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2016-12-20 14:49

klemperer_bee9

ベートーヴェン/交響曲第9番の話題が続きますが、
今回はオットー・クレンペラーの1957年ライヴ録音です。

この録音がリリースされた時には驚きました。
まさか、1957年のライヴ録音が、
ステレオで、
さらにこれほどのサウンドクオリティを確保しての
CD化が信じられなかったのです。
1957年11月15日、フィルハーモニア合唱団の
お披露目コンサートでのライヴ録音です。
このCDのリリースは、
店長みたいな人種にとって、
ハンス・クナッパーツブッシュによる、
1951年「神々の黄昏」バイロイトライヴのリリースにも匹敵する、
出来事だったのです。
特に、第9ですからね。
リリース当時、非常に気持ちが昂ったことを思い出します。

クレンペラーのベートーヴェンは非常に懐が深く、
EMIへのセッション録音では、
最初、何をやっているのか分からないものの、
他の指揮者のベートーヴェンを聞き、
もう一度クレンペラーの演奏録音を聞き直すと、
唖然とするほどクレンペラーの凄さに唸ったものです。
これほど冷静に(時には聴衆など意識せず冷たいほど)、
スコアの持つ意味を解きほぐしてゆく演奏録音は他にはありません。
クレンペラーはスコアに対する即物主義者という点では、
頭ひとつもふたつも抜きんでています。
それがつまらないという人もいますが、
そういう人でも、
ある時クレンペラー盤を聞き直して、
ズブズブとのめり込んでしまうということは大いにあり得ます。
実は、店長がそうでしたから(^^;。

クレンペラーの1957年ライヴ録音の第9は、
冷静沈着なはずのクレンペラーの音楽が、
巨大なスケールのまま、
熱をもって迫ってきます。
クレンペラーはセッション録音に比べて、
ライヴ録音では、
本当はロマンティストであることが分かる記録にぶつかることが多々あります。
この第9の演奏も巨大なスケール、厳しい演奏の中にも、
白熱する音楽を聞くことができます。
第9の一つの理想形といっても過言ではないほどです。

クレンペラーの第9は、1957年EMIへのセッション録音を除くと、
以下の録音が存在しています。
店長はそのほとんどを聞いています。
1956年5月17日、アムステルダム・コンセルトヘボウ管弦楽団
157年11月15日、当演奏録音
1958年1月6日、ケルン放送交響楽団
1960年6月7日、フィルハーモニア管弦楽団(ウィーン芸術週間)
1961年11月27日、フィルハーモニア管弦楽団
1964年10月27日、ニュー・フィルハーモニア管弦楽団
1970年6月30日、ニュー・フィルハーモニア管弦楽団
そして、そのどれもがすごい演奏であることは驚異的です。
でも、これだけあると、
どれから聞いていいのか分からなくなりますね(^^)。
その中で、
1957年のライヴ録音はステレオで音も大変充実しているということから、
どなたにもお勧めできます。
ただ、演奏内容は厳しいですよ(^^)。

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2016-12-16 13:51

kleiber_bee4

ベートーヴェン/交響曲第4番は、
第3番「エロイカ」と第5番の間に挟まれ、
表題もなく、長い間地味な印象のある交響曲でした。
「谷間の百合」とか「北欧神話のふたりの巨人に挟まれたギリシアの乙女」などと呼ばれ、
聞いたことのない人には、
優し気な楽曲なのか?
と、錯覚しそうでした。
実際には激しさを持ったマッチョマン的といってもいい音楽です。

その地味な印象のあった交響曲第4番を、
一気にメジャーな存在にしてしまった演奏録音があります。
カルロス・クライバーがバイエルン国立管弦楽団を指揮した、
1982年カール・ベーム追悼演奏会のライヴ録音です。
コンサートでは第4番、第7番が演奏されました。

カルロス・クライバー盤は、
最初、ORFEOのLPで発売され、
国内発売の帯(国内発売は輸入盤に帯がついていました)の文言は、
「ここでカルロス火を吹いた!」という、
勇ましいものでした。
実際に聞いてみると、
「谷間の百合」や「ギリシャの乙女」なんて面影はなく(アマゾネスなら...^^;)、
第1楽章から第4楽章まで、
早いテンポでぐいぐい音楽を引っ張ってゆきます。
その勢いはかなりすさまじいもので、
音楽がまるで生きているように聞こえます。
店長には、
フルトヴェングラーやクレンペラーの同曲の演奏録音は、
クライバー盤を聞いて再度聞き直し、
初めてその真価が分かったようなところがあります。
クライバー盤にはものすごい勢いはあるけど、
スケール感はそれほどでもないとか、
内声部がダンゴになって聞こえるとか...。
やっぱりフルトヴェングラーやクレンペラーは凄かった...てな。

でも、それでクライバー盤の価値が下がるわけではありません。
やはり一期一会のコンサートのライヴ録音ですから、
このような超が付く名演の記録は、
もの凄く大きな価値があります。
心身が疲れて、
何かカンフル剤が欲しい...というときに、
クライバー盤ベートーヴェン/交響曲第4番は、
大きな効果を発揮します。
聞いていて、夢中になっている自分を発見します。

もうひとつ面白いのは、
クライバー盤はCDも購入したのですが、
CDに入っている20KHzという、
周波数特性の上限を超えて聞こえるように工夫した機器、
例えば、FIDELIXのアコースティックハーモネーターとか、
PIONEERの
レガートリングコンバーションシステムの付いたCDプレーヤーでこのCDを聞くと、
内声部がダンゴという状態を抜け出して、
豊かに中域が膨らんで倍音豊かに内声部が充実して聞こえた、
てな経験でしょうか。
もう、だいぶ前の話になってしまいましたが(^^;。

2016-12-14 14:13

karajan_planets

グスターヴ・ホルストの「惑星」は、
店長がクラシックを聴き始めた当時、
まだ一般的な楽曲ではありませんでした。
ホルストの作品自体、
「惑星」以外あまり知られていませんでしたので(今でも^^;)、
「惑星」を初めて聞いた当時、
それほどの大傑作という認識はありませんでした。
レコードも、
確かレコード屋さんで入手できたのは、
DECCAのカラヤン盤(日本では当時LONDON)くらいだったように記憶しています。
レオポルド・ストコフスキー盤や、
ウィリアム・スタインバーグ盤もあったような記憶があるのですが、
自分が最初に買った「惑星」がカラヤン盤でしたので、
レコード屋さんでどのレコードを見たことがあるのか、
記憶はかなりあいまいです。

カラヤンの「惑星」はウィーン・フィルとの1961年録音です。
当時、この録音は音が大変よく、
演奏もオーケストラをぐいぐい引っ張ってゆくような力強い演奏で、
EMIやドイツ・グラモフォンから出ている、
他の楽曲でのカラヤンのイメージと、
かなり異なるところがありました。

「惑星」が一般的になったのは、
スタンリー・キューブリック監督の映画「2001年:宇宙の旅」の
宇宙ブーム(映画では「惑星」からの楽曲は使用されていません)で、
もう少し後に、
イギリスのサー・エードリアン・ボールト指揮のEMI盤がベストセラーになるなど
(ボールト5回目の「惑星」録音であったそうです)、
その他の指揮者による録音も驚くほど増え、
「惑星」の録音がジワジワ一般化したという印象があります。
さらに、「スターウォーズ」や「未知との遭遇」なんて映画も、
宇宙を題材にした映画のヒットのお陰で、
「惑星」があれこれ登場することになったとも言えそうです。
あ、そうそう、冨田勲のシンセサイザー版「惑星」もヒットを飛ばしましたっけ。
さらに後年、平原綾香の「ジュピター」なんてのもありましたし。
ただ、面白いのは、
「惑星」は天文学的な思いを楽曲にしたわけではなく、
占星術や、
イギリスを中心とした「惑星」のような国々を現した楽曲だ、
てな蘊蓄でしょうか。

自分でも、今までどれだけの「惑星」を
聞いてきたのか分からなくなっていますが、
「惑星」の録音といって、
最も印象に残っているのは、
このカラヤンの1961年の録音とボールトの5回目の録音です。
カラヤンはデジタル時代になって、
ベルリン・フィルとドイツ・グラモフォンにも「惑星」を残していますが、
ウィーン・フィルとの荒々しいまでの演奏録音が、
今聞き直しても、凄い演奏だなぁ...と感心してしまいます。
ホルストの「惑星」は、
現代音楽とは言えないまでも1916年に完成していますから、
20世紀の作品です。
フランスでいえばラヴェルの時代ですね。
1961年当時、「惑星」の音楽界におけるイギリスのローカル音楽という位置、
カラヤンには20世紀の作品の録音や、
イギリスの作曲家の作品の録音が少ないことを考えると、
カラヤンの楽曲に対する理解度が
信じられないくらいの高みにあったことが分かります。

今ではさらに優秀録音が増え、
CDも信じられないくらいの量が店頭に並んでいますが、
カラヤンの「惑星」が自分にとっての原点だなぁ...
と、つい昨日再聴したばかりですので、
改めて思い至ったのでした。

2016-12-07 13:28

hitink_bee9

2016年ももう12月、
第9の季節になりました。
といっても、店長は年がら年中、
気が向いたら第9を聞いていますので、
年末だけ第9というわけではありません。
コンサートホールでも、
多くの第9を聞いてきましたが、
最近は少しご無沙汰しています。

第9といえば、
懐かしいCDがあります。
店長にCDの価値を思い知らせ、
普段聞くメディアを、
LPから一気にCDに変えしまったCDが、
ハイティンクの第9だったのです。

CDのまだ初期の頃、
店頭に並ぶCDの種類はあまり多くありませんでした。
その中で巡り合ったのが、
ベルナルト・ハイティンク指揮
アムステルダム・コンセルトヘボウ管弦楽団の、
1980年ライヴ盤ベートーヴェン/交響曲第9番でした。
全集とは別の録音です。
このCDが国内でリリースされた当時、
店長はLPをせっせと購入していました。
まだ、CDは持っていませんでした。
店長がCDプレーヤーを買うきっかけになったのは、
LPでは発売されなかった
ヘルベルト・フォン・カラヤン指揮ベルリンフィルの
マーラー/交響曲第9番ライヴ盤ですが、
CDプレーヤーを買い、
そして最初に買ったCDがこのハイティンクの第9だったのです。

CDを初めて聞いた時には驚愕しました。
なんせ、無音の中から音が立ち上がってくるのですから。
LPではPCM録音とはいえ、
針を落とした瞬間から、
サーフェスノイズやそのほかのノイズが聞こえてきますが、
デジタル録音された演奏を収録したCDでは、
当たり前のごとくそれらのノイズはありません。
それと、ダイナミックレンジの広大さには驚きました。
LPではレコードにするためにリミッターがかかっている場合が普通ですので、
「どこまでもフォルテシモ」をLPで実現すると(無理ですが)、
さて、そのLPがちゃんとトレースできるか、
音が割れないかなどが問題になります。
CDではそのことをあまり気にしないでも済みます。
あとはアンプとスピーカーの問題です。
ハイティンクの第9第4楽章の合唱部分を初めて聞いた時には、
その第4楽章終結部の「どこまでもフォルテシモ」が、
何の問題もなく再生されてゆくのに、
ものすごい快感がありました。
特に第4楽章終結部は、
LPではちゃんと再生され、それなりの音圧で聞ける...
ということは希でしたからなおさらです。

CD初期当時から、
LPの音の方がいいとか、
CDの方がいいとか、
議論はありますが、
店長はLPとCDの音は分けて考えています。
扱いはCDの方が圧倒的に楽ですが。
LPの音がいいと思えば、
LPを聞けば済むだけの話で、
LPの音をCDに求めるのは筋違いだと思っています。
異なる仕様のメディアなのですから。

ハイティンクの第9は録音もよく、
演奏も中庸を得て大変優れています。
中庸といっても面白みがないということではなく、
ライヴ盤ではけっこう情熱もあり、
安心して聞ける安定感があります。
最初にリリースされたCDは既に廃盤ですが、
元のレーベルPHILIPS盤をDECCA盤として、
数年前に復刻されたようです。

2016-11-30 15:07

furt_schumann4

今日、11月30日は、
ドイツの大指揮者ウィルヘルム・フルトヴェングラーの命日です。
68歳で亡くなったのですね。
今でいえば、まだまだ若くして亡くなったということでしょうか。
第2次大戦中や戦後の苦労が、
フルトヴェングラーの生命をを一気に縮めたような感があります。

店長は白状すると、
フルトヴェングラーの作り出す音楽が少し苦手だったりします。
我がハンス・クナッパーツブッシュ・ファンに比べて、
フルトヴェングラー・ファンの方が圧倒的に多いので、
なかなか言い出すのが怖いというところはありますが、
「なんで、ここでアチェレラントがかかるのだろう?」
とか、
スコアを見ながら聞いていると、
音楽の表情付の記号がほぼすっ飛ばされ、
フルトヴェングラー流の表情付に変わってゆきますので、
「え?」ということが多々あります。
フルトヴェングラーは作曲家でもありましたので、
自分の感じる様式に、
スコアを読み直してゆくところが大いにあるのではないか、
と思ったりします。
さらに、聞いていて、
呼吸感がなかなか自分と合わない、
というもどかしさを感じることもあります。
「これだけ名演の録音だと言われているのなぜだろう?」と、
悩んだこともありました。
それはまあ、仕方のないところではあるのですが。

でも、
「これはどの指揮者も敵わない」と
思う演奏録音がいくつもあるのは確かで、
店長が「フルトヴェングラー」という名前から真っ先に頭に浮かぶのが、
ワーグナー/「トリスタンとイゾルデ」全曲、
ブラームス/交響曲第3番、
そして、シューマン/交響曲第4番です。

特に、
初めてフルトヴェングラーのシューマン/交響曲第4番を聞いた時には驚愕しました。
音楽が巨大な蛇のように、
生きてうごめいているようなのです。
クナッパーツブッシュのように、
律儀にスコアの書き込みを再現した演奏録音ではありませんが
(クナッパーツブッシュは意外にスコアの書き込みに忠実です)、
有無を言わせぬ説得力を持った凄みのある演奏に、
ただただ驚き、聞き惚れました。
シューマン/交響曲第4番は、
冒頭からハイテンションで繰り返しや回帰が多く、
店長は他の指揮者で同曲を聞いた最初の頃、
やかましく感じてしまって、
なかなか入り込めない音楽でした。
店長がシューマン/交響曲第4番の素晴らしさに目覚めることができたのは、
フルトヴェングラーの演奏録音のお陰だと言ってもいいくらいです。
音楽の持つ生命感をこれほど見事に演奏してしまった例は稀有だと思います。
その後も、数多くの同曲の演奏録音に接してきましたが、
いまだにこの演奏録音が第一ではないか、
と思っています。

ドイツ・グラモフォンの1953年同曲の演奏録音はセッション録音ですが、
フルトヴェングラーは編集による細切れ録音を嫌い、
一発録りであったそうです。
そのため、オーケストラにミスはあるものの、
4楽章がアタッカで演奏されますので、
音楽の勢いがそのまま最後まで持続します。

シューマン/交響曲第4番は、
本来2番目に作曲された交響曲です。
でもシューマンが望む評価が得られず、
長い間お蔵状態でしたが、
シューマンがその短い晩年に改訂して、
スコアは第4番として出版されました。
シューマンの激情がそのまま音楽になっているようで、
フルトヴェングラーの演奏録音で聞くと、
非常に聴き応えがあります。

面白いのは、
最近の全集ばやりが反映して、
どの指揮者も4曲の交響曲全部を録音したりしていますが、
古いドイツの指揮者は
シューマンの交響曲全曲をレパートリーにすることは少なかったらしく、
たいてい第4番は誰でも演奏するのに、
第1番から第3番は残っている演奏録音を見ても、
指揮者によってかなりばらつきがあるということでしょうか。
現在、人気の高い第3番「ライン」が案外少ないのが面白いですね。

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