を自分で落としていってから死んでいっているということが、明らかになろうとしているのです。


なお、これらの現象は決してミステリーの類いではなく、このヒトデの大量死が「消耗性疾患」という名前の病気だということは判明しているのですが、過去にないほど拡大し続けていることと、こんな状態を「どんな科学者も今まで見たことがなかった」ということで、脅威を与えているようです。

AP 通信によれば、ある種ではその棲息エリアで 95パーセントが死滅しているそう。

海洋研究者が日々見ている光景

下はカリフォルニア州のサンタクルーズにあるロングマリン研究所( Long Marine Laboratory )という海洋研究所の人のサイトの記事にある写真です。

hitode-2.jpg

内容は下のようなものですが、このタイトルの「 And then there were . . . none 」というのが私にはどうにも日本語として訳せなくて、タイトルなしで概要を記します。

このヒトデの種類は Pisaster ochraceus と書かれているのですが、これも日本語が探せなくて、こちらのサイトによりますと、これは日本語で「マヒトデ」というものに属するもののようです。

And then there were . . . none

Notes from a California naturalist 2013.09.13

研究室にあるすべてのマヒトデが死ぬまで、すなわち、最後のマヒトデが自分自身の体をバラバラにしていくまで、私は丸3日間、そこにいた。

そしてこの写真(上の写真)が、今朝、私の飼育する生き物に起きた光景だった。

ヒトデの本体はまだ残っているのだが、彼らは気まぐれに自切していくので、私は切断された触手を検査しながら、さらに時間を過ごした。

彼ら(バラバラになった手たち)は、自分が死んでいることを知らない。

私はこの数日間、彼らが幽霊になることを諦める前のそれらのバラバラの状態の触手を10個前後見てきた。その切断された手は、自切した後もかなり長く動き続ける。少なくとも1時間くらいは手だけで動き続ける。

私は、この、もともと美しく複雑な「海の星」の切断された腕を解剖スコープの下のボウルに入れて写真を撮った。

私は、この研究所で、ヒトデのこの病気を扱っている唯一の研究者ではなく、隣の部屋でも、そして、他の研究所では Pycnopodia helianthoides (俗名ヒマワリヒトデ)を失っている。また、学生たちがサンタクルーズの海中でヒトデの大量死を見つけたという話も聞いている。

この数週間で海で起きている様々なことは、もしかすると、何か本当に悪いことの始まりなのかもしれないとも思う。

という何となく切なさも感じる記事です。

上に「切断された手は、自切した後も長く動き続ける」とありますが、その様子を研究者が YouTube にアップしたものを短くしたものがあります。

あまり気持ちのいいものではないとは思いますが、ヒトデというのは、自切した後も、1時間近くも、このように単独で腕が動き続けるもののようです。

https:●//youtu.be/wYa48YEsxEs

ところで、上のロングマリン研究所の人の記事は9月のものです。

そして、アメリカのメディアで、ヒトデの大量死に関しての報道が大きくなったのは最近のことで、つまり、この2ヶ月間、事態は拡大し続けているということになりそうです。

記事に書かれてある「もしかすると、何か本当に悪いことの始まりなのかもしれない」という予感は、当たってしまったのかもしれません。

このヒトデたちにはそんな理由が見当たらないのです。

それとも、私たちにはわからない「何か」から身を守るために自切している?

しかし、一般的な自切の意味である「主要ではない器官を切り離すことで逃避できる可能性を作り、個体そのものが捕食される確率を下げるための適応であると考えられている」というサバイバルの概念を完全に逸脱しているのは、「そのまま彼らは死んでしまう」というところにあります。

自らの体を切断しながら死んでいく。

それがアメリカ西海岸の広範囲に起きている。

一体、アメリカの海岸で何が?

というもので、この時には「溶ける」という概念は報道にはまだ登場していませんでした。

アメリカのヒトデの場合は、そのような一般的な意味での自切ではなく、「自殺のための自切」という駄洒落にもできないような悲惨な行為をおこなっていたのです。

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この写真が添えられていたブログの文章は次のようなものでした。

研究室にいるすべてのマヒトデが死ぬまで、すなわち、最後のマヒトデが自分自身の体をバラバラにしていくまで、私は丸3日間、そこにいた。そしてこの写真が、今朝、私の飼育する生き物に起きた光景だった。

ヒトデの本体はまだ残っているのだが、彼らは気まぐれに自切していくので、私は切断された触手を検査しながら、さらに時間を過ごした。彼らは、自分が死んでいることを知らない。

私は、この、もともと美しく複雑な「海の星」の切断された腕を解剖スコープの下のボウルに入れて写真を撮った。この数週間で海で起きている様々なことは、もしかすると、何か本当に悪いことの始まりなのかもしれないとも思う。


予感は不幸にして的中したのでした。

それが冒頭にある「オレゴン州での全滅」であり、原因がわからずに、爆発的な拡大を続けているということは、これは次第に「アメリカ西海岸全域での(ある種の)ヒトデの全滅」という方向性に進む可能性はかなりあると思われます。

そして、今回のオレゴン州のヒトデの全滅は、この時のカリフォルニアの海洋研究所の研究員が見続けていた「自切」ではなく、もっと悲惨な状態、つまり、「溶けていく」というものでした。

「ヒトデたちがドロドロに溶けていく光景」

を目撃し、長期間にわたり、シアトル沿岸の様子を米国の動画サイト Vimeo にアップし、それが各メディアで一斉に報じられたのでした。

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そして、ハーヴェル教授は、

「最も恐ろしいことは、原因が何なのかまったく見当がつかないことです」

とも言っています。

今もなお原因がわからないままに、オレゴン州のヒトデたちは「溶けて消えて」いこうとしています。

という記事の中でご紹介したオレゴン州立大学のニュースリリースには

このほんの2週間ほどの間に、オレゴン州沿岸のヒトデの消耗性疾患は、歴史的な範囲に拡大しており、ヒトデの種類の中には、全滅するものもあると予測されるという事態となっている。

消耗性疾患の発生を監視してきたオレゴン州立大学の研究者によると、オレゴン州沿岸では、局所的に一部の種類のヒトデが絶滅するかもしれないという。

この消耗性疾患は、アメリカ西海岸で広く知られていたが、今回のオレゴン州のように、急速に広範囲に拡大するのは異常としか言えないと研究者たちは語る。


とあり、これが2年前ですから、今どうなっているのかは正確にはわからないですが、種類によっては「全滅」している可能性もありそうです。

このヒトデの死に方がまた記憶に残るものだったんですね。その死に方の名称こそ「消耗性疾患」というような難しい呼び方をされているのですが、一言でいえば、

「自分で自分をバラバラに崩壊させて死んで行く」

という「自死」に近いものでした。

いっぽうでは、太平洋でヒトデたちが「自死」を決行していて、その太平洋では、種類は違うヒトデとはいえ、ヒトデがサンゴを食べ尽くしているという構図は「何だかなあ」と思わせるものがあります。

そして、海藻も「海に生命が生きられる環境を作っている」わけですが、海藻も、地域的には確実に「絶滅」に向かっているのです。

2016年4月28日のロシア・トゥディより
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アメリカのフロリダ湾で大規模な海藻の大量死が起きていることを報じたものですが、原因は「はっきりとしない」のです。

これも、仮に原因が人為的なものではなく、海水温の変化や海流の変化など「自然」の原因だとすれば、この海藻の地域的な絶滅も、あらゆる場所で発生する可能性があるのかもしれません。

海から海藻やサンゴが次々と消えて言っている中、増えているのは、「藻」です。

2016年3月13日のカナダの報道より
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アメリカ地質調査所(USGS)の科学者たちの調査で、アメリカ中で「藻」が増えていることを突き止め、そして、藻から作られる毒素(BMAA)が、認知症の発症の引き金になっている可能性を記しました。

発症した認知症を「悪化」させるのはストレスだということは、最近の研究でほぼ間違いなく、先日の NHK スペシャルの「キラーストレス」という番組では、ストレスが脳の海馬を破壊する仕組みが最近わかったことを説明していました。

また、悪化だけではなく、認知症の発症そのものにストレスが関係している可能性の研究について、「アルツハイマー病の最大の原因が「ストレス」である可能性がアイルランドの大学の研究により突き止められる」という記事に記したことがあります。

まあ、認知症の話はともかくとして、藻の毒素は、海や川の小さな生物から大きな生物、陸上の生物へと循環していくものですので、食物連鎖の最後のほうにいるものたちは、藻の毒素が凝縮された魚や肉を食べているのかもしれません。

いずれにしましても、今、海は激しく変化しようとしているのかもしれず、もし仮に今の傾向が止まらなかった場合、すでに各所に点在している生命が生きられない海域「デッドゾーン」の出現がさらに加速するのかもしれません。

今回、海水温度が高いと、なぜサンゴが死ぬのかという理由を書く時間がなかったのですが、このサンゴが生きている仕組みというものは、共生という意味でまったく素晴らしいもので、いずれ書きたいと思っています。

海の中の環境に関して人間ができることは少なく、できることの中で最も重要なのは「考える」ことだと思います。

そこから何が始まるかはわかりませんが、考えることだと思います。

最終更新:2019/02/05 20:08

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2019/02/04 21:16

「3日間で6年分の雨」 イラン南西部が過去に記録のないような大雨に見舞われ黙示録的な洪水に

2019年1月30日 イラン南西部フーゼスターン州の光景
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最近、中東の気候もいろいろとムチャクチャで、アラビア半島で繰り返されている大雨と洪水については何度か取りあげさせていただいていまして、つい数日前も、以下の記事で、サウジアラビアが壊滅的な洪水に見舞われていることを取りあげさせていただきました。

サウジアラビアの砂漠がまたも黙示録的な大洪水に襲われている

2019年1月26日のサウジアラビアの報道
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このサウジアラビアの洪水では、その後、少なくとも 17名の死者が出ていることが報じられました。

そして、その同じころ、イランでも各地で気象が不安定になり、大雨と大洪水に見舞われていたことを今日になって知りました。

特にイラン南西部のいくつかの地域では大きな被害が出ているようで

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赤十字のウェブサイトによれば、イラン南西部のロレスターン州とフーゼスターン州という地域での被害が大きいそうで、緊急避難所が設けられているとのことです。

洪水に見舞われたロレスターン州とフーゼスターン州
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被災地で救助を待つ人々
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イラン気象機関の発表によれば、1月28日から 30日までの雨量は、この地域では、過去 40年間記録されたことのない雨量だったそうです。

フーゼスターン州というのは通常は特別に雨が少ない場所のようで、昨年の 1年間の総雨量が 61ミリしかない場所なのですが、その 1月下旬の 3日間だけで、雨量は 369ミリに達したのだとか。

つまり、

「 3日間で 6年分の雨が降った」

ということになりそうです。

中東の気象の異常もなかなか壮絶な状況になりつつあるようです。

最終更新:2019/02/04 21:16

2019/02/04 21:08

アメリカ五大湖のミシガン湖やエリー湖が寒波の中で「完全凍結」。イリノイ州では非常事態が宣言される

2019年1月30日 凍結したエリー湖
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カナダや、アメリカの北東部などが、過去最悪の寒波に見舞われていることは以下の記事などでご紹介していますが、その後、五大湖が凍結し始めていることが報告されています。

観測史上最低気温に近づくシカゴの -29℃の朝のミニ氷河期的光景

2019年1月30日 凍結したシカゴの朝。左の湖は五大湖のミシガン湖
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冒頭の写真は航空機から撮影された五大湖のエリー湖の様子ですが、ほぼ全面的に凍結していることがわかります。

下の写真は、五大湖のうちのミシガン湖の湖畔の様子ですが、ちょっと、おとぎ話的な光景ともなっています。

2019年2月1日 ミシガン湖
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ミシガン湖とエリー湖の場所
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以下は、1月30日から 2月1日にかけてのミシガン湖の様子ですが、映画などで描かれるミニ氷河期のような光景が広がっているようです。

2019年1月30日から2月1日のミシガン湖周辺の光景
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気温もますます下がっていて、ミネソタ州やイリノイ州では、体感気温が氷点下 50℃以下にまでなっているとのことで、この寒波に対して、イリノイ州などで非常事態が宣言されています。

アメリカのヤフーニュースによれば、これほどの体感気温ですと、風の状態によっては、「 2分間、外気にさらされるだけで凍傷になる」とのことです。

この極渦によるアメリカの寒波は、来週にはいったん収まるようですが、その後、ふたたび何度かやってくると予測されています。

その度に、今回ご紹介したようなミニ氷河期のような光景が広がることになるのだと考えられます。

中期の天気予報では、アメリカは、3月まで繰り返して極渦による影響を受けるのではないかとされていますが、どうなるか正確なところは誰にもわかりません。

最終更新:2019/02/04 21:08

2019/02/01 23:35

科学の進歩か新たな生物兵器の誕生か 「ひとつの生物種全体を抹殺できる」可能性のある遺伝子ドライブ技術が史上はじめて哺乳類で試験され、成功した

2019年1月25日のロシアの報道より
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《未来の戦争》というものがあり、以下のようなことが書かれている部分があります。

ジャック・アタリ「未来の歴史の概要」の「未来の戦争」より

未来の戦争は、「化学兵器、生物兵器、細菌兵器、電子兵器、そしてナノテクノロジー的な兵器」が使われるだろう。

生物兵器でパンデミックを起こしたり、あるいは、遺伝子兵器により特定の民族をターゲットにすることが可能となる。


ここにある

> 遺伝子兵器により特定の民族をターゲットにする

という響きが気になっていました。

そもそも「遺伝子兵器ってどういうものなん?」というようにも思っていたのですけれど、数日前、ロシアの報道メディアに冒頭のような見出しの記事を見つけたのです。

そこには「遺伝子兵器」というような文字が出ています。

「なんだろう、この記事は?」と、何とか訳してみますと、これは、アメリカの大学で、

「初めて哺乳類に《遺伝子ドライブ》の試験を成功させた」

ということを報じている記事なのでした。

当然、遺伝子ドライブというような言葉は知りませんので、それを調べてみましたら、以下のようなものでした

遺伝子ドライブ - Wikipedia

遺伝子ドライブとは、特定の遺伝子が偏って遺伝する現象である。この現象が発生すると、その個体群において特定の遺伝子の保有率が増大する。

人為的に遺伝子ドライブを発生させることにより、遺伝子を追加、破壊、または改変し、個体群、または生物種全体を改変することができると考えられている。

具体的な応用例として、病原体を運搬する昆虫(特にマラリア、デング熱、ジカ熱を媒介する蚊)の拡散防止、外来種の制御、除草剤や農薬抵抗性の除去がある。しかし、改変された生物を自然環境に放つ行為は、生命倫理上の懸念がある。


なるほど、この遺伝子ドライブという概念を知って、やっと「遺伝子兵器により特定の民族をターゲットにする」という意味が少しわかってきました。

この遺伝子ドライブというテクノロジーは、

「特定の種を絶滅させられる」

ということにつながるもののようなのです。

今回のロシアの報道は、内容に関してはタイトルのように挑発的なものではなく、この実験の意味と成果をきちんと伝えてくれています。いろいろと勉強になる部分もありますので、ご紹介させていただこうと思います。

もちろん、このことは、本国アメリカの各科学メディアでも大きく報じられています。

2019年1月28日の米サイエンティフィック・アメリカンより
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しかし、アメリカの報道は、科学的成果を主体として主張している感じもあり、冒頭のロシアの記事をご紹介しようと思います。

私たちは、結構危険な「テクノロジーの領域」に踏み込んでいる感じはありますね。個体ではなく、「その生物種全体の存続を操作できる」という領域は、一部の科学者の人たちには悪魔的な魅力に満ちたものである可能性もあります。

では、ここからです。

ちなみに、記事の後半は専門用語が並んでいまして、私にもよくわからず、何となく単なる直訳の羅列となっていますが、どう用語を省略していいのかもわからなく、そのままにしてあります。

わかりにくい部分もありますけれど、よろしくお願いいたします。

救いなし アメリカの科学者たちが、動物や人間に対しての遺伝子兵器を作った。それはどれほど危険なものなのか?

lenta.ru 2019/01/25

米国カリフォルニア大学サンディエゴ校の分子生物学者が、史上初めて哺乳動物 - マウスにおける遺伝子ドライブのテストに成功した。動物集団において変異遺伝子を増殖させるように設計されたこの遺伝子ドライブという方法は、昆虫に対してのみ試験されてきたもので、哺乳類に対しておこなわれたのは、これが初めてだ。

遺伝子ドライブによって特定の種の数を制御したり、あるいは、ある種を完全に消滅できるようになることが期待されている。

しかし、我々は、この技術がどのようなものであるのか、そして、なぜそれが必要なのか、さらに、この技術が人々にとってどれほど危険なものなのかを述べたいと考えている。

遺伝子のオーバークロック

遺伝子ドライブの本質は、子孫が特定の遺伝子を受け継ぐことができる確率を変えることだ。

本来、遺伝子の大部分は、50%の確率で遺伝する対立遺伝子が対となって染色体上に存在している。哺乳類の体細胞には、母親と父親から受け継がれている二組の染色体がある(そのような染色体のペアは相同染色体と呼ばれる)。

精 子から変異遺伝子が体内に入ることがあっても、それが子孫に引き継がれる可能性は 2つのうち 1つだけだ。

自然淘汰は、突然変異が多数の集団となっていくことを助長させる可能性があるが、しかし、このようなことが起こるためには、それが生存の可能性を高めたり、体に有益な変異でなければならない。さらにそれには非常に長い時間がかかる。

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しかし、遺伝子ドライブは、通常は引き継がれない突然変異を遺伝させていく可能性を最大 100パーセント高めることができるのだ。

改変された遺伝子がある染色体から別の染色体へと単純にコピーされ、その結果、さらに多くの生殖細胞が子孫に突然変異を受け継ぐ準備が整う。

時間が経つにつれて、ほぼすべてが変更された DNA を運ぶことができる個体となり、その結果、種の 100パーセントが突然変異体となる可能性があるのだ。

このテクノロジーが成功するかどうかは、汎血統の程度(個体が互いに交差しているかぎり)や遺伝子変換の頻度など、さまざまな要因に左右されるが、それでも、約 90パーセントはそうなるはずだ。

遺伝子ドライブは、有害な突然変異でさえ、その突然変異が受け継がれていくことを促進する可能性がある(通常は、有害な突然変異は遺伝していかない)。

これまで、遺伝子ドライブ技術は、昆虫に対しての試験で成功している。

特に蚊の駆除に適用されようとしており、マラリアの蔓延との闘いに使われているとされる。これは、蚊にマラリア原虫を運ぶ能力を奪う遺伝子を注入し、その蚊が自由に彼らの同属種の蚊と交配できるよう、改変された蚊は環境中に放出されることになるだろう。

科学者たちは、野生の蚊の人口の 1パーセントが遺伝子ドライブに暴露されたならば、マラリア感染は 1年以内に打破できると予想している。

誰との戦いなのか

これまでのところ、蚊などの昆虫では遺伝子ドライブが試験されているが、哺乳類で遺伝子ドライブが試されたことはこれまでなかった。

哺乳類の外来侵略生物の被害は世界各地である。最も深刻な被害を受けている国には、他の大陸の哺乳動物の被害が多いオーストラリアとニュージーランドがある。ラット、マウス、オコジョ、ウサギ、そしてポッサムなどの被害が相次ぐ。

彼らは繁殖し、地元の有袋類を追い払い、その食糧供給を弱体化させている。またそれらの動物たちは、植生を破壊し、土壌の侵食と破壊を増やす。

オーストラリアとニュージーランドでは、ウサギの数を減らすための多くの手段を講じてきた。射撃、巣穴の破壊、毒と罠の使用、さらにはフェンス。しかし、これらはすべて失敗した。

そしてここに、遺伝子ドライブという真の生物兵器が登場する。

粘液腫症(ウサギの感染症)を引き起こす粘液腫ウイルスと、ウサギの出血性疾患の原因物質であるカルシウイルスというのがある。この粘液腫は、感染したほとんどすべてのウサギの死亡につながったため、粘液腫の流行は、ウサギの個体数の大幅な減少につながった。

しかし、ウサギがウイルスの免疫を獲得するに従い、感染の流行は終息し、また個体数は増えた。

このウイルスには、ウサギの数を減らすには欠陥があったのだ。このウイルスは、極度に暑い条件でウサギをよく殺したが、穏やかな気候の条件下では病気の症状があまり出なかった。つまり、穏やかな気候は、ウサギに対しての「ワクチン」のような効果となっていた。

ここで遺伝子ドライブが助けとなる。

遺伝子ドライブを使って、ウイルスや農薬へのウサギの感受性を広げ、様々な病気への耐性をウサギから奪い去り、ウサギを死にやすくする。それにより、ウサギの数が無制限に増えていくことを阻止するというわけだ。

システムは複雑

しかしながら、哺乳動物における遺伝子ドライブは、昆虫における試みよりも実施するのが困難であることが証明されている。

今回のカリフォルニア大学の新しい研究では、研究者たちは CRISPR / Cas9 システムというものを使用した。

これは DNA を正確な場所で切断することを可能とし、細胞自体がゲノムの必要な部分を切断してコピーし、損傷を受けた鎖を修復する。ゲノムのこの領域は失われたものと相同であるべきであり、研究者は、同じ遺伝子の 2つのコピーを得ることができる。

科学者たちは、チロシナーゼ(酵素の一種)をコードする CopyCat と呼ばれる DNA 要素を Tyr 遺伝子に挿入することにより遺伝子組み換えマウスを作成した。

結果として、Tyr はメラニンの合成に関与するチロシナーゼの正しいアミノ酸配列をコードすることをやめ、そしてマウスはアルビノ(白化した個体)になった。

さらに、CopyCat は、同種染色体上に位置する無傷の Tyr 遺伝子に対する Cas 酵素を示すガイド RNA を含み、そしてその切断に寄与する。

しかし、CopyCat のコピーで切断された Tyr 遺伝子を「修復」する代わりに、細胞は DNA の末端をさらに切り取って「縫い付ける」ことができるようになり、「個体にとって望ましくない遺伝子の変異」を引き起こす。

どのようなメカニズムが実装されているのかを知るために、科学者たちは、さらに試行をおこなった。

彼らはコピーした Tyr 遺伝子を持つ黒いマウスと CopyCat を交配させ、さらに白化を引き起こすもう 1つの二重突然変異を持つマウスと交配した。

この場合、3つのタイプの子孫ができるはずだ。つまり、アルビノの遺伝子を持つマウスと、無傷の Tyr 遺伝子を持つ黒いマウス、そしてアルビノの遺伝子とトリミングされた Tyr 遺伝子を持つ白いマウス、およびアルビノと CopyCat の遺伝子を持つ白いマウスが生まれるはずだ。

しかし、科学者たちは胚における Cas9 の活性化時間を変えると、症例の 86%で CopyCat をコピーすることは、メスの胎児の特定の発達段階でのみ可能であることがわかった。

この研究の結果は、外来哺乳類と戦うために遺伝子ドライブを使用することについて話すにはまだ時期尚早であると科学者たちは述べている。

この方法は、昆虫ほど容易には機能せず、厳しい条件への準拠が必要だ。したがって、少なくともある望ましい効果を達成するためには、実験を継続し、そして方法を改良することが必要だ。それは長い時間がかかるであろう。

そして、科学者たちはこれまで、「遺伝子ドライブは遺伝子兵器になる」可能性が高いことを強調し続けてきた。

そのため、開発におけるすべてのリスクを考慮に入れ、環境や人間への影響として考えられる事象を防ぐ必要がある。

ここまでです。

この記事に「蚊」の遺伝子の改変のことが出てきますが、このことは、以前何度か取りあげたことがあります。

たとえば、下のような記事です。

WHOは「ジカ熱対策のために遺伝子操作した蚊をおおいに活用しなさい」というけれど。感染症医学の中心に立ちはだかるパスツールの亡霊たち
2016年3月20日

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遺伝子操作して「成虫になるまでに死ぬ蚊」をもっと拡散させよ、と WHO

「奇妙な」と書きましたのは、前提として、少し前の記事、

ブラジルでの「遺伝子操作を施された蚊の放出」と、現在のジカウイルスの流行の関係を私が完全に無視することができない理由
2016年3月17日
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上の「陰謀説の突然の広がり」というタイトルの記事は、アメリカのアトランティックという、長い歴史を持つメディアの記事です。

このタイトルにあるように、ジカウイルスに関しての「陰謀論」が広まりつつあり、上の記事はそういう陰謀論について批判的に記しているものですが、どのような陰謀論かといいますと、

「現在のジカウイルスは、人為的に遺伝子操作をされた蚊によって広がった」

というものです。

陰謀論は、いつの世のどんなジャンルにもあるもので、その種類も様々ですが、しかし、アトランティックは、雑誌の創刊から数えると 158年の歴史を誇る老舗のオピニオン・メディアであり、普通なら「くだらない陰謀論」などを記事にすることなどはないはずです。

では、なぜ、このことを取り上げて、そして「陰謀論を否定」する記事を書かなければならなかったかというと、この出来事には「微妙な事情」が含まれているからです。

先に書きました「現在のジカウイルスは、人為的に遺伝子操作をされた蚊によって広がった」という下りの中には、

本当の部分と本当ではないと思われる部分が含まれているのです。

「本当の部分」は何かといいますと、

2015年に、ブラジルに遺伝子操作を施した蚊を放った

という部分です。

それをおこなったのは、オキシテック社(OXITEC)というイギリスにある昆虫の駆除やコントロールをおこなう企業です。ブラジルでのデング熱のコントロールのためにおこなったとされています。

そして、「本当ではない」かもしれない部分というのは、「そのことがジカウイルスがブラジルで大流行したことと関係がある」という部分です。

つまり、オキシテック社がブラジルで遺伝子操作した蚊を放ったことは本当だけれど、それとジカウイルスのブラジルでの流行は関係があるわけではない、ということが冒頭のアトランティックを初めとしたメジャーストリームの意見だと思います。

それらのことを、少し整理して、書いてみたいと思います。

どのように判断されるのかは、人それぞれになると思われます。

デング熱を根絶するためにブラジルに大量投入された遺伝子組み換えされた蚊

もともとは、「オキシテック社による遺伝組み換えされた蚊のブラジルへの投入」なんてことを知っている人など、それほど多くいるわけがなく、もしジカ熱の流行がブラジルで大きく報じられなければ、それを調べる人もいなかったと思います。

しかし、ジカウイルスの爆発的な流行に際して調べた人が出現したようで、reddit という投稿型ニュースサイトに、1ヶ月前に下のタイトルの記事が投稿されました。

「2015年にブラジルに遺伝子操作された蚊が放たれたことが、現在のジカの大流行と関係しているのか?」
(Genetically modified mosquitoes released in Brazil in 2015 linked to the current Zika epidemic?)
https:●//www.reddit.com/r/conspiracy/comments/42mhii/genetically_modified_mosquitoes_released_in/

そして、ニュースでは、2015年のオキシテック社のプレスリリースの内容を紹介すると共に、その影響の可能性などにもふれていました。

オキシテック社の2015年7月2日のプレスリリースより
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ここのプレスリリースのタイトルに「オキシテック社の作り出した蚊」というのが、遺伝子操作を施された蚊のことで、どういうものかというと、一般社団法人サイエンス・メディア・センター(SMC)が、2015年2月に、ジャーナリスト向けのサイエンス・アラートとして、下のような文章をアップしていまして、その冒頭はこのようなものです。

2015年2月15日のSMCのサイエンス・アラートより

OXITEC社の遺伝子組み換え蚊(GMM)放出計画について:専門家コメント

フロリダ州で蚊を媒体とした感染症を防ぐため、OXITEC社が遺伝子を組み替えた蚊を環境中に放出することを計画しています。

次の世代の幼虫が成虫になる前に死ぬよう遺伝子を組み替えた蚊(Genetically modified mosquitoes 以下、GMM)で、同様の試みはすでに英領ケイマン諸島などで実施されていますが、今回放出を計画している地域では反対運動が行われています。この件に関する専門家コメントをお送りします。


というもので、オキシテック社の遺伝子操作は、

「蚊の幼虫が成虫になる前に死ぬように遺伝子を組み換えるもの」

のようです。

ブラジルで放出された蚊がまったく同じかどうかはわかりませんが、同じデング熱のコントロールの目的のためですので、おそらく同じものだと思います。

遺伝子操作の詳しいことは私にはわかりませんので、「遺伝子操作の是非の是非」はともかくとして、デング熱の拡大に効果があるのかということはわかりません・・・が、下は、今年 2016年3月3日の報道ですが、「ブラジルで、いまだにデング熱患者が増えている」とあるのを見る限りは、効果はどうだったのかという気もします。

3月3日のウォールストリート・ジャーナルの報道より
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しかし、デング熱のコントロールの成否はここではともかくとして、ジカ熱、そして、小頭症の赤ちゃんの出生に関して、気になってしまった資料があります。

どうしても「関係」の疑いを払拭しきれない「場所」と「時期」のシンクロ

それは reddit に投稿された「2つの地図」で、それを見ると、「遺伝子操作をされた蚊は、ジカ熱、あるいは小頭症と関係があるのではないか」という思いをどうしても抱いてしまうのでした。

その「2つの地図」というのは、

遺伝子操作された蚊が放出された場所

2015年小頭症の赤ちゃんが生まれた数の分布を示した地図です。

遺伝子操作された蚊が放出されたのは、ブラジルのジュアゼイロ・ド・ノルテ(Juazeiro do Norte)という場所でした。

遺伝子操作された蚊が放出されたジュアゼイロ・ド・ノルテの場所
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小頭症の赤ちゃんが生まれた数の分布
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小頭症の赤ちゃんの生まれた例の分布図に関しては、明確な時期がちょっとわからないですが、比較的流行の初期のものだと思います。

つまり、「蚊の放出された地域あたりからブラジルの小頭症の赤ちゃんの出生が広まっていった」というような図式になっているのです。

もちろん、何でもかんでも「偶然」ということで済ませられるのなら、上の相関も偶然なのかもしれないですが、

蚊の放出場所からジカ熱が広がっていったように見えること

ジカ熱の流行が始まった時期と蚊の放出の時期がリンクしていること

に、どうしても注意が行ってしまうもののようにも思います。

そう思えてしまう人たちは多いのかどうなのかわかりませんが、英米の一般メディアでもこのことを伝えるものがかつてありました。

米国フォックスニュースより
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とはいえ、現在のメジャーストリームの流れは、「遺伝子操作した蚊とジカ熱のブラジルでの流行は関係ない」ということになっていて、そのことについて特に異論はないですが、こういう、やや陰謀論的な話に興味を持ったのは、

オンライン販売されていたジカウイルス
2016年2月6日
米国の生物資源バンク「ATCC」でオンライン販売されているジカウイルス
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世界最大の生物資源バンクATCCでのオンライン販売。ジカウイルスの価格は6万円

最初は意味がわからなかったのですが、冒頭に載せました販売ページは、ATCC という組織のサイトでして、これはどんなものかといいますと、ATCC分譲サービスというページでの日本語での説明によりますと。

ATCC(American Type Culture Collection)は、1925年に米国に設立された世界最大の生物資源バンクです。

細胞株は3,400種以上、微生物株(酵母、カビ、原虫含む)は約72,000種類、遺伝子株は約800万種類を保存・分譲しており、世界中のバイオ研究者に広く利用されています。

ATCCよりin vivoの世界に一歩近づいた条件でご実験を検討される研究者様向けに、正常ヒト初代細胞(プライマリーセル)を2009年より販売開始し、さらに2012年よりヒト人工多能性幹細胞(iPS細胞)の分譲を開始いたしました。是非、信頼と実績のある高品質なATCC分譲サービスをご利用ください。


というもので、要するに「研究者向けに各種の微生物を販売している」という学術的な目的のためのサービスのようで、その中にジカウイルスもあったということになります。

PDFのチラシを見てみますと、まるでそれが恐ろしい病原菌だということを忘れてしまうかのように、カタログ的に、ウイルスの文字が並んでいます。

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中には、ジャパネットたかた社の番組を見ているような「何と今ならセットでこのお値段!」という風情の表示もあります。

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このような、デング熱やウエストナイルウイルスなど「蚊の媒介するウイルス」も各種取り扱っている中に、ジカウイルスもあったということで、しかも、データファイルを見ますと、取り扱いを始めたのは 1947年。今から 69年前からジカウイルスが「販売」されていたことがわかります。

ということは・・・研究に関してはどうなっていたのだろう・・・という気にはなるのですが、ちなみに、ここで保存されているウイルスは、1947年にウガンダのサルから採取されたものだとのこと。

それにしても、ジカウイルスを別にしても、私はこういうようなものが、こういうように販売されているということを知らなかったです。

確かに、病原菌や微生物の研究には各種の細菌や、カビ、ウイルスを入手しなければならないわけで、それを入手するのは簡単なことではないとは思っていましたが、こういうようなところで「お金で」入手できるものなのですね。

ATCC に保管されている 800万種の中から、商品を少し検索してみますと、

・中東呼吸器症候群(MERS)ウイルス 500ドル(約6万円)

・ペスト菌(Yersinia pestis) 290ドル(3万5千円)

・コレラ菌(Vibrio cholerae) 354ドル(4万2千円)


などと、わりと強面のウイルスたちも並んでいます。ペスト菌などはわりとお手軽な価格となっていますね。

それにしても、今問題となっているジカウイルスが 70年近く前から研究施設に保存され続けていたというのは、何とも複雑な感じです。つまり、「そんなに以前から既知のウイルスだったのに、今になって、こんなにも急に拡大が感染して、大きな問題となっている」というところに、何となく複雑な部分を感じるところもあります。

このジカウイルスの販売に関して検索してみますと、「ジカウイルスの特許を持っているのはロックフェラー財団」だというような海外の記事を見かけるのですが、それについては、調べられる範囲で調べてみても、本当に、ロックフェラー財団がジカウイルスの権益を持っているのかどうかの資料がわからないですので、現代会では陰謀論の域を出ないですが、そういう話があることはあるようです。

2016年2月2日の米国メディアの記事より
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このジカウイルスの問題は、現在、実際に起き続けている、あまりにも悲劇的な連鎖の状況を考えると、遅かれ早かれ、このような「人為的災害」とか「生物兵器的」な見方はおそらく出てくるだろうなとは思っていましたが、陰謀論方面の話は私は造詣が深くないですので深入りしません。

などにありますように、ジカウイルスは 70年近く前には知られていた感染症であり、そして、ブラジルの前にも何度かの流行があったわけです。

なのに、今回の南米の流行だけが「飛躍的に大規模」であるばかりではなく、

小頭症の赤ちゃん

ギランバレー症候群

といった副次的な苦しみがあまりにも多く報告される地獄のような病気となってしまっているような感じがしまして、「どうして今回はこんなことになってしまったのだろう」と考えることがあったからでした。

以前も書いたかもしれないですが、このジカウイルスというウイルスは、「初子を滅ぼす」という意味で、私には十分に黙示録的な存在です。

昔、映画の『ジュラシック・パーク』という映画で、数学者の役柄の人物が、

「生き物は道を見つけ出す」

というような意味のことを述べて、遺伝子技術で作り出された生態を操作された恐竜たちでも、「必ず」生物として自分なりの生態を見つけて進んでいくということを言っていたことが印象的でした。

生き物って、基本的にはそういうものではないのでしょうかね。

遺伝子に手を加えて「人類の技術の勝利」とすることには、古いタイプの人間だからかもしれませんが、やはり違和感を感じ続けます。

そして、オキシテック社は今度は、すでに「ジカウイルスと戦うために遺伝子操作をした蚊」をアメリカに投入することなどを計画しているようで、「ジカウイルスとの戦いのために遺伝子操作した蚊を投入の準備」( Transgenic Mosquito Ready to Join War on Zika Virus)というタイトルで報道されていました。

遺伝子操作した蚊についての説明図
oxitec-mosquito-01.jpg
何となく、「これからどんなモンスター生物や、モンスターウイルス」が出てくるのだろうか、という気にも少しなったりいたします。

に書きました内容と関連がありますというか、私感としての「遺伝子操作した蚊で感染症の拡大をコントロールしようとする試みの違和感(効果実績もよくわからないですし)」があるためですが、下のような報道記事がありました。

WHOが「遺伝子組み換え蚊」活用を推奨 成虫になれない遺伝子の放出実験求める
共同通信 2016/03/19

世界保健機関(WHO)は18日、ブラジルなど中南米を中心に広がるジカ熱対策で、ジカウイルスを媒介する蚊を抑制するため、遺伝子組み換えの蚊を活用することを推奨する声明を発表した。

生まれた蚊が成虫になる前に死ぬよう、オスの親の蚊を遺伝子操作し放出する実験事業を行うことを求めている。

またWHOは、ボルバキアという細菌の活用も推奨。蚊をボルバキアに感染させると、蚊の体内のジカウイルス増殖を抑えられるという。

WHOは声明で「ジカ熱対策には、ウイルスを媒介する蚊の抑制が最も効果的な方法だ」と強調した。

ジカ熱は妊婦の感染と新生児の小頭症との関連が強く疑われており、WHOは、妊婦に流行地域への渡航を自粛するよう勧告した。


遺伝子操作した蚊の記事を書いている時に思ったこととして、たとえば、16年前の本ですが、遺伝子操作を批判的に述べた『遺伝子を操作する―ばら色の約束が悪夢に変わるとき』という本がありますが、そこにある懸念などもあります。

その第三章に「新たな病原菌発生の可能性」が書かれていまして、Amazon のレビューにまとめられているものから抜粋しますと、下のような感じです。

「水平伝達」の危険性

遺伝子組み換えは、ウイルスその他の寄生性遺伝因子(ベクター)に遺伝子を組み込むことで行なわれる。ベクターを宿主細胞に取り込ませると、ベクターに乗せられた遺伝子によって宿主細胞の性質が遺伝的に変化する(形質転換)。

ベクターは細胞から細胞へ、生物から生物へと移動するので、ベクターに組み込まれた遺伝子が生物の種を越えて移動し、そこの細胞内にある遺伝子と「水平伝達」と呼ばれる組み替えを起こす。

これによって新たな病原菌が誕生したり、最近が抗生物質耐性を獲得したりするのである。


要するに、遺伝子操作によって、「予期せぬ病原菌」が発生したり、「予期せぬ耐性菌」が出現したりといった可能性もあり得るようなのです。

それと共に、そういう問題とは別として、仮に……ですよ。

仮に、 生まれた蚊が成虫になる前に死ぬように

した蚊への遺伝子操作が、仮に蚊の発生の抑制に効果があったとして、あるいは、それによって、地域の蚊を「絶滅」に導くことに「成功」した場合ですが、その場合、非常に問いたいことは、

「蚊は地球の生態系に何の影響も及ぼしていないのですか?」

ということです。

蚊というのは、「同種や異種間の動物から動物へ血(そこには細胞も遺伝子も含まれている)を伝える」という役目を持つ代表的な生物です。なので、サルから人間に感染症が伝播されもします。

他にも血液を伝える生物はいますけれど、蚊ほど全世界的に生息していて、また、小さくて移動も自由な生き物はいないはずです。

そのような、大型動物の血液を牛耳っている役割を持つ蚊が地球の生態系に果たしている役割は非常に大きいと私は思います。

今、地球が全体的におかしいのは、さまざまな種類の生き物が「急速」に減っているからであることは間違いないと思いますが、蚊のような影響力の大きなものが極端に減った場合の影響はかなりのもののように思います。

歴史で、とりあえず私たちは、細菌などを含めた生き物について、

良いもの

悪いもの
と、わけて考えてきたのが、近代の科学と医学の歴史でした。

それは一見すると、間違っていないように見えますけれど、たとえば、細菌などの微生物と人類の関わりについては、記事、

マイクロバイオームとは何か? / アメリカ微生物学会

・人間は、人間の細胞(ヒト細胞)と人間ではない細胞(非ヒト細胞)で構成されている

・皮膚や筋肉や血液細胞などのヒト細胞は遺伝子を含み、これはヒトゲノムと総称されている。これらのことについては、私たちは小学生の頃から教えられている

・人間の細胞ではない「非ヒト細胞」は微生物のことで、これらは遺伝物質を用いてエンコードされており、ヒト・マイクロバイオームとして知られている。これについては、私たちは教育では教えられてはこなかった。しかし科学はどんどん新しくなっている

・私たちは、自らの体の中に 37兆個のヒト細胞を持ち、その周囲に 100兆個の微生物を持っている

・微生物細胞には、細菌、古細菌、真菌、原生生物、およびウイルスが含まれる

・その中で、細菌が、ヒト・マイクロバイオームで最も一般的な微生物となる

・微生物は人類が登場する数十億年前から地球上に存在していた

・微生物はどこにでも存在する。土壌、海洋、水パイプ etc…

・地球では何十万もの種類の微生物が発見されているが、人間と関係を持つ微生物は 1,000種類に満たない

・ヒト・マイクロバイオームには、通常、数百種類の微生物が含まれていて、その重さは 1.13キログラムほどもある

・人体の中で最も微生物の量が多く見つかっているのは大腸、小腸、そして胃だ


上のアメリカ微生物学会のマイクロバイオームの定義の中にある、

> 微生物は、人類が登場する前の数十億年前から地球上に存在していた

という部分です。

何のことかといいますと、この人間の体内で人間と共生する微生物は、上にもありますように、何百万種と地球に存在するであろう微生物の中の「ほんのごく一部」であるわけですが、「共生」ということは、

「向こう(微生物)も人間がいて始めて生きられる(あるいは本来の生き方ができる)」

という意味かと思います。

その中には「悪者扱い」されているものもあります。

たとえば、胃潰瘍や胃ガンの原因とも言われ、悪名高くなってしまった「ピロリ菌」というものがおりますが、これなどは、ヘリコバクター・ピロリ - Wikipedia によれば、

> 2005年現在、世界人口の40-50%程度がヘリコバクター・ピロリの保菌者だと考えられている。

とありまして、世界人口の 50パーセント近くが保菌者というのは、もう「人類の常駐菌」であるわけで、ピロリ菌が、他の動物の胃などにも感染できるものだとしても、ピロリ菌にとっては、「人間が最終的な宿主であるに違いない」と思える部分があります。

なので、このピロリ菌も敵視ばかりされていますけれど、おそらく、何か人間にとって、とても有用な理由があって胃に住み着いているとも最近は思います。

(そんなこととも知らず、10年ほど前にピロリ菌を除菌してしまって、今は胃にピロリ菌がいない私…。ピロリ菌に申し訳なかったですし、その報いもいろいろと受けているのだと思います)

ピロリ菌はともかく、このような「人と一体化して、人の細胞と共に働いている体内の微生物(あるいは微生物の DNA )のことをマイクロバイオームといっていいのだと思います。

地球最初の微生物たちから始まり、次第に多くの微生物で地球は覆われていくわけですが・・・。その歴史の中のどこかで「人類のマイクロバイオームとして、現在、ヒトの体内にする微生物」も登場していたはずなのですよね。

そして、最近の科学で明らかになっていることは、

「人間は、腸内などの微生物群がいなければ、生存できなかった」

ということです私たちの体内に微生物たちがいるから、私たちは生きていられる。

そういう「人類と共生する微生物たち」が地球にいたからこそ、現生人類は地球に根付いて以来、堂々と地球で生きられている。自然の大災害や戦争や経済混乱が起きても、体内の微生物がいる限り、人類という「群」は一応は絶滅せずに生き続けられる(おそらく今後も)。

に書きましたように、最先端の科学のキーワードは「共生」です。

もちろん、だからといって、ジカ熱やデング熱や黄熱病と「共生」しましょうなどということはできるわけはないかもしれません。できるわけはないかもしれないけれど、その対策の選択として、少なくとも世界の保健を代表する機関である WHO が、地域的なものではあっても、

「蚊という種の絶滅を推奨している」

というのは、倫理的な価値判断の是非ではなく、現実的な対処への考えとして合理的ではないように思えるのです。

「細菌を絶滅させれば人類も絶滅する」

ことが明らかになっているわけです(細菌が絶滅するなんてことはあり得ないでしょうけれど)。

細菌と人間は明らかに共生して、長い地球の歴史を生きてきています。

まあしかし、ジカ熱にしても、その他の蚊が媒介する病気の問題にしても、それぞれが複雑な問題を生み出していて、何とかしなければならいなということは確かだと思います。

でも、それでもやはり「遺伝子操作した蚊」を、そんなものを世界中に大量に放出するような日が来た場合はそれこそ、聖書の黙示録が近い時だという雰囲気があります。

場合によっては、さらに厄介なモンスター・バクテリアが登場してくるような感じもあります。

アメリカ政府は、この 2017年に「蚊の絶滅」のために遺伝子を改変した蚊の放出をすでに許可しています。

このときには「遺伝子ドライブ」という言葉とは出会わなかったですので、このときの蚊に対しておこなった方法と、今回のマウスに対しておこなった方法が、同じ概念のものかどうかはわからないですが、感じとしては同じようなものなのだろうとは思います。

先ほどの記事でいえば、

遺伝子ドライブは、有害な突然変異でさえ、その突然変異が受け継がれていくことを促進する可能性がある(通常は、有害な突然変異は遺伝していかない)。

というような、「突然変異の良くない状態の遺伝子を遺伝させ、その遺伝子を持つ個体が次々と生まれ、結果的に、その種は存続できなくなっていく」ということを発生させるわけなのでしょうね。

ちなみに、この遺伝子ドライブを世界で最も強く押し進めているのは、これもまた例のビル・ゲイツさんなんですね。

マサチューセッツ工科大学 MIT レビューの昨年の記事に「ゲイツが推進する遺伝子ドライブ、環境団体が国連で「禁止」」というタイトルのものがあり、その出だしは以下のようなものでした。

マラリアの根絶を願う億万長者のビル・ゲイツは、マラリアを媒介する蚊を絶滅できる可能性がある遺伝子ドライブ技術に「精力的に」取り組んでいる。

ゲイツは遺伝子ドライブを「飛躍的な進歩」と呼んでいるが、遺伝子ドライブはリスクが大き過ぎて絶対に使用すべきではないと訴える環境団体もある。

いま、両者の対決は山場を迎えている。


いずれにしましても、遺伝子ドライブというものは、現在検討されている用途については、

「ある生物種を抹消すること」

ということではあるようです。

このような、ある生物種全体を「人為的に抹消する」という概念をどう考えるのかは、いろいろな価値観があるとは思いますけれど、大義名分は何であれ、「してはいけないこと」だと私ははっきりと思います。

その応用が奇妙な方向に進めば、兵器として成立することも確かにあるのかもしれないなと思いました。

交配の中で遺伝子異常が広がっていくわけですので、時代の進行と共に、ある地域の人々だけがどんどん病気や先天性異常で消滅していくというようなタイプの戦略的兵器のような感じとなるのですかね。

終わりの世界であります。

最終更新:2019/02/01 23:35

2019/02/01 21:26

観測史上最低気温に近づくシカゴの -29℃の朝のミニ氷河期的光景

2019年1月30日 凍結したシカゴの朝。左の湖は五大湖のミシガン湖
chicago-2019-0130.jpg

アメリカに北極からの旋風「極渦」がやってきていることを以下の記事でご紹介させていただきました。

北極からの旋風「極渦」のメカニズムが「崩壊」している。その中でアメリカは歴史的な寒波となり、北極より寒い気温の場所が続出

-50℃にまで気温が下がったイリノイ州では「5分で凍傷になる気温」なので外出には注意をという勧告も
breaking-cold-us2019.jpg

その影響は拡大を続けていまして、アメリカの多くの場所で氷点下の気温が続出しています。

そのような状況の中、シカゴが記録的な低温に見舞われていまして、1月30日の朝には -29℃という異例の気温を記録しました。

1月29日 あらゆるものが凍結しつつあるシカゴ
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シカゴの場所
chicagi-caold-map2019.jpg

川も湖までも凍結しつつあるシカゴですが、このシカゴでのこれまでの観測史上の最低気温は、1985年1月20日に記録された -32.8℃ということで、今の状況からは、この記録が更新されるのも近いと考えられています。

シカゴには、アムトラックという鉄道が通っているのですが、この鉄道があまりの低温のために走行できなくなり、現在運行が停止されています。

アムトラックの運行停止を報じるニュース
amtrack-stop-2019.jpg

このような異例の事態となっている理由は、北極からの極渦が、下のように通常ではない位置にまで南下しているためですが、ジェット気流の位置があり得ないほど南を通っているのです。

polar-voltex-chicago.jpg

地球のジェット気流の異常については、以下の記事もご参考いただければと思います。

《特報》地球の気流が壊れた ジェット気流が赤道を通過して北極から南極に進むという異常すぎる事態。このことにより、この先の気象と気温はこれまでに考えていた以上のカオスとなる可能性が極めて濃厚に

2016年6月30日気象の専門家たちは「私たちは地球規模の気候緊急事態を宣言しなければならない」と語り、騒然が広がる
カナダ・オタワ大学の気象学の専門家ポール・ベックウィズ教授による事態の解説
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ベックウィズ教授の動画解説欄の翻訳

北半球のジェット気流が赤道を越えて進行し、そして、南半球のジェット気流と合流するという事態が起きています。

これは今までになかった新しいジェット気流の動きだと思われ、そして、このことは、気候システムの騒乱が進行中であることを示しています。

現在の私たちの気候システムの振る舞いは、私たちが予想していなかった状況、あるいは予想はしていても、過去に経験したことのない新しい、あるいは恐ろしい方法で私たちを驚かせ続けています。

混乱した気候の世界へようこそ。

私たちは今、地球規模の気候緊急事態を宣言しなければなりません。


今回ご紹介することは本当に驚くべきものですが、最初に何が問題なのかを簡単に記しておきます。

まず、そもそも、ジェット気流とは通常はどのような動きを見せるものかということと、そして、今はどのようになっているのかということから入らせていただきますと、まず、通常のジェット気流というのは、Wikipedia の説明では、以下のようになります。

ジェット気流 - Wikipedia

ジェット気流とは対流圏上層に位置する強い偏西風の流れ。

主要なものとして北緯40度付近の寒帯ジェット気流と北緯30度付近の亜熱帯ジェット気流がある。


図で示しますと、下のようになります。

通常のジェット気流の一例
jetstream-past.jpg

地図の下に「赤道」の位置を加えましたが、寒帯ジェット気流も、亜熱帯ジェット気流も、どちらも赤道などとはまったく関係しない場所を循環するのが普通だということがおわかりかと思います。

しかし、冒頭の動画のタイトルに「ジェット気流が赤道を通過している」とありますように、「ジェット気流が赤道を通過している」という壊滅的な変化が見られているのです。

下の写真は、アジアからオーストラリアくらいまでの位置の現在のジェット気流を示したもので、赤と緑で示されているジェット気流が「赤道」を通過して、しかも、寒帯ジェット気流と亜熱帯ジェット気流が「出会っている」という異常な光景が記録されたものです。

jet-stream-asia.gif

これまでの考え以上に気象と気温が混乱する可能性

ことの発端は、気象などの記事を記しているロバート・スクリブラー(Robert Scribbler)という方がブログ上で、このジェット気流の異常を指摘した

「巨大な重力波が冬と夏をゴチャゴチャにしてしまうのか? 壊れてしまったジェット気流が今、北極から南極に走っている」

というタイトルの下の記事の投稿以来、ソーシャルネットワーク上で大きな話題となり、冒頭のように、このことについて気象学の観点から状況を解説する専門家なども現れるというような騒動となっているという次第です。

wrecked-jet-stream0s1.jpg

これは「ジェット気流の動きが、これまで一度も見たことのないものとなっている」ということなんです。

先ほどのブログのタイトルに「冬と夏をゴチャゴチャにしてしまうのか」とあったり、冒頭のオタワ大学のベックウィズ教授は、「混乱した気候の世界へようこそ」と書いていたりしているのを見てもわかるように、今後、今まで想像していた以上の経験したことのない気象や気温が出現する可能性がより高くなっていると言えます。

ちなみに、ジェット気流のこの異常に関しては、「こういうことが起きている」という事実があるだけで、「理由」や「原因」は誰にもわかるものではないもののはずです。

どうしてこんなことが? ということに対しての答えは出ないと思われます。

しかし、現実として起きている。

この現象が、どのような異常気象や異常気温をもたらすのかも予測はできません、

しかし、最近言われていたような、「2016年の夏は、エルニーニョからラニーニャに移行するから猛暑」というような単純な図式で、これからの気候や気温を考えることはできないと思われます。

この夏の日本が熱くなるのか寒くなるのかもわからないですし、晴れが多いのか雨が多いのかもわからないですが、ただ、今年の気象で、ひとつ気になっていたことがありました。それは、「まだ台風1号が発生していない」ことです。

今日(6月30日)で、もし6月が終わったとすれば(「もし」って変だろ)、ああまあ、今日で6月は終わりですが、1951年以降の気象庁の記録に残る限りでは、過去に、6月が終わるまでに台風が来なかったのは、1983年と 1998年の2回だけです。

というわけで、現時点では、今年は過去3番目に台風1号が遅い年となります。

1983年の台風1号発生の日は 7月2日、1998年は 7月9日ですが、この日までに台風1号が発生しなければ、今年はとんでもなく台風発生が遅い年ということになります。

台風は、日本とアジア地域の大事な水源となるものですので気になりますが、太平洋上の状態が先ほどのジェット気流の図にありますように「ムチャクチャになっている」現状では、例年通りに、正しく台風が発生するということは阻害されてしまうのかもしれません。

完全に変わってしまった地球の大きな大気の流れ

私は、今回のジェット気流の異常ともいえる位置の変化を見まして、この2、3年の間に書いたいくつかの記事の現象の理由がわかったような気がします。

2013年の6月に、

・ハワイから消滅しつつある「そよ風」。でもその理由は誰にもわからない

Hawaii's gentle breezes disappearing, but scientists don't know why
CTV News (カナダ) 2013.06.04

ハワイのおだやかなそよ風が消えつつある。しかし、科学者たちはその理由がわからないという

人々がハワイに住みたいと思う理由のひとつに、ハワイ特有の心地よい「そよ風」もその中に含まれているように感じる。それらの穏やかな風は北東からやってくるもので、ハワイの湿度を追い払ってくれることにも十分に役立っている。

ハワイでは人々が涼むために、家のリビングではなく、庭や駐車場などでリラックスしている光景は珍しくない。涼しいそよ風と冷たい飲み物があれば、扇風機もエアコンもなくとも、快適に過ごせるのだ。

ところが現在、専門家が言うには、貿易風と呼ばれるこれらのそよ風が減少し続けていて、ハワイの人々の生活にも少しずつ変化をもたらしている。

それは見た目に大きな変化ではないが、湿気に弱いハワイの人々は以前より扇風機やエアコンを使う機会が増えていたり、あるいは、火山からのスモッグをすべて吹き飛ばすには現在の風はあまりにも弱いために、街にモヤが増えてきているということなどがある。

さらには、風は雨が降る手助けをする。貿易風が減少することは、水そのものが少なくなることをも意味する。当局は、ハワイでの給水の保持と、人々へ節水を促しているが、その理由にこの「風が消えてきている」ということがある。

水の減少は森林が健全に維持することに影響し、また、農作への影響についても、科学者たちは検討している。


なぜ風が減ったのか?

その背景に何があるのかはよくわかっていない。


マノアにあるハワイ大学の気象学者、パオ・シン・チュー博士は、風の減少について次のように述べる。

「そのことはいつもハワイの人々に質問されるのです。どうして風がなくなってきているのかと。しかし、私たち科学者にはまったくその理由がわからないのです」。


地球物理研究ジャーナルで発表された昨年(2012年)の秋の調査では、 1970年以来、ホノルル空港での測定で、貿易風がこの数十年で 28パーセント減少していることが示された。

ハワイに住む住人たちは、体感的にこのことに気づいている。釣りやカヌー、あるいはサーフィンを楽しむ人々は、風が変化したことを直接的に感じているという。

それだけではない。

風が消えてしまってから、時に、ハワイ島のキラウエア火山から出る二酸化硫黄によって産み出された風がホノルルにまで立ちこめ、白や茶色の「もや」を残すことがある。現在のハワイの風は火山のスモッグを完全に飛ばすにはあまりにも弱いのだ。

これは、喘息やその他の呼吸器系の問題を悪化させる懸念がある。

そして、パオ・シン・チュー博士が懸念していることは、今後、ハワイの人口が増えた場合、より多くの水が必要となるが、現在の風の弱い状況は、雨の減少と、その結果としての水の供給の低下に繋がることだという。

ハワイの議会は、予測される雨の減少から森林を守る対策のひとつとして、雑草を除去すること、そして森林植物を掘る野生動物を締め出すことなどを含む森林保護のための 850万ドル( 8億 5000万円)の国家予算を承認した。

貿易風の減少は、ハワイの一部が干ばつとなっている理由の一つだ。たとえば、マウイ島は、今年、観測史上最も乾燥した4月となった。干ばつは農業に影響を与える。

そして、貿易風の減少は、最大の産業であるハワイの観光にも影響を与える可能性がある。毎年 800万人の観光客がハワイを訪れる。しかし、貿易風がなくとも、ハワイの気候は東京や香港に比べても十分に穏やかだ。気温もテキサスやアリゾナのように上がるわけでもない。

なので、観光客の減少ということへの懸念は少ないと現地では見ている。

地球の大気の流れに何が起きているのか 北半球の「風力」が過去40年間で最大70パーセント近くも「弱くなっている」ことが中国科学院の大規模調査で判明

2019年1月11日中国科学院の研究を報じるロシアのメディア
wind-weaks-2018.jpg

Ветры в Северном полушарии ослабевают
МИР ВОКРУГ2019/01/02

北半球の風が著しく弱まっている

中国科学院の科学者たちは、陸上の風力発電所のタービンを駆動する風速が、北半球全体で著しく減少していることを発見した。

科学者たちは、世界中で 1000以上の気象観測所を調べることによって、この発見に至った。

発表では、1979年のレベルと比較して、北半球の風の力は 67%減少していることを示しているという。

この影響は、アジアで最も顕著であり、風力発電基地の 80%が、約 30%の電力の減少を示した。

また、ヨーロッパの全拠点のほぼ半分の風力発電基地でも同様の結果が示された。

北アメリカでは、気象観測所の 30%が、1979年の風力の 3分の 1にまで低下していた。

そして、この事実は、世界最大の風力発電所群が設置されている中国にとっては、懸念されるべきュースとなっている。

中国の研究者たちは、このような変化の原因を突き止めようとしているが、理由のひとつには、1979年当時は空気の移動を妨げないような畑や草原が広がっていた土地が多かったことと比較すると、現在は、土地の使用方法が変化し、大量の建物が出現したことなどがあるのではないかと指摘している。

あるいは、大気中の二酸化炭素濃度の増加により地球の環境が変わったことにより風力が弱くなったのではないかと考える科学者たちもいる。

複合的な要因で風の流れの減少に影響を与えた可能性もある。

科学者たちは、風力エネルギーを開発することを計画しているすべての国と企業は、これらの要素を考慮に入れなければならないと指摘する。

ここまでです。

「 67%減少」というのはかなりのもので、現在の私たちの住む北半球は、今から 40年前などと比較して 7割近くも風が弱くなっているようなのです。

中国科学院の科学者たちは、北半球の風が弱くなっている原因を、「家や建物が増え、風が通りにくくなった」とか、「二酸化炭素の濃度が増えて云々」というようなことを述べていたようですが、おそらく、それは関係ないですね。

というタイトルの記事を書きましたけれど、今はその理由がわかります。地球の大きな大気の流れがその頃から変化していたのだと思われます。

2013年には、ヨーロッパで大規模な洪水が発生しました。

その原因は複合的ではありながらも、ドイツの気候変動ポツダム研究所の科学者が、AFP に、以下のように語っていました。

気候変動ポツダム研究所は、(この大洪水は)地球上空のジェット気流が乱れたことによって、豪雨をもたらした低気圧が移動せず1か所に停滞してしまったためと指摘している。

同研究所は、現在ロシアで起きている干ばつも、ジェット気流の乱れに関連しているとの見方を明かした。


また、この 2013年の梅雨時には、日本の長野県などが極端な水不足に陥りましたが、その原因は、通常の梅雨時の気圧配置とまったく違う気圧配置が続いたことによるものでした。

ジェット気流の変化によるものだと思われますが、下のように、本来なら日本列島にかかる梅雨前線が、南のほうに停滞したままの状態が続いたのです。

2013年6月の日本列島周辺の気象図
ts-2013.jpg

ジェット気流の蛇行の状況によっては、「同じ国の別の地域が、熱波と寒波に同時に見舞われる」とか、やはり同じ国の別の地域で「極端な雨の地域と、干ばつの地域が同居する」とか、まあ、これは今すでに起きていることかもしれないですが、そういうこともさらに多く起きていくと思われます。

とんでもない光景を何度も見ていくことになるのでしょうけれど、この夏は正念場かもしれないなと思うと、背筋に冷たいものが(飲みかけのチューハイじゃないの? ← そのツッコミはもういいっつーの)。

まあしかし、人為的にどうこうできるものでもないですし、先行きを深刻に考えるよりも、起きてしまった状況に適切な対応をして生きていくしかなく、心配していても仕方ないです。

いずれにしても、今の世界中の異常な気象や気温の原因のひとつが少し理解できて、そのことに関しては、むしろ謎ではなくなってきたわけで、気分爽快な面もあります。

あとは、ほぼ完全に活動停止となり始めている太陽と気象の関係がどのようになっていくかということも興味があります。

このジェット気流の状況によっては、現在のアメリカやヨーロッパのような極端な凍結が、他にも拡大する可能性があります。

最終更新:2019/02/01 21:26

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